試験があったので投稿に間が空いてしまいました、ごめんなさい。
星々が瞬いている。それらは天の川のように集まり、流れ、黒い渦へと消えていった。そこはまさに宇宙空間。しかし、厳密には違う。宇宙の形態・性質を模した1つの夢世界。
夢と現実の狭間に君臨する生きとし生けるものの王の世界。
「こうして会合するのは久しいのぉ。タークよ」
そして、私の前で2つの玉を肘掛けのようにして浮かんでいる桃色の爺こそ、この世界の主である大魔王━━━━━
《幻魔王デスタムーア》
だが、そんなことはどうでもいい。
憐れな記憶障害爺に
━━━帝王の怒りッ!!
「ぬおおぉぉぉっっ!!!?」
赤く禍々しい魔力を纏った双剣がデスタムーアを襲う。デスタムーアは突然の攻撃に驚愕するも、すぐにワープし双剣を回避した。
「チィっ!外れたかっ!」
「あ…危ないではないか!この形態ではひとたまりもないというのに、いったい何事じゃ!!」
「やはりか貴様!ラプソーンと共に悪戯をし、私の睡眠を妨害した時を忘れたのか!私の眠りを妨げるなと散々注意したというのに性懲りも無く……私の睡眠を邪魔するものは絶対に許さんッ!!」
「そ…そうじゃった!こやつは眠りを妨げられるのを酷く嫌うのであった!」
「今ごろ思い出しても遅いわ引きこもりの臆病者め!!」
「な、何を言うかこの便利魔王!!」
「べ、便利魔王…だと!?なんだその変な渾名は!」
「ちょっとやそっとじゃ起きないから勇者への試練や成長にうってつけだと、異世界の神々が呼んでいた蔑称じゃよ!!」
ま、まさかそのような屈辱を味わっていたとは!いやそれよりも、私をその名で呼んだということは……まさか。
「貴様、なぜその名を知っている?神と接点でもあるか、それとも……」
「ギクッ!な、なんじゃ!わしは何もしとらんぞ!?」
「私が記憶を無くし、寝ていた間にどこかへ転移させたか?」
「は…は……何を根拠に「そういえば、まだ私が記憶をなくしていた時、夢の中で滅びかけていた時があったらしいな」ぐっ!?」
「その反応、何か知っているな?夢の中ということは貴様以外にありえぬからなぁ!」
「あ…と、その…な?勇者が化け物をわしの所に連れて来おってな?やられそうになったから、夢からおぬしに干渉して呼び寄せ、共に化け物と戦ったことがあるのじゃよ…他の魔王に連絡を取る余裕はなかったからのぉ」
『ギガスローッ!!グオォォォ!!』
『たたきつぶしッ!!ハアァァァ!!』
『よし、わしもグボアァァ!?グフッ……』
『今だ!大魔王を討ち取るぞ!!』
『き、貴様らそれでも勇者か!負傷した者をよってたかって攻撃とは!?ええい、仕方がない!お前たちの身体を引き裂き、はらわたを喰らいつくしてくれようぞ!!』
「わしもおぬしと共に戦い、最終形態にまでなったのじゃが、勇者がうっとおしくてな。おぬしが魔神と戦っておる間、勇者と戦っておったんじゃよ。いやぁ、わしは夢と生を司る故、悪夢と破壊を司るあの魔神には絶対に勝てんかったからのぉ。助かったわい」
「そして、ちゃっかり勇者に倒されると」
「グハッ!?その言葉はわしに効く……」
まさか私の知らない間に魔神と戦わされていたとは……私が負けていたら魂食われてたのか、怖い…。
「さて、そろそろ本題に入ろうか。まったく、かなり話が変な方向へ進んだな」
「誰のせいじゃと……わしか…」
「そうだな。貴様のせいだ」
「わ…わかっておる。それで、わしがここにおぬしを呼んだのはほかでもない」
陽気であったデスタムーアの顔が真剣味を帯びる。誰よりも慎重で狡猾な魔王がこういった顔をする時は、かなり大きな問題があるときだ。これは、気を引き締めなければなるまい。
「わしが異世界へ送っておる斥候から報告があってな。最近、邪神官が悪霊の神々やその他の悪魔を集め活動しておるらしい」
「邪神官ハーゴンか……破壊神もいるのか?」
「まだあやつの崇める者は復活しておらぬ。が、別の破壊神の姿は確認されておる。どうやらあちらも本気のようじゃ」
「別の破壊神……しかし悪霊の神々の主神ではないと。私の配下でもやりようはあるな」
「うむ、あの主神でなければな。そも、奴は世界の創造と破壊の理を担っておる。前回は不完全な復活だった故、あのように暴れておったが、ハーゴンめは同じように復活しようとしておるようじゃ」
「しかし、それではまた暴れるだけではないか?それでも世界滅亡は成るだろうが……」
「いや、今度は生贄の数を増やすようじゃ。奴に信心深い教徒共をな。生贄の数が増せば完全な復活に近づき、生贄の信心が深ければ深いほど神の力も増す。あの神は信仰者の想いに応える性質を持つからのぉ……ハーゴンが呼び出したとなれば、確実に数多の世界を破壊するじゃろう」
まったく、はた迷惑な話だ。たとえ大魔王クラスの者が治めている世界も、あの邪神官の呼び出した破壊神には関係ない。強敵がいたとしても、生贄とハーゴンの願いに応え、侵攻するだろう。
「しかも、奴らの神を復活させる世界……その世界座標が、今おぬしがおる世界の物じゃった」
「なんだと!?私がいることを奴らは……」
「知ってはおるじゃろうが、そこはおぬしの領土ではあるまい?手付かずの、それも魔物などが知られておらぬ辺境の世界であれば、破壊神復活の暗躍には都合が良いのじゃろうて」
なんということだ……せっかくバカンスに来たというのに、こんな事に巻き込まれるとは…。
「破壊神が復活すれば、その世界どころかわしらの世界にまで危険が及ぶ。ちょうどその世界におったおぬしが何とかしてくれぬか?仮に復活したとしても、おぬしならばなんとかなるじゃろうし、わしらも援軍出陣の準備はしておく故な」
「待て、私だけにやらせるつもりか?他の世界にいる邪神官の手下共ぐらいは何とかしてくれるのだろう?」
「そこは安心しておけ。既に他の大魔王が動いておるからな、配下の魔王や幹部が派遣されておるわい」
「……了解した。こちらの世界ではできるだけやろう。もしもの時は連絡を送る。その時は頼むぞ」
「うむ、心得た」
やれやれ、とんだ災難だ。邪神官と悪霊の神々、そして悪魔に破壊神か……私の軍勢もこちらへ派遣しなければ。目が覚めたら連絡を送るか。
「では、伝えることは伝えたぞ。何かあればすぐに呼ぶといい」
「ああ、そうさせてもらおう」
デスタムーアは霧のように消散した。それに伴い、宇宙のような夢の世界も白く変色し消えていく。デスタムーアが去った影響で目が覚めるようだ。
「バカンスの場が仕事場に早変わりだ。この責任はきっちり払ってもらうぞ」
既に来ているであろう邪神官共に、私は静かに怒りを燃やしたのであった。
今回は幻魔王デスタムーアの回でした。こんな性格の魔王になってしまうとは……原作でも陽気な臆病者だし、別にいいよね?イベントはもはやネタだし。
この作品では、ムーアさんはDさんにボコされていません。そのかわり手負いの中、Dさんを倒した勇者一行に袋叩きにされています。
やはりムーアさんは不憫の中で輝くのです(適当)
次回からはまたゆらぎ荘側の物語になります。漫画片手に展開を考えなければ……ぶっちゃけこういったドラクエの展開考えるよりも楽です。
次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)
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戦闘回
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日常回(魔界)
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ギャグ回