花海陽菜は、実を言うとサヴァン症候群である。
彼女はある事を気にしている。
「体育祭のキラキラ…か。
実際に、光を放っている訳でもないのに、
そう、思ったり、見えたりするのも、
興味深いな…そう言えば、気になる事があった」
直接的な関係こそ無いが、ある事に関心があった。
それは恋だ。
「以前から気になっていた、恋というのは、摩訶不思議な現象だ。
だが、私にとっては、かけ離れすぎて、
恋そのものの実態が、わからないそうだ」
陽菜は、ある人物に、恋について、
教わりたいと言った。
その相手は…
「どうして、私…?」
どういう訳か、現役のアイドルである、桐谷遥である。
「アイドルは、恋をしないのか?」
「いや、アイドルは基本、恋愛したら、ダメだから」
「そうなのか?」
「そうだよ。恋愛禁止」
「そうか、遥も恋をしたことが無いのか?」
「うーん、したこと無いよ?
中学の時から、女子校だったし、
今まで、そういう事が無かったから」
「そうだったのか。
恋に近い感情がわかれば、理解が出来るのだが…」
「でも、ここは女子校だから、出会いは少ないよ?
でも、近い感情か…例えるなら、どんな気持ちだろう…?」
と、遥が考え出す。
すると…
「夢中になる事かな?」
「なるほど、その気持ちなら、わかるはずだ。
研究に没頭していると、食事の時間も惜しい」
「そ、そこまでは、ダメだからね?
ちゃんと、花海さん、ご飯、食べてる?」
「一日に、二食くらいは、食べている。
一食の時なんて、ざらだ」
「ちゃんと、食べてね…?」
「あぁ、気を付ける。
それにしてもだ、他の事に手が付けられなくなる気持ち…か。
それが、人に向くかどうかの違いと思えば、
何となくわかりそうな気がするな」
「実際に、恋をするようになったら、
それが、わかるかもしれないね、好きな人とかいる?」
「好きな人…?」
陽菜は、思い巡らせ、こう言った。
「えむと寧々だ」
「それは…友達か親友だと思う」
「他人との、交流を通じて、
人との交流を考えることがあってね」
「えっ?」
「今まで、目の前の事柄や出来事、
人の行動や言動しか、見えていなかったから、
それらには、個々の人の背景や思惑がある。
そういった、背景や思惑も、同時に考えるようになると、
より深く、他人を理解出来るのかも知れないと、
私は、感じた」
「うん、それで、合っていると思う。
どうして、こんなことになるの?
って、話を聞くうちに、わかってくるかもしれないし!
その行動や理由の繋がりを納得出来たら、
相手の気持ちや感情を理解できたってことに、
なるかもしれないね」
「そうなのか?遥は、無意識に、
人を、よく見ているな」
「そう…かな?」
「私とは全然違う」
「そんなこと無いと思うけど…」
陽菜の知的好奇心は、満たされつつあった。