今回はちょっと少なめ。前回で少し進めすぎましたね…。
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ゆうれい船の甲板へと転移したバアルゼブブ。出迎えたのは自分へと迫る数多の砲弾だった。
「ちょっ!」
すぐさま周囲へイオナズンを展開し相殺するも、バアルゼブブの頭は混乱していた。
「なんで砲弾が飛んでくるんだ!?この船の船員は全員ぶっ飛ばしたはず!」
別の船から乗り移ってきたか?いや、それにしては音はしなかった。しかも転移で現れた自分にまっすぐ向かってきた。砲台を動かすにしては早すぎる。
そこまで煙に巻かれながら考えていたバアルゼブブの耳に、再び砲撃の音が聞こえる。咄嗟に床に屈むと、バアルゼブブの小さな頭の上を砲弾が通り過ぎていった。
それにより、イオナズンによって巻き上げられていた煙が晴れ、ようやく謎の答えを知ることとなった。
「ようやく出てきたな」
「……おい、なんだよそれは!?」
やはり数多の砲門が向けられていた。しかしクロウの配下は一人もおらず、砲台は船に取り付けられたままだった。
砲弾を放ったのはクロウの背後。
「何も無い場所から、魔力を用いてマグマや突風を放つ『体技』。私は海賊、それにともなった技が使える。さあもっと踊れ。私のクルーと相棒に傷をつけたその代償は高くつく!」
━━ほうげきッ!
砲門が火を吹いた。バアルゼブブは慌てて転移を発動しクロウの死角へ逃れるも、すぐさま斜線変更。次弾が装填された砲門が砲撃を開始する。
「ぐ…このっ!」
━━しゃくねつッ!
バアルゼブブは灼熱の炎を吐き出すことで、弾幕の隙間からクロウへ攻撃した。しかし、クロウは真空波を巻き起こすと炎をかき消し、再び砲撃を開始する。
「チィッ!なら、また幻惑に飲まれな!」
━━マヌーサッ!
クロウの頭に薄い桃色の霧がかかり、バアルゼブブが数十体に増えた。それぞれが上位呪文を放ち、灼熱の炎を吐く。クロウは瞬間移動によってマスト付近に退避すると、指を鳴らした。その振動に魔力が乗せられ、それに触れた砲門は次々に棘の付いた大砲へその姿を変えた。
━━とげとげほうげきッ!
名称は可愛らしいが、その実は凶悪の一言。棘のついた砲弾が放たれ、先程までとは比べ物にならない爆発がバアルゼブブたちを吹き飛ばした。
「クッソ……なら船内に戻って…!」
「させるはずがないだろう」
船内にこもればクロウは砲撃を使えない。冷静さをかき階段へと向かうバアルゼブブの前に、クロウは瞬間移動した。
一瞬、驚きで硬直したバアルゼブブの首が掴まれ、そのまま床へと叩きつけられる。左手のサーベルが怪しく輝き、骸骨の形をした呪いが湧き始めた。
「この船をまた利用しようと……お前はどれだけ私を怒らせれば気が済む…!」
「が……うぅ……」
「これで終わりだ、小悪魔!」
━━ドクロ割りッ!
呪いを纏ったサーベルが振り下ろされ、バアルゼブブを両断せんと迫る。しかし、忘れてはいないだろうか。姿こそ小悪魔だがこのバアルゼブブ、ベリアルと並ぶ大悪魔である。要するに……。
「なめるなぁああっっ!!」
「ぬっ!?」
ここで終わる程度の者ではないのである。
━━イオグランデッ!
イオ系呪文の最上位。最強の爆裂呪文イオグランデが放たれた。その巨大な爆発の嵐はゆうれい船だけにとどまらず、クロウの率いていた船団の全てをことごとく飲み込んでいく。モンスターと言えど船。爆発に耐えられず、次々と破壊され塵に変わっていった。
「ぬ…おぉぉおおおお!?」
亡霊であるクロウに並の攻撃は通らない。威力の三分の二まで軽減できるそのクロウも、大悪魔の全魔力を込めたイオグランデには敵わず、その霊体を崩壊させていった。
「バカな、バカなぁあああっ!!?」
最後の霊子一粒までバラバラに散らばり、クロウはその生涯に幕を下ろした。爆発が収まり、周囲には何も無い。フラフラと飛ぶバアルゼブブは、その顔を酷く歪ませた。
「は…はは……ハハハハハッ!見たか、これが大悪魔バアルゼブブ様の力だぁ!亡霊ごときが勝てるわけがないんだよぉ!!」
高らかな笑い声が辺りに響く。帝王軍の一角、帝獄海賊団は全滅、破壊神降臨にバアルゼブブは大きな貢献を果たしたのだった。
「欲は冒険へと駆り立て、財宝は夢へと誘う」
━━見果てぬ夢
幸せそうな顔で眠りこけるバアルゼブブを、クロウは持ち上げ空高く放り投げた。砲台はメカニックになり、砲門へエネルギーを蓄え始める。
「許せはしないが、その大悪魔の意地は見事だった。最後はまどろみに包まれながら逝くといい」
━━宇宙砲
砲門から溢れ出すは宇宙の神秘。光と化した世界の力。
放たれた青い光線はバアルゼブブを一瞬で蒸発させ、宇宙へと帰っていった。
「……ふう、これでこちらは片付いたな。他の船から薬草を回して貰うか。あと少しで治るからな、お前も待っていろ」
船が少しばかり揺れた。クロウは笑うと、地上の様子を見るために船から体を乗り出した。
ドンッ!!
「うっ…おぉおおわっっ!!?」
巨大な光の矢がクロウの顔面スレスレを通過し、ゆうれい船のマストを消し飛ばした。致命傷とも言える損失にゆうれい船は力を失い、浮遊できずどんどん降下していく。
「な…な……!?」
数刻前には砲弾の雨に晒されていた神殿が近づいてくる。怒涛の展開についていけないクロウはただ一言。
「なんで私たちばっかりこんな目にぃいいいっっ!!」
特攻という形でクロウは見事、ハーゴンの神殿を破壊することに成功したのだった。
今頃気づきましたが、番外編でアロマをカルマッソの子孫というような書き方をしてしまいました……申し訳ありません。そちらも直しておきます。
次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)
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