ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

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お気に入り100件突破!?評価9追加でバーに色ついた!?感想も来たああ!!
な…何があったし……(震)
皆さんありがとう!もう感無量です!これからもこの作品をよろしくお願いします!!

今回は番外編。戦闘シーンを書いてみました。ちょっと日常を書きすぎて腕がなまってるかも……変なとこあったらじゃんじゃん送ってください!

今回はいつもより長めです。時間がある時に読んでいただけると。



番外編
番外編1 夢中の死闘


夢と現実の狭間。そこに君臨するは生きとし生けるものの王。

 

配下の魔王を使い、着実に世界を手中に収めようとしていた幻魔王デスタムーアは、突如目の前に現れた者たちに驚きを隠せずにいた。

 

「な、なんじゃ、お前たちは!?」

 

自分が好きに泳がせていた、いずれ戦うのであろうと思っていた勇者一行と、見るだけで悪寒が止まらない神威を放つ巨漢。

 

どうやって此処へ?その怪物はなんだ?

 

未だ疑問の尽きない幻魔王を置いて、巨漢は勇者たちへと話しかけた。

 

「この者を倒せば良いのだな?……ふむ、なるほど。これは容易い事だな」

「な、何を言っているのだ愚か者どもめ!思い知るがいいっ!!」

 

あまりにも無礼な言葉にデスタムーアは激怒した。右手を巨漢に向けると、右手側に浮かんでいた玉が突如燃え盛り巨漢へと放たれる。

 

中位の魔物程度ならば灰すら残らない火炎弾。それを巨漢は何もせずに受け入れた。

 

ニヤリと笑う。この攻撃を受けた者はどんなに強き者であろうと手傷は免れない。爆発するように広がった火炎は、巨漢を飲み込み━━━━━巨漢の腕のひと薙ぎで消え去った。

 

「な、なんだと!?ならば、これならどうじゃ!」

 

左手をあげると、左手側の玉が凄まじい冷気をまき散らしながら巨漢へと放たれる。これも中位程度の魔物であればたちまち氷のオブジェに変わってしまう冷気だ。

 

しかし、この怪物には意味の無いものだった。

 

なんと、巨漢は冷気を受け止め、デスタムーアへと投げ返した!投げられた冷気弾は巨漢の魔力によりさらに強力なものとなってデスタムーアに直撃する。

 

「グホォッ!?おのれ…おのれぇぇぇっ!!」

 

デスタムーアは対象を魔力の爆発で飲み込む呪文、イオナズンを唱えた。大魔王の魔力によって呪文は暴走し、辺り一面を吹き飛ばしていく。

 

「ハッハッハっ!なかなか心地よい魔力だ。ああ、私としたことが名乗るのを忘れていたな。私は破壊と殺戮の神、魔神ダークドレアムなり。この興が面白いものとなることを期待しよう」

「ぐ…ぬぬ……ダークドレアム、だと?貴様、噂に聞く悪夢と破壊を司る魔神か!わしが相手にせぬと決めておった存在が、まさかこの世界に顕現しておったとは…!」

 

幻魔王が司るのは夢と生。幻を見せ、生命を意のままに弄ぶことができる。が、しかしこの巨漢……魔神ダークドレアムはそれに対しこれ以上ない天敵となっていた。

 

しかし、これに怖気付いていてはデスタムーアの名が廃る。自分は数多の存在の頂点に立つ大魔王。幻魔王デスタムーアなのだ。

 

「く…くくっ!ならば悪夢ごと飲み込むだけよ!貴様はここで、わしに倒されるがよいわ!!」

 

デスタムーアは身を震わせ冷たく輝く息を吐き出す。かの大魔王までとはいかずとも、その威力は最高クラスのものだ。

 

しかし、この悪夢には関係ない。ダークドレアムは かがやくいき をくらうも涼しげにしている。

 

「ぬんっ!」

 

ダークドレアムは手から燃え盛る火炎を生み出し、デスタムーアへと放った。その威力はデスタムーアの権能を食い破り、想像を絶する威力へと変換される。

 

「ぐ…ぎゃあああっっ!!!??」

 

一瞬にしてデスタムーアが灰と化していく。よろよろと浮かぶデスタムーアは、荒い息を吐きながら2つの玉を頭上へと移した。

 

「ハァ…ハァ…や、やはりジジイの姿では失礼だったようだな…」

 

2つの玉は溶け、合体しデスタムーアを包み込む。グニャグニャと蠢いたあと、巨大な怪物へと姿を変えた。

 

身の丈ほどの巨大な翼、自身よりも長い尻尾、棘が所々に生えている筋肉質な体。デスタムーアの第2形態である。

 

「では、これならどうかな?」

 

その巨体で、肩をいからせながら突進する。しかし、ダークドレアムは吹き飛ぶどころか1ミリも動かない。

 

デスタムーアは防御力を低下させる呪文、ルカナンを唱えた。しかし、ダークドレアムには効いていない。

 

デスタムーアは灼熱の炎を吐き出した。しかし、やはりこれもダークドレアムには通用しない。ダークドレアムはおいかぜを起こし、炎を跳ね返した。

 

「グホォッ!?ぐ…かくなるうえは……!」

 

デスタムーアは防御力を上昇させる呪文スカラを2度かけ、攻撃力を上昇させる呪文バイキルトをかけて突進した。

 

他の大魔王でさえ、この一撃には手を焼くだろう。デスタムーアも、これならばダメージを負わすことは出来るだろうと確信していた。

 

しかし、その期待は裏切られる事となる。それも最悪な形で。

 

デスタムーアの突進をダークドレアムは鼻で笑い、全身から凄まじいオーラを放った。

 

「うぎゃあっ!!!?」

 

デスタムーアは、放たれたオーラに吹き飛ばされ、仰向けに倒れてしまう。と、体が突然点滅し、頭と手を残して消滅してしまった。オーラによるダメージは幻魔王の肉体を蝕み破壊してしまったのだ。

 

「ぐ…ごほっ!お…の…れぇ……」

「……もう終わりか。その勝てぬと知りながらも、おのれの誇りを守らんがために向かってくる姿はよきものだった。だが、やはりこの相性を返すことは不可能だ。他の悪夢や破壊の化身ならばともかく、この私を倒すことなどできん」

「がふっ!……何か、方法は……こ奴に一泡吹かせるような……っ!!この波動は…あやつめ、神による他の世界での役割を終えて、眠りにつきよったか!これは好都合よ!!」

「…?何を……」

 

デスタムーアは両手を浮かばせ、次元を引き裂いた。そして裂かれた次元の歪みに手を突っ込み、何かを引っ張り出すと投げ捨てる。

 

「グ……ゴォッ!?なんだ…いったい……」

 

それは他の世界で猛威を振るう大魔王。デスタムーアの友にして、進化の秘法によって記憶を無くしていた男だった。

 

彼の名はエスターク。無限に進化を続ける地獄の帝王である。

 

「グゴゴゴ……何奴だ、我が眠りを妨げるものは…!」

「エスターク!無事か!?」

「ぬ…貴様は…?」

「覚えておらぬか?わしはデスタムーア!貴様の友じゃ!そら見ろ!あ奴が攻撃し、貴様の眠りを邪魔したのだ!」

「……増援か」

 

ダークドレアムは双頭剣を構える。デスタムーアには自分の性質が上手く噛み合ったため蹂躙できたが、地獄の帝王にはそれが当てはまらない。己の力で倒さなければならないのだ。

 

「汚いぞデスタムーア!」

「む……?貴様、勇者!よくもこのような怪物を連れてきてくれたな!!おかげでわしの体をボロボロにされるどころか、地獄の帝王を呼び出すはめになったわ!貴様らは絶対に許しはせん!どれ、お前たちの体を引き裂き、はらわたを喰らい尽くしてやろうぞ!!」

 

デスタムーアの両手と頭が巨大化する。勇者一行と幻魔王はそのまま最終決戦へともつれ込むのであった。

 

一方、怪物2人は互いに得物を構え、静かに探りあっていた。

 

「グゴゴゴ……貴様が、我の眠りを妨げたのか。我が眠りを妨げる者は、誰であろうと許さん!我が名はエスターク、地獄の帝王!!」

「ふむ、これは面白い。あまりにも退屈だったところだ。私の名はダークドレアム。破壊と殺戮、そして悪夢を司る魔神なり!地獄の帝王とやら、いざ尋常に勝負だ!!」

 

―ギガスローッ!!

 

ダークドレアムは自身へギガデインを打ち込む。その雷を剣で受け止め、纏わせるとエスタークへと投擲。くるくると回りながら、雷をまとった双頭剣は地面を裂きながら迫る。

 

エスタークは右手の剣を構え、真上に打ち上げた。そして、大きく跳んでダークドレアムへと双剣を振り下ろす。

 

―たたきつぶしッ!!

 

ダークドレアムは打ち上げられた剣を手に瞬間移動させ、エスタークの振り下ろしを受け止める。すると、ダークドレアムの防御力が下がった。エスタークの魔力が流れている双剣による たたきつぶし の効果だ。

 

ダークドレアムは地面へと力を受け流し捌くと、振り下ろした姿勢となったエスタークに斬りかかった。

 

しかし、エスタークは魔力を暴走させ自身の周囲へ解き放ち、ダークドレアムを遠ざけた。

 

「素晴らしい!あの粗末な召喚式によって十分な力が出せぬとはいえ、この私を相手に1歩も譲らぬとは!もっとだ、死合を続けるぞ!」

「グゴゴゴ……強き者との闘争は久方ぶりだ」

 

ダークドレアムは剣の中心を分離させ、2振りの剣に変える。片方に炎、もう片方に雷を纏わせ、エスタークへと駆けた。

 

―ジゴスパークッ!!

 

エスタークは迫るダークドレアムへ地獄の雷を放つ。しかし、ダークドレアムはそれを躱しながらエスタークの懐へと入り込んだ。

 

―灼熱火炎斬ッ!!

―ギガブレイクッ!!

 

方や猛り狂う火炎の一閃、方や聖なる雷の一閃。それらはエスタークの肉体を難なく傷つけた。

 

「グゴッ!?グ…ガアアアアッ!!」

 

エスタークは双剣で左右から挟むように打ちつけるも、ダークドレアムは素早く離れて躱す。エスタークは瞑想で傷を回復しながら、ダークドレアムを睨みつけた。

 

ダークドレアムは驚いていた。自分の放った渾身の一撃。それらが傷を付けさえすれど、そのまま振り抜くことかなわず肉体の途中で止まったのだ。異常なほどの耐久力、そして破壊力。今の自分が勝っているのは、せいぜい手数と俊敏性ぐらいか。

 

エスタークはダークドレアムを警戒しながらも次の手を考えていた。自分の攻撃の方がまだ上だ。しかし、どんなに威力が高い攻撃も当たらなければ意味は無い。ならばどうするか?

 

相手の攻撃を無効にし、己の破壊力を高めればいい。

 

「むうっ!!」

 

―スカラ×2ッ!

―バイキルト×2ッ!

 

「な…何ッ!?」

 

エスタークは己に防御力上昇の呪文と攻撃力上昇の呪文をかけた。これらの呪文は通常とは違う効果を持つ。通常は、バイキルトならば1度しかかけることは出来ない。しかし、このバイキルト×2はさらに重ねて効果を表す。スカラは2度以上かけることが出来るがこのスカラ×2はそれ以上の効果を発揮する。

 

ならば呪文か息、体技を使えばいい。しかし、エスタークは呪文と息や体技だけで勝てるほど甘くはない。

 

「なるほど、そうきたか」

「グゴゴゴ…さあ、来るがいい」

 

エスタークは両手を広げ、どっしりと構える。ダークドレアムは両手に持つ剣を一つに繋げた。

 

「そう来るならば、私も骨が折れるだろうな。しかし、そのような手は私には効かん!」

「ぬっ…!」

 

ダークドレアムの指から いてつくはどう が放たれた。エスタークにかかっているバイキルトとスカラ、ついでにマホカンタまでもが消え去った。

 

「初めからマホカンタが貼られていたのは分かっていた。魔力の流れでな。そのような大魔王の噂を聞いていたが、たしか魔界の王とやらではなかったか?」

「グゴゴゴ……魔界の王、か。我を配下にしようとして結局は諦めた愚か者よ。我は真似でもなんでもない、ただこうしているだけだ」

「そうか……ならば、私も小細工をさせてもらうぞ」

 

―あやしいひとみ

 

ダークドレアムの目が妖しく光る。その光を向けられたエスタークはたちまち眠ってしまった。

 

「ふふふ…まさか眠りに耐性がないとはな。先にしたのは貴様の方だ、悪くは思うなよ」

 

ダークドレアムは剣に雷を纏わせながら近づいていく。ぐうぐうと立ちながら眠るエスタークは、そのことに全く反応を示さない。

 

ダークドレアムがエスタークの目前にまで迫り、剣を振り下ろした。瞬間、エスタークが輝いた!!

 

「な、何ッ!?」

 

―あやしいひかり

―ねがえり

 

エスタークの体から妖しい魔力の光が放たれ、ダークドレアムの剣を弾いた。そして、エスタークが眠りながらやたらめったらに剣を振り回す。

 

「く、グハッ!」

 

エスタークは眠っている。眠っているが故にその剣筋が全くと言っていいほど読めない。右へ行ったかと思えば下から切り上げられ、左へ行ったかと思えば突きがくる。反撃しようにも、頻繁にエスタークの体から あやしいひかり が放たれ、剣や体が弾かれてしまう。

 

「ま、まさか悪手だったとは!」

 

しかし、寝ている今が最大のチャンスであることに変わりはない。ダークドレアムは離れ、剣を再び分離させると聖なる祈りの力を剣に込めた。

 

対してエスタークは眠りながら何も無い場所に剣を振り下ろしている。当たり前だ、あれはただの寝返りなのだから。

 

「ぉぉおおおおおッ!!!」

 

剣に白く神々しい光が灯る。ダークドレアムはそれらを十字に斬り放った。

 

―グランドクロスッ!!

 

十字の巨大な斬撃がエスタークに迫る。聖なる技である グランドクロス であれば、魔族であるエスタークには致命的なダメージを負わせられるはずだ。幸いエスタークは見当違いの場所を向いていた。決まる!そうダークドレアムは確信した。

 

 

 

 

 

 

―真・完全覚醒

 

グランドクロスは突如方向を変え、ダークドレアムへと猛進した。

 

「な…何ィィイイッ!!?」

 

意表を突かれたダークドレアムはグランドクロスをもろに喰らい、2人の戦闘により近くに出ていた岩にぶち当たった。

 

「ぐ、何が……なっ!?」

 

顔を上げたダークドレアムの目前には、灼熱の炎と凍てつく冷気を纏わせた双剣があった。

 

―大氷炎の斬滅剣ッ!!

 

双剣による連続斬りがダークドレアムを打ち据えた。数十による連撃を叩き込み、最後にエスタークは双剣を振り上げ、最後の力を振り絞りダークドレアムへと振り下ろす。

 

巨大な魔力の爆発によって、ダークドレアムはその身を徐々に削られながらも叫んだ。

 

「フ……フハハハハハッ!!完敗だ!素晴らしき力だ!この私が、たった1人に倒されてしまうとは!しかし、私は不滅の魔神なり!いつかまた、相見えようぞ。我が好敵手(とも)よ!!」

 

満足気に笑いながら、ダークドレアムは消滅し悪夢の世界へと帰って行った。

 

「グゴゴゴ……」

 

エスタークはフラフラと揺れながら、双剣を落とした。真・完全覚醒は、エスタークの奥の手であり、最後の切り札。その身にかかる負荷は想像を絶する。瞑想で回復した傷がまた開き、筋肉が所々裂けている。エスタークは体の修復、力の回復のために眠りについた。

 

エスタークが光に包まれ、元の場所へと帰っていく。いずれ、また帝王は他の神によって異世界の試練として使われるだろう。静かに微睡みながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グギギギ……な、なぜだ……この私がこんなムシケラ共に敗れてしまうとは……い、意識が薄れてゆく……わ、私の世界が……崩れ……グハッ!!」

「倒した……大魔王を倒したぞーッ!!!」

 

一方その頃、幻魔王デスタムーアは勇者一行にちゃっかり敗れ、世界に平和が訪れたのだった。

 

 

 




疲れた……今回は5740文字。いつもの二倍だぁ!?

あれ、デスタムーアとダークドレアムってこんなキャラだったっけ……。タグにキャラ崩壊ってあるからこんな感じでも大丈夫なはず(震)

時系列ですが、大魔王たちは時の砂などのアイテムを複数所持し、魔力等を用いて時空を渡ることなども可能な超常の存在として捉えていただければ。星のドラゴンクエストとかだとだいぶそこら辺はっちゃけてたりするので、それに習ってこの作品もはっちゃけてます。

何か変な所、誤字脱字があれば、活動報告や感想にお願いします。

評価や感想もお待ちしております〜。

次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)

  • 戦闘回
  • 日常回(魔界)
  • ギャグ回

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