キソの想いとそう、ヘルフォンならね
【視聴率30%】テコ入れ発生中!
「じゃ、2サイクル目いくでー。基本的に流れは一緒やけど、最後は標的戦、ターゲットと決着をつけることになるな。あと、そのあとに100ソウル払えば1回行動を増やせる追加フェイズがある」
「まずは順番決めだな。振るぜ(ころころ)」
「「「(ころころ)」」」
「ええと、小さい順でしたっけ。それなら、龍驤さんと木曾さんが同値トップで、私、皐月ですね」
「お、ボクは後の方がいいんだよな。よしよし、いいぞ」
「ウチと木曾で先行決定やな(ころころ)」
「どっちにしてもサービスシーンだが、せっかくだしCM欲しいぜ(ころころ)。ありゃ、ダメだな」
【2サイクル目行動順 キソ→GM→イナズマ→サツキ】
「よし、まずはキソの強制サービスシーンや」
「変なのが来ないといいんだがな(ころころ)。感動系サービスシーンの、死んだ人の話をする」
「死んだ恋人の話だね」
「ちょうどいいな。相手は、またイナズマでいいか。シーン表振るぜ。燃え上がる炎に照らされた、野原」
「ううん、これもわからん。野焼きやろか?」
「雑草は消毒だー!」
「モヒカン吸血鬼が火炎放射器振り回してるのな。そんなとこで死んだ恋人の話をするのか、俺」※1
「篝火に照らされてるとかでいいんじゃないでしょうか」
「ああ、吸血鬼の城だしな、ありそうだ。じゃあ地下を出た俺は永遠に消えない篝火に照らされた城門前の庭園で、ぼんやりと炎を見つめながら立っている」※2
「恋人さんのことを思い出してるのですね。じゃあ『あなたはなぜ戦うの?』と声をかけるのです。導入の映像を見てたので知ってますが」
「『復讐のためだ。あいつを殺した奴を悪魔に探させる。そして、殺す。必ずだ』俺はなんとなく、今までより覇気がない感じで言う」
「『復讐なんて何にもならないわよ。非生産的だわ』色々疲れちゃってるような感じで言うのです」
「なんか背負ってそうやな」
「大人のオンナですから」
電、ふふんと胸を張る。大人の女というフレーズが気に入っているのだ。人間だれしも自分にないものを求めている。
「じゃあ、知った風な口を利くな、とキレだしそうになるが、イナズマの雰囲気から何かを察して、恋人とのことを語りだす。『俺は、昔はどーしようもない不良でなあ。むかつく奴は片っ端から殴り飛ばしてた』」
「今もそうじゃないの?」
「今は優等生だ。探偵だし」※3
「私は黙って話を聞くのです」
「『そんとき、あいつがなんか殴るなら相手を選べとか言ってきてな。鬱陶しいから最初は殴り倒してたんだが、めげなくてな』」
「主人公っぽいのです」
「普通自分のことぶん殴ってくる女の子と仲良くできないよね」
「マゾやったんちゃう」
「まあ、フィクションだからな。『仕方なく、言うこと聞いてやってたら、腫れもの扱いだったのが、普通に話しかけられるようになったりしてなあ。あいつが居たから、俺はちょっとはマシになれた。毎日毎日イライラしてたのが嘘みたいだった』」※4
「心に余裕ができて、恋する乙女になったのですね」
「そんな感じだ。『あいつが居ないと、俺は駄目なんだ。なんにもできやしない。あいつが……居ないと』って感じで判定いいか」
「強気少女の弱音、ええんやないかな。どうぞ」
「(ころころ)。情動で判定(ころころ)。あ、失敗」※5
「あかん、視聴率が」
【視聴率30%→20%】テコ入れ発生中!
「電、頑張って!君だけが頼りだ!」
「私の方がピンチなのです。なんとか成功しないと、本格的に地獄落ちが見えてきてしまうのです……!シーンの方は、かける言葉が見つからなくて立ち去るのです。なんかあれですけど、言う事思いつかないので。仲良しさんだったら抱きしめたりとかしたいのですけど、判定失敗ですし」
「あー、まあねえ。分かんないよ。どうしようもないし、下手な慰めもあんまりしたくないしね」
「ウチやったら、生き返らせちゃえばええやんと悪魔のささやきをするとこやけど」
「俺は夜空を見上げながらじっと立ち尽くしてる。で、そのままシーン終了」
「次は、GMシーンでCMやな(ころころ)。ヘルフォン。ドヤ顔のノマド気取りもぶちのめすことができるで。そう、ヘルフォンならな!やって」
「なんだそれ(笑)」
「地獄のスマホは鈍器にもなるんだな」
「ノマド気取りってなんでしょう」
「外でノートパソコンとかタブレットとか使って仕事してる人をノマドワーカーって言うらしいで」※6
「へー」
「じゃあイナズマは次の自分のシーンでこれのアピールしてな」
「了解なのです。ではサービスシーン(ころころ)。ええと、旅行系の、移動機関の紹介」
「さっきやった奴だ」
「またヘルモービルか」
「流石にそれは、振りなおしてもいいですか?」
「せやな、ネタかぶりはあれやし、今回はオッケーで」
「ではもう一度(ころころ)。暴力系サービスシーンの、まったく無意味な暴力……え」
電、表情が固まる。ちなみに暴力系サービスシーンには別に「無意味な暴力」も存在する。ヘルピープルたちがいかに無意味な暴力を愛しているかがうかがわれる。
「おー」
「まったく無意味ってすげぇよな。どのくらい無意味ならまったく無意味な暴力なんだ」
「と、とりあえずシーン表を。監視機器で電子の要塞と化した、下水道……ええっ!?」
「前のとは別のとこかな」
「秘密基地っぽいぜ」
「ううん、相手も決めてから考えましょう。とにかく成功させたいので、特技が近い人は……」
電はキャラクターシートを見比べはじめる。キャラ同士の所持特技が近ければ判定の成功率が高くなるのだ。
「ディオかシズメル、どちらも判定的には同じくらいですが……無意味な暴力ですし、シズメルにしましょう」※7
「シズメルと地下の監視施設で無意味な暴力か」
「うーん、とりあえず、キソと別れた後、ぼんやり歩いていたら、何かの監視施設のようなところに迷い込むのです」
「モニターがずらっと壁にならんどるんやな」
「そこにさっき別れたシズメルが居る、と」
「シズメルは入ってきた私を一瞥した後、モニターに視線を戻すのです。私もつられて見ると、過酷な強制労働をさせられている人々と、それを監督する吸血鬼たちが見えるのです」
「無意味にいじめられてる人を見る感じ?」
「他に思いつかないのです」
「うーん……あ、そうだ。モニターの下にスイッチがいくつも並んでいる。シズメルがそれを指差して『押してごらんなさい』と言うよ」
「なんでしょう?。とにかく押してみます」
「すると、画面が振動、画面外から大きな鉄球が転がってくるよ」
「えええ!?止めるのです!べ、別のボタンを押します!」
「壁に穴が開いて火炎放射器から炎が噴き出したり、矢が飛んで来たり床がパカッと開いたりするよ。ピタゴラ装置的になって、ぼんぼん奴隷たちが酷い目に合う」※8
「あわわわわ『な、なんてことを!』シズメルを睨みつけるのです」
「ああ、『体を動かすことを嫌う吸血鬼たちはここでこうして奴隷で遊ぶのですよ』って感じか?」
「うんうん、そうそう」
「うはは、ひどい」
「ほんとですよ!信じられないものを見るような目でシズメルを見るのです」
「『素敵でしょう、この世界。反吐が出そうなくらい』シズメルはそう言って皮肉気に笑うよ」
「この辺で判定するのです(ころころ)。情動、目標値は5なのです。こんどこどそ(ころころ)。余裕で成功!」
「うん、視聴率アップに100ソウル、それとテコ入れ脱出でもう100ソウルや」
【視聴率20%→40%】テコ入れ脱出!
【イナズマのソウル0→200】
「やったのです!」
「そういやCM忘れてねぇか?」
「あ、そういえば。じゃあモニターの一つ、画面の中で、クロスボウで胸を撃たれた奴隷さんがむっくり起きあがるのです」※9
「おお?」
「懐からヘルフォンを取り出すのです。『胸に矢を受けても大丈夫。そう、ヘルフォンならね』」
「あはは、一気にギャグシーンっぽくなったなあ。じゃあピタゴラで死んだ人たちも次々生き返ることにしよう」
「鉄球に潰されてペラペラになってた人がぷくっと膨れたり、黒い人型の焦げ跡になってたのにキョロキョロ目が浮かんだりな」
「シズメル唖然やな。『……あなたたちなら、何か変えてくれるかもしれませんね』そういって、少し笑って立ち去るで。イナズマはもう50ソウル獲得や」
【イナズマのソウル200→250】
「ピンチ脱出なのです」
「よーし、見えてきたぞ。プロット達成!」
※1北斗の拳でサクサク殺される雑魚敵の皆さんが吸血鬼化している感じ。彼らはやられ役のイメージがついているせいで弱そうに見えるが、良心の欠落した生粋の略奪者だ。一般人にとって、これほど恐ろしい相手もいない。
※2青だったり緑だったりすることもある永遠に消えない篝火。壊すとアイテムが出てくることもあるが、大抵は背景なので攻撃不能だ。
※3探偵は普通頭がよく、成績もいい。IQ180くらいあるのも珍しくない。ただし現行犯逮捕専門の脳筋探偵の頭がいいのかは謎だ。
※4女の子にキャーキャー言われるようになったり。同性にもてるタイプ。ちょっと雰囲気が怖かったのでそれまでは遠巻きに眺めるだけだったが、丸くなったと聞いて積極的な女子がアタックをかけ始めた。
※5昔の男の話とかどうでもいいんだよ!即物的なヘルピープル達に湿っぽい話は受けが悪かった。
※6地獄の住人はスタバでマックのパソコンカタカタやってるようなのが大嫌いのようだ。そのためこのキャッチコピーが2013年ヘル流行語大賞にノミネートされたほど。
※7砂漠のアレがすごく無意味な暴力っぽかったので、こっちにしたらしい。
※8イメージとしては腰にこっそりC4を張り付けられた兵士たちのような感じ。
※9カートゥーン的表現。リアル系のグロいシーンがトムとジェリーに。地獄の住人、グロが好きとは口だけだった模様。本当はアニメ好き。