UAが増え、お気に入りが少しずつ増えてることにかなり罪悪感が来ました…。
一週間に1話のペースでいけると思うので、これからもこの作品をよろしくお願いします!
襲い来る眠気を、眠り解除効果のある めざめのはり を刺すことで何度も吹き飛ばしながら、私は荒覇吐さんの部屋へと向かう。
「荒覇吐さん〜?」
ノックしつつ呼びかけてみるが、返事はない。おそらくまだ寝ているのだろう。
さて、まずは弁明させてくれ。昨日に入居したばかりの新人が女性の部屋に押しかけているという案件まっしぐらの状態だが、これにはちゃんと訳がある。
私の荷物を荒覇吐さんが預かっているからだ。私の部屋、じつは物置として使われていたらしい。1階の端っこで、他の部屋と比べて日当たりなども悪く、かなり長い間空き部屋だった。
仲居さんが片付けたものの、掃除はまだだったので荷物は荒覇吐さんが預かったらしい。今回寝たのは空き部屋だった7号室だ。そこに荷物を置くにも、防犯のため、もしものために信頼のある入居者最古参の荒覇吐さんが預かってくれていた。
管理人の仲居さんは片付けと掃除、そして家事などがあり、さすがに荷物の管理までは手が回らなかったのだと。
全ては私が風呂で寝てしまったのが悪い。あそこで目覚めなければ、そのまま7号室へ運ばれていた。私が目覚めた時点で荷物は荒覇吐さんの部屋にあり、そのままみんな寝てしまったということだ。
え?荷物ないなら仕事できないだろって?大事なものは異空間にしまっているんだよ。でも、財布やらの荷物に入ってないと怪しまれそうな物はカバンにある。機材は後で買ったとでもなんとでも言えるからな……すこしキツい言い訳だけど。
「さて、どうしようか。起きてくるまで待とうにも、中居さんが言うにはかなり遅い時間まで寝るらしいし……仕事の修羅場だったみたいだし、後にするか」
正直に言って、外で軽く買い物をしておきたかったのだが……まあいいか。いつでもいける。
「む、アークさん。呑子さんの部屋の前で何を?」
「おや、雨野さん。おはよう。荷物を荒覇吐さんが預かっていると聞いてね、取りに来たんだが、まだ寝ているらしくて」
「そういう事ですか。絵面が…少しアレだったので…」
「あー…確かに。早く行くとするよ。そういえば、雨野さんは学生……かな?行かなくていいのかい?」
「私は中学3年、試験も終えました。今は入学式までの長期休暇です」
「なるほど。なら、次は高校か……気を抜くと大変なことになるから、勉強や友好関係はしっかりね…」
「は…はい……」
少し引き気味に雨野さんが答えた。きっとその目には微妙な顔をしつつ変に真剣な目をした私がうつっているだろう。私は前世の高校生活は失敗したからな。雨野さんはまだ若い、失敗しないようにちゃんと言っておかないとね。
「あらぁ?さぎっちゃんにアークちゃん、おはよぉ」
「おはようございます荒覇吐さん」
「おはようではありませんよ呑子さん。もう8時です……って、修羅場だったはずなのに早いですね」
「そうねぇ……話し声が聞こえたからかしらぁ?」
「「ごめんなさい」」
そういえば、荒覇吐さんの部屋の前だった……。部屋の前で人が話してたらそりゃ起きるわ。
「アークちゃんコレぇ」
「あ、荷物。ありがとうございました」
「いいのよぉ。これからお風呂に入ろうと思うのだけどぉ、二人も一緒にどぉ?」
一瞬にして、雨野さんの私を見る目が鋭くなったのは私の勘違いではないだろう。
「冗談はやめてくださいよ荒覇吐さん」
「私も、この後はたんr……自習があるので」
「あらぁ、つれないわねぇ……」
「荒覇吐さん、雨野さんはともかくなんで私まで…」
「えぇ?だってぇ、鬼殺しみたいな強いお酒飲める人、アークちゃんしかいないからぁ……それと、アタシのことは呑子って呼んで!」
「……分かりました。次からそうします」
「あら、そこは呼んでくれるところじゃないのぉ?」
「いちいち呼びませんよ。さん付けは外しませんのでそこは了承を」
「残念ねぇ」
「今度にお酌してあげますから」
「なら許すわぁ」
お酒に忠実だなぁ。
「それでは、私は部屋に戻りますね」
「私もそろそろ行きます」
「はぁい、2人ともじゃ〜ねぇ」
呑子さんはお腹空いたぁと呟きながら去っていった。さて、私の部屋に荷物を置いて買い物に行こうかな。
「雨野さんも、あまり煮詰めないようにね。頑張りすぎると体に毒だから」
「心得てますよ。それと、私のことも狭霧でいいです」
「ふむ、なら狭霧さんと呼ばせてもらうよ。それじゃあ、私は部屋に戻るとするよ」
「はい、またお昼時に」
狭霧さんは玄関の方へと去っていった……あれ?自習なら部屋でやるほうがいいはずだが……まあ、細かいことは気にしないでおこう。
さて、部屋に行ったら外で軽くつまめるものと酒を買ってこよう。機材は……買ってきたことにしよう。どこにそんな金があったのか疑問に思われなければいいが……。
「さて、行くか」
スーパーに行って……近くのコンビニで缶詰でも買うかな。
「あ、帰ったら食費とか出しておかないと」
仲居さんに怒られてしまうからな……妙に凄みがあるし、あまり怒らせない方がいいか。
「……ん?」
玄関を出たところで、何かが裏山の方で飛んでいた気がした。
なにか、細くて黒いものが……それに、裏山から力の放出を感じる。
「確認しておくか。バレたわけでもあるまいし、危険な者ならば始末しておくか」
酒やらは後だな。ちくしょう、久しぶりに腰を落ち着けて1杯やれると思ったのに。
どんどんと山を登っていき、滝近くまで来た。
「この辺りだったと思うのだが……む?」
何かが聞こえた。耳を澄ましてみると、気合のこもった吠え声のようだ。
「この声……狭霧さんか?」
常人よりも感じる力がかなり強いと思ってはいたが……先程の黒い物体も彼女のものか?
こっそりと覗いてみると、狭霧さんの姿が見えた。周囲に大量のクナイを展開し、そのうちの一つに飛び乗って宙を駆けている。
「……やはり、この世界にもこういった者はいたのだな」
特殊能力……ではないな。あれは技だ。力を具現化させ、クナイの形にすることで所属している組織の事を、扱いやすい形にまで進化させた己の努力を証明している。
「おそらく、ゆらぎ荘はその手の者たちが集まっている場所なのだな。狭霧さんとはまた違った性質のようだが」
これは僥倖だ。交友関係を結び、いずれ力が必要になった場合は助けを借りられるかもしれない。
「さて、そろそろ行くか。買い物に行かなければ」
少しばかり寄り道してしまったが、まあどうとでもなる範囲だ。時間を開けすぎて問われる事はあるまい。
うむ、重い。と言った感じに運んでいるが、怪しまれるか?いや、大丈夫なはずだ。怪しまれるポイントはないさ。
今、私はコンビニとスーパーのビニール袋を両腕にかけ、機材を手に持って運んでいる。袋なしに運んでいるからか好奇の目を向けられているが、今回1度きりなので大して気にしていない。
「さて、到着だ」
ゆらぎ荘に着いた。私の力ならば重くは感じないが、そのような仕草をしておかないと変に思われそうだ。
ゆらぎ荘前の階段なんかは、わざとゆっくり登ったりしたため、時間がかかって嫌になったが、こうしてみると謎の達成感がある。
「おや、アークさん!その大荷物はいったい!?」
ああ、誰とも会わぬようにと願ってはいたが、さすがに無理だったか。
「やあ、仲居さん。仕事に使う機材です。これでもゲームを作ってまして、そこそこ売れているんですよ?」
「そ、そうなんですか。運ぶのを手伝いましょうか?」
「いえいえ、お気になさらず。あと少しの距離なので」
「…わかりました。何かあったら力になりますので、遠慮なく言ってくださいね」
「ありがとうございます。それでは」
仲居さんを後にして、部屋に入ると機材を並べた。
「うん…うん、これでよし。さて、そろそろお昼か。朝は食べないことを仲居さんに言ってたから、これが今日初のちゃんとしたご飯になるのか。昨日の夜は美味しかったし、期待が高まるなぁ」
ホームレスの時とは比べ物にならない今の現状に、幸せの笑みが出てくる。できれば、この幸せをもっとかみ締めていたいものだ……。
そのためにも、邪魔なものは早く片付けなければ。
久しぶりにこっちを書いたから主人公の口調やらがガバガバだぁ……。
ある程度区切りが着いたら、もう一つの作品の方に移ったりします。その時は、こちらの作品が投稿されていないかと……どちらも投稿はキツイですゴメンなさい。
次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)
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