仮面ライダーオリジン   作:御剣龍也

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遅くなりました。
多分しばらくこんな感じの更新が続くと思いますが、投稿をやめるつもりはないので待ってていただけると幸いです。

ではどうぞ。


オルクス大行進

ゾロゾロゾロ。

 

やかましい無数の足音洞窟の中に響く。彼らは光輝を始めとした勇者一行。そしてその保護者であるメルド率いる騎士団員たちだ。

 

ここはオルクス大迷宮。あの語らいから一晩明け、とうとう訓練が始まろうとしていた。

 

勇者一行は、いくつかのグループに分かれて行動しているが、たった二人だけ、その輪から外れて行動している人物がいた。

 

 「清水くん、準備はいいかい?」

 「ああ。任せとけ」

 

それは、今作主人公の南雲ハジメ、そしてもう一人の生産部門メンバーである清水幸利だった。

 

噂や批判からたった二人だけしかメンバーがいないのこの部門。戦いから逃げた卑怯者だの何だのと言われている上に、ほとんどの人間が興味すら持とうとしない。しかし、

 

「なあ、あいつらが持ってるのって……」「あんな装備配給されたか?」

 

今となっては興味の的だ。なにせ彼らは先程から、この剣と魔法の世界に似つかわしくないとあるものを腰に装備しているからだ。それは長細い筒のような形で、グリップと思われる部分には小さな突起、トリガーが設置されている。

 

 「あれって、銃だよな。」

 

そう。これこそが現時点での生産部門の最高傑作である「試作自動火器」だ。オートマチック銃をモデルに作成したもので、王宮で見かけた可燃性の鉱石を弾薬代わりにして弾を射出できるようになっている。合金などは無いため、そこまで威力は出ないが、それでも普通に剣をふるよりも数段高い威力の攻撃ができる。

 

更に服装も他のメンバーとは大きく異なり、近未来風の戦闘服のようなものになっている。まずジャケットとズボンには、王宮にある中で一番上質だったものを錬成によりコンマ数ミリまで細く引き伸ばして編み込まれている。これにより動きを阻害せず、なおかつ防御力を跳ね上げることが可能となっている。更に関節部を守るプロテクターは、ハジメと幸利が見つけてきた天然樹脂を錬成により圧縮した天然のプラスチックだ。

 

彼ら二人がこの数日間で作り上げたこれらを見て、それなりには頑張ったのではないかと感心するものもいれば、見掛け倒しだと言うものもいる。もちろんこれらの威力や性能を見ればそんなこと言えなくなるだろうが。

 

二人は不敵な笑みを浮かべながら、クラスメイトたちの最後尾を歩いていく。

 

 「ふふっ。楽しみだね。」

 「ああ。……それより良かったのか?」

 「……」

 

幸利の問いかけに少し苦い顔をするハジメ。彼らの頭の中には、目に薄っすらと涙をため、ハジメに抱きつく少女の姿が浮かんでいた。

 

 「しょうがないだろ……。こんなとこにつれてくるわけにも行かないし。」

 「まあ、そうなんだけどなあ……。」

 

少女サヤはハジメが睨んだ通り、名前以外の自分の記憶を失っている。故に余計に恐ろしく感じたのだろう。自分という存在を知る人間が自分のそばからいなくなることが、まるで自分の存在が消えてしまうようで。

 

 「俺、あんな罪悪感感じたの初めてだわ。」

 「奇遇だね。僕もだ。」

 

今にも泣き出しそうなサヤを宥め、「必ず帰ってくるから」と言う約束を交わすことでなんとか離れてくれた彼女の顔を思い浮かべ、二人の間に流れる空気は若干どんよりとしたものになっていた。

 

 「さっさと終わらせて帰ろうか。」

 「だな。」

 

あの子を一人にはさせまい。二人は銃に弾倉を装着させ、力強くうなずいた。

 

 

 

迷宮の外には、迷宮攻略のためにやってくる冒険者たちに向けてか屋台や出店などが並び賑わっていたが、ここまで潜るとにぎやかな雰囲気は一切伝わって来ることはなく、岩の壁から伝わってくるひんやりとした空気が辺りを満たしている。

 

縦横五メートル以上ある通路は明かりもないのに薄ぼんやり発光している。これは緑光石という。溜まった魔力が光に変換される性質を持った特殊な鉱物であり、オルクス大迷宮にはこれが多数埋まっている、らしい。

 

 「へえ。よく知ってるな。」

 「図書館の本で読んだ。数少ない有益な情報だったよ。」

 「お、おう。なんかお疲れさん。」

 

 一行が隊列と言う名の行列を作りしばらく進んでいると、ドーム状の天井をした広間のような場所に出た。相変わらずご丁寧な演出に、ハジメは戦闘の予感を感じて周囲をうかがう。

 

 

辺りを見回し、警戒していた光輝が、不意に何かに気が付き剣の柄を握る。

 

 「……来るぞ!」

 

その言葉の通り、物珍しげに辺りを見渡している一行の前に、壁の隙間という隙間から総勢五十を超える灰色の毛玉が湧き出てきた。

 

驚きで硬直するクラスメイトたち。そこにメルドが声を張り上げ、指示を出していく。

 

「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ! 交代で前に出てもらうから準備しておけ! あれはラットマンという魔物だ。すばしっこく数は多いが、たいした敵じゃない。冷静にかかれ!」

 

メルドのその声が止むのとほぼ同時に、ラットマン。そう呼ばれた魔物がそこそこの速度で飛びかかってきた。

 

灰色の体毛に赤黒い目が妖しく光る。ラットマンという名称に相応しく、外見はねずみのようだが、二足歩行で上半身がムキムキだ。

 

筋肉ムキムキ。それは良いのだが、八つに割れた腹筋と膨れあがった胸筋にだけ毛が生えていないのはなぜだろうか。人形のネズミでも夢の国のマスコットとは酷い違いである。何人かはその自己主張の激しい姿となんか気持ち悪い顔に嫌悪感を丸出しな表情をしている。

 

 「……」

 

しかし、光輝はそれには特に反応を示さず、その手に握られた聖剣というアーティファクトを鞘から抜き放つと、悠々とその筋肉ネズミの集団のど真ん中に歩いて進んでいく。

 

危険だ。そう思ったメルドが忠告をしようとする。だがそれよりも早く、光輝の腕が閃いた。一瞬遅れて周りにいたラットマン達の首が一斉にはねられる。

 

その攻撃をなんとかくぐり抜けた、いやわざと逃されたラットマン達を、前衛の龍太郎と雫が蹴散らし、そのすきに後衛の魔術師チームである、背の小さい「谷口鈴」、メガネがトレードマークの「中村恵理」、香織が攻撃のフォーメーションを組み立てる。

 

 「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ――〝螺炎〟」」」

 

三人が同時に発動させた螺旋状に渦巻く炎は、ラットマン達を吸い上げるように巻き込み燃やし尽くしていく。断末魔の悲鳴が聞こえ、哀れな魔物たちは灰へと変わり果てていった。

 

気がつけば、半数以上光輝が片付けたとは言え、広間に出現したラットマン達は全滅していた。他の生徒の出番が無かったのを見ると、どうやら、光輝達召喚組の戦力では一階層の敵は弱すぎるらしい。

 

それを見ていたメルドは、「頼もしい限りだ」と感心しつつも、丸焦げになり魔石どころの話でなくなっているラットマンを見て苦笑した。

 

 「ああ~、うん、よくやったぞ!まあしかし……」 

 「だが、これは明らかにやりすぎだ。今度からは素材の回収も念頭に置いておけ。ぶっつけ本番でやるからこうなるんだ。」

 

何とかオブラートに包んで注意しようと、言葉を選んでいたメルドを遮るようにして、攻めるような口調で全く遠慮せずに光輝が言い放つ。

 

 「大体、こんな狭い空間でそんな威力の魔法を打って、迷宮が崩壊する可能性は考えられなかったのか?」

 

光輝の鋭い眼光に気圧され、メルドに褒められたことで頬を赤くしていた彼女達の顔は、洞窟の崩落に巻き込まれる想像でもしたのか一気に青ざめた。

 

 「いいか?俺たちがやるのは戦争だ。初めてやることだからうまく行かないのは解るが、戦場で敵は待ってくれないぞ。もう少し勉強なり練習なりをしておいたほうがいい。」

 

その様子を見て、十分に彼女たちが反省したと受け取った光輝は、表情と声色を少し柔らかくして注意し、その場を締め括った。クラスメイトの女子の何人かはその様子を見て顔を赤くしている。

 

 「見たか南雲。あれが俗に言う天然ジゴロってやつだ。」

 「なるほど。」

 

多分ちょっと違う。

 

 

 そこからは特にこれといったトラブルもなく、出てきた魔物を倒しながら迷宮を攻略していく。そしてそんなこんなで時間と階層は過ぎ……、

 

 「さて、手早く片付けようか。」

 

とうとう生産部門二人の出番となった。

 

 

 

二人は多数の魔物の群れを前に、冷静に腰のホルスターからそれぞれ得物を抜き、グリップに弾倉を装填する。

 

 「数が多いな。」

 

ハジメはそうぼやきながら銃のトリガーに指をかけ、引いた。

 

 

撃鉄が散らした火花が鉱石に引火。爆発音とともに弾が銃身の中を滑り、前進していく。内側に刻まれた螺旋の溝に沿って回転しながら放たれた銃弾は、

 

 

 「ギュイッ……!?」

 

一体の魔物の頭にめり込み瞬時に絶命させた。隣を見ると、反動で仰け反りながらも清水がさらに一体の魔物を仕留めている。

 

 「さ、来るならおいで。」

 

ハジメはニヤッと笑い、黒光りする銃口を怯える魔物の群れへと向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 「ふぃ〜。」

 

ハジメは銃を肩に担ぎ直すと軽く汗を拭う仕草をする。とはいえその額には一筋の汗もかいていないのだが。清水も軽く息を整えながらハジメのように汗を拭う。ちなみに彼は汗だくである。

 

 「さてと……。」

 

ハジメはそうつぶやくと、太もものホルダーから自作のサバイバルナイフを抜き、何をするのかと不思議そうな視線を背中に感じながら、それを仕留めた魔物へと突き立てた。

 

 「お、おい坊主……?」

 

さすがのメルドもハジメの行動には面食らったらしく、戸惑った声でハジメを呼ぶ。

 

 「はい?」

 「いや、何してるんだ?どう見ても死んでるだろう?」

 

どうにもメルドには、ハジメが念には念を入れて魔物の死体蹴りをしているように見えたようで、頬を引つらせながらそう言う。

しかしハジメは動じることなく、ナイフで魔物を解体しながら答える。

 

 「何って、魔石を取り出そうと思って。自分で殺した命は自分で最後まで面倒見ますよ。っと、このあたりでしたよね?」

 

魔物の心臓あたりに深々とナイフを突き立てるハジメ。血が吹き出し、戦闘服は返り血に染まる。周囲のクラスメイト達が悲鳴を上げるなか、ハジメは切り込みに腕を突っ込みお目当てのものを探し当てた。

 

 「メルドさん。これもらえません?」

 

肉塊から引き抜いたハジメの手には、小さな石のようなものが収まっている。それは今ハジメが殺した魔物の魔石だ。

 

 「僕のこの世界初の獲物ですから。記念にね。」

 

血に濡れたそれは、洞窟の明かりに照らされ怪しく輝き、ハジメの血濡れた姿を鮮明に映し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……?」

 

次の階層へと進もうと進みだすクラスメイト達に追従し、進みだしたハジメ。しかしふと何かに気がついたように立ち止まり、自身の手から滴る魔物の血を不思議そうにボーッと眺める。

 

誰一人ハジメの様子に気がつくことはなく、ポツリと一人取り残される。

 

 

魔物の血肉は毒。着物座った阿呆共がそれを食らった後に訪れる結論は例に漏れず死、一択。

 

もちろんそんなことは本で読んで知っている。

 

だが、

 

ハジメは、

 

ソレを見て、

 

こう呟いた。

 

 

 「美味そうだな」

 

 

 

ベロリ

 

 

なんの躊躇もなくそれを舐めとるハジメ。その瞳が真紅に輝く。

 

 「っ……これは……!?」

 

 パリッ  バリッ……!

 

ハジメの体から、青白い稲妻が弾ける。

 

 「まさか……」

 

ハジメは自らの身に起きた現象に驚いたように目を見開く。

 

 

 

 『ア“ア“ア“ア“』

 

 

背後に伸びる彼の影が、怪しく揺らめいた。




次回、仮面ライダーオリジン

 「ベヒモス……なのか?」
現れる伝説

 「お前は……」
 『キュ一!!』
運命は再び巡り合う

 「……いいだろう。」
その胸に灯す覚悟とは


       次回「目覚めるは伝説の獣」


生きろ、最後まで。

オリジンに強化フォームは必要か否か。

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