木崎と別れて5分後、ショッピングモールについた。
この街で一番大きいとだけあって、平日昼間から賑わいを見せている。
人の多い場所はあまり好きでは無いのだが、まあ、仕方あるまい。
店内に入り、速やかに洋服店に向かう。
ジーンズと白いTシャツ、それからサンダルを買い、次は化粧品店に向かう。
一通りの化粧品と髪を固めるワックスを買い、トイレに向かう。
着ていたスーツを脱ぎ、買ったジーンズを履き、Tシャツを着て、サンダルを履く。
スーツをトイレのゴミ箱に捨て、荷物を持ってトイレを出る。
木崎と別れてから20分が経過していた。
まだ時間的余裕はあるな。
木崎に飲み物でも買っていってやろう。
自分用にアイスコーヒーのブラックを一本、木崎にはアイスコーヒーのブラックを一本買って、ショッピングモールを後にする。
計2本のアイスコーヒーのブラックを持って、集合場所である侍の像へ向かう。
木崎は既に到着しており、像の台座にもたれかかって本を読んでいた。
「お待たせ。」
「大丈夫ですよ。そんなに待っていません。」
「ん?何故だ?30分ここにいたのだから十分待っているだろう?」
「いいえ、ここへ来たのはつい先ほどのことです。」
「ああ、君も何処かへ行っていたのか。」
「はい、少し警察署の方に。」
「ああ、そうか。では警察署に向かおうか…って、え?」
「私はつい先ほどまで、警察署にいました。」
「な、何故だ。」
「そりゃあ、その佐々木という人物について調べる為に決まっているじゃないですか。」
「何故一人で行ったんだ?」
「あなたがいると足手纏いだからですね。」
「そんなことは無いだろう」
「ありますよ。あなたは警察を前にしただけで脈が普段の2倍になるほど警察が苦手なんです。そんなあなたが警察署に行ったりしたら、大惨事になること請け合いです。」
「では何のために私に変装させたのだ?」
「変装したのはあなたです。私は強制も依頼もした覚えがありません。」
「ということは、私はだまされたのか?」
「早い話、そうなりますね。」
なんということだ。
こんな短期間に、2人の人間に騙されるなんて。
「…もう、詐欺師を引退しようかな。」
「では、私の事務所で働きますか?」
「は?」
「私はあなたの人格を買っています。なのであなたが私の下で働きたいと言えば、受け入れる準備は出来ています。」
「…気持ちは有り難いが止めておこう。」
「そうですか。残念です。」
「というか木崎、私の人格を信用するのはやめた方がいいぞ。」
「何故ですか?」
「私は詐欺師だ。私の言うこと為すことは全て嘘だと思った方がいい。」
「…あの、ちょっと嘘を言って頂いてもいいですか?」
「ああ、構わんぞ。そうだな…『地球は青い』。」
「…それは果たして嘘でしょうか。」
「地球は確かに海洋がその表面の多くを占めてはいるが、陸地だって割とある。よって正しくは、『地球は青と茶色で構成されている』だ。」
「…」
「君は今、『屁理屈だ』と考えているだろう。」
「はい。そうですね。」
「…コーヒー、飲むか?」
私はぬるくなってしまった、元アイスコーヒーを木崎に差し出す。
すると、木崎は少し顔をしかめた。
「ん?どうした?コーヒーは好物だろう?」
「はい、そうなのですけれど…」
「なんだ?断カフェインでもしているのか?」
「なんですか、断カフェインって。…いえ、なんといいますか、あのですね…」
そう言うと、木崎はポケットの中を探り出した。
「まあ、どうぞ。」
差し出された手の中には、まだ冷たいアイスコーヒーが握られていた。
どうやら考えることは同じらしい。
「…あの、一つ聞いてもいいでしょうか。」
「ああ、構わないぞ」
「そのレジ袋の中の化粧品、何に使うんですか?未開封のようですけれど。」
「…あ」
完っ全に忘れてた。
作者が忘れておりました。
お粗末様でした。
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