なぜこの作品に君のアンチタグが付いていないのか……。
なぜ小悪党組の中で君がやけに優遇されているのか、
なぜこんな前書きを書いているのかァ!
\ソレイジョウイウナー/
その答えはただ一つ……
\ヤメロー/
アハァ……。
それはこの回を読んでからのお楽しみだぁぁあアアアア!!
ヴェハハハハハハ!ヴェハハハハハハァア!!ヴェエガフェッ?!(舌を噛んだ音)
はい。就職やらなにやらで遅くなった上にクオリティーも落ちていますが、それでもよければどうぞ。
「さっきは助かったよ。」
そう言いながらハジメは用意したカップのうち一つに紅茶らしき液体を注ぎ、目の前のテーブルに着いている人物にそれを差し出した。「味は保証しないよー」と言ってはいたが、それは色、香りともに、素人目からしてもなかなかのものだということがわかる。
「あ、ああ。」
それを戸惑ったように受け取るのは、
「遠慮しないでよ。檜山君。」
何を隠そう小悪党集団のリーダー的存在、檜山大輔だ。
なぜハジメのことを目の敵にしている彼がハジメの部屋でお茶を出されているのか。それは、
(俺、なんでこいつの部屋で茶なんか飲んでんだ……?)
本人が一番よくわかっていなかった。
(落ち着け。まずなぜこうなったのか思い出せ。)
うーん。檜山は紅茶の波打つことなく鏡のように自分を映し出すその水面を見つめながら先程何が起きたのかを思い出すことにした。
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「オルクス大迷宮……か。」
あの休暇が終わり次の日。勇者一同は「オルクス大迷宮」と呼ばれる場所へ遠征へ向かうべく、その近場である宿場町ホルアド、その宿屋の一つへとやって来ていた。何でもそろそろ本格的に戦闘訓練を開始していくらしい。
そもそもオルクス大迷宮とは何か。
全百階層からなると言われている大迷宮で、このトータスに存在する七大迷宮の一つ、らしい。階層が深くなるにつれ強力な魔物が出現するという。
この迷宮は、冒険者や傭兵、新兵の訓練に非常に人気がある。
理由としては階層により魔物の強さが変化し、力量を確かめやすいところ。出現する魔物が地上の魔物に比べ、遥かに良質の魔石を体内に抱えているから、というところなどが挙げられるだろう。
魔石というのは魔物の力の核だ。強い魔物ほど良質で、大きな物を備えており、そんな魔石は魔法陣作成の原料にもなる。
また、戦闘だけではなく、日常生活に使われる魔道具等にも多く使われているため、かなりの需要がある品だったりする。
さて、この説明からもわかるように、迷宮で行われるのは戦闘訓練だ。ではなぜ生産部門のメンバーまでここに居るのか。一応メルドに確認をとってみたのだが、上からの詳しい説明もなかったらしく、首を傾げていた。
さて、時は変わってその深夜のこと。
緊張のせいか中々寝付けずにいた檜山は、トイレついでに外の風を浴びに外に出ていた。月を眺めながら、涼やかな夜風に気持ちが落ち着いたのを感じ、部屋に戻ろうとしたのだが、その途中でネグリジェ姿の香織を見かけたのだ。
初めて見る香織の姿に思わず物陰に隠れて息を詰めていると、香織は余程急いでいたのか慌てていたのか。檜山に気がつかずに通り過ぎて行った。
その様子が気にかかり後を追うと、 香織はとある部屋の前で立ち止まり、何か決心したような顔で、その部屋の扉ノックをした。檜山が廊下の角から固唾をのんで見守る中、その扉から……
「やあ檜山くん。こんな時間に何してるんだい?」
「うひゃ?!」
香織の姿に集中していたせいで、突然後ろから声をかけられたことに驚き、思わず情けない悲鳴とともに飛び上がる檜山。因みに、扉は開くことはなかった。
そんな檜山にハジメは、慌てたように人差し指を口に当て、「静かにしろ」とジェスチャーをする。
「静かにしてくれ。彼女に見つかる。」
「……?」
ハジメのその言葉に、もう一度香織の方を見る檜山。まさかとは思うがあの部屋は……。
「南雲くん、起きてますか?」
こんな遅くに迷惑な。と言いながら香織の動向を見張るハジメ。その中檜山は、香織がノックした部屋の住人がハジメであることを知り、頭が真っ白になりかけていた。因みにハジメの言葉は半分くらいしか聞こえていない。
なぜこのキモオタクの部屋にあんな姿で?まさかこいつに弱みでも握られているのか?だからあんな覚悟を決めた表情で……。
檜山の頭の中をそんな考えがぐるぐると駆け巡る。そしてだんだん考えが飛躍し始めてきた頃。
「お、帰ってった。」
ハジメのその声にハッと我に返る檜山。見れば香織はこちらに背を向け、トボトボと自分の部屋に引き返していくところだった。
ハジメはそれを見て心底ホッとしたような顔をした。常日頃から彼女からストレスを与えられているハジメとしては普通の反応なのだが、それを知らない、いや、知ろうともしない檜山はその顔を見て、自分の中で激しい怒りが湧き上がってくるのを感じた。彼は公言こそしていないが香織に対して好意を抱いている。しかし彼女は女神。光輝たちのような、自分たちとは住む世界が違うような人間出ないと到底釣り合わない。そう思い、結局告白などはできていなかった。
そんな彼女に気に掛けられ、毎日のように話しかけられ、更にはあんな格好でわざわざ部屋にまで訪ねてきてくれているというのに何が不満なのか。檜山には本気で理解できていなかったのだ。
「……いや、やっぱりわかんねぇ。」
そこまで思い度し、檜山はそうつぶやいた。怒りが自分の中で渦巻いていたところまではわかる。その後自分は怒りに任せてハジメのことを殴ろうとし、またこてんぱんにされるところを想像してそのまま黙って部屋に戻ろうとしたところも覚えている。だが、なぜお礼と称して部屋に招かれているのか。これがわからない。先程自分がやったことといえば、香織に居場所が悟られないように、黙って廊下の角でじっとしていたくらいだ。そこからなぜ部屋に招いて礼をすると言う結果に至るのかが、檜山には全く理解できていなかった。
「よっこらせ。」
不意に檜山の目の前に、ハジメが椅子を持ってきて座った。ハジメは紅茶が全く減っていないことに気が付き、怪訝な顔をする。
「口に合わなかったかい?」
「え……?あ、いや……。」
ハジメの言葉にあたふたする檜山。普段ろくな会話をしていないせいでどう返答してよいのかわからないのだ。しかし、一応紅茶が口に合わなかったわけではないことは伝わったのか、「良かった良かった」と、自分も持ってきたカップに口をつける。もともとそれなりに整った顔つきをしているハジメだが、それに加えハジメ自身が纏う不思議な雰囲気と相まって、なんとも言えない色気のようなものが醸し出されている。
「な、なあ。」
カップの中身を啜る小さな音しかない静かな空気に耐えきれなくなり、特に何を聞くとも決めずに口を開く檜山。するとハジメは、また静かにしろと人差し指を口に当て、顎でベットのある方を指した。
そこには、
「お父さん……」
昨日の休暇のときにハジメが見つけた少女が、時たま小さな寝言を呟きながら布団にくるまっていた。
「静かにね。起きちゃうからさ。」
「あ、あぁ。」
ベットの端に腰掛け、優しく彼女の頭を撫でるハジメ。その顔はまるで愛おしい誰かを見ているような。そんな顔だった。ハジメはしばらく少女の頭を撫でると、檜山の方へ顔を向ける。
「君が今気になってること、教えてあげようか。」
気になっていることとは。檜山が頭にクエスチョンマークを浮かべると、ハジメは愉快そうにクツクツと嘲笑う。因みに声のボリュームはぎりぎり聞こえるか聞こえないか程度に抑えている。
「白崎さんのことさ。」
たしかに気になってはいたが、そんなに顔に出ていただろうか。顔を触ったところでわかりはしないだろう。
ハジメはひと呼吸おき、どこか遠い空を見ながら話し始める。
「僕はね。彼女が苦手なんだ。いや、どちらかというと嫌いの部類に入るのかな。」
「んな?!」
彼女を嫌う人間がこの世にいたとは。信じられない事実に檜山は凄まじい衝撃を受けた。なにせ彼女は、女神と比喩される程に優しく、慈悲深く、そして何より美しい。そんな彼女を嫌う人間がハジメを含めてこの世にいるなど、一度も想像もしたことはなかった。
ハジメは更に話を続ける。
「彼女は優しいし純粋で、何より心が強い。じぶんを曲げたりとかそういったことは一切しない。確かに客観的に見ても素晴らしい女性だとは思う。けどね。
それが『俺』にはすごくうっとおしいんだ。」
ハジメは顔を、空に浮かぶ、なんの星座なのかも分からないひときわ明るい星へと視線を向ける。
「彼女は優しい。だけど、それは『俺』が求めているものじゃ無い。きっと他の人たちならそれでもいいんだろうけど、正直彼女に世話を焼かれてもこれっぽっちも満たされない。
彼女は真っ直ぐだ。真っ直ぐすぎる。だから周りに気が付かない。自分がどういう立場なのか、他人にどんな影響を与えるのか、それを理解できていない。例えば彼女が僕につきまとうことで僕がいじめのターゲットになったり、ね。」
そう言って意味有りげに檜山を見やるハジメ。もう心当たりだらけな檜山は目をそらすしかできない。
「なんか僕が、白崎さんをキープしているとか弱みを握って奉仕させてるとか色々噂は飛び交ってるけど心配しなくていいよ。彼女とはあんまり関わり合いになりたくないとすら思ってるからね。」
「お、おう。そ、そうか。」
どもる檜山。目をそらしたことと言い、噂を流した犯人が自分だということを自白しているようなものである。それを見たハジメは、ニヤリと笑いながら更に追い打ちをかけるように言う。
「檜山くんってさ。白崎さんのこと好きなんでしょ。likeじゃなくてloveの方で。」
「は、え、あ、」
「あはは。見てればわかるよ。」
あたふたする檜山のことをからかうように笑うハジメ。言い訳を考えるためにあっちこっちに視線を向ける檜山。
「応援してるよ。」
「は?」
「別に嫌いだから不幸になってほしいとかは思ってないしね。むしろみんなハッピーエンドならそれに越したことはない。」
首から下げられた小瓶を月明かりにかざしながら、ハジメはどこか悲しそうに言った。
「『俺』は、諦めちゃったけど。」
その小瓶の中には、月の光にも劣らず、美しく輝く一本の純白の羽が収められていた。
懐かしむような、悔いるような、そんな感情を浮かべた瞳でその羽を眺める初め。
「南雲……。」
ふと、檜山の中で何かが変わった。それはほんの些細な、小さな欠片。檜山自身も気が付かないほどに小さな変化。しかし、彼はこの瞬間からほんの少しずつ、着実に成長を始めたのだ。
それからしばらくたった。檜山は部屋へと戻り、ハジメは誰にも気が付かれないように、宿屋の屋上へと出てきている。
「ッ……!」
その瞳は赤く光り、額には凄まじい量の脂汗が浮かんでいた。
「ゔ、あ“あ”あ”あ“あ”あ”あ“」
体中から立ち上る蒸気。何かを抑えるように自分の体を抱きしめるハジメ。歯を砕けんばかりに食いしばり、体に爪を立て、どす黒い液体がその足元へと滴り落ちる。
「ヴヴヴゔゔぅ……フゥー!!フゥー!!」
瞳孔は獣のように縦に裂け、口からは明らかに人間のものではない牙のようなものが飛び出している。
「ハァッ、ハァッ!!くそっ……!一日、食わなかっただけで、ハァ、これかよ……!」
思うように動かない体を引きずりながら、隅に設置されていた柵へと寄りかかるハジメ。
「い”、あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“ぁ“ぁ“ぁ“あ“あ……」
月夜の宿屋にて、一つの影が吠え続ける。夜はまだ始まったばかり。
「南雲……君?」
次回、仮面ライダーオリジン
「来るぞ!」
ついに始まる大迷宮攻略
「さて、手早く片付けようか。」
生産部門の大活躍
「まさか……!」
運命はすぐそこに。
次回「オルクス大行進」
生きろ、最後まで
オリジンに強化フォームは必要か否か。
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必要
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不必要