こんな作品にお気に入りをつけて頂けてありがたい限りです。
でも自分で読み返して思うんですが、こんな作品になぜお気に入りがついているのか……。若干心配な今日この頃。
よければ感想欄にでも書いていただけると幸いです。
では〜〜どうぞ。
「ごめんなさい。」
なんで、あやまるの?
「あなたを不幸にしていたのは……紛れもなく私だったのね……。」
かあ、さん……?
「私には、研究者として、母親として、あなたを幸せにする義務が有る。」
待ってよ。どこ行くの?
「いい?今すぐそれを持って逃げなさい。場所はもうインプットしたから、迷う心配はないわ。」
なに?これ。だれ?このひとたち。
「じゃあね。愛してるわ。
⬛⬛。」
まって。まってよ!!どこいくんだよ!おいてかないでよ!かあさん!かあさん!!
「かあ、さん……」
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「天之河君。」
「何だ南雲。」
実に不機嫌そうなハジメと呆れた様子の光輝。そして突然のことにパニックに陥るクラスメイト達。彼らは今、底の見えないほどに深い穴の上に掛けられている巨大な石造りの橋の上にいた。
その目の前には一体の化け物が佇んでいる。それは10mほどにもなる巨大な体躯に、一対の角を額に携えた姿をしている魔物。
人は、かの伝説の存在をこう呼ぶ。
「ベヒモス……なのか……?」
歴戦の戦士であるメルドすらもがあ然と立ち尽くしてしまうほどの驚異的な存在。更に、その反対側からは小さな大量の魔法陣から、剣を携えた骨「トラウムソルジャー」が溢れ出してくる。
ハジメの情報では本来三十八階層に現れる魔物で、素のスペックもさることながら、集団戦闘を行う性質も持っている。どうにも知能はないようだが、連携もしなかった二十階層より上の魔物とは一線を画す戦闘能力を持った脅威である。
それがわらわらと湧き出し、あっという間に100を超え、一切止まる気配を見せることなく増え続ける。
骸骨共をを目の端で捉え、彼らは揃ってため息をついた。
「ハァ……。後で彼女のこと、キツーくシメてもらっていい?」
「ふぅ……。説教フルコースにしておこう。」
さて、なぜ彼らはこんな場所にいるのか。そもそもここは何処なのか。ことの発端は数分前に遡る。
つい先程、今日の訓練最後の階層である20階層に辿り着いたハジメ達は、「ロックマウント」と呼ばれるゴリラのような魔物と戦っていた。
相変わらず光輝が無双し、生産部門チームがそのサポートをしながら戦いを進めていく中で、たまたま光輝が放った攻撃により通路の一部が剥がれ落ちた。とはいえ本当に表面が崩れただけだったので誰も気に留めなかったのだが……。
「あれ、なんだろう……。」
昨日、ハジメと話ができなかったことや最近のハジメの様子が妙なことなどを考えていた香織がふと剥がれた壁の向こう側に何かを見つけた。
それはグランツ鉱石と呼ばれる希少価値の高い、地球で言うところの宝石らしかった。錬成師に人気がある事が分かり、ハジメにチラチラと視線を送る。
しかしそんなものに興味がないハジメは一切それには見向きもせず、魔物の解体をしている。
結局騎士団の面々が、それがトラップだと気がつき、そのまま通り過ぎようとしたその時、
カツン
香織の持っていた杖がが鉱石にふれてトラップが発動。突然床が光だし、
今に至る。
ちなみにこの事件を引き起こした張本人は、顔を真っ青にしながらあたふたしている。
「……この際彼女はおいておこう。で、クラスメイトは任せていいかい?」
「元よりそのつもりだ。ではデカブツを任せる。」
「オッケーだよ。嫌な予感もするしね。ただし、」
ハジメが指を指す。その先には、ベヒモスと呼ばれた大型の魔物と対峙している騎士団と、光輝を除いた幼馴染達がいる。
「まずはあれを連れ戻してからね。」
「その間のクラスメイト達の守りは。」
「生産部門、なめないでもらえるかな?合図は……まあなんかわかりやすいように出すよ。」
「……よし。任された。」
二人は軽く拳をぶつけると、それぞれ反対側に走り出す。
クラスメイト達の元へと駆けつけたハジメは、まず手始めに地面を錬成して橋を波打たせると、辺り一帯の骸骨を奈落の底へと送り込んだ。
どうにも死にかけたのか、顔を真っ青にしながら座り込んでいる女子生徒に手を差し伸べ、起き上がらせるとともにその女子生徒を叱咤する。
「戦争をやるって決めたのは君らだろう?ならこんなことでへたりこんでるな。その頭でどうしたらいいのか考えて動け。さもないと死ぬぞ。何をやってるさあ早く!」
ハジメのその声にハッとしたのか、女子生徒は「ありがとう」と例を言うと、友達らしき数人のクラスメイト達のもとへと走り去っていった。
「さてと……。」
それを見届けたハジメはあたりを見渡し、生産部門の片割れである彼を探す。
「清水くん。そのままでいいから話を聞いてくれ。」
銃から剣へと得物を変えた幸利へと近寄り話しかけるハジメ。ちなみに今彼が持っている剣も生産部門の作品なのだが時間がないので解説はまた次の機会にする。
「おぉう……。どっから湧いてきた南雲。」
「いや骸骨じゃあるまいて……。」
周囲の骸骨共をなぎ倒しながらそんな気の抜ける会話を繰り広げる二人。しかしその間も剣を振るう手は緩めないあたりはさすがというべきか。
「で?何のようだ。悪いが手が離せん。用事ならあとにしてくれ。」
「まあそう言わずに……っと背中に注意。」
パンッ
乾いた炸裂音とともに幸利の背後にいた骸骨が吹っ飛び、あたりの骸骨を巻き込みながら奈落の底へと落ちて行く。
「あぶっ、…撃ってから言うなや!」
「まあそうカッカすんなって。」
抗議の声を軽く流し、ノールックで背後から迫ってきていた骸骨の剣を弾き飛ばして回し蹴りを決めると一回転。何事もなかったかのように話を続ける
「あと少しで天之河達が来る。それまで持ちこたえられるかい?」
「……ハァ。俺だけならな。クラスメイト共を守りながらってのはちと厳しい。」
「一瞬で良いんだ。ほんの一瞬持ちこたえてくれればいい。」
「……あー。わかったわかった。俺もあいつには借りがあるし、なんとかしてみるわ。」
またため息をつく幸利。しかし了承は得た。ハジメはにっと笑うと銃を宙に放り投げ、反転させて銃口を掴むと振り返り、目の前にいた骸骨の頭蓋骨めがけてフルスイングする。
「ホームラン」
バキバキという音とともに、仲間の体を粉砕しながらかっとばされる哀れな頭蓋骨。それは勢いそのまま飛び続け……
ボコッ
「ギャオオ?!」
今まさに飛び出そうとしていたベヒモスの横っ面に直撃した。その後ベヒモスは、バランスは崩したものの飛び出すためにため溜めていた力はそのまま解き放たれ、勢い余ってズルリと足が滑り、ひっくり返って背中から橋に墜落するという伝説にあるまじき醜態を晒す。
「じゃあ後はよろしく。」
それを見届けたハジメはひらひらと手を振り、今のバッティングでこじ開けた道を駆け出した。
「これでステータス俺より下とかあり得ねえだろ……。」
引きつった笑顔を浮かべる幸利。あっという間に消え去ったハジメの姿。彼の足跡は蜘蛛の巣状にヒビ割れていた。
「……きた。メルドさん!打ち合わせどおりに!」
ベヒモスがひっくり返ったのを見てそう叫ぶ光輝。伝説の魔物がひっくり返るというこの状況以上に分かりやすい合図などないだろう。
「……わかった。坊主を信じてみよう。」
メルドは難しい顔をしながらも力強く光輝の言葉に頷くと、二人は剣を構え、それぞれ最高の一撃を放つ準備を整える。
「天ッ翔ッ閃ッ!エイヤァッ!!」
「デヤァアアッ!!」
研ぎ澄まされた極光の刃は、十字に交わり、立ち上がろうとしているベヒモスの後ろ足に直撃。僅かに肉を抉りとると力尽きたように消えて行く。
消費した魔力の量に反して与えたダメージはけして深くはない、どちらかというと浅い部類に入るだろう。しかしベヒモスはその衝撃でまたもやバランスを崩し転倒。更に、
「よし。作戦どおり……。」
今の攻撃で人間で言うアキレス腱が両断されたことで、うまく立ち上がることができずにもたついている。そう。今の攻撃の目的は、致命傷を与えることではなく、撤退のための、心強い援軍がやってくるまでの時間稼ぎこそが目的だったのだ。
更に更に、
「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず 聖絶!!」」」
騎士団の切り札。四方2m、最高級の紙に描かれた魔法陣と四節の詠唱とさらには三人同時発動、たった一回、ほんの一分間しか発動しないが、何物にも破らせない絶対の守りがそこに顕現した。
「引くぞ。」
その声とともに、光の壁を背に光輝達は撤退を始める。
「さっさと下がってクラスメイトの加勢をするぞ。司令塔の俺たちが居ないせいでパニック状態だ。」
後ろを見れば、今にも押し込まれそうなクラスメイト達の姿がある。騎士団が居なければ持ちこたえることすらできていなかったであろろうそれを見て、雫達は頷く。
「そうね。早く行きましょう。」
4人の幼馴染たちと騎士団の面々は、クラスメイト達の方へと走り出した。
……が、
こちらに向けて走ってくるハジメを見て、香織が動揺し脚を止めてしまう。
「光輝くん!何でハジメくんがこっちに来るの!?」
「作戦だ。俺たちがクラスメイト達を守り、あいつがデカブツの相手をする。」
今の自分たちでは、純粋な力押しでベヒモスには勝てない。ならば、自分達をあっと驚かせるような武器や知恵を使って戦うハジメのほうがベヒモスの相手には向いていると考えていた。
「じゃあ私は戻る!」
「馬鹿言うな。君にはクラスメイトや騎士団の回復をしてもらう必要がある。」
「でも!」
「でもじゃない。」
しかし光輝の言葉の理由が分からないのかイヤイヤと駄々をこねる彼女に光輝が睨みを効かせてピシャリと言い放つ。
「君が勝手な行動をすれば作戦は通用しなくなり、南雲も死ぬことになる。気持ちが分からなくもないが今はこっちに従え。」
その正論にに彼女は泣きそうになりながらも頷き、クラスメイト達の方へと向かってまた走り出した。
ぐんぐんハジメとの距離は小さくなっていき、ついにすれ違うその時、光輝は小声で「任せたぞ。」と言って、ハジメの横を走り抜けていった。
「任された」
ハジメは手始めに錬成を行い、ベヒモスの四肢を石橋に埋めてしまう。アキレス腱を負傷した上先制攻撃だったこともあり、ベヒモスは全く反応できずにきれいに橋の中に足がハマってしまう。更に、よく見ると分かるが埋まった足には錬成で形成した鋭い棘が突き刺さっており、凄まじい激痛がベヒモスの行動を更に制限し、悲鳴を上げることしかできない。
「グオオオオオオオ!!」
「悪いね。君に恨みはないんだけど……」
ジャキリ
銃をベヒモスの眼球に突きつけるハジメ。
パンッパンッ!
一発、弾丸がベヒモスの眼球を貫き頭蓋骨にひびが入る。
二発、頭蓋骨を貫き肉をえぐる。
「Ciao」
パンッ!
そして三発目。寸分違わず一発目とニ発目が命中した場所に放たれた弾丸は、肉を裂き、脳へと到達する。
「¿®§‡¤‼«≯∑∧∷α!!?」
あまりの激痛、そして脳へのダメージによって、元の威圧感のある咆哮からは想像もつかないような気色の悪い叫び声を上げるベヒモス。
しかしその生命力は凄まじく、しばらくのたうち回り藻掻いていたベヒモスだったが、とうとう最後は力尽き、力無く石橋の冷たい地面へと横たわった。
あまりに呆気ない決着に、それを見ていた騎士団の面々は唖然とした顔でハジメを見る。
「……殺した本人が言うのもアレだけど、まあ、ゆっくり休みな。」
ハジメはベヒモスに近寄るとそう呟き、くるりと方向を変えてクラスメイト達の方へと振り返る。そして、色々面倒臭くなりそうだ、などとぼやきながらクラスメイトたちの方へ戻ろうとした。
その時だった。
「ッ?!」
暫く忘れていた感覚が、ハジメの全身を駆け回る。全身の毛がぞわりと逆立つ。
彼はバッと顔を上げ、辺りを見回す。
(何処に?!何処にいる!!)
彼はその感覚を頼りに必死に何かを探す。その顔は今までの飄々とした余裕のあるものではなく、得物を探す肉食獣のように鋭く、かつひどく緊張感に包まれている。
(………ッ)
「そこか!」
ギロリ
彼の真紅の瞳がとある一点を睨みつける。そこにいるのは騎士団の一人の男性騎士。
その騎士は、戦いの最中だと言うにも関わらず、手にした剣をだらりと下ろし、ぼんやりとした顔で虚空を見つめている。
不味い。ハジメは駆け出す。
そこへ、心配したのかもう一人の騎士が近づき声をかけようとし
ズシャリ
崩れ落ちる体。響き渡る悲鳴。
「ハァ、ハァ、ア“ア“ア“………』
仲間を切り裂いたその騎士は、苦しそうに、藻掻く様に、体中をかきむしり、奇声を上げる。
グジュリ
グジュリグジュリ
グジュリグジュリグジュリ
『あ、ア“ア“ア“AAAAAAA……』
更に、掻きむしった傷からドス黒い泥のようなものが滲み出し、その体を覆い隠していく。
シュゥゥウウ……ドウッッ!!
『フー!!フー!!!』
泥の塊から吹き出す高温の蒸気。そして強力な爆弾でも爆発したかのような衝撃波と熱が、共に周囲を薙ぎ払い土埃を舞い上げる
「嫌な予想ってもんはよく当たるんだな。クソッ!」
ハジメは苦々しい顔をしながら、その爆心地を睨みつける
『GYAAAAAOOOOOO!!!!』
咆哮。それと共に晴れた土煙の中から姿を表す一体の異形。その姿は、まるで今しがたハジメが仕留めたベヒモスを人型にしたような、そんな風貌をしている。
ハジメはその異形の姿を見て、顔を歪めこう呟いた。
―ネオ―
すみません。ちょーっと長くなり過ぎそうなので、前編と後編に分けます。では次回も生暖かい目で応援よろしくお願いします。
オリジンに強化フォームは必要か否か。
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必要
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不必要