完結までは絶対に持っていきますので、凍結や失踪の心配はなさらずにお楽しみください。
誤字・脱字や質問がありましたら、感想か活動報告にてお願いします!
「さて、コガラシくん?何か遺言はあるかい?」
「弁明すっ飛ばして遺言!?」
「違うんですアークさん!話を聞いてください!」
今、私の目の前には正座しているコガラシくんがいる。その後ろには幽奈さんと……幽奈さんの浴衣の裾を掴んでいる小さな少女。
今の時間は夜。なかなか帰ってこないコガラシくんと幽奈さんが心配になり、外に出て探しに行こうとしたところに2人が帰宅した。
ああ、よかった。無事だったん……まで言って私は固まってしまったのだ。コガラシくんと手を繋ぐ幼い少女を見てしまったが故に。
そのまま正座させ、未だ混乱しているぐちゃぐちゃな思考のまま喋り続けているため、弁明と言うつもりが遺言となってしまったらしい。
「えーと、これはですね?」
「なんだい、話を聞こうじゃないか。ところで溺死と焼死どちらがいい?」
「はうぅぅっ!?アークさんのおめめがぐるぐるしてますぅっ!?」
「アークさん落ち着いてください!どーどー…」
仲居さんが飛び込んで来て私の肩を抑えた……いや違う、私の肩が飛び込んで仲居さんを抑えたのか?ダメだ、思考がまとまらん。
「むむむ……やむを得ません!狭霧さん、よろしくお願いします!」
「承知しました!すみませんアークさん!」
おうふ。首に何かが当たったぞ。あれ…どうしたことだ……私の意識が…薄れて…ゆく……。
「ふう、ありがとうございます狭霧さん。アークさんは、私が後でお部屋に寝かせておきます」
「礼には及びません。それにしても、凄まじいほどの取り乱しっぷりでしたね……」
「こ、怖かったですぅ……」
「マジで死ぬかと思ったぜ……」
「コガラシさんと幽奈さんをすごく心配されていまして……ついさきほどもお二人を探しに行こうとしていたんですよ。すると、そんなに小さな子を連れて帰ってきたものですから頭が安心やら疑問やらでオーバーヒートしてしまったようですね」
「あー……それは悪いことをしちまったな……」
頭を掻きながらコガラシが言う。少女もまた自分のせいだと俯いてしまっていた。
「それで、その子はどちら様です?」
「あ……ボクの名前は
「化け狸か。葉札術と言われる妖術を得意とする妖怪と聞いている」
「うん。化け狸の里には掟があって、葉っぱを使った妖術……葉札術を勉強して、十歳になったら1人で里を出ないといけないの」
「十歳ですか!?まだ子どもなのに……」
「狸は一歳でもう大人だよ!化け狸も十歳で大人として人間の世界に溶け込むんだ。ボク以外の十歳になった人達は、もう人間に化けて暮らしているんだ…」
「こゆずさんは山奥の古びたお寺跡に住んでいたらしく、それなら私たちと一緒にゆらぎ荘に住むのはどうか……と、提案したんです」
「……こんなに小さな子をほっとけはしませんからね。分かりました、私が使っている管理人室を一緒に使いましょう」
「っ!ありがとう!」
「しかし!コガラシさんと幽奈さんは、アークさんが起きてきたらしっかりと謝ること!いいですね?」
「ウス!」
「はい!」
こうして、ゆらぎ荘に新たな居住者が増えたのであった。
帝王は滅びぬ!何度でも甦るさ!
こんなに早く話が終わるのか、と思ったかい?もうちっとだけ続くんじゃ。
私が気絶している間に、あの少女……こゆずさんがゆらぎ荘に住むことになったらしい。別に、そのことはもういいんだ。コガラシくんと幽奈さんからも謝罪を貰ったし、こゆずさんの事情も聞いたしね。
でも……恥っっっずっっ!!
夜になっても帰ってこない2人を心配しすぎて、挙句に状況を正しく判断できずに狂い、狭霧さんに手間をかけてしまうとは!
帝王に有るまじき失態だ……確かに事案の匂いがプンプンしていたが、それでも冷静に事に当たるというのが指導者……いや、大人の役割だと言うのに…!
「はぁ、ここのところ失態ばかりだな」
部屋から出て、食堂へと向かう。襖を開けると、もう私以外の人は揃っていた。
「おはようございますアークさん。いま朝食を運びますね!」
「ありがとうございます…………ところで、アレは?」
私が目を向けた先、そこでは直視してはいけない事が起こっていた。
「ZZZ……」
「ふおお…すごい……!」
すでに朝食を食べ終わっていた呑子さんが酔っ払って寝ている。その上に乗るのはこゆずさん。顔を呑子さんの胸にうずめ、感嘆の言葉を呟き続けていた。
「あはは……実はこゆずさんが、自分に足りないのは……その、おっぱいだと言い始めまして。コガラシさんのお友達に迷惑をかけた件も、その子の胸を研究するためだったらしくて……」
「あー……なるほど?」
いや、なるほどじゃねーよ。研究と称して胸を見て触ってのエロガキじゃないか。あまりにも節操が無さすぎる。
「……大丈夫なんですか?」
「まあ、害がある……というわけではないので……」
「ふむ、ですがあまりに酷くなった時はそれ相応の対処をしますよ」
「……はい。それは承知の上です」
「なら、私からは何も言うことはありません。いただきます」
話が一段落したのを見計らって朝食を食べ始める。うん、仲居さんの料理はやはり美味し……ん?
「………………」
「こゆずさん?どうかしたのかな?」
「あの……えっと、ごめんなさい!みんなも、ごめんなさい!」
『っ!?』
頭を机につけて、こゆずさんが少し泣きながら謝ってきた。何を謝っているのだろうか?私はこゆずさんに怒ってることなんて一つも……。
「なんで謝るんだい?キミは私に、皆に何かしたわけでもないだろうに」
「その、ボクがひどいコトしちゃったから、コガラシくんと幽奈ちゃんが帰れなくて……その、二人のことをすごく心配してたって聞いたから……他のみんなもって……」
「………………」
私の箸が止まる。ああ、なるほど。私自身も気づいていなかったようだ。私は、一つの迷惑が想像以上の人に対して影響を及ぼすということを知ったであろうこゆずさんに、ゆらぎ荘の皆にちゃんと謝って欲しかったんだ。
「……その事に気づけたのなら、私はキミに対してとやかく言うつもりはないよ。その分、成長できたんだ。これからはこんなことを起こさないように、起きないように頑張りなさい。それに、私たちはキミに怒っている者はいないよ。ねぇ、皆さん?」
「はい。私は大丈夫ですよ〜」
「私も、そのような事は特には…」
「う!」
「むにゃ……こゆずちゃ〜ん…」
「俺たちはそんなの気にしてねーよ!」
「ゆらぎ荘の皆さんは、こゆずさんを歓迎しますよ〜!」
「っ!!うん……う゛ん゛っ!!」
泣き始めたこゆずさんをそっと抱き上げ、優しく背中をさすってやる。軽く体を揺りかごのように前後へと揺らしながら頭を撫でたりしていると、すぅすぅと寝息が聞こえ始めた。
「やれやれ。大人だとは言っていましたが、こうしてみるとやはり、ただの小さな女の子ですね」
「はい。部屋に寝かせてきますね」
「お願いします」
仲居さんにこゆずさんをそっと託す。こゆずさんは軽く身じろぎしたが、泣いていた顔は欠片も見つからず、安らかな笑顔で眠っていたのだった。
「仲居さんとアークさん、夫婦みたいねぇ〜」
「「ブフォッ!!!???」」
優しい日常回、といった感じです。
日常を書くのはあまり経験が無いため、ちょっとぎこちなくなっているかも。
暖かい目で見守ってください。
ただいまアンケートを実施しています。これから先は戦闘シーンも出てくるので、後書きの技の解説について、投票よろしくお願いします!
ちょっと投票期間長すぎたかな…?
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