STAR BEAT!~地球を撃ち抜く瞬間に~ 作:ナナバナナ
「んあ…あれ?」
目が覚めると俺は知らない部屋にいた。……頭が凄く痛い。最悪の気分である。薄暗い部屋にポツンと明かりが一つ、俺を照らしている。寝起きから頭が回り始めて、思考がクリアになり、俺はやっと自分の身に何が起きたのかを思い出す。
「そうだ…!俺は誰かに襲われて―。」
学校の帰り道、いつもと同じ道を帰っていたら後ろから誰かに頭を殴られて気を失っていたんだ。どおりで頭が痛むわけだ。
慌てて立ち上がろうとするものの、それはできなかった。それもそのはず、俺は何者かによって座らされていた椅子にロープで体を括りつけられていたからだ。
「くっそ、何で俺がこんな目に…誰かあああ助けてぇぇぇ!!」
もう訳わかんなすぎて泣きそう。助けてください!何でもしますから!(何でもするとは言ってない)
「やっと起きたか?」
「やった!助かった!」
「残念だったな、俺がお前を襲った犯人だ☆」
「マジかよ…」
現実は非情である。チクショウメー!!!!!!!!(総統閣下並感)
声のするほうを見ると、全身に血を浴びたかのようなワインカラーのボディに、水色のクリスタルのような物でベネチアンマスクのように目を覆っていて、胸部にも同じ素材でコブラの装飾を施した男が壁に寄りかかっていた。
そしてそいつのことを俺は知っていた。
「ブラッドスタークじゃん…」
そう、そいつは仮面ライダービルドに登場するラスボスにして全ての黒幕、ブラッドスターク(本名エボルト)だったのだ!どっちで呼べばいいのかな俺?
「おっ、俺のこと知ってんのか。うれしいねぇ〜。」
「なにこれ、ドッキリ番組か何かか?」
「おいおい失礼しちゃうぜ。俺は本物のブラッドスタークだぜ?お前たちの知ってる『仮面ライダービルド』の世界からやってきた”ホンモノ”さ。」
「あぁ、そういう設定…」
パァン!
そこまで言いかけて、俺のつま先スレスレの床から煙がたった。どうやらやつの持っているトランスチームガンはおもちゃではないらしい。
「マジかよ…」
「ジョークでもフィクションでもない、現実さ。」
「ありえない…一体どうやって?」
「あーなんて言えばいいかな…端的に言えば”想いの力”ってやつかな?」
「オモイノチカラ?」
こいつってそんなロマンチストだっけ。そう思ったのも束の間、スタークは俺を指さしながら説明を続けた。
「お前たちこの世界の人間は『仮面ライダービルド』という物語を作り出した。その物語を見た人間達が、ビルドの世界に行ってみたいだとか、もし自分が仮面ライダービルドの世界の住人だったら、なんて想像をして、その思いが蓄積されて仮面ライダービルドの世界ができちまったって訳よ。」
「……つまり並行世界みたいなものか?」
「まぁそんなところだ。物語の数だけ、人の願いの数だけ世界は無数に存在するわけだ。そしてそこからまた更に並行世界が存在する。」
「?」
「言い方が悪かったか?簡単に言うと『仮面ライダービルド』の世界は何千もあるんだよ。」
「その感じだとお前は戦兎達との戦いから逃げて来たエボルトってことか?」
俺が何となくそう聞いてみると、奴は興奮した口調でこう続けた。
「いいや違うね、俺は勝ったんだよ。」
「勝っただと……?」
「そう!俺は勝ったのさ!俺は他の世界の俺たちとは違う!俺は油断しなかった、慢心もしなかった!俺は何千もあるビルドの世界の中で唯一仮面ライダーたちに勝利した存在なのさ!」
「驚いた、戦兎達が負けた世界線も存在するのか……。」
「地球を吸収した後俺は多くの星を吸収した。そして惑星のエネルギーのほぼ全てを使ってこの『仮面ライダービルドがフィクションの世界線』にやって来たのさ。」
俺はスタークの話を一通り聞いて少し考えた。こいつが嘘を言っていて実はよく出来たスーツと銃を作った頭のおかしい(褒め言葉)の特撮オタクの可能性や、ドッキリの企画なのかとも考えたが、なぜだかこいつの話は嘘じゃない気がした。いや、ほんとに直感的で言葉にはできないんだけど。
…だが一つだけわからない点がある。俺はそれをはっきりさせるための質問をしなければならない。
「…お前がこの世界に来た目的はこの『仮面ライダーがフィクションの世界線』の地球を吸収するってことかな?」
「いいや?違うね。まぁ最終的には此処の地球も吸収したいところではあるんだが…それ以上にやりたいことがある。」
「やりたい事?」
「そうさ。そのやりたい事にお前は必要不可欠なのさ。」
「わかった!家族ごっこ!」
「残念不正解。それはもう散々やったからもうやらん。…お前にやってもらいことがあるからわざわざ誘拐までして此処まで連れて来たんだよ。」
「お?もしかして聞けちゃう?俺がこんな酷い目にあってる訳。」
「聞けちゃう聞けちゃう☆…まずはこれを見て欲しい。」
スタークはそう言うと、どこからともなくスマホを取り出してアプリを起動させた。
\ブ○モ!/
\クラフト○ッグ!/
\バンドリ!ガールズバンドパーティー!/
………
……
…
はぁ?
え、何こいつまさかソシャゲを一緒にプレイするためだけに俺のこと攫って椅子に縛り上げてんの?後ろから俺の頭かち割ってまでやりたいことがソシャゲ??別の世界線にまで来てやりたい事がソシャゲ???なーにがバンドリ!ガールズバンドパーティー!(声真似)じゃい、てめぇら二度とバンド活動ができないようにしてやるぞ?(過激派)
スタークは脳内でキレ散らかしてる俺の事をお構い無しで説明を続けた。
「お前にはこの『バンドリ!ガールズバンドパーティー!』の世界に転生してもらう!」
「俺このゲームやったことないんだけど…」
「マジかよ、音ゲーやらないタイプの人間か君?結構売れてるゲームのはずなんだけどなぁ…」
どうやら一緒にゲームしよ?という訳では無さそうだ。…それよりもヤバいワードが聞こえた気がするのは気のせいかな?転生しろとか言われた気がするけどさすがに聞き間違いか!(現実逃避)
「まぁ向こうでやって欲しいことはバンドリ!を知らなくてもできることから問題ないか。」
「別の世界に転生までさせてさらにまだやって欲しいことまであるんすか…?」
「ああ、お前はこの俺様、ブラットスタークとして転生して『バンドリ!』の世界をぶち壊す。簡単なことだろ?」
「自分が簡単にできることはみんなも簡単にできるって考え方、やめた方がいいよ。」
スタークに今後役立つであろう知識を教えつつ、俺は言われたことを頭の中で整理する。ここまでの話をまとめるとこいつは並行世界からやってきた存在で、俺に別のゲームの世界に行って来て欲しいという。
…だめだ、俺が今こんな目にあってる理由がわかるかと思ったらさらにわからんことが増えただけだった。…一応理由を聞けるだけ聞いておこうかな。
「なんで自分でやらないんだ…?めんどくさくなっちゃったとか?」
「あぁ、それは俺がこの世界から出られないように制限されているからだな。折角手に入れた『並行世界を旅する能力』も満足に使えないんだよ。まぁもし仮に使えたとしても今は力が残ってないからどっちみち無理なんだけどな。」
「移動を制限されてる…?一体誰に?」
「ん〜〜、一言で表すならこの世界の神様かな?」
なんと、この世界にも神様なんてスピリチュアルなものが存在するとは。今まで神とか幽霊とか信じてなかったけどこれを機にそういったものを信じることになりそうだな。
…というか神様これ見てるんじゃないの?なんか天界みたいなとこから。神様お願いです、今俺たちを見てるなら目の前にいるこの世界への不法侵入者を聖なるパワー?で取り締まってくださいお願いします。カミサマァ……(懇願)
「あともう一個聞きたいことがあるんだけど。」
「言ってみな、答えれる範囲なら答えてやるよ。」
「なんで『バンドリ!』なの?他にも色々な物語はあるだろ?それこそ仮面ライダービルド以外の仮面ライダーシリーズとか。このチョイスは単なるお前の趣味なのか?」
「ああそれね。お前に『バンドリ!』の世界に行ってもらうのにはちゃんとした理由があるんだよ。」
「その理由とは〜?」
「それはな…『バンドリ!』の世界から強大なエネルギーを感じとったからだよ。それこそ俺が今まで吸収してきた惑星なんか比べ物にならないほどのな。」
なるほど、だいたいわかった。(某破壊者)要はスタークのお使いって訳だ。俺はバンドリ!の世界に転生してスタークの代わりにその強大なエネルギーとやらを取って来ればいいわけだ。
…あれそうしたらこの世界も終わるんじゃ「あと向こうの世界に行ったら君帰って来れないからね。」あれま(´•ω•̥`)
「まぁ並行世界に移動できないなら、周りの適当な星を食べつつ人間が地球を侵略するところを観戦でもしてみようかなって気まぐれよ。連戦続きだったしそういった楽しみ方も悪くないかなって思ってな。」
「極めて生命に対する冒涜のような何かを感じる。」
「お前達人間が虫かごの中のカマキリを観察するのと一緒さ。」
「まるで自由研究だな。」
「いいや、育成ゲームさ。」
「…そうゆうことにしとく。」
ゲーム感覚で俺を並行世界に飛ばすのは気に入らないが、まぁここで死ねぇ!とかされる訳じゃなさそうなのでそこは少し安心してる。いや安心はできないな。
「というわけで『バンドリ!』の世界の地球を君に吸収して欲しいんだ!あれほどのエネルギーだ…吸収したお前はきっと俺を超える最強の地球外生命体になれるはずだ!」
「まだやりますって言ってないですよね、俺?」
「…は、何言ってんだ?転生確定だよ?」
「やだ。」
「ダメ。きまり。」
「……わかりましたよ!ここに縛られてる時点でなんとなく俺に拒否権ないのはわかってました!」
「そうか!君ならそう言ってくれると思ったよ!」
くそ…俺に選択の余地はないのか…最悪だ。まぁエボルト自身は『バンドリ!』の世界に来れないらしいし?地球への侵略行為はサボってしまえばいいのでは?(IQ200)
「因みにもし地球を滅ぼそうとする行為が見られなかったらお前の家族友人の命はないからな、しっかりやれよ。」
「ぬ゙ゔゔん」(IQ3)
俺がサボれないように人質を取るだなんて流石ラスボス、やり口が汚い。こうなった俺に拒否する選択肢は無い、向こうの世界の皆ほんまごめん。
「精一杯頑張ってきます!エボルト様万歳!万歳!」
「良い心意気だ!早速転生の準備をしよう!まずは1週間の拷問からだ!」
「は、何で?」
「何でって、こういった転生物は主人公が不幸な目に合うところから始まる物なんだろ?漫画やアニメでちゃんと勉強したんだぞ。ほらムカデもあるよ。」ムカデチャンウネウネ
「いや転生っていうか強制転移と言いますか…おいこっち来んな!ふざけんな!嫌だ!嫌だ!話せば分かる!俺の傍に近寄るなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
~One week later~
「1週間お疲れ様☆早速転生してもらうけど準備OK?」
「それじゃあこのコブラフルボトルを持って世界を移動してもらうぞ。」
何でコイツがさっきから1人で喋ってるかわかる?正解は俺が拷問で体が半壊してて喋れないからでした(笑)まぁこれ以上はグロいからなしで。
スタークが手をかざすと、目の前に銀色のオーロラのようなものが現れた。そして、俺はそのオーロラの中に無造作に放り込まれた。もうちょい丁寧に扱って欲しいなー。見下ろしているスタークを目に映していたが、残念ながら俺の意識は途絶えてしまった。
「クク…健闘を祈るよ…少年。」
音ゲーやるタイプのエボルトとか嫌だと思った