仮面ライダーオリジン   作:御剣龍也

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たいっへん遅くなりました!

最近モンハンライズのスラアクにハマってしまい、圧縮開放フィニッシュをボルテックフィニッシュと称して遊んでたらこんなに時間が……。

しかもまだ序盤なのに最終回のシチュエーションとかアフターの方とかに考えが流れてました。申し訳無い…。

では色々と相変わらずですが……どうぞ。


フー・アー・ユー

「さてと……だいぶ降りてきたな……。」

 

ハジメはあくびをしながら歩を進める。ゴツゴツとした岩の壁しか見えない生活を初めてはや数週間。いい加減別の景色が見たいものだ。

 

 「むにゅ……。」

 

そして呑気な寝息を立てるのは、ハジメのことを父と呼ぶ少女サヤ。歩き疲れ、いまはハジメの背中にしがみついて眠っている。

 

ここはオルクス大迷宮。その奈落の底から更に50階層ほど降りてきたところだ。

 

 「ありがちなRPGとかだとこのあたりで中ボスか?」

 

ハジメは「そんなバナナ〜」と、誰も聞いていないことをいいことに背筋の寒くなるような洒落を暴発させながら歩いていく。まあたしかにそんな都合よく中ボス的なやつが出てくるとは思えないが、それよりもハジメは、自身の洒落のセンスのなさに顔を引きつらせた。どうやらネオの学習能力を持ってしても、ギャグのセンスはどうにもならないらしい。

 

 「バナナ……はっくだらね。」

 

流石にこの岩だらけの通路という景色ばかり見過ぎたせいで情緒不安定にでもなっているのだろうか。ハジメは眉間を軽く揉むと気を取り直し、更に下へと下っていった。 

 

 

 

 「ここは……?」

 

更にあれから下の階層へと下っていったハジメは、大きな扉に道を塞がれていた。そう。壁ではなく扉にである。真ん中に切れ目があったり、無駄に豪華な装飾があったりと、まず間違いなく扉ではある。ただ、

 

 「どうやって開けるんだ?これ。」

 

肝心の開け方がさっぱりわからない。一応中央に取手らしきくぼみがある。しかしどう見ても手を引っ掛けるためにあるようには見えない上、一番気になるのは扉に刻まれている凄まじく精巧な魔法陣だ。かなり勉強し、自身で魔法の開発が行えるようになったハジメですら解読ができない。それに加え、オリジンの各探知機能を持ってしてもその扉の奥を読み取ることができないのだ。

 

 「迂闊には弄れないか。」

 

ハジメはふむ、と頭をひねる。確かにこのままでは開けられないが、変身して扉を突き破るのはかんたんだ。しかし、なるだけ変身はしたくない。というのがハジメの本音だ。

 

うーん、その体制のまま固まるハジメ。

 

 「よし。正攻法で行こう。」

 

しばらく時間が経ち、ハジメ唐突にそう言うと行動を開始した。

 

まず寝ているサヤを起こして自分から離れさせると、オリジンから自身の専用武装である日本刀型の剣、龍神剣無双を取出す。そして、

 

 「おっじゃましま〜す」

 

  斬ッ!

 

なんとも気の抜ける掛け声とともに、閃光の如く放たれた剣が、分厚い岩のような扉をなんと一刀両断してみせた。

 

押しても引いても殴っても蹴っても開かない。魔法も迂闊に使えない。ならば、斬ってしまえばよかろうという脳筋1000%の思考からなるこの一連の行動。まあ変身しないことで落ちているパワーを補うために斬撃と言う攻撃手段を加えた、とかの理由はあるのだが、結局のところそれが脳筋思考であることに変わりはない。何やら壁の中から寂しそうな鳴き声が聞こえた気がしたが気のせいだろう。一つ目の巨人の壁画の表情が悲しそうになっているなんてことは絶対にない。ないったらない。

 

畫かれた魔法陣ごと真っ二つになった扉が立てるギギギ、と言う重厚な音とは裏腹に、ハジメは涼しい顔で扉を開けきった。

 

 「さて……ん?」

 

サヤの手とを繋ぎ、光一つない扉の中をキョロキョロと見回すハジメ。

 

 「はー。随分と立派だな。祭壇か何かか?」

 

光がないせいで全体像が見えないが、かなり精巧に作られた石造りの祭壇のようだ。以前テレビで見たキリスト教などの教会の光景が脳裏に浮かぶ。

 

 「お父さん。」

 

物珍しげに眺めていたハジメの横で、じっと前を見つめていたサヤが、不意に声を上げた。

 

 「ん?どうかしたか?」

 「誰かいる。」

 「なに?」

 

ハジメはサヤの指差す方へと視線を向ける。しかし、暗くてよく見えない。今まで壁から光が出ていて、視界だけは苦労しなかったというのに、ここだけ随分と不親切だ。

 

 『キュイ……。』

 

ハジメか目を凝らしていると、ため息のような音を立てながら見かねたオリジンが勝手にベルトに収まり、さっさと情報を同期してきた。

 

 「コノヤロ……。頼んでもねぇのに……。」

 

なんとなく負けたような気がしながらもオリジンが集めた情報と自分の視界を照らし合わせる。

 

 「あれは……。」

 

そこに写っていたのは一人の人間。大人…と言えるほど背は高くなく、せいぜい小学生高学年くらいだろうか。しかし特出するのはその身長ではなく、

 

 「何だあの体勢……?」

 

先程からピクリとも動かずに中に浮かんでいるその人影。まるでなにかに固定されているような……。ハジメは言いしれぬ違和感を感じた。

 

 そこまで思考したハジメの耳に、聞き慣れないか細い声が聞こえてきた。

 

 「だれ……?」

 

今にも消え入りそうな、ロウソクに点った残り火のような弱々しくかすれた声に、ハジメは身構える。普通であれば驚いたり、大丈夫かと駆けつけたりするだろうが、ここ迷宮では何が起こるのかわからない。もしかするとトラップの可能性もある。それゆえに取った対応だ。

 

 「お、おい」

 

しかしサヤがテテテテっとその声が聞こえた方へと走っていってしまったため、結局ハジメも慌ててその後を追う。

 

 「いきなり走るなって……危ないだろ。」

 

追いつく頃にはすでに祭壇の奥まで来てしまっており、すぐ目の前にはその声の主が佇んでいた。よく見れば、髪の毛こそ手入れされていないもののとても整った顔立ちで、人形のようと言っても差し支えないほどだ。ただし、佇んでいると言っても、金属で作られた正方形の塊の中に体の大部分を埋め込まれた状態で、だが。

 

 「んじゃこりゃ……。」

 

これでは身動き一つ取れないはずだ。ハジメは息を呑む。自身も檻の中で生まれ、育ってきたが、流石にこんな扱いを受けたことはなかった。一体誰が、どんな目的でこんなことを……。ハジメが戦々恐々していると、少女がまた口を開いた。

 

 「おね、がい。……たすけ、て」

 

少女その言葉に、ハジメの脳裏にいくつもの映像が横切る。その映像に映る人たちは、皆血まみれで、息も絶え絶えで、今にも消えてしまいそうで。そんな人たちの苦しそうな、悲しそうな顔と、目の前の少女の顔が重なって見えた。

 

 「っ……落ち着け俺。まずは情報を整理してからだ。感情に流されてろくな目にあったことなんてあったか?」

 

トントンと眉間を指で叩き、何度か軽く深呼吸をするハジメ。目の前の少女は不思議そうにその様子を眺めている。サヤは「助けてあげないの?」と書かれた顔でハジメを上目遣いで見上げてくる。ハジメはそのふたりの視線をなんとかスルーし、少女に話しかける。

 

 「えっと、まあとりあえずここは迷宮だ。無条件で君を開放するにはリスクがでかい。」

 「私っ……なにも……!」

 

少女は置いていかれると思ったのか、飛び出しているだけの部位をよじり、必死の様子でハジメに訴えようとする。

 

 「落ち着け。ただの確認だから。俺の言う質問に答えてくれればそれでいい。」

 

ハジメは、こんな少女をいつまでもこの状態にしておいて、心が傷まないような非情な人間ではないつもりだ。しかしここは迷宮。ハジメの言うように、無条件で何かを信じるのは極力避けたほうがいい。なにせトラップや罠、魔物がそこかしこに獲物を待ち構えているのだから。少女制すと、ハジメはぽん、とその少女の頭に手を載せ、軽く撫でてやる。こういう状態の人間には、こうして人の体温を感じさせてやるのが一番効果的に安心させてやれる。実際、いつからここに閉じ込められているのかはわからないが、少女はなんとなく落ち着きを取り戻したように見える。

 

 「助けたいのはやまやまなんだけどな。この迷宮に突然生きた人間がいるとなると、こっちも警戒せざるを得ない。俺にも大切な人がいるわけだし……な。」

 「……ん。ごめん。取り乱した。」

 

サヤをちらっと横目で見ながら言うと、少女もなんとなく納得した様子で頷いた。サヤは二人の様子から、ハジメが少女のことを見捨てるつもりではないことを悟ったのか、少し安心した表情になった。少女がそれを見て、緩んだ顔で「かわいい……。」と呟いたのは聞かなかったことにしておく。

 

 「じゃあ取り敢えず1つ目。いつから、そしてなんでここにいるのか。それを教えてほしい。」

 

少女は頷くと、先程より幾らか気力を取り戻した声で話し始める。

 

 「私は、先祖返りの吸血鬼…。凄い力、持ってた。ゴホッ。…だから、国の皆のために頑張った。…でも、ある日、叔父様や家臣が、私は要らないって…。ケホッ。…叔父様が、王だって…。それでも、良かった…。でも、私の力、危険だ、殺せないから、そう言って、封印、された…。」

 

ハジメはその話を聞き、ん?と首を傾げる。

 

 「吸血鬼だと?300年前に滅びたはずだが…まあいいか。もう一つ質問するけど、いいか?」

 

しかし直ぐにその考えを払うと、指を立てながら少女に問いかける。

 

 「その、叔父たちが恐れた力ってのは何だ?」

 

「怪我しても、すぐ治る。首、落とされてもその内治る…。ゲホゲホッ。もう、一つ、私、魔力、直接操れる…。陣も要らない」

 

これにはハジメも驚いた。これが事実ならば、彼女は実質的に不死身な上、詠唱や陣を描くなどの通常人が魔法を行使する準備段階が一切必要無い上、魔法を行使するスピードにおいては右に出る物が居ないと言うことになる。

 

更に、

 

(再生能力のみで言えばネオを軽く上回るな…。魔力が必要とはいえ恐ろしいくらいに強力だぞ。)

 

ここまで聞き、ハジメは彼女がトラップや罠の類ではないことを確認した。

 

 「よし……。わかった。」

 「じゃあ……?」

 

少女の顔がぱっと明るくなる。ハジメは彼女を安心させる意味も含めて、にっと笑うと頷いた。

 

 「ああ。助けてやる。ただ……。」

 「ただ……?」

 

言い淀んだハジメに不安げな目を向ける少女。ハジメはポリポリと頬を掻き、申し訳無さそうに言った。

 

 「ちょいと準備があってな……。もう少辛抱してくれ。」

 「はあ……。」

 

今の会話で何とも気の抜けた空気があたりに漂ったのは言うまでもないだろう。

 

 「ふわぁ……。うゅ……。」

 

サヤの欠伸がやけに大きく聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さーて、まずは……」

 

ハジメは取り敢えず光を確保するべく、部屋の外の壁をいくらか引っ剥がし、部屋の中へと放り込んだ。そして明るくなった部屋で、じっ、と天井を睨んだ。そこにはサソリを模した精巧な石像が生えるようにしてそこにある。一見すればただの骨董品に見えなくもないが、どうにもハジメにはその石像だけが周囲と浮いて見えていた。

 

 「まあ、間違いなくトラップだろうな……。」

 

何が起きるかはわからないが、。今の所少女を助け出すことが発動のトリガーであることはほぼ確定だろう。

 

 「ふむ。サヤ。危ないから外で待っててくれるか?」

 

取り敢えずハジメはサヤを部屋から出すことにした。怪しさ満点のあの石像。このまま直接破壊してもいいのだが、もし直接触れることでも発動するとかの機能があると厄介だ。ここは変なことはせず、流れに身を任せるのが最適解だとハジメは考えたのだ。

 

サヤはキョトンとはしていたが、特に反抗するでもなく自分で部屋の外へと出ていく。それを見届けたハジメは、少女が閉じ込められている立方体へと向き直る。

 

 「材質は金属だが……ん?魔力を吸収するのか……?明らかに人の手が入った材料だな。合金みたいな感じか?まあいいか。取り敢えずこの魔力を吸収する性質をなんとかすれば行けるか。」

 

ぶつブツブツと情報を整理しながら、立方体の解析をしていくハジメ。暫くウロウロと少女と立方体の側を歩き回りながら、どうしたほうが安全に少女を助けられるのかを考える。そして……、

 

 「よし。準備いいか?」

 

結局錬成のゴリ押しで立方体を融解させることにしたハジメは、ペタッと立方体に手を当て少女へと問いかける。

 

 「ん……!」

 

少女は力強くうなずく。

 

 「よし。行くぞっ」

 

ヴォン……。

 

バックルに収まったオリジンを起点に、光の帯が魔法陣を組み上げ、とある魔法を発動させる。

 

バヂバヂッ

 

魔法陣へと収束していく青白いスパーク。それはハジメの強力な生命エネルギー。魔法陣へと絡みついたそれは、少しずつ色を変え、赤い稲妻、すなわち膨大な量の魔力としてハジメの肉体へと還元される。これは、ハジメが迷宮を進む暇つぶしに魔法陣を構築していたときにたまたまできたもので、自分の生命エネルギーを魔力に変換することができるという便利なものだ。ただし、生命エネルギーを魔力に変換する関係上、そもそものエネルギー自体が限られている人間には扱えないものだが。……そしてそれを腕へと集中させたハジメは軽く息を吸い、満を持して、ジシンノ扱える魔法の名前をポツリと呟いた。

 

 「錬成。」

 

バリバリバリバリっっ!!

 

溜め込んだ魔力を一気に開放され、あっという間に吸収できる吸収できる魔力量の許容範囲を超えた立方体はすぐに融解し始める。その勢いは凄まじく、少女の体を覆っていた部分どころか、完全にその姿を失うまでものの数秒もかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 「………ふう。」

 「……ありが……」

 

一拍遅れて短く息を吐いたハジメ。しかし救出できた喜びを味わうまもなく、上から迫ってきた巨大な影を、礼を言おうとした少女を脇へと抱え飛び退くことでなんとか避ける。

 

 「キャアッ?!」

 「チッ。まあそう来るわな。」

 

ハジメは吐き捨てるようにそう言うと、自分に襲いかかってきた相手を、縦に割れた瞳孔でギロリと睨みつける。

 

 「ksyaaaaa!!!」

 

それは、まるで鎧のような甲殻を妖しく煌めかせ、一対の強靭な大鋏を鳴らし、巨大な針の付いた尾を、蛇のようにもたげた。

 

 「なーんでお姫様を助けたあとに門番が襲ってくるかねぇ……。」

 

そこには、人の身長をゆうに超える蠍のような魔物が、獲物を前に目を光らせ、今にも飛びかからんとしていた。

 

 




次回、仮面ライダーオリジン


 「行くぞ。虫。」
魔物VSハジメ

 「おねえちゃん。おなまえは?」
 「名前……?」
その問いけかけに少女は何を思う。


       次回「ファッツ・ユア・ネイム?」


生きろ、最後まで
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