私は山田太郎、詐欺師だ。   作:matome0101

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展開が!展開が帰ってきた!お帰り!
遅くなってしまい、申し訳ありません。


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ガタンゴトンガタンゴトン

 

「次は~菱方、菱方です。」

 

 ………

 

ガタンゴトンガタンゴトン

 

「菱方です。行き違い列車を待ち合せます。しばらくお待ちください。」

 

 ………

 

「発車します。」

 

ガタンゴトンガタンゴトン

 

 閉じていた目を開き、車内を見回す。

 客は少ない。

 この車両に乗っているのは、私と、スーツ姿の女性が一人だけだ。

 その女性は、私と通路を挟んで反対に座って、私のことを睨んでいる。

 彼女の手を借りるのは、正直気が進まなかった。

 しかし悲しいかな。私の調査能力では、佐々木の好きな食べ物がすき焼きであることまでしか突き止められなかったのだ。

 

「………」

 

 彼女は、電車に乗ってから、ずっと私を睨み続けている。

 私はずっと目をそらし続けている。

 何の気なしに窓の外に目をやる。

 高層ビルの窓が、夕日を反射して輝いている。 

 先ほど言ったように、この車両に客は私と彼女だけだ。

 だが、それは、今が客の少ない時間帯だから、とか、このあたりの人口が少ないから、とか、そういう理由があるわけではない。

 

「次は~、hillヶ丘、hillヶ丘です。」

 

 この町は、かなり発展しており、人口密度も高い。

 本来ならば、この車両には、サラリーマンや学生が乗車しているだろう。

 だが、彼らは、私と共に乗り込んできた彼女の殺気にあてられ、我先にと下車してしまった。

 

ガタンゴトンガタンゴトンダゴン

 

 下車していく彼らの顔は、恐怖に引きつり、みな、彼女と目を合わせないように、顔を伏せていた。

 ホームでは、掃除をしていたおじいさんが、目を丸くして、彼らを眺めていた。

 悪いことをしてしまったが、責任は私にはない。

 あんな怖い顔をして電車に乗る木崎が悪いのだ。

 窓の外の風景から、まだ私を睨んでいる、木崎に視線を移す。

 木崎と目が合う。

 木崎の口元だけが、にこりと微笑む。

 

ピシッ

 

 列車の窓の一つに、手のひらほどの亀裂が走る。

 そんなに大きくない。

 彼女は機嫌がいいようだ。

 私もにこりと微笑み返す。

 木崎の瞼が、ピクリと動いた。

 

バリバリビシバリビシシビシバシビキバリリビシバシリリビリリバリ

 

 この車両の全ての窓に亀裂が走った。

 もはや外は見えない。

 前言を撤回しておこう。

 私と共に行動している時に、彼女の機嫌がいいわけがないのだ。

 というか、これ、どうやってるんだ。

 彼女は超能力者ではないはずだ。

 

「まもなく、hillヶ丘、hillヶ丘です。お降りの際は、忘れ物の無いよう、ご注意ください」

 

 ああ、少し気分が悪くなってきた。

 木崎がずっと私を睨んでいるからだろう。

 彼女の視界から、一度離れよう。

 私は立ち上がり、席を移動しようとした。

 

「hillヶ丘、hillヶ丘です」

 

 しかし、それは叶わなかった。

 いつの間にか、木崎の顔がすぐ目の前にあり、私の喉に、ナイフがあてがわれていたからだ。

 私は唾をのむ。

 木崎の真っ黒な瞳が、私を見つめている。

 …怖い

 何故私は、彼女に協力を仰いでしまったのだろう。

 彼女は私を再び座らせ、自分も定位置に戻った。

 

「発車します。」

 

 列車は再び走り出した。

 外の景色が見えなくなってしまったので、私は暇になってしまった。

 退屈だ。

 暇つぶしに、私を睨み、見つめ続ける彼女、木崎早紀が何者なのか、説明しておこう。

 話せば長くなるが、目的の駅まではまだ遠い。

 のんびり説明させてもらおう。




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