1級術士 猩影くん 作:ジョジョラー
続けてみました。
俺の名は禪院猩影!
禪院家に3級呪霊相手の任務につかされたと思ったら……なんと調査不足のせいで準1級呪霊の相手をすることになってしまった!
──まあ、既のところで術式が発現して、何とかなったけどな!
ほんとに笑えない。散々「将来有望だ!」「術式が分かるのが楽しみだ」とか言っといて、これはないんじゃないですかねぇ?
……さて、命が助かったのは良かったとして、問題はこれからだ。
死の淵に立たされたことで術式が発現したのはいい。そうじゃなかったら死んでたからな。困るのは、俺の術式が禪院家相伝、『十種影法術 』でなかったこと。
俺は前世の親友、ちょいワル幼馴染のレイジくんから禪院家について色々聞いていた。そして自分の目でも見てきたことだが、この禪院家では、相伝を受け継がずに生まれてきた子供に対する扱いが目も当てられないような酷いものなのである。
俺と同い年の異母兄弟で双子の真希と真依は俺よりも少し前に術式が判明したのだが、分かる前と後ではまるで扱いが違かった。
前までは同い年なこともあり、よく3人で稽古をつけられていたのだが、2人は「これ以上鍛える価値はない」と見なされ、馬車馬のように働かされている。そして、男尊女卑の古い伝統が残るこの禪院家に女として産まれたこともあり、将来は新たな相伝を持つ子供を孕むための胎としてしか見られなくなった。
俺は将来この2人が原作で活躍することも知っているのであまり心配しなくても大丈夫だろうとは思っているが、バレない程度に影でちょこちょこ手助けしてきた。
ろくに食べ物を食べさせて貰えない2人のために、育ち盛りであることを利用してご飯を多く作ってもらい分け与えたり、こっそり部屋に呼んで俺の布団でゆっくり休んでもらったり。
2人は最初は警戒していたようだが、俺が「一緒に訓練して育ってきた仲だろ。騙したりしねぇよ」と言うと、ご飯も残さず食べたし、俺の布団で2人くっついて眠った。俺は胡座をかいて柱にもたれかかって寝ていたが、朝目覚めると布団が掛けられていて、ますますあの双子に何かしてやりたいと思うようになった訳だが、それももう難しいかもしれない。
「相伝ではなかったようだな」
「……」
俺は今、当主の前で俯き、正座している。
俺の術式の名前はまだ分からないが、絶対に『十種影法術』ではないことは確かだ。それでも術式がないよりはマシだろうし、恐らくだが結構強い術式だと思う。めちゃくちゃ近接タイプだが、この頑丈で大きな体があれば俺は中々に使える駒のはずだ。完全なる役立たずだとは思っていないと思ったのだが……
当主はどこか蔑んだような、それでいて忌まわしい物を見るような目で俺を見ている。
「……お前はこれから体も大きくなるだろうし、その歳であれだけの呪霊を払う才能を見込んで、例え相伝でなくても一族に貢献出来る力の持ち主だと確信していた」
「お言葉ですが、俺の術式に何か問題でもありましたでしょうか? 当主様のおっしゃる通り体もどんどん成長していますし、術式も俺の体に合っていると思うのですが……」
「確かに体と術式の相性は良いだろうな。だが、お前の術式が『大猿変術』であることが問題だ」
「だい……?」
初めて聞く名前だった。
恐らく漢字で書くと『大猿変術』。猩影くんのガワを持って産まれた訳だから、見た目が猿っぽくなるってことだろう。実際に使った時は漫画で見た猩影くんとか狒々様見たいに爪が伸びて手も毛深くなったし、さっき鏡で見たら歯もギザギザしてた。パワーもスピードも桁違いだ。
……で、分かんないんだけどそれの何がいけないの?
「我々禪院家は、『大猿変術』を術式と言うよりも、『呪い』として認識している」
「呪い?」
「大昔、我ら禪院家の先祖は悪名高き特級呪霊、『大猿・狒々』を祓った。しかし、狒々は祓われる直前、我ら禪院の血筋に呪いをかけた。以来、数十〜数百年に1度、その呪いを受け、相伝に産まれるはずであった子供が、まるで狒々の様に姿を変える術……『大猿変術』を持って産まれてくる様になってしまったのだ」
当主の言葉を理解するのに、俺は数秒間の時間を要した。
つまり、俺は本当は『十種影法術』を持って産まれるはずだったのに、狒々様の呪いで『大猿変術』が発現しちゃったってこと??
「残念だが、お前は次期当主候補から外れてもらう。明日からは好きにしろ。任務を命じた時以外はな」
え、ええ〜? (困惑)
☆
その次の日から、俺はまるでいないかの様に扱われた。
いや、ご飯は部屋の前にきちんと置かれているし、着替えもお風呂も何不自由なく暮らせている。
そして、2日に1回くらいのペースで任務も入れられるのだが、怪我をしても大抵寝たら治るので、俺はここ数週間、禪院家にとって手のかからない、呪霊お掃除マシーンとして生きていた。
まあ、真希&真依に比べたらいい生活を送れているのだろうが、如何せんつまらない。本当に。
任務がない日は部屋でこっそり双子と話したりするのだが、前みたいに扱いが良いわけではないので2人にしてやれるのは、精々愚痴を聞いたり、暖かい布団で寝かせてやることぐらいになってしまった。まあ、2人はそれでも嬉しそうにしてくれている訳だが……。
そんなこんなで双子と遊ぶ以外にはつまらない日々を送っていた俺だったが、衝撃の出会いを果たすことになる。
──それは10歳になった頃、とある任務で大怪我を負い、そのまま意識を失ってしまった冬の日の出来事だった。
なんか、思ってたよりお気に入り登録してくれる方が多くてびっくりしてます。流行りのジャンルって凄いですね・・・。
実は1話短編で終わりにする予定だったのですが、続きが考えられたので投稿しました。今後も不定期にはなると思いますが、それでも良いという方は応援して頂ければ幸いです。
それと、あまりぬら孫や猩影くんについて詳しい説明をせずに続けてしまっているのですが、元からぬら孫、猩影くん知ってるよって人がどれくらいいるのか気になったので、アンケートにしました。
今後の参考にしたいので、御協力お願い致します。
よろしければ、感想、評価等よろしくお願いします!
ぬら孫、猩影くん知ってますか??
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はーい。めっちゃ知ってる!説明なしでOK
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なんとなくなら分かるよ〜
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全然知らない〜でもノリで読めるから大丈夫
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わからん・・・説明が欲しい・・・