ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

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今まで考えていた展開を繋ぎ合わせているので今のところはまだ続けられる。ストックが無くなったら更新遅くなるかも……。

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減少するお気に入り登録数に不安を感じてきた……ちゃんと面白く出来てるか少し心配。でも最後まで書き上げる!



第31話 襲いかかる刺客

爆発が立て続けに起こる。神殿の一部が崩れ始め、邪教団たちは混乱に陥りながら吹き飛ばされていった。

 

奇襲は成功したと連絡を受け、儀式を準備していた神官たちは全方位から迫る帝王軍を見た。報告と違う状況に戸惑っていた彼らは、空から降り注いだ砲弾の雨に飲まれていく。

 

「全砲用意……撃てぇ!」

 

空に浮かぶのは数多の船。その船たちの砲台が火を吹いた。着弾した砲弾は刻まれた魔法陣により大爆発を起こし、神殿をみるみると崩していく。

 

その様子を、離れた丘の上で見ていた三つの影がある。

 

「にゃはははは!随分と景気よく撃ちまくるねぇ」

「長い間、こうした戦は無かったからな。砲弾も有り余っているのだ」

「ヨイ、ハカイダ…」

 

魔物愛好部の軍団長カルマッソ、帝獄海賊団の軍団長キャプテン・クロウ、そして魔導機兵群の軍団長オムド・ロレス。

 

彼らは軍団から離れ、戦況を確認しながら念話で部下と連携をとっていた。これは敵の圧倒的な範囲攻撃で全滅を逃れるためであり、軍団長同士で情報を共有し有利に進めるためでもある。

 

「あの船、なかなか高いところにあるのによく当てられるねえ?」

「当然だ。私の船は『ゆうれい船』という意志を持ったモンスター、乗組員が角度を間違えようと、自分で修正し撃つことも可能。最高の相棒だよ」

「シカシ、邪教団ノ者タチモ黙ッテハイナイヤモシレンゾ」

「ハッハッハッ!あの高さまで飛んでいくにも、その前に撃ち落とせるさ!残念ながらお前たちの出番はない!」

 

キャプテン・クロウは高らかな叫びをあげる。それと同時に、ゆうれい船が爆発に飲まれた。

 

『………………』

 

あまりの衝撃にカルマッソはあんぐりと口を開け、常時冷静なオムド・ロレスも目玉のついた歯車を巨大化させた。世にも珍しいフラグ建築と回収の並行である。

 

「わ……私の船があぁぁあああ!!?」

 

クロウの体が透け始め、完全に消える。彼は亡霊のため、独自の瞬間移動を持っている。向かった先はゆうれい船だろう。

 

「……あの船が攻撃されたということは、砲撃も止まるね」

「事前ニ念話ガコナカッタトイウコトハ、敵ハ相当ナ手練ノヨウダナ」

「そうだねぇ……ボクたちも動こうかな。あのモンスターたちを片付けてからね」

 

上空から二つ、落ちてくるものがある。それらは空中で変形すると四つの足を展開し着地した。

 

「ピピッ!敵性反応ヲハッケン!」

「ハイジョセヨ!」

 

姿を現したのは二体のスーパーキラーマシン。ある世界では神の一部が別れたことで生まれた兵器だが、この二機は別の世界の産物のようだ。

 

「ありゃりゃ、SSランクが二体も」

「……古イ機体ダ。コノ程度ノ機兵ナド……」

 

スーパーキラーマシンたちがクロスボウから無数の矢を放つ。オムド・ロレスは体の歯車を分離し、カルマッソの前に突き刺すことで矢を防いだ。自分へと放たれた矢はその圧倒的な硬さにより傷一つ付かない。

 

「ん〜……ボクもコイツらはいらないかなぁ。壊しちゃお」

「モトヨリソノツモリダ」

 

カルマッソはスカウトリングから魔物を呼び出した。現れたのは『魔王の使い』『なげきのぼうれい』。そして懐から黒い玉を取り出した。

 

「久しぶりに使うなあコレ。さあ『魔抱珠』よ、ボクにマ素を分けておくれ〜」

 

『魔抱珠』と呼ばれた黒い玉から、禍々しい瘴気が溢れ出しカルマッソを飲み込んでいく。瘴気が晴れると、そこにはイモムシのようなこの世のものとは思えない異形となったカルマッソがいた。

 

「にゃはははは!悪いけど、ボクたちは手加減しないからねえ!」

「出来ノ悪イガラクタハ廃棄処分ダ……」

 

体内にある大量のマ素から魔抱珠をいくつも生み出し浮かばせるカルマッソ……いや、ガルマッゾ。

歯車を回転させ『禁断の魔扉』を起動させるオムド・ロレス。

 

二体のスーパーキラーマシンは無感情に、主の邪魔をする者たちへと襲いかかって行った。

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、炎上するゆうれい船にクロウは現れた。

 

「なんだこれは……おい!何があった!」

 

倒れていた魔物『ゆうれい船長』を起こし尋ねるクロウ。ゆうれい船長は僅かに腕を動かし、船内へと続く階段を指さした。

 

「……そうか。お前は休んでいろ」

 

クロウはゆうれい船長をゆっくりと横にさると、階段を下っていった。あちこちが崩れており、火が道を塞ぐ。しかし、クロウは壁をすり抜けていくことで回避しながら奥へ奥へと進んで行った。

 

「………………」

 

船内の傷を見るに、主に使われたのは呪文。この船を覆うほどの爆発と炎……どれほど強大なやからなのだろうか。誰にせよ、その侵入者を許すつもりなど彼には無いが。

 

「…………?」

 

クロウが立ち止まる。サーベルを抜くと、周囲を警戒し始めた。木材が燃える音の中に、かすかにだが笑う声が聞こえたのだ。

 

「誰だ、どこにいる!」

 

声を荒らげるも、答えない。ただただ笑い声だけが大きくなるばかりだった。

 

「……そうか、ならばあぶりだしてやる」

 

━━しんくうはッ!

 

剣を振るうことで真空の刃を飛ばした。真空の刃は炎を消していき、あらゆる所へ飛んでいく。そのうちの一つが、クロウの前方でかき消された。

 

「……そこか」

「ケケケケケッ!まさか自分の船の中でこうも暴れるとはな!」

 

透明化を解除したのか、そこにいた者の姿があらわになった。そこにいたのは、グレムリンやベビルと同じ姿をした小悪魔。違うのは黒と赤の色合いぐらいか。

 

「お前が私の部下をやったのか」

「ああそうだ!オレ様はバアルゼブブ!ベリアルに並ぶ大悪魔さ!」

 

ベリアル……それは悪霊の神々の一柱。黄金の肉体に巨大なバトルフォークを持ち、あらゆる世界で暴れたとされる伝説の悪魔だ。

 

しかし、このバアルゼブブの姿からはそんな威厳は感じられない。それでもクロウは、目の前のふざけた小悪魔が持つ魔力を見抜いていた。

 

「なるほど、虚言ではないようだな」

「もちろんさ。オレ様はな、この姿を見て油断するバカどもをいたぶるのが大好きなんだ!」

「っ!」

 

━━マヒャドッ!

 

不意をついたバアルゼブブが氷結呪文マヒャドを唱える。船内が急激に冷え、形成された氷がクロウを打ち据えた。たちまちクロウは凍りつき、吹雪と氷が収まった頃にはクロウは氷に閉じ込められてしまった。

 

「ケケケッ!バカだなぁ、悪魔を相手する時は常に警戒しねぇと!何考えてるかわからないぜぇ!?」

 

腹を抱えて笑いころげるバアルゼブブ。もう一度じっくり見ようと氷像へ目を向けると、何も入っていない(・・・・・・・・)氷があった。

 

「……へ?」

「ふんっ!」

 

クロウのサーベルが閃き、バアルゼブブを切り裂いた。切り裂かれたバアルゼブブは驚愕の表情を浮かべると……モヤとなって消滅した。

 

「っ!マヌーサか!」

「そのとおりぃぃ!」

 

━━ベギラゴンッ!

 

クロウの後ろから熱線が放たれる。クロウはすぐさま壁へと飛び退き熱線を回避すると、バアルゼブブへかまいたちを放った。しかしそれも幻惑。本物はクロウの背後に回っていた。

 

「ケケケケケッ!氷像から抜けられるのはわかってたぜ?アンタは霊体みたいだしなぁ。だが、オレ様は魔力にかまけたバカじゃない。二重三重の策を張り巡らせているのさ!」

「やりにくい……ならば!」

「お?」

 

クロウがバアルゼブブから距離をとり、そのまま階段へと向かっていく。バアルゼブブは呪文で攻撃しながらもクロウを追いかけた。

クロウは壁をすり抜けていくが、バアルゼブブは壁を焼き払いながら迫る。

 

「ケケケッ!逃げてばかりじゃあ勝てないぜ!」

「ぐっ!?」

 

ついにバアルゼブブのベギラゴンがクロウを飲み込んだ。炎がおさまる……が、そこにクロウの姿はなかった。

 

「ケケケ……魔力を見るに、甲板に瞬間移動しやがったな?広い分戦いやすいと踏んだか」

 

バアルゼブブも甲板へと転移する。いつでも攻撃できるように魔力を練りながら光に包まれた瞬間……。

 

「ようこそ、海賊の地獄へ」

 

数多の砲音が轟いた。

 

 




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