ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

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お気に入り34件、UA2090!評価もありがとうございます!これはやる気が出てくるってもんですよ。完結まではしっかり持っていかねば……これからもこの小説をよろしくお願いします。


第6話 動き出す闇たち

「準備はどうじゃ。軍勢の様子は?」

「はっ。降臨の儀式場は着々と整っております。悪魔達も続々と集まり、もはや大魔王の軍勢と同程度の数かと」

 

認識不能の結界の中、青白い肌をした男が異形の怪物の報告を受けていた。辺りは暗く、しかし宙には数多の星々が輝いている。彼らは破壊神を崇める邪教団。その潜伏場所は、だれもが思いつかぬようなところであった。

 

彼らがいるのは━━━月。

 

人間たちが辿り着くことはほぼ不可能、そして実力者もすぐには来れないであろう場所だ。邪教団にとって、この世界の月はとても都合がよかった。

 

開発もほとんどされていない手付かずの世界。月も、人間たちによる調査等はされているものの、それもほとんど完全には程遠い。そして、月に未だ残る膨大なエネルギーの存在。

 

彼らは知る由もないが、この月では数年前に戦があった。《餓爛洞(がらんどう)》という圧倒的な力を持つ存在と、地球の実力者達が死闘を繰り広げたのだ。数多の超越者と呼ばれる者たちが、それらに終始優勢であった餓爛洞が放出した膨大な霊力が溜まりに溜まったこの場所は、悪魔達の召喚及び彼らの崇める破壊神を降臨させる儀式の場として最高だった。

 

「他の神々はどうか。支援を要請していたはずだが…」

「はい。悪霊の神々は既に集結しました。しかし、他世界の神で応答があったのは2人だけです。そのうちの一人は既に此処へ顕現しております」

「そうか。まだ2方来ただけよい方か……うむ、下がって良いぞ」

「ははっ!」

 

怪物は一礼し、退出していった。残った男は、豪華な椅子に腰掛け宙を仰ぎ呟く。

 

「我らが神の降臨はもうすぐ。残る不安要素は、この世界に居合わせた地獄の帝王か。まったく、このような辺境の世界に来ておるとは予想外……あの帝王のことだ、すぐに我らの動きを察知するだろう。奴が出張ってくる前に、神の降臨の儀を終えなければ……」

 

溜息をつきながら、ハーゴンは空を見上げる。そこにあるのは、青く美しい……己が滅ぼさんとしている地球だった。

 

 

 

 

 

「魔王様、エスターク様からの使者が」

「ほう、地獄の帝王が私にか。通せ」

「ははっ!」

 

岩が宙に浮いている不思議な空間で、異形の老人が玉座に座っていた。エスタークの使者は、魔剣士と名高い魔王ピサロ。ピサロは片膝をつき、こうべを垂れながら老人へと声をかけた。

 

「ご機嫌麗しゅうございます。帝王様のもとで魔王をしている、ピサロと申します」

「魔族の貴公子か。噂は耳にしている、魔族の中で剣を競わせれば敵う者はおらぬとか」

「いえ、まだまだ若輩でございます。この度ここへ訪れましたのは、我が主たる帝王様の書状をお届けに参りました」

 

ピサロが取りだしたのは、凄まじい魔力の封をされた一枚の紙。老人は興味深げに片眉を上げると、人差し指で書状を指し、手のひらを上にして人差し指を曲げた。すると、書状が浮かび上がり老人のもとへと飛んでいく。

 

「タークが書状か。珍しい事もあるものだ、あやつが機密をしたためるなど。慎重に事を進めようとする男が、友好関係にあるとはいえ他者に書を…な」

 

老人の指からいてつくはもんが起こり、封の魔力を消し去る。畳まれた紙を広げた老人は、その内容に……正確には最後の辺りに目を見張った。

 

『拝啓 魔界の王ミルドラース

本当は直に会って話したかったのだが、こちらも手が離せぬ故こういった書の形をとらせてもらった。

さて、貴様に頼みたいことがある。我はいま、邪神官ハーゴンの破壊神復活の件を取り扱っておるのだが、さすがに他世界に潜む邪教団の教徒共までは手が回らぬ。ムーアから聞いたぞ、他の大魔王が動いておる中、貴様の動きが遅いとか。すぐに手伝え、この辺りできちんと動かなければ影の薄い大魔王の蔑称を返上することなど夢のまた夢だぞ。

 

追記

もし早く動かなければ、我を配下にしようとした結果、手痛い反撃をくらいすごすごと帰って行ったことをバラす。確かこれは、貴様の黒歴史だったなぁ?』

 

「………………」

「…?如何されましたか、ミルドラース様」

「……いや、何事も問題は無い。そう、私が早く動けば万事解決よ。その後に帝王と久しぶりに戯れるのも一興だろう……!」

 

老人、ミルドラースはワナワナと震えている。その顔は汗が吹き出ており、指に込められたちからで書状はグシャグシャになってしまっている。その震えは怒りか、それとも焦りか。どちらにせよ、ミルドラースに残された道はただ一つ。軍を編成し邪教団の教徒共を叩き潰すこと。

 

「おのれぇ……この代償は高くつくぞ帝王よ…!ヘルバトラー!急ぎ兵を集め、他世界へと出陣せよ!邪教団に属する者どもを根絶やしにするのだ!!」

「は…ははっ!」

 

ヘルバトラーと呼ばれた魔物は、ミルドラースの怒気に気押されながらも、急ぎ足で出ていった。

 

「……これはいったい、どうしたことだ?」

 

未だ怒り収まらぬ大魔王を前に、ピサロは怯みながらも困惑していた……。

 

 

「ミルドが動いた。いま動けるものはわしにミルド、デミーラにラプ、そしてゾーマ……あれ?わしらって意外と暇?」

「デスタムーア様のような数多の世界を手中に収める大魔王様がたは、よっぽどの事がない限り忙しい事態にはなりませぬからなぁ」

 

デスタムーアの居城にて、仲良く……よく?話をしているのが配下の魔王、ムドー。忠誠が厚く、デスタムーア含め信頼されている彼は、よくデスタムーアの、相談役としても活躍していた。

 

「基本、わしらは政策を考え、部下の案をまとめ最終判断をくだすのみじゃからな。その以降は配下に任せ、報告を元に新たな試みを考えるの繰り返し…この程度では退屈も溜まるというものよ」

「つまり、大魔王様がたが暇であるほど、我らの治める世界は平和であるということです。いつまでも暇でいてください、我々がお支えしますので」

「……おぬし、相手をダメにするタイプじゃな」

 

大魔王と配下と言うにはなかなかフランクな雰囲気であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「軍勢の招集及び、編成が完了しました。彼らは、貴方様のご命令が下される時を今か今かと待ち望んでいます」

「うむ……各部隊へ伝令を。各世界に潜伏している邪教団の同胞共を殲滅せよとな……」

「はっ!」

 

巨大なナニカ(・・・)が、黒い装いを纏った人間へ出撃の命を下した。ナニカは宙に浮かびながら、その裂けた口をニヤリと歪ませる。

 

「これは好都合……ここで貢献しておけば、少しぐらいは信頼が得られるだろう。そうすれば、ある程度の時間は確保できる。ふむ、我の計画を成すために……あの破壊神を利用させてもらうか…目障りな魔王どもを減らすことができれば……クククッ!」

 

不気味に嗤うその魔物は、後ろに目をやる。そこには、また巨大な影が四つ並んでいた。




原作が進まねぇ……すみません。ゆらぎ荘の話書こうと思ってたら、思考がいつの間にかドラクエへと行ってしまい筆が進んでいました。
この話だと三人称にしなければいけなかったのですが、難しいもんですねぇ……〜sideみたいな感じでやった方が上手くいったかな……。

次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)

  • 戦闘回
  • 日常回(魔界)
  • ギャグ回
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