ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

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まさか原作の1話に2話使ってしまうとは……こんな感じだとかなり長引きそうだなぁ……。

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皆さん、この作品を読んでくださってありがとうございます。さらに楽しんでいただくために精進いたします!


第18話 夜々、おそるおそる近づく

仲居さんが温泉の慰安旅行から帰った次の日から、彼女は不可解な行動を取り始めていた。

 

「………………」

「………………」

 

コガラシくんが廊下を歩く。夜々さんも後をついていく。

 

「………………」

「………………」

 

コガラシくんが歩く方向を変える。夜々さんも方向を変える。

 

「…………っ!」

「…………っ!」

 

コガラシくんが廊下をダッシュする。夜々さんもダッシュする。

 

「…あの二人、何かあったのぉ?」

「わかりません。今朝からずっとあの調子で…」

 

夜々さん、コガラシくんにある程度気を許して…いや、懐いてきたと言うべきか?猫のように。

 

「夜々!俺に何か用があんのか?」

「っ!…………」

「………へ?」

 

コガラシくんの呼びかけに夜々さんは立ち止まると、じっとコガラシくんを見つめている。返事もせず、ただじっと。

 

恋……ではないな。私はあの目をよく知っている。私に料理を作れと催促する時の目、食べ物をくれというサインだ。

 

おそらく、夜々さんはコガラシくんの焼き魚を気に入ってまた作ってくれと言いたいのだろう。何故か言葉には出さずに。

 

しかし、言葉に出さないのならそれがコガラシくんに伝わるはずもない。

 

「…夜々?だから何の用かって……」

「………………」

 

 

そして、夜々さんはその後もコガラシくんの後をつけまわすのだった。

 

朝起きると布団のなかに潜り込んでいたり、食事中もじっと見つめていたり、移動するコガラシくんの後をつけまわしたり。

 

挙句の果てには━━━━

 

「アークさん、最近の夜々変じゃないすか?前は全然、俺の事なんて興味無さそうだったのに……」

「確かにね。ああいうことは私の知る限りでは初めての行動だ。まあ、私はなんとなくだけど彼女が言いたいことが分かる気がするけどね」

「マジっすか……まあ、夜々もさすがに風呂の中までは…」

「…………」

 

いるんだよなぁ……真後ろに。ああ、頭が痛くなってきた……。

 

「夜々っ!?」

「夜々が背中流してあげるの」

「はぁ!?おっオマエ何言って…」

「コガラシくん落ち着いて……あっ」

 

コガラシくんが夜々さんに驚き、ワタワタと手を振り回した結果、お湯のボタンを押してしまった。

 

そして、シャワーの口は夜々さんへと向いている。

 

「ニャッ!?」

「あ…わり……」

 

夜々さんが濡れ、タオルも透けてしまった……って、そんなことをしてる場合じゃない!変えのタオルを取りに行かないと!

 

「シャァァッ!!」

「ブフゥッ!?な、なんで……」

 

後ろを振り返ると、夜々さんが右手の指を尖らせてコガラシくんを引っ掻いていた。ああ、コガラシくんは上がらせて処置しないと……。

 

 

 

 

 

 

もはや風呂どころではなくなってしまったため、とりあえずコガラシくんの怪我の処置をして、コガラシくんの部屋へと集まった。

 

やはり、こういうのはちゃんと伝え合わないとね。

 

「夜々さんは、お湯が少し苦手なんです。温泉も、いまだにまず指で温度を何度か確認してから、恐る恐る入られるほどで……」

「ほんと猫みたいなヤツだな」

「コガラシ……ごめん」

 

どうやらあの引っ掻きは反射だったらしく、夜々さんは反省しているようだった。大事にはならなくてよかった。

 

「つか、本当にどうしたんだ?夜々。オマエ、一昨日から変だぞ?」

「………………」

「ふむ、夜々さん。コガラシくんは優しい人だ。きっと君のお願いも聞いてくれるはずだよ」

「アーク……う、わかったの。コガラシ……その……」

「おっ、なんだ?」

「……また、コガラシの焼き魚を……作って欲しいの…」

「…………はあ、なんだそんなことかよ…材料とか揃えないといけねぇから、機会が来るまで待っとけ」

「っ!」

 

今回はそれでお開きとなった。自室へと戻る夜々さんは、今までの無反応さが嘘のように、シッポを揺らしてご機嫌そうだったという。

 

 

━━━━数日後の夜

 

ゆらぎ荘の厨房で、コガラシくんは焼き魚を大量に作っていた。私も皆で食べるための軽いものを作っている。

 

「ったく、それならそうで早く言やいいのによ」

「まぁそう言うな。夜々は夜々なりに、あれで案外人との距離感を気にするんだ。知り合ってまだ日が浅い冬空コガラシには気軽に頼みにくかったのだろう。だから、夜々なりにまず仲良くなろうとあのような行動に出たのだろうな」

「そんなことのためだけに風呂まで押しかけるか?フツー」

「……あれ?私の時はそんなこと無かったのだがね。今も、たまに作ってあげてるし……」

「う〜む……そこは本人にしか分からぬところかと」

「そうだね〜……気になるし、聞いてみようかな」

 

 

 

夜々さんはゆらぎ荘の屋根で待っていた。

 

「ほら、できたぞ〜」

「その他も持ってきたよ」

「っ!」

「しっかし、こんなにたくさん食いきれるのか?しかも塩振らないでって…」

「猫は塩分取りすぎダメって聞いたから」

「ああ、聞いたことあるな。夜々もそうなのか?」

 

む?たしか、夜々さんは塩に弱くは……ああ、なるほどね。

 

「夜々はお塩ある方が美味しい。でも……」

 

夜々さんから光があふれ出し、光は猫の形になりながら具現化した。

 

「猫神様にも食べさせてあげたかったの」

 

猫神様……この大きな猫がね。たしかに神性を少しだが感じる。それに……もふもふだ。超もふもふだ。

 

「ンニャ〜!!」

 

焼き魚を頬張った猫神様は、器用にほっぺを両手で押さえ悶えてから、コガラシくんに頬擦りをし始めた。

 

「うおっ!?」

「美味しいって!」

 

夜々さんは猫神様のために、コガラシくんに作ってもらおうと頑張ってたんだね。

 

「ありがとねコガラシ。またお魚焼いてくれる…?」

「おう!」

「ふふふっ。さあ、私達も食べようか。いただきます!」

『いただきます!』

 

相変わらず、私の料理は好評だった。ふふっ、私もコガラシくんのような若者にはまだまだ負けんよ。

 

「そういえば、夜々さんは私に料理を頼む時は普通に来たよね」

「う。アークは、こう…作ってくれるって思ってたの。なんでそう思ったのかはわからないけど……」

「ふむ……まあ、私の雰囲気が柔らかかったからとでも思っておこうかな。さあ、こっちもお食べ」

「う!」

 

夜々さんは美味しそうにパクパクと食べてくれる。コガラシくんは私の技術に気づいたのかすこし複雑そうな顔をしていたが…。

 

ちなみに、猫神様は神ではあるものの、妖怪の部分が強いらしく私にも構ってくる。私としては、もふもふで可愛い猫神様が擦り寄ってくるのは悪い気がしない……いや、かなり嬉しいけどね。

 

猫神様を撫でながら、皆で食べる料理はとても美味しかった。

 

 

 

その後、たまにコガラシくんや私に付き纏う夜々さんの姿があったのだった。

 

 




主人公について書いてるうちに自分でも分からなくなってきたぞ?前はまだ心の中も若い感じだったのに……。

もうちょっとギャグを心の中でもいいからやってくれていいんやで?
別になくてもいいけどね(どっちだよ)

いっそのこと、前に投稿した話に入れたようなギャグを混ぜないでこのまま行こうかな……。

次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)

  • 戦闘回
  • 日常回(魔界)
  • ギャグ回
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