ドラゴンクエストとゆらぎ荘の幽奈さんという、突飛な組み合わせですので、呼んでくれる人いるかなぁと心配でした。嬉しくてニコニコが止まりません。
これからもどうぞ、よろしくお願いします!
温泉だ……この世界に来て、初めてのお風呂。川以来の身を清める至高の時間…!
小さめの木、青い大空、岩に囲まれたにごり湯。気のせいか、花のような優しい匂いも感じる。
あぁ、この和風な感じ……実に、実に懐かしい。すぐに肩まで温泉に浸かり、今までの疲れをとりたいところだが、まずは体を洗わなければ。
長いホームレス生活によって髪は固まり、体は少し黒い色に見える。大丈夫だろうか、魔界にいた時のような妖魔の姿に戻れるのか?基本的に妖魔という種族はエルフのように美形で知られている。これでも魔界では美しさも有名だった帝王様。長い間手入れが出来ない生活を送っていたため、戻れないとなるとかなりショックだ。部下からも変な目で見られるに違いない。
……と、いやいやなにを扉の前でグチグチ悩んでるんだ。そんなに悩む暇があったら身体の汚れを落とすのが先だろうバカめ。
風呂椅子に座り、白い石鹸を……石鹸?そういえば、さっきからしていた花の香りはコレか。魔界では、風呂はもはや作業のようなものだったから、こういった日用品の開発はあまりやってなかったな。身体の手入れも、基本は魔法陣か術式の刻まれた櫛やブラシ、タオルで充分だったからなぁ。
……って、また私は。まったく、目の前のことに気を回さず、ほかのことを延々と考えるとは……久しぶりの風呂で少し心情がおかしくなっているな。早く汚れを落としてしまおう。
シャンプーで、固まった長い髪をほぐしながら洗う。絡まっている部分はより一層、優しく丁寧に洗わなければ色々と大変なことになるため細心の注意を払いながらほぐしていく。うん、元の金色に戻ってきたな。
さて、次は顔だな。石鹸を手で泡立て、手の泡を顔に塗るようにして洗っていく。耳の裏や中まで、隅から隅まで優しく洗い、少しの間そのままにしておく。あとは流せば…よし、サッパリ。
最後は体だ。まずはお湯で身体全体を軽く温めつつ湿らせ、柔らかいタオルで泡立てる。同じところを何回も洗い、手ごわいところは強めに、しかし硬い部分は避ける。やりすぎて肌に傷がついたりすると、ロザリーやカルマッソあたりに目ざとく追求されそうだ。いや、ホームレス生活していたこと自体、知られてはいけない。
「さぁ、お待ちかねの温泉タイムだな。久しぶりにゆっくり出来そうだ」
にごり湯の中にゆっくりと浸かり、肩が少し出る程度まで沈む。おっさんのような声が出そうになったが、それだけは何とか回避した。帝王にもなってそんな声を出してしまうのはいただけない。そも、妖魔のこの姿に似合わない。自身の声とはいえ聞きたくない。
「はぁ……やはり風呂はいいものだな。今までの疲れやらが全部吹っ飛んだ」
『風呂は体だけじゃなくて心の汚れも落としてくれる』
前世のアニメ映画でそんなセリフがあったなぁ。うん、その通りだ。疲れがとれてリラックス、凝り固まった考えや偏見も全部洗い流してくれる。だから、臭いと言われてしまった辛い記憶も、水に……いや、お湯に流してしまおう…ぐすっ。
「襲撃の不安がないゆったりとした風呂は初めてだな…」
魔界にいた頃は、四六時中ずっと他勢力の襲撃を警戒していたからな。トイレ中に来た時は、ドラクエ界の上杉謙信になってたまるかと奮闘したものだ……良くない思い出だ。別のことを考えよう。
そういえば、風呂で温まりながらストレッチやマッサージをするとよく筋肉がほぐれるという話があったな。まあ、そんなことをするより動かないまま湯に浸かっていたい気分なのだが。
そんなどうでもいいことを考えられる平和な時間の中で、自分の立てる水音以外の音があった。どうやら、複数人の誰かが脱衣所で喋っているらしい。声からして、おそらくは全員が女性だろう……!?
まずい!このままだとアニメでお馴染みのお風呂ハプニングが起こってしまう!脱衣所に人がいる以上、もう出ることは叶わない……このままだと確実に問題が起きる!
やめてくれ、さきほど 変な発言&臭い事件 があったというのに、ここに来てさらに問題を起こしてみろ!新入居者である私の印象は変人変態の底辺に成り果てる!
『仕事終わりのお風呂が一番よぉ。お酒もあるし、今日はゆっくり出来るわねぇ』
『お疲れ様です。しかし、だからって羽目を外しすぎないでくださいよ?』
『大丈夫よぉ。私だってぇ、自制ぐらいは出来るわよぉ〜?』
二人か!さて、どうする?このままだと鉢合わせて誰だお前からの何見てんだ変態になってしまう。
ルーラで逃げるか?いや、スッポンポンの状態でどこに行けばいいんだよ!
なら、ステルスかレムオルで透明になるか?いや、私が透明になっても温泉に浸かっていたせいで空中に水滴が浮いている、または滴り落ちている怪奇現象が発生してしまう!
トベルーラで空中に逃げるか?外から誰かに見つかりでもしたらそれこそアウトだ!
どうすれば…どうしたらいい……っ!これなら…!
「おっふろぉ〜!………あらぁ?」
「…?どうかしましたか、呑子さ……ん…?」
桃色髪の眼鏡をかけた女性と、紫髪を手裏剣で束ねた少女が入ってきた。そこで最初に目にしたのは、こちらに背を向けながら温泉に入っている男。
「なっ!?誰だ貴様は!ゆらぎ荘に男はいなかったはず!」
「もしかしてぇ、仲居さんが言ってた新しく来た子かしらぁ?これからよろしくねぇ」
「……………………」
2人の声掛けに何も反応を示さない男。それに女性はどうしたのかと頭に?を浮かべ、対し少女の方は、タオルで体を隠しながらもムッと怒りを見せた。
「おい貴様!聞いているのか!?返事ぐらいしたらどうなんだ!」
「……………………」
「ん〜……ん?もしかしてぇ……」
未だ反応を見せない男に対しさらに怒りを抱く少女をよそに、女性はなにかに気づいたのか男の方へと足を進めた。
「の、呑子さん!?そんなに無警戒で近づいたら…!」
「ん〜……あらぁ、やっぱりねぇ。さぎっちゃん大丈夫よぉ。私の思った通りだわぁ」
「はい…?いったい何が大丈…………これは…」
2人が目にした光景。それは、岩を背もたれにして眠りこける男の寝顔だった。
男主人公の体を洗うシーン、細かくしすぎたかな。
小説書くのって難しいですね。今更ながらに実感します。
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まぁ、楽しんで見てくれさえすればこの2つはどうでもいいんですけど。それも、私の文章力にかかってるんですけどね…。
次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)
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