仮面ライダーオリジン   作:御剣龍也

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戦いに必要なモノ

 「ほんとに戦争でひっ迫してるのか?」

 

ハジメは首をひねった。手はつけていないが、昨日の晩餐や、今日の朝食も素晴らしく豪華なものばかりだった。そんなものを出す余裕があるのに、「この国がピンチだ!」と言われてもいまいちピンとこないし、やはり胡散臭い。

 

ここはハイリヒ王国王城、その廊下。あの説明会から一晩明け、今日は訓練初日だ。色々考えながらその廊下ををしばらく歩いたハジメは、ある程度のところまで立ち止まる。そして、周りに誰もいないことを確認し、服のポケットから見慣れた銀のパッケージを取り出した。

 

「たしか…。最低でも一日3分の1摂取しろって言われたな。」

 

ハジメはそれを開封すると、いつもなら一気に全て飲み込むところを、慎重に少しずつ飲み込んで行く。

 

(不味…)

 

そして、なんとなくパッケージが凹んできたあたりで飲むのをやめた。

 

「後3袋か。」

 

持って9日くらいかな。ハジメはそうぼやきながら来た道を引き返していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく後、集合場所である修練上に集まった生徒達に、手のひら大の銀色の金属板が配られた。不思議そうに金属板を見る生徒達に、騎士団長、メルド・ロギンス直々に説明がおこなわれた。

 

騎士団長が訓練に付きっきりでいいのか、とは思うのだが、対外的にも対内的にも、〝勇者様一行〟を半端な者に預けるわけにはいかないようだ。と、騎士団長本人が言っていた

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもあり、これさえあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪快な性格で、「これから戦友になろうってのに、他人行儀に話しなんかできるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告しているのである。別に悪い人間ではないのだが、なんだかそれはそれで問題があるような気がするハジメだった。

 

 それはともかくとして、便利なものがあるものだ。ハジメは感心しながらそのプレートを眺める。そこへ、さらにメルドから補足が入る。

 

 「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録され、 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ」

 

その他にもアーティファクトだの何だのと説明が入り、なるほど、と納得したハジメを含めた生徒達は、各自顔を顰しかめながら指先に針をチョンと刺し、浮き上がった血を魔法陣に擦り付けて行く。

 

すると、その魔法陣が一瞬淡く輝き、今までまっさらだった表面に文字が浮かび上がった。

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

 

天職:錬成師

 

筋力:5

 

体力:5

 

耐性:5

 

敏捷:5

 

魔力:5

 

魔耐:5

 

技能:錬成・言語理解

 

===============================

 

 「全員見れたか? 説明するぞ? まず最初に、レベルがあるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がる訳ではないらしい。まあそんな簡単に強くなれたら誰も苦労などしないだろうし、もしそんなことがあったら、等の昔にこの世界は超人だらけの魔境と化していることだろう。世界は違えど、人間の体の作りなどの根本的なところまでは変わっていないようだ。

 

 「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば才能だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

ハジメは自分のステータスを見る。

 

 「錬成師………?」

 

確かにそこには天職欄があり、錬成師と記されている。メルドの言うとおりであれば、ハジメは錬成というものに才能があるようだ。

 

才能と言えば、なんでもハジメやクラスメイト達は上位世界の人間であり、トータスの人達よりハイスペック、らしい。イシュタルがそんなことを言っていた。しかし世界に上位も下位もあるのだろうか、という疑問はこの際置いておこう。

 

ハジメがそんなことを考えている間に、メルドの説明は進んでいく。

 

 「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

 「……ん?」

 

メルドの言葉にハジメはもう一度プレートを見る。そしてすぐに目をこすってもう一度見る。しかし何度見ても、何度目をこすっても、プレートには確かに5という数字が縦にズラッと並んでいた。おかしい。メルドの言うとおりであれば、今ハジメはこの世界の平均となる強さの約半分くらいの強さしかない、ということになる。それはつまり、

 

 

この世界の人間の基準が、石をひねり潰して粉々にできる人間、ということになる。

 

(んなアホな。)

 

ハジメはあたりを見渡すが、全員晴れやかな表情でプレートを見ている。それを見る限り、それぞれステータスはかなりのものなのだろう。だが、本当に彼らは自分よりも強いのか。いろいろな考えが頭の中を巡り、もやもやした気分になるが、何分初めてのことなので何もわからない。仕方なくハジメはメルドにプレートを見せに行くことにした。

 

 「ん?お前が最後か。」

 

どうやらいろいろ考察している間にそれなりの時間が立っていたようだ。一つのことに集中すると他のことが見えなくなるこの性格はそのうちなんとかしよう。ハジメはそう思った。

 

 今まで、規格外のステータスばかり確認してきたメルド団長の表情はホクホクしている。多くの戦友の誕生に喜んでいるのだろう。

 

そんな彼に、ハジメはホイと自分のプレートを渡した。

 

受け取ったプレートを見た瞬間、団長の表情が笑顔のまま固まり、ついで「見間違いか?」とプレートをコツコツ叩いたり、日の光にかざしたりする。そして、しばらく凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートをハジメに返した。

 

 「……ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……。いや、その……ステータスは……。」

 

まあ、とにかくこのステータスがクソザコであることは団長の反応から理解できた。歯切れ悪くハジメの天職とステータスを説明するメルド。その様子にハジメを目の敵にしている男子達が食いつかないはずがなかった。鍛治職、ということは明らかに非戦系天職だ。戦いに適したものではない。その上ステータスも低いとくればやることは一つ。

 

檜山が、ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながら声を張り上げる。

 

 「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」

 「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

 「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」

 

気色の悪い顔で煽る檜山。

 

 「……」

 

しかし、ハジメから反応はない。なぜなら、手を顎にやり、少しうつむき気味にで、見るからに「私、考え事してます」というポーズでその声や周りのやかましい薄ら笑いをすべてスルーしていたからだ。

 

 「おい!聞いてんのかよ!」

 「……」

 

またもやスルー。微動だにせずにそのポーズを維持し続けるハジメと、それに苛立ちながらとにかく煽り文句を言いまくる檜山。その光景は、周囲から見るとなんともシュールなものだった。

 

 

 

 

 

 

 「……あ、そうだ。」

 

数秒の空白の後、ハジメは唐突に檜山の方を向き、握手のようにガシッと手を掴んだ。

 

 「??!」

 「僕のステータスは全部5らしいんだけど、これ、ふり払えたりする?」

 

ハジメが説明するよりも早くその手を振払おうとしていた大輔だったが、ハジメの何倍ものステータスがあるにも関わらず、全く振り払うことができない。それどころかあまりの握力に血が通わずに握られたか手の色がどんどん悪くなっていく。

 

 「うーん。だよねぇ……。」

 

そのままの状態で、また思考の海に浸かろうとするハジメだったが、目の前から聞こえた絶叫ではっと我に返り手を離す。すると檜山は、ハジメが握っていた方の手をもう片方の手で抑えようとし、触れたところで痛みにのたうち回るという醜態を晒していた。もしかすると1、2本骨にヒビが入ったかもしれない。

 

 「ごめん。悪かった。」

 

頭を下げて謝るハジメ。大輔は、「覚えてやがれ!」と捨て台詞を吐きながらその場からそそくさと離れていった。

 

 「さてと。団長、ちょっといいですか?」

 「……、あぁ。なんだ?」

 

呆然とその光景を見ていたメルドに、ハジメが言う。

 

 「まあ、見ての通り非戦闘職なので、僕は後衛に回りますね。それにこのステータスじゃ戦場に出ると邪魔になるので。」

 

どの口が言うか。たった今ステータス上圧倒的に力負けしている相手を文字通り片手でひねり倒した男はどこのどいつだ。しかしそんなことは全く気にする様子を見せず、じゃあ。とハジメは近くの騎士に声をかけると、さっさと修練場から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(今のは……?)

 

ハジメが修練場から姿を消した後、すぐに訓練が始まった。その中光輝は、自分の耳が捉えたハジメのつぶやき声の意味を考えていた。

 

 「なるほどね。俺の人間じゃない部分は測ってくれないわけか。」

 

まるで自分が人間ではないような言い方。

 

(南雲、お前は一体……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃地球では

 

 「「「「ハジメ(南雲)が消えたぁ?!」」」」

 

ハジメと同い年くらいの男女合わせて四人が、研究所のような建物の、会議室のような部屋の中で、茶髪の女性からハジメがいなくなったことを聞かされて絶叫に近い声を上げた。

 

 「うん。しかもオリジンまで起動してどこかに消えたの。多分ハジメくんを追って行ったんだと思うんだけど……。」

 

女性の話に四人は、それぞれの反応を示した。

 

 「チッ。いきなりいなくなりやがって……。」

 

そう言うのは、龍太郎よりもさらに一回り大きい体つきの男子学生。刈り上げた頭に、鋭い眼光が強者のオーラを醸し出している。しかし今その眼は、消えたハジメの身を案ずるように震えている

 

 「まあそう言うな四獅島。あいつだって巻き込まれたくて巻き込まれてるわけじゃないだろう。」

 

そう宥めるのは、糸目が特徴の男子生徒。黒く切り揃えた短髪に、少しだけ制服を着崩している。彼は腕を組み、壁に背を預けて難しい顔をした。

 

 「って、あんたも人のこと言えないじゃんか。紅坂。」

 

そうツッコミを入れるのは、金髪の女子学生。ケバい化粧に明らかに短すぎるスカートを履いた、一言で表すならばギャルだ。彼女は糸目の男子生徒に向かってベシっと手の甲を叩きつけるジェスチャーをした。

 

 「まあまあ落ち着いて鍵谷さん。みんな何もわかってないから気が立ってるんだよね?」

 

そう言ってほかのメンバーを見回す女子学生。少しだけ紫がかった黒髪をショートカットにし、少し吊り目な彼女は「まあまあ」と、鍵谷、と呼んだ女子学生をなだめる。

 

 

紅坂、と呼ばれた男子学生が新沢の問に答えた。

 

 「まあ、そうだな。落ち着いてはいない。だがそういうお前も別に冷静なわけじゃないだろ?新沢。」

 「そう、だね。」

 

新沢、と呼ばれた黒髪の女子学生はうつむいた。

 

 「まだ、南雲くんに何も恩返しできてないし、何が起きてるのかもわからないし……。」

 

 「「「……」」」

 

彼女の言葉に他の三人もまた同じように俯き、沈黙が流れる。

 

そこに茶髪の女性が沈黙を破って口を開いた。

 

「確かにハジメくんがどこにいるのか、とかはわかってない。だけど、オリジンから継続的に微弱ではあるけど定期信号が送られてきているから、生きてはいるはずなの。また何か分かり次第連絡するわ。」

 

女性は申し訳なさそうにそう言う。現状何も手がかりがない以上手探りでやっていくしかない。それをわかっているからこそ何もできない、力になれない自分自身に腹が立つ。

 

 「くそっ」

 

誰かが、そう呟いた。




次回、仮面ライダーオリジン

「俺たちが稽古つけてやるよ」
始まるイジメ

「あのさ、真面目にやってくれない?」
そんなものは効かない!?

「じゃあ始めようか」
「ああ。頼む。」
突然始まる決闘


        次回『実力の差は如何程に』


生きろ。最後まで

オリジンに強化フォームは必要か否か。

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