モデル カワサキ:Ninja H2シリーズ
全体を青と銀の装甲で覆った流線型のボディと、龍を模したヘッドライトが特徴的なオリジンの専用マシン。最高時速600キロ。
ライダーシステムにも使われている特殊合金で作られているため非常に頑丈で、高層ビルの上から最高時速でふっとばしても傷らしい傷がつかないというチートじみた強度を誇る。燃料は登録された人物がハンドルを握ることで供給される生命エネルギーであるため、基本燃料切れになることはない。ただし、操縦者があまりにも大きなダメージを受けたり、体調が悪くエネルギーを補給すると危険な状態だとセーフティが起動し、蓄積されたエネルギー分しか走行できない。
バトルモードに移行することでワイバーンのような形態になる。翼部分に搭載されたタイヤが高速回転することで空力を生み出し、飛行が可能となる。また、エネルギーを口から吐き出すことでブレスのような攻撃も可能。
基本的にオリジンガジェットが遠隔操作をしており、バトルモードになると機能の殆どをオリジナルの操作に使用してしまうため、仮面ライダーオリジン自体の戦闘能力は下がってしまう。
・前の連中
作中でキャサリンがシアに向けて言う言葉。以前シアがライセン迷宮を攻略するときに一緒にいた人物のことを指している。帝国の人間であり、ライセン迷宮を攻略したため重力魔法を扱える。今後登場するかは未定。
ブオオォォォ……!
低いエンジン音を響かせながら、マシンオリジナルは人の足に踏み均され、ついに道となった大地を疾走していた。
「あれが、ブルックだな。」
ハジメは緩やかにブレーキをかけ、遠くに見えてきた街、「ブルック」を眺める。
「そうですね。間違いないですよ。」
ハジメは街を眺めるシアの姿を見ながら、道中にシアが言っていた話の内容を思い出していた。
『ブルックはですねぇ……。まあ、活気もあるし、私が亜人だからと言って差別する人も少ないですし、いい人たちも多いですし、……格好とか言動とかで勘違いされやすい人もいますが(ボソッ)。基本はいい街なんですけど……。』
聞き捨てならない内容もあったが、シアのブルックへの評価は高い。しかし、突然夜な夜な激務にさらされるブラック企業の社員のごとく疲れた表情を浮かべ、どんよりとしたオーラを放ちながら話を続ける。
『あの……、一部。街の名誉のため言っておきますが本当に一部なんです。その一部の人達が、まあなんというか頭のネジが数本吹っ飛んだ人たちでして……。』
疲れ目を労るように眉間をもむシア。
『私がブルックに到着したその日にもう早速絡んできてですね、出会い頭に「シアちゃん、俺の奴隷になれっ!」て……。』
なんとかその時一緒だった方たちと撃退はしたんですが……と愚痴るシア。どんよりはうんざりに変わり、とてつもなく巨大なため息を吐く。
『しかも迷宮を攻略して戻ってみたら今度は「俺を奴隷にしてくれ!」だの、街の女性からは「おねぇ様ぁ!!」とか言って追いかけられて……。クリスタベルさんとか受付のキャサリンさんとか宿屋の女将さんとかはそれはそれはもういい人たちだったんですが……。』
ヨヨヨヨ……。
その時一緒だった方とかクリスタベルとかキャサリンとか、知らない人物は出てきたものの当時のことを思い出したのかとうとう泣き始めるシア。ハジメとアレーティアではどうすることもできず、結局サヤのことを気が済むまで撫で回すことでなんとか立ち直ってもらった。アニマルセラピーみたいなやつだろうか。
「まあ、気を引き締めていくか……。」
その街に滞在する以上シアの言う頭のネジが数本吹っ飛んだ人たちに出合ってしまう確率は相当高いとみていい。ハジメの言葉に、アレーティアとシアは頷き、ハジメはまたオリジナルのハンドルを握り込んだ。
それからしばらく立ち、ハジメ達はブルックの入り口までやってきていた。無論途中でオリジナルからは降り、徒歩でここまでやってきている。無駄に目立つ必要はないのである。
「止まってくれ!」
入り口の門の目の前まで行くと、槍を構えた門番の青年が一人、こちらへと歩み寄ってきた。
「ステータスプレートの提示を。」
ハジメはうなずくと、ベルトにかけてあるホルダーからプレートを取り出し、門番に差し出す。以前よりもいくらかステータスは上がっているが、やはり凡人の域を出ない数値に門番は特に警戒した様子もなくプレートを確認しーー。
「ん?」
「どうした?」
突然門番の青年がプレートを日に翳したり板面擦ったりし始め、ハジメは疑問符を頭に浮かべる。
「いや、いま一瞬プレートの表記がブレて見えて……。気のせいかな。」
「………?そうか。」
ハジメは返されたプレートを見てみるが、表記が変わったようには見えない。特に気にすることなくプレートをホルダーにしまった。
そして次に、シアがプレート差し出す。帝国からフェアベルゲンの外に出る事がある亜人ヘ支給されるらしく、人間の街に行くためには必須品だそうだ。もちろん変身していなとはいえハジメと互角に打ち合えるステータスや種族の部分は隠蔽してあるため色々と疑われる心配はない。服装にも気をつけ、耳や髪を隠すために大きめの帽子、尾を隠すために腰にはポーチを下げている。隠してしまうと耳が聞こえにくくなるのでは、とハジメが聞いたが、「またあの人たちに絡まれるより万倍マシですぅ……。」とのこと。
そして次にアレーティアだが、数百年ぶりに迷宮から出てくることができた彼女の持ち物にステータスプレートなどあるはずもなく、もちろんないものは渡せない。と、言うことで、
「あー、実は彼女のプレートは道中で紛失してしまって……。魔物との戦闘があってな。そのときに。」
と、それらしいことを言ってみることにした。それでここを通らせてくれるならそれで良し。だめだったとしてもプレートを持っていないことへの不信感はなくなるはずだ。事実、ライセン峡谷を抜けてきたわけだし、薄い板の一枚2枚紛失したっておかしくはないだろう。
「そうか……。だが、そっちの子供はいいとして、理由がどうであれプレートがない場合は通行料が必要になってくるが……?」
ハジメの嘘に、同情するような視線を向けつつも、情に流されることはなく門番としての役割を果たす青年。ハジメは、少し考えるふりをしたあと、担いでいた鞄に手を突っ込んでその中からとあるものを取り出した。ちなみに、鞄に手を突っ込んでいたのはブラフで、実際は宝物庫の中身を鞄に手を突っ込んだときにお目当てのものを取り出しただけだ。
「実は財布も無くしてしまってな。これで足りるか?」
そこに出てきたのは、いつぞやのトラップでも見た「グランツ鉱石」だった。真のオルクス大迷宮。その通路の所々に草でも生えるかのように存在していたもので、攻略の片手間に拾っておいたのである。それは上層で見つけたものよりも色が濃く、それでいて澄んだ美しい色合いをしている。
門番の青年はそれを見て、目が飛び出そうなほどに見開く。
「グランツ鉱石じゃないか!?」
大きさにしてだいたい拳2つほど。青年が言うには、これだけあれば一年は働かずに過ごせる程度の大金が手に入るらしい。
「で、足りるのか?」
ハジメがそう急かすと、偽物ではないと確認し、鉱石に見とれていた青年ははっとする。
「あ、ああ。足りるも何も、こんな大きい塊、釣りが出るくらいだぞ。本当にいいのか?」
いいも何もまだ余っている。ハジメはそれを青年の腕にそれを押し付けると、ポンポンと青年の肩を叩く。
「釣り銭で同僚と飲みにでも行きな。」
おつかれさん。と言ってハジメ達は門をくぐる。ひと悶着あったが、ようやくブルックへとたどり着いた一行であった。
「なんにせよまずは金だな。」
サヤを肩車しながら歩くハジメの言葉にアレーティアとシアは頷く。人先のことも含め、間の街で生きていく上では絶対に欠かせないものだ。一番先に手に入れておきたい。
「なら、冒険者登録をするのがおすすめですぅ。素材を1割増しで買い取ってもらえますよ。」
「あぁそうだな。魔物の素材も溜まってるし、買い取ってもらうか。」
ハジメは指輪をちらっと見て言う。宝物庫の中には今まで狩って来た魔物の素材が大量にある。流石にグランツ鉱石や珍しい鉱石をポンポンと出していると、鉱脈でも見つけたのかと怪しまれる可能性があるので残りの鉱石の方は取っておくことにする。
「私達も受付のキャサリンさんにはお世話になりました。……そうそう。あそこです。」
シアが指を指した建物には、一本の大剣が描かれた看板がかかっているそれなりに大きな建築物だった。かつてホルアドで見た冒険者ギルドと瓜二つだ。こちらのほうが規模は大きいが。
「レッツ・ゴーです!」
シアが先導を切って中へ入る。ハジメ達もそれに続いて中へと入る。そこで目にしたのは、よくファンタジーなどで想像するような喧騒の絶えない騒がしい光景ではなく、正面に見えるカウンターと、奥にある飲食店で食事を楽しむ冒険者のグループ。きちんと秩序と礼節のある光景だ。
「えーっと……あ、キャサリンさーん!」
ブンブン手を振りながらカウンターへと歩を進めるシア。ハジメ達がその行き先を視線で追うと、そこには、
「あら?……久しぶりじゃないか!」
シアの姿を見て驚きながらも嬉しそうに笑っている恰幅のいい女性がカウンターに立っていた。
「はい!お久しぶりですぅ。」
「どうしたんだい?わざわざこんなところまで……おや?」
シアと話をしていた女性、キャサリンがふと後ろからやってきたハジメに気が付き、シアと顔を見比べる。
「あんたたち、この娘の友達かい?」
「ええ。仲間です。話は聞いていますよ。」
ハジメの言葉に「そうかい」といったキャサリンは、次にシアへ視線を向ける。
「前の連中はどうしたんだい?」
「みなさん元気にやってますよ。今回は別件です。」
「そりゃあ良かった。で、何のようだい?」
またハジメに視線を戻すキャサリン。シアが横ずれ、ハジメは一歩前に出て、自身のステータスプレートを手渡す。
「魔物の素材の換金を頼みます。それと、冒険者登録も。」
「はいよ。登録には料金がかかるけど……。」
「峡谷を渡る道中に財布を落としてしまいましてね。売った分から引いてもらえると助かるんですが……。」
キャサリンはハジメの嘘に気がついているのかいないのか、「一文無しってのは褒められたもんじゃないねぇ」と茶化しながら登録手続きをしてくれる。女の勘は鋭いなぁ、とハジメが心のなかでうなずいていると、手続きが終わりハジメの方を見たキャサリンがクツクツと笑う。
「いい女ってのはカンが鋭いもんさ。あんたも愛想つかされないようにね?」
「あ、ああ。」
タイミングの良さに、思わず顔に苦笑いを浮かべ、プレートを返してもらうハジメ。気を取り直して盤面を見てみると、天職欄の横辺りに新しく「冒険者」という文字が刻印されており、青色の星がついている。それを確認したハジメは礼を言い、次の目的を果たすことにした。
「じゃ、次は換金を……」
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「随分溜まったな。」
ハジメは、ベルトに伝わってくるずっしりとした重みにそう声を漏らす。
手持ちの魔物の素材は、食料用に狩る程度だったのでそこまで量はなかった。が、しかし、魔法の栄えるこの世界ではまず誰も行こうとしないライセン峡谷の魔物の素材や、時折亜人ですら道に迷うような霧が立ち込める樹海の魔物の素材は、そもそも取ってくる者がいないために希少価値が高いらしい。それ故、数匹分の魔物の素材は、数十万ルタ(日本円にして20万前後)で売れた。
「さて、次は拠点か。シアさん、何処かおすすめのところはあるか?」
ハジメは、先程のキャサリンが描いたという地図を眺めながら少しだけ後ろを歩くシアへと声をかける。
「拠点ですか?それならここの……『マサカの宿』がオススメですよ。」
シアは地図のとある場所を指さしながら言う。そこには確かに「マサカの宿」と書いてあった。
(何が『まさか』なんだろうか。)
まあ、地球とトータスでは意味が違う言葉もあるのだろう。ハジメはそう思うことにし、そのマサカの宿をめざすことにするのであった。
しばらく歩くと、建物から突き出している看板の中に『マサカの宿』と書かれたものを見つけた。何がマサカなんだろうか。
中に入るとまず目に見えるのは数人の宿泊客が食事をしている食堂。そしてその奥にはカウンターが見える。
カウンターには十五、六歳くらいの女の子がいた。メイド服っぽい給仕服を着ており、ハジメ達に気がついたのか声をかけてくる。
「いらっいしゃいませー!ようこそマサカの宿へ!宿泊ですか?それともお食事だけ?……ってシa「シーッ!!」……はっ!?」
彼女もシアのことを知っていたらしく、名前を呼びかけたところでシアが「黙れ!」とジェスチャーをすることでそれを止める。ざわついた空気にちらっと後ろを見ると、
「シア?」「おい今誰かシアちゃんの名前呼ばなかったか?」「お姉様?!何処に?!!」「奴隷にしてもらえないかな。」
などなどのちょっとアブナイ声が聞こえてくる。おそらくあれが頭のネジが数本抜けた人物だろう。ハジメはすぐにここから離れるため、アレーティアにさり気なくシアのことを庇ってもらいながら手短に要件を言う。
「一泊する予定だ。」
「えー、おホン。分かりました!お風呂はどうしますか?」
「風呂?」
「はい。この時間なら空いていますよ?。15分で150ルタです」
ハジメ後ろから感じる期待の三人分の眼差しを受け、苦笑いしながら返事をする。
「あー、なら余裕を見て1時間程度頼む。」
アレーティア達と開放者の住居にいたときのことを思い出し、時間を提示するハジメ。女の風呂が長いことはよくわかっている。
「一時間ですね……承知しました。お部屋はどうされますか?一人部屋と三人部屋、もしくは大部屋もありますが……。」
「どれが安い?」
「大部屋ですね。」
「じゃあそこで。」
ふむふむと言いながら伝票に情報を書き込んでいく少女。シアもアレーティアも特に異論はないらしい。一分も待たずに少女は伝票を作り上げ、部屋番が記された鍵を渡してきた。
「それではごゆっくり〜。」
所変わってここは真っ白な部屋。そこに1人の女性が歩いている。その顔はアハトやノイントに似ているが、より精巧な人形のような顔立ちだ。女性がす、と腕を降るとその部屋の中には玉座とも言える大きな椅子が出現する。
「アハトが負けた、か。」
椅子に腰掛けた女性は、いら立ちをあらわにした声でひとりごちる。と、次の瞬間、その背後から突然一人の男が現れた。
「だから止めたじゃないか。君の最高傑作の片割れは、僕の最高傑作には及ばなかった、というところかな?」
男は女性にニヤニヤと嫌味な笑顔を向ける。
「何のようだ……。」
「いやあ?僕も生みの親としてアレのことが気になってねぇ……。ちょっと様子を見に行こうと思ってさ。一言言いに来たってわけ。じゃ、いってくるよ。」
男は、女性の放つ怒気を軽く受け流し、自分の言いたいことだけ伝えると了承も否定もさせる間もなくそこから姿を消した。
「あ、あの馬鹿者が……!やつがいなければ計画は進まないというのに……!!!」
あまりに自分勝手な男の行動に、女性はヒクヒクと表情を歪ませ、椅子の手すりを殴りつける。
と、その時だった。
「おやおや。随分とお怒りのようで。」
「ッッ!?」
その場にいるはずのない人物の声が聞こえてきたのは。女性は椅子から身を乗り出してあたりを見渡し、警戒する。
すると、
ひらっ…、ひらひらっ……。
突然、空から漆黒の羽が舞い降りる。それは風などない部屋の中を、女性の視界を遮るように渦巻く。
「フフフッ。お久しぶりですねぇ。エ・ヒ・ト・サ・マ。」
羽の渦が散り、女性の目の前には、悪戯に成功した子供のような笑みを浮かべる、
ノイントか佇んでいた。
「貴様……ノイント!?」
女性……いや、エヒトは目の前に現れたその存在に目を見開いた。
「次回、仮面ライダーオリジン。
こんにちは!シアですぅ!
ふー。なんとかあの人たちに見つからずに済みましたです。帽子、大切。です。
……むむっ。なんだか私達の知らないところで大変なことが起きてるみたいですよ。え、迷宮の攻略も始める?すごいハードスケジュールいじゃないですか!私不安ですよぉ……。
次回、『天使は神を。龍は宮を』
生きてください。最後まで。ですぅ!!」