ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

4 / 57
なんとか滑り込み…。今回で後編終わらせて本編行くつもりだったのに、伸ばしちゃった…。
また近いうちに後編の方も出します。
さて、デカビタでも開けるか…。


番外編3 中編 汚染された帝王

黒鉄の監獄塔。その屋上で、帝王と2人の少女は対面した。

 

圧倒的な威圧感は少女たちを飲みこみ、押しつぶさん限りの強さ。しかし、大魔王の呪いと力によってなんとか自我を保たせている。一度気を失ってしまえば、呪いによって想像を絶する痛みと苦しみを与えられてしまうのだから。

 

そんなことを知らない帝王は、2人へいつものように言葉をかけた。幾度となく異世界に迷い込み、出会った者たちへ送った問いかけを。

 

「グゴゴゴゴ……誰だ、貴様らは?我が名は凶エスターク……今はそれしか、思い出せぬ……はたして自分が善なのか悪なのか、それすらもわからぬのだ…………その私になに用だ?私を従えるためにやってきたのか?」

「……ソウヨ、アナタヲ生ミ出シタノハワタシタチ。ダカラ、ワタシタチニシタガイナサイ…!」

「私を生み出しただと…?おかしなことを言う……私はあらゆる場所をめぐり、様々な者たちと出会ってきた。だが、貴様らなど知らぬ……」

「ソンナ、ワタシタチガ配合シテ作リ出シタノニ……マサカ、アノ肉片ガ……?」

 

地獄の遺伝子に宿る帝王の魂。そこに微かに残っていた記憶が、再生した肉体に定着したということ。アロマ達にとっては都合が悪い。配合で生み出した魔物は自分たちを主と認識し、従順になる。しかし、生み出される前の記憶などがあっては命令に従うことなどありえないだろう。

 

「……ふむ、しかしどうしても私を従えたいと言うならば、それなりの力を見せてみろ。私を従えるのに十分な力を持っていると示せば、私はおとなしく従うとしよう…」

「…ッ!言ッタワネ」

「私に二言は無い……しかし、こわっぱとて手加減はせぬ!全力でひねり潰してくれよう!」

 

凶エスタークがマ素に汚染され変形した双剣を手に取る。アロマたちも生み出した魔物たちをはなった。

 

「行キナサイ!『デスピサロ』『バルザック』!」

「コッチモヨ!『ムドー』『大魔王デスタムーア』『デュラン』!」

 

強大なステータスを誇る魔王族。そして魔王族並の力を持つ高ランクの魔物たち。それらがいっせいに殺気を向け構える光景は一種の地獄だ。

 

しかし凶エスタークは冷静に見据えた。両手を広げ、受け入れるかのような構えをとる。

 

「グオオオオオッ!」

 

最初に動いたのはバルザックだった。跳躍でその肥えた巨体を空中へ投げ出し、巨大な棍棒を凶エスタークへと振り下ろす。棍棒には闇の魔力が付与された。

 

━━無明斬りッ!

 

エスタークは右手に持った剣で受け止め、左の剣で吹き飛ばそうとするがいつの間にやら迫っていたデュランが凶エスタークの懐へと潜り込んでいた。

 

━━羅刹斬ッ!

 

暗いオーラを纏った剣が凶エスタークへ襲いかかるが、左の剣を地面に突き刺し無理矢理体勢を変えることで回避。その隙を見逃さず、ムドーが催眠呪文ラリホーマを唱えた。

 

「グゴゴゴゴ……」

 

しかし眠らない。凶エスタークは爆発の魔力を剣に纏わせデュランとバルザックを無理矢理振り切った。

 

━━爆砕斬りッ!

 

デュランとバルザックが凄まじい勢いで吹き飛び、島を越え宇宙へと飛び出して行った。

 

それを気にもとめず、ムドーが最上級の火炎呪文メラガイアーを唱える。巨大な…しかし凶エスタークと比べると小さい火球が放たれた…が、凶エスタークもメラガイアーを唱えた。

 

呪文の威力は詠唱者の魔力の質と絶対量で決まる。凶エスタークのメラガイアーはムドーのそれよりも一回りも二回りも巨大であり、呪文も打ち消しながらムドーを飲み込んだ。残ったのは多少の焦げあとのみ。

 

「バカナ…!魔王族ニ届カズトモ、上位ノ魔物タチガ…!」

「グゴゴゴゴ……魔王族?なんだそれは……貴様らが何を言っているのかは理解できないが、そこにいる2体の魔物を見て理解したことがあるぞ」

「理解シタ…ダト?」

「戦いには関係ない……些末なことだ。さあ、続けるぞ」

 

凶エスタークが爆裂呪文イオマータを唱えた。この呪文は小さな爆発を連続で起こす呪文だが、凶エスタークの魔力によって暴走し、一度の爆発がイオナズン級の威力へと変わる。しかし流石は魔王族。デスピサロが呪文を跳ね返すバリア、『マホカンタ』を貼りデスタムーアは傷を負う毎に回復呪文やめいそうで癒していく。

 

次はこちらの番だと言わんばかりに迫る二体。まずはデスピサロが動いた。口から最上位の炎ブレス、右手からは地獄の雷を放つ。

 

━━煉獄火炎ッ!

━━ジゴスパークッ!

 

凶エスタークは双剣で打ち払おうとするも、デスピサロが左手を上へ振り上げると凶エスタークの立つ床から巨大な禍々しい手が現れ凶エスタークを捕らえた。

 

━━アビスハンドッ!

 

闇の手が爆発し業火と雷が襲う。これにはたまらず、凶エスタークは拘束を解き魔力の渦から脱出した。そこへデスタムーアが仕掛ける。

 

デスタムーアは自身に賢さのパラメーターを上昇させる呪文インテを掛け、最上位の爆裂呪文イオグランデと最上位の氷結呪文マヒャデドスを唱える。凶エスタークを飲み込んであまりあるほどの範囲を爆発が飲みこみ、上空からは巨大な氷塊が次々と落ち、辺りを氷漬けにしていく。

 

「……フフッ。コレナラアイツモ終ワリネ」

 

勝利を確信したアロマたち。しかし、次の瞬間には煙が吹き飛ばされ、無傷(・・)の凶エスタークが現れた。

 

「ナッ!?ナゼ無傷ナノ…アノ猛攻ヲ受ケテ!」

「グゴゴゴゴ……テンションが低かったからな」

「ナ…ナンデスッテ!?」

「テンションが低かったと言ったのだ……確かにあの猛攻は良かった。だが、気力を吸収する呪文ギガ・タメトラを使えばさほど脅威ではない…」

「デ…デスタムーア ダケナラトモカク、デスピサロ ハ『つねにマホカンタ』ノ特性ガアルハズ…!」

「私が先に掛けたのはデスタムーアだ。そして、吸収したテンションを使いギガ・タメトラをデスピサロへ掛けた。マホカンタに対し、テンションの上がった特殊呪文の成功確率は半分……結果は成功だ」

「ソ…ソンナ……!」

「さて、まだデスピサロから吸収したテンションが残っている。つまりは……わかるな?」

 

凶エスタークは双剣を掲げ、1つの魔力の玉を生成した。それが消えた瞬間、デスピサロとデスタムーアのいる空間が輝いた。

 

「終いだ」

 

━━ビッグバンッ!!

 

音が消えた。周囲は極光に包まれ、何も感じることの出来ないまま時間が過ぎていく。

 

ほんの一分程度、しかし体感では数十分にも思えた虚無の時間が過ぎ、機能を再稼働させた目が映したのは……周囲にあった鉄の柵と、階下への階段を囲っていた建物、抉れ蒸気を排出する鉄パイプを露出させている床、そして雲ひとつない晴天だった。

 

凶エスタークとアロマ以外には何もいない。魔物たちは塵一つ残さず消滅していた。

 




いろいろとキツイけど、こうやって内容考えて書くのもいいですね〜……ホント、いい休憩になる。

次回、やっっっと本命です。お待たせしてしまい本当にすみませんでした。

次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)

  • 戦闘回
  • 日常回(魔界)
  • ギャグ回
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。