RJ皐月電木曾のキルデスビジネス   作:赤モップ

6 / 10
1サイクル目
砂漠のヘルライダーシズメルとヘルシングキソ


【視聴率30%】テコ入れ発生中!

 

「そんじゃあこっからメインフェイズや。一人ずつ順番に行動して、最後にボス戦やって1サイクル。それを2回やったらセッション1回、1話分やね。2話の最後に一番ソウルが多かった人が優勝や。とりあえず順番決めるからD66振ってや。GMのシーンもあるからウチも振る(ころころ)」※1

 

「「「(ころころ)」」」

 

「小さい順やから、ウチ、皐月、木曾、電の順やな」

 

【1サイクル目の行動順 GM→サツキ→キソ→イナズマ】

 

「あう、一番最後なのです」

 

「いきなりヘルPの行動からか」

 

「何するの?」

 

「CMや(ころころ)。ヘルモービル。人を轢けば轢くほど速くなる!そして走りは別次元の領域へと加速していく……!ヘルモービルがお求めやすい価格で新登場や!」※2

 

「モービルって何?」

 

「雪上車とかだな、あとはエンジン付きの乗り物全般。キャタピラついてたりもするな。地獄の雪上車はガンガン人を轢きながら走るのか」

 

「地獄は怖いところなのです……」

 

「PS2のゲームとかでありそうだよね。人轢くごとに得点入って加速するの。島風が好きそう」※3

 

「まあ、そんな感じのヘルモービルを、次のシーンでアピールしたら50ソウルあげるで」

 

「僕だね。宣伝か、どうすればいいのかな」

 

「乗って人轢いたらええんやないかな」

 

「売れるんでしょうかそんなので」

 

「八寒地獄とかなら需要ありそうだな」※4

 

「じゃ、ウチのシーンは終了。皐月のシーンやな」

 

「どうすればいいの?」

 

「プレイヤーが自分のシーンでできるのはサービス、サブプロット獲得、交流、戦闘の四つや。まずサービスは視聴者サービスのシーン。成功すると視聴率が上がるで。そんで視聴率30%以下だとテコ入れ発生で強制でサービスシーンになるな」

 

「僕は強制サービスか。やっぱり水着着たりするのかな?」※5

 

「色々やな。やっぱりランダム表振って決めてもらうで。というわけでサービスシーン表振って」

 

「(ころころ)。旅行系サービスシーンの、移動機関の紹介」

 

「ヘルモービルか」

 

「この闇に包まれたディオの世界の乗り物紹介やな。まずは相手を選んで。誰でもええで、プレイヤーでも、ターゲットでも」

 

「それなら不知火がいいかな。詳しそうだし」

 

「うん、それじゃシーン表振って」

 

「押し寄せてくる砂に埋もれた、倉庫、だって」

 

「砂漠化が進んでるのです」

 

「じゃあ、この世界、日照量は減ってるけどなぜか寒くなってないから、植物が枯れるだけ枯れて砂漠になってるんだ。それでかつての都市の外縁部、砂防壁の外の倉庫街は砂に埋もれているよ。そして吸血鬼に支配された奴隷たちがスコップで掘り起こしてるんだけど、重機とかは使わせてもらえないし、砂漠化はどんどん進んでるから、いくらやっても終わらない。永遠の責め苦」

 

「ええな、ディストピアっぽいやん。町の名前はウインドナイツロットでいこう。なんかかっこええし」※5.5

 

「うん、じゃあそんな感じで。それをヘルモービルを運転してる不知火から聞くよ。ボクはサイドカーに乗ってる。不知火は大量の奴隷と、愉快そうに彼らをムチで打つ吸血鬼の監視員たちに心底イライラしている」※6

 

「目つきがヤバくなってそうだな」

 

「ちなみに乗ってるヘルモービルはごっついタイヤの四輪で、屋根はないけど前面に装甲が張ってある。その装甲には*べっとりと*赤黒い染みがついてるよ」

 

「あわわわわ」

 

「じゃあこの後どうなるかは判定の結果次第で。判定してな」

 

「特技はランダム。(ころころ)。シズメルの動作で判定。あ、また目標値8だ。(ころころ)。し、失敗……」

 

「視聴率が10%下がるで」

 

【視聴率30%→20%】テコ入れ発生中!

 

「でも20%って高いですよね相当」

 

「このゲームの視聴率、一つの番組内で0%から100%まで乱高下するからなあ」

 

「集計の仕方が違うんだろうな」※7

 

「ええっと、失敗したから、今まで常識的な速度で走らせていたシズメルがおもむろにアクセルを踏み込む。段々と加速する。ボクはあれっと思ってシズメルの顔を覗き込むと、口角がほんの少し上がっている。嫌な予感がした、次の瞬間には車体に鈍い衝撃。鞭を振り回していた吸血鬼が四肢をおかしな方向に曲げながら吹っ飛ぶ。車体に禍々しい光が宿り、ぐんと力強く加速する。獣の咆哮のようなエンジン音が耳に痛いほど響く。シズメルはすでに次のターゲットを定めている。『ちょ、ちょっとぉ!?』抗議の声を上げるけど『不知火に何か落ち度でも?』こちらを見ずに前だけ見てそう言う彼女に恐怖を覚える。衝撃が連続してさらに加速、加速、加速。もうわけがわからない速度だ。周囲の景色は凄まじい勢いで巻き上げられる砂に紛れてもう見えない。激突した吸血鬼たちは血飛沫になって原形を残さず消滅していく。突然サイドカーとヘルモービルの間で異音がしたと思ったら、金具が吹き飛んで、僕はサイドカーごと吹っ飛ばされる。砂の柱を巻き上げながら、シズメルの乗ったヘルモービルはあっという間に見えなくなる。へたり込んでいたボクは、遅れて振ってきた砂で首まで埋まる。『沈め、沈め、沈め』というシズメルの低い囁き声がいつまでも耳の中に響いているよ」

 

「怖いな、おい」

 

「でも視聴率は下がるんですね」

 

「天使が活躍したのが地獄の住人には気に食わんかったんやろか。まぁ商品のアピールは十分すぎるくらいだったから50ソウル進呈や」※8

 

「わーい」

 

【サツキのソウル0→50】

 

「次はキソやな。まだテコ入れ中やから、強制サービスや」

 

「順番早い方が有利とかいうことは別にないんだな。(ころころ)。」

 

「戦闘の行動順は重要かなあ。あとはGMの後だとさっきみたいにCMできるから地味に有利やな」

 

「ふむ、別ジャンルサービスの、モンスターホラー」

 

「スペースオペラとかロボとか出なくてよかったのです。世界観的に」

 

「そうだな。吸血鬼、いや、グールに襲われることにしよう。相手はイナズマかな、なんとなく」※9

 

「嫌な予感しかしないのです」

 

「それじゃまずシーン表振ってな」

 

「よし(ころころ)。ヘル学校。また学校か。じゃあ俺はウィンドナイツロットを散策しているとボロボロの木造校舎の学校を見つける。少し懐かしくなって校庭に入り込むが、廃墟となった学校に人気はない。吸血鬼に支配されるだけの人間たちに教育など不要なのだろう。朽ち果てた校舎、失われた青春。俺が恋人との学校生活を思い出してしんみりしていると、突如銃声が響く。校舎の中からだ。俺は迷わず走り出す」

 

「あ、その銃声、私ですね」

 

「ああ、そうだ」

 

「じゃあ、私はこの街ではどこにいっても吸血鬼が人間をいじめているので、うんざりしてしまって、人気のないところで休もうと思ってこの廃墟になった学校に入り込んだのです。一息ついたところでいきなりグールが現れたので、銃を抜いて応戦するのです。でも銃も魅了の技もグールには効きづらくて、苦戦しているのです」※10

 

「そこに俺がダッシュで飛び込んでくる。そのまま勢いを殺さずにジャンプキック。グールは壁をぶち抜きながら吹っ飛ぶぜ」

 

「驚き、警戒しながら話しかけるのです『あなたは……!』」

 

「『今ここで争う気は無いぜ。それよりも、来るぞ』スタッと着地したあと、イナズマに背を向けながら刀を抜く。するとどこに隠れていたのかわらわらとグールの群れが出てくる」

 

「教室の扉ガラッと開けたり、廊下に並んでるロッカーが内側から次々バーンって開いたりするんだよね」

 

「そんな感じだな。俺はグールの群れに切り込んでいく。なぜこいつを助けているのか。俺はそもそも、探偵だ。弱いものの味方。復讐のためにちょっとおかしくなってはいるが、根っこのところは変わらないらしい。腐りかけのグールどもをバッサバッサと斬り倒し、蹴り飛ばし、殴り倒していくぜ」※11

 

「私もキソのお蔭で余裕ができたので、的確な狙いでグールの足を打ち抜いて動きを止めたりするのです」

 

「だが、次から次へとグールは湧いてくる。制服を着た、元この学校の生徒たちだ。『埒があかねえな』手元の刀も不満げにカタカタと揺れる。妖刀にとって、この腐った死体どもは斬り甲斐がないらしい」※12

 

「キソと背中合わせに立つのです。『囲まれたわね……』」

 

「『仕方ない』少ししゃがんでイナズマを肩に担ぐ」

 

「『キャッ』意外と可愛い悲鳴を上げるのです」

 

「窓を蹴破って校舎の2階から校庭に飛び降りる!といったところで判定でいいか」

 

「うん。じゃあ判定特技決めて、振ってな」

 

「よし(ころころ)。小道具、ベルトで判定。目標値は6だ(ころころ)。よし、余裕で成功」※13

 

「視聴率が20%上がってソウル100、さらにテコ入れ脱出で100の計200やな」

 

【視聴率20→40%】テコ入れ脱出!

 

【キソのソウル200→400】

 

「いいねぇ」

 

「うーん、ちょっと離されちゃったな」

 

「ところでこれって私にはいいことないんですか?」

 

「特に無いなあ」

 

「そうなのですか」

 

「じゃ、校庭に華麗に着地した俺はイナズマを担いだまま走り去る。グール達は窓から零れ落ちたり、入り口からわさわさ校庭まで出てきたりするが、俺たちを見失ったのかその場でうろうろし始める、って感じで終了だな」

 

「次はイナズマのシーン。やーっとテコ入れ脱出やなあ」

 

 

 

 

 

※1 D66は6面ダイス二つ振って小さい方を一の位、大きい方を十の位とする。ランダム表を振ったりするときによく使う。いまさら感のある注記。

 

※2キルデスビジネスはテレビ番組なので当然スポンサーが居る。そしてCMもうつ。今回のスポンサーはヘルヤマハとか。ヘルホンダ、ヘルカワサキはすでに撤退しているらしい。

 

※3だいたいCEROZのゲーム。教育によろしくない。でも艦娘の教育にはよろしいのかもしれない。あと島風は操作に合わせて左右に揺れる、そしてコースアウトしたりすると叫ぶ。興が乗るとコントローラーを絶対に離さない。飯時までテレビを占拠して強制排除されることもしばしばである。

 

※4寒く、雪が積もり、雪女とか、ナマハゲとか、ペンギンがいる。ペンギンがいる。雲爺は天に昇り、ペンギンは地獄に墜ちた。同じ箱の中に詰まっていた彼らの未来を分けたのはなんだったのだろう。覚悟か、あるいは女神の悪戯か。

 

※5脱ぐ。あるいは流血。地獄の住人はエログロが大好きだ。

 

※5.5かつての田舎町ウィンドナイツロットは吸血鬼の世界の首都として急速な発展を遂げた。しかしディオの暴政により徐々にその活気は衰えていき、いまではごく少数の特権階級の吸血鬼と、数多の奴隷の人間たちのうめきが木霊するこの世の地獄だ。

 

※6ほら働け~!!ほら働け働け働け~!! うぁ~!!働け働け~!!手を休めるな~!! 生きていられるだけでもありがたいと思え虫けらども!

 

※7あるいは地獄の住人のテレビの見方が違うのか。きまぐれヘルピープルは皆、高速でチャンネルを回し、一つの局に留まることはないのかもしれない。

 

※8スポンサーはド派手な商品アピールにご満悦。シズメルは日頃の鬱憤が晴らせてご満悦だ。やり遂げた感のある無表情でディオの城へと戻って行った。

 

※9非処女、非童貞が吸血鬼に血を吸われた時、彼らは悍ましい食屍鬼グールとなる。グールに襲われた者もまたグールとなり、被害を無限に拡大させていく。夜の世界は常人が生き延びるにはあまりに過酷だ。

 

※10ゾンビ系に銃撃耐性や精神無効がついているのはよくあること。警官などが恐慌状態で銃を乱射しても全然効かずに齧られて彼らの仲間入りをするのもよくあること。

 

※11ゾンビには斬撃や打撃が有効だ。特に丸太とか。

 

※12高校ならそんなにグールになるのは多くなさそうだが、いっぱいいるというのはつまりそう言うことなのだろう。そう思い至ったヘル童貞たちが多く住むヘルマンションやヘルアパートからは、壁ドンの音が打楽器の連打のように鳴り響いた。

 

※13 27歳の妖艶な美女の女子小学生のような悲鳴というギャップ萌えが地獄の住人に受けた。

 




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