仮面ライダーオリジン   作:御剣龍也

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遅くなりましたー!すみませんでしたァァァ!!
アイデアに身を任せて短編なんか書くからこうなるっ!!

ふぅ。では、どうぞ!


最低にして最高

あれからまた、数週間ほどの時間が立った。

 

 「……。」

 

休息を取るため壁に開けた穴の中で、ハジメは無言で岩の壁に背を預けていた。

 

 (……わからないことが多すぎる。)

 

目を瞑り、思考の海に浸かる。

 

 (あのヴェノとかいうやつ、明らかに意思があった。ネオへと変質したにも関わらずだ。この星と地球にいたネオは全くの別物……?いや、であればベヒモスの時に起きたことに説明がつかない。)

 

押しては引いていく波。砂地と水の境界線がせめぎ合い、全く異なる事実と予測が混じり合うことなく反発し続ける。

 

 (エヒト。やつは何者だ。なぜネオの技術を持っていた。なぜ神が人間に干渉する?)

 

時間の流れが加速する。潮は交互に満ちて引き、日と月が交互に昇る。

 

 

 「は〜…。」

 

 

ピタッ。

 

ハジメがついた溜息を合図に、今度は時間が止まった。

 

 (どっちにせよ情報が少なすぎるな。)

 

ハジメの思考が止まった。

 

 (俺に未来を導き出すことなんてできない。できるのは過去から事実を辿ることだけ。)

 

 「俺はとうの昔に、立ち止まってるんだからな。」

 

温かい光に照らされながら少しずつ溶けつつあるものの、未だ凍りついたままの心。

 

ハジメはポツリと呟き、今度は暗い暗い穴の底へと吸い込まれるように、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜翌日〜

 

チュンチュン、などという小鳥のさえずりは聞こえない。無論目の前に広がるのは朝日に照らされた寝室ではなく、無機質な岩の壁。ガラリと言う壁が崩れる音でアレーティアは目を覚ました。目に飛び込んでくる一面の岩の壁。視線を下にやると、隣では自分と同じようになめした魔物の毛皮の上で、サヤが猫のように丸まって眠っている。

 

キョロキョロと寝ぼけ眼であたりを見回すアレーティア。そして見つけた。突然ポッカリと空いた穴の中からハジメが巨大な魔物を引きずって部屋の中に入ってくるのを。

 

二人と行動していて驚いたうちの一つに、二人が食べているものがある。なにせ狩ってきた魔物の肉を適当に切り分けると、二人が特に気にする様子もなくかじりつくのを見てしまったからだ。ハジメが神獣同等の力を持っているのは知っていたため、そこに関しては特に驚かなかったものの、まさかサヤまでやるとは思っていなかった。それを見たハジメは苦笑いしながら「まあそういうことだ。」と言っていた。

 

自分たちの血を吸うのはやめておいたほうがいい。そういったハジメは、魔物の血からアレーティアですら知らない魔法を使い毒素を抜き、渡してくる。実のところ人間から吸ったほうが美味しいし栄養もあるのだが、たしかにあれを見て二人の血をすおうとは思えなかった。それにハジメが作るそれも別にまずいわけではないため、特に文句もない。

 

サヤの体を軽く揺すって起こすと、アレーティアは二人に教えられた「いただきます」を言ってから、カップの中の朝食に口をつけた。

 

 

 

 

 

 カツーンカツーン

 

 カッカッカッカッ

 

 ステテテテテテテ

 

 

嫌に静かな空間に、3人の足音が響く。

 

あれから数日。特にこれといったハプニングなどもなく迷宮を攻略し続けていた3人。その眼前に広がるのは、今まで見続けてきていた岩の壁、ではなく、明らかな人工物である石柱がずらりと並ぶ、長い通路だった。

 

 「真の百層目ってか?」

 

ハジメは興味深そうにあたりを見回し、観察する。なんともわかりやすい演出。奈落で目覚めた場所が正確にわからないためなんとも言えないが、上の部分も含めておおよそ200層目辺りだろう。

 

 「ついに来たな。」

 

反逆者。そう呼ばれた者の一人が作り上げたという大迷宮。その最下層へと来ることができた。オタクであったハジメの記憶が疼くのを感じる。

 

 「大丈夫。行こう。」

 

アレーティアが首から下げた短刀を握りしめ、うなずきながら言う。

 

よくある「力を貸してくれっ!」と言うやつだろうか。ハジメがくだらない妄想をしている。

 

そんな二人に挟まれたサヤは、初めて見る景色とさっきから妙に張り詰めた雰囲気に少し怯えたような顔をしている。するとサヤの頭に大きな手が乗せられる。サヤが上を見ると、ハジメが「大丈夫。」と言いながらポンポンと軽く頭を撫でた。

 

 「よしっ。気合い入れてくぞ。」

 

通路の最奥。石柱が途切れ、その先には地下とは思えないほどに広大な空間が広がっている。3人は同時にその中へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴォン………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として目の前の床に現れる魔法陣。しかしそれは消して大きくなく、直径にして5mほど

 

が、しかし、その魔法陣からまるで蛇が地を這うように伸びる光の帯が幾何学模様を作り出し、魔法陣を更に巨大なものにしてく。

 

 「離れろ!」

 

床いっぱいに広がる魔法陣に危機感を感じたハジメは二人を脇に抱えて通路の方まで飛び退る。

 

 

 ヴヴゥン……ヴヴゥン……ヴォオオン……!

 

 

正六角形となった魔法陣が重々しい音とともに回転し始め、その中央から凄まじい光が溢れ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『……』

 

そこに現れたのは一体の異形。身長は3mほど。パッと見たと所蛇のようにも見えるが、注目すべきは人形の首の他に肩から背にかけて生える7本の大蛇の首。そして腰から生える7本の尾。飾りっ気もなくただ鱗に覆われただけのシンプルな外見。しかしそれとは裏腹にビリビリと溢れ出す強者のオーラ。言うなればヒュドラネオ、といったところか。

 

 「……?」

 

ハジメだけは怪訝な顔をしながら首を傾げていたが、すぐに気を取り直すとオリジンを手の中に呼び寄せた。

 

 「サヤ。そこから出てくるなよ。ティアさん。援護頼む。」

 「ふんすっ!」

 「わかった。」

 

二人の返事を聞き、ハジメは腕を水平に上げる。

 

 「変身。」

 『Alteration』

 

ベルトにオリジンをセット。アレーティアがそばにいることを考慮して余剰エネルギーの放出を抑えて変身する。

 

 『upload』

 

装甲を展開し、装着。蒸気を纏いながら鎮座する相手へと歩いていく。

 

 『model dragon』

 

カツッ……カツッ……カツッ……

 

 

 「……」

 『……』

 

向き合う2体の異形。

 

ヒトを遥かに超越した存在同士が放つ異様なオーラ。

 

 

 

 

 

 

どこからか、石が転がる音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ズンッ………!

 

 「……ハァ……!」

 『syaaaaaaaa!』

 

2体の拳がぶつかり合い、当たりに地響きを伴い衝撃が走る。それを開戦の狼煙とし、決戦が開始される。

 

 まず仕掛けたのはヒュドラネオ。7本の首のうち、赤と青の首が特攻を仕掛けてくる。しかしそれはただ突進してくるだけではなく、その眼前に展開された魔法陣から放たれた炎と流水をまといながら、だが。

 

対してオリジンはいちいち相手にしていられないとばかりに体制を低くし、這うように地を駆ける。襲いかかってくる炎と流水を靭やかな軌道で躱し、本体である人型へ拳をーー

 

 

 「チッ」

 

直撃は、した。しかしそれはもう一本の首に阻まれた。黄色いその首はハジメの予想よりも固く、強靭で、走った分のスピードとオリジンの筋力が合わさった拳を受けてもピンピンしていた。とはいえダメージは受けたのか若干ふらつく黄色い首。しかし、その後ろにいた白い首が吠えると鱗についた傷はまたたく間に再生し、回していた目がはっきりとオリジンを捉えるネオの治癒能力に加えて回復魔法の重ねがけ。

 

 「攻撃に壁に回復役。一人三役ってか?」

 

やってられないねぇ、と言いながらもハジメはマスクの下で獰猛な笑みを浮かべる。ネオの本分である破壊衝動が掻き立てられるているのだ。壊したいが壊せない。どうすれば壊せる?今目の前にいるヤツをっ!

 

 「ヴオオオオオオ!!!」

 

力が滾る。オリジンの全身の装甲の隙間から蒼い焔が立ち上る。明く、熱く、そして、静かに。

 

 『Create Blade』

 

オリジンの手の中に光が集まり、一本の剣が生まれる。それは全てを切り裂く絶剣。胸、腕を伝い剣に灯る蒼い炎。

 

 「行くぞッ……!」

 

踏み込み。

 

地面が陥没する。

 

またもや黄色い首が邪魔をしようとするが、忘れてはいけない存在がもうひとり。突如オリジンの、背後から飛んできた紅蓮の槍によって弾き飛ばされる。

 

 「緋槍」

 

アレーティアの十八番である強力な魔法が開けてくれた道に飛び込んだオリジン。そのまま剣を横薙ぎに振るおうと……

 

 ズガガガガッ!

 

 「うおっ?!」

 

突然目の前にせり出してきた岩の壁が剣を阻む。あまりの高熱に耐えきれず、瞬間的に蒸発したものの、本体にはかすりもしなかった。更に地面から生えてくる棘をアクロバティックな動きで躱しながら、ドラグアイの能力をフルに活用してその原因を探る。

 

 (あれかっ!)

 

一本の首が地面に顔をつけ、魔法陣を展開させている。恐らくは土の魔法で今の一連の現象を引き起こしたのだろう。火、水、土、壁、回復、残りの首はあと2本。

 

(色からして風と……闇か?精神攻撃の可能性もあり、と。)

 

そう当たりをつけたオリジンは、自身へと降り注いできた魔法を力任せに薙ぎ払い、アレーティアのいる方へと下がる。彼女にも少なくない量の魔法が襲いかかってはいたが、その悉くを魔法による障壁で防いでおり、彼女にはかすり傷1つなかった。

 

 「よっ。」

 「どうかしたの?」

 

二人は仁王立ちしたヒュドラネオから目を離さないまま作戦会議を始める。

 

 「多分やつにちまちま攻撃してても埒が明かない。」

 「それは私も思ってた。」

 

14の目が睨みつけてくるのに若干冷や汗をにじませるアレーティア。そこにハジメが口を開く。

 

 「だから一撃で仕留める。」

 

一撃必殺。たしかに一本一本首を相手取っていても恐らくネオの治癒能力によって倒したそばから再生するだろう。しかも強化されて。ならば一撃ですべてを葬り去るのは理にかなっているとは言える。しかし、懸念もある。本体にたどり着くまでには、5つの属性の魔法、そして強靭な盾がある。そしてもしその一撃を外せば白い首が瞬時に傷を癒やしてしまうだろう。

 

 「………できるの?」

 

アレーティアの問にオリジンは首を立てに振る。

 

 「勝算は十分ある。ただし、」

 

オリジンはヒュドラネオのある一点を指で指す。

 

 「あの黒い首。あれを排除できれば、だが。」

 「どうして?」

 「恐らくあれは精神攻撃の類いだと俺は睨んでいる。しかも魔法で、だ。意識が完全にこっち側から飛ぶ可能性もある。あいつから意識を外せば一瞬でやられるだろう。」

 

淡々と考えを述べるオリジン。アレーティアは一瞬の思考を挟み、頷いた。

 

 「それくらいなら、なんとか。露払いは任せて。」

 「ああ。行くぞ。」

 

オリジンが駆け出す。アレーティアがそこに追従するようにして数発魔法を放ち、援護する。いくつもの魔法、そして岩の壁、黄色い首によって作り上げられる鉄壁の防御により魔法は防がれる。しかし突っ込んできたオリジンの勢いは殺すことができず、魔法は霧散し、壁は砕け散り、首は跳ね飛ばされる。

 

 「ハァ……!」

 

ド ゴ ッ!

 

100mを3秒で駆け抜ける俊足、54.7トンのキック力が合わさり、凄まじい威力の飛び蹴りがヒュドラネオに突き刺さる。それは3m以上もある巨体を吹き飛ばし、壁へと叩きつける。

 

 

 『charge up』

 

オリジンがエクシードリミッターを押し込む。読み上げられる電子音。ゼノホーンが光り輝き、エネルギーが循環する。しかしそこでは必殺の構えを取らず、オリジンはもう一度エクシードリミッターを押し込んだ。

 

 『Over charge up』

 

ババババババッ!!

 

凄まじいスパーク、そして目を焼きそうなほどに熱く輝く龍の角。そのすべてが右足へと伝わっていく。

 

 「ふぅぅ………ッ!」

 

飛ぶ。翼を広げ、天井ギリギリまで舞い上がる。スコーピオンネオとの戦いでは場所が狭く使用できなかった技。しかしここであれば存分にその力を使うことができる。

 

 もちろんヒュドラネオも黙ってはいない。ハジメが危険視していた黒い首をオリジンの方へと向けーー横から飛んできた無数の魔法に弾き飛ばされる。

 

 「させない……!」

 

詠唱するまもなく放たれる凄まじい量の魔法。深手を追わせることができないことは分かっている。だからこその物量攻め。

 

 「ハアアアア!!!」

 

飛び蹴りのダメージが完全に回復していないこともあり、動くことができないヒュドラネオ。

 

 『Over burning banker』

 

そこへ、蒼い焔の龍が牙を剥く。右足の装甲にヒビが入るほどの膨大なエネルギーをまとったそれを危険視したヒュドラネオはアレーティアの魔法よりも脅威であると認知し、全ての首と尾をオリジンのライダーキックを防ぐ壁とする。

 

 「ラアアアアアア!!!!」

 『syaaaaaaaaaa!!!』

 

まず尾が槍のようにオリジンへと突っ込んでいく。そのすべてを炎が焼き尽くす。次いで各属性の魔法による障壁。そのすべてを首もろとも龍が喰らい尽くす。

 

 

 そして、

 

 

 「ア ア ア ア ア ア ア ア !!!!!!」

 

 

悉くを破壊したオリジンの右足が、ヒュドラの体を、捉えた。

 

 

閃光が、迷宮を染め上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閃光が収まると、そこには数十mに渡ってえぐり取られた地面。そしてオリジンの足の下で横たわる人型だけだった

 

 「す……ご……。」

 

言葉が出ない。アレーティアはそこに背を向けて佇むオリジンの姿をただ見つめるしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『sy……a…aa……。』

 

突然グリン、と首を回し、口を開いた人型の首に対応できなかったのは。

 

 「え?」

 

放たれた銀の光線。すべてを消し去る死の光。障壁、は間に合わない。回避、論外。結論、

 

 

             死

 

 

 (だめっ!)

 

この後ろにはサヤが隠れている石柱がある。この光線の前では石の柱など無力だろう。このままではサヤまで死んでしまう。しかし、このままではどうすることも……

 

 

 

 

 

 

 

 「ぐっ、…ううううああああ……!!!」

 

 

光線にいち早く気がついていたオリジンがすんでのところで間に入る。両腕をクロスし、足を踏ん張り、耐える。

 

 

 「がっあぎいいい………っ!!」

 

 

まだか、まだかっ、まだかっ!!

 

 

 

 

 ーー光線が、止んだ。アレーティアの目の前には、オリジンが立っていた。

 

 

 

しかし、

 

 

 

 

 「ッ…!」

 

装甲は溶け落ち、ダメージの大きさから体は大きく震え、体のあちこちから血が吹き出している。何より両腕が完全に消え去っていた。

 

 「あっああ!!」

 

アレーティアの叫び声に、オリジンが力ない声で言う。

 

 「ぐっ……心配するな……。すぐ再生する……。」

 

 

 

ぐじゅっ……ぐじゅずじゆグジョォオ……!

 

 

 

断面から黒い泥のようなものが溢れ出し、傷口を覆う。それは皮膚へ、筋肉へ、骨へと姿を変え、ものの数秒で致命傷レベルだった傷をすべて直してしまった。更に、解け落ちた装甲も一度漁師変換されることで再構築され、元のままこちらも復元されたスーツに装着される

 

 「ふぅ……。チッまさかこんな隠し玉持ってるとはなぁ……。」

 

あの光線にすべてを掛けていたのだろう。力を出し切ったのか、黒い霧となって消えていくヒュドラネオ。

 

 「とにかく、これで試練はクリア、だな?」

 

その奥に現れた扉が開いていくのを見て、変身を解いたハジメはそう呟いた。




次回、仮面ライダーオリジン

 「何やってんだろうなぁ……オレ。」
苦悩する小年

 「どうかされましたか?」
小年に近づく一つの影

小年が出す答えとは


        次回「サイドストーリー・再誕」


生きろ、最後まで
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