ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

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今回、なぜこいつが?と思っているであろう軍団長の出番です。私的にはかなり好きなキャラですぜ。

お気に入り登録、感想ともにありがとうございます!これからもこの作品を読んでくださると幸いです。



第34話 竜をも超えたトカゲの王

━━ドラゴン━━

 

それは、魔物の中でも最強と称される種族。その系統には数多の種族が属しており、その中にはドラゴンではない種族も組み込まれてしまっていた。

 

トカゲ、つまりはリザード種。ドラゴン系に属するが、竜ではない。それ故に鉄よりも硬い肉体を持つわけでもなく、岩をも溶かすブレスを吐けるわけでもない。

 

ドラゴン系統の中で、リザード種は下に見られていた。たかがトカゲが本物のドラゴンに勝てるはずもなく、リザード種ら肩身の狭い生活を余儀なくされていた……彼が現れるまでは。

 

━━キングリザード━━

 

リザード種でありながら、想像を絶する鍛錬の末に竜をも超えたトカゲの王。

 

その身を鍛えに鍛え、吐き出すブレスも喉が焼け落ちるまで特訓した。より強い相手との戦いを求め、他の系統すらも荒らした戦闘狂。

 

その力はやがてリザード種の限界を超え、ついにはドラゴンをも打ち倒した。世界で初めて、トカゲでもドラゴンに勝利することを証明してみせたのだ。

 

それからだ。己を鍛え上げ、竜を超えるリザード種をキングリザード種と定義されたのが。

 

キングリザード種はリザード種の楽園を作り上げるべく、日々戦いに明け暮れている……が。

 

最初のトカゲの王、つまり初代キングリザードはどうしていたのか?

 

楽園のために戦っているのか?それともリザード種を王らしく統率しているのか?

 

どれも違う。彼は竜を下した後も、ただただ戦い続けていた。ドラゴンを倒した……ならばより高みを、トカゲである自分がどこまで行けるのかを知るために。実績を上げれば、さらにリザード種の可能性を証明することができるのだから。

 

己を鍛え続けながら、強者を求め異世界を転々としていた彼は出会った。圧倒的な力で神々を薙ぎ払う地獄の帝王に。

 

高みを目指す彼は、生まれて初めて恐怖に震えた。魔王を見たことはある……挑んだことも。しかし、その怪物は魔王という次元を超えていた。

 

初めて目の当たりにした、大魔王の力。震える自分自身に激昂した彼は地獄の帝王へと挑んだ。

 

『俺と戦えぇ!!』

『グゴゴゴゴ……』

 

彼は負けなかった…しかし勝ちもしなかった。なぜなら、地獄の帝王の目は異世界の神々にのみ向けられており、彼のことなど眼中になかったからだ。

 

どれほど拳を叩き込もうと、どれほど強力なブレスに飲まれようと、地獄の帝王は一瞥もくれず、ただただ進撃する。

 

無視されていることに、興味すら向けられていない自分自身に怒りをおぼえた彼は、スーパーハイテンション状態で持ちうる最高の技を叩き込んだ。

 

━━竜王拳ッ!

 

縦横無尽に跳ね回りながら連撃を加え、三つに別れた尾を叩きつける奥義。生涯最高の手応えを感じた彼は、地獄の帝王へと向き直り……目が合った。

 

それまでの怒りも屈辱も全てが消え失せた。湧き上がるのは死の予感、自分など到底敵わないと理解し、次の瞬間には確実に死ぬであろうことを彼は悟った。

 

最高のテンションで、持ちうる最強の技を叩き込み、しかし地獄の帝王は無傷。覚悟を決めた彼は目をつぶり、その時を待った。

 

『………………?』

 

しかし、彼は死ななかった。目を開けると、地獄の帝王の姿ははるか遠くの方へ移動しており、その世界の主神の首をはねたところだった。

 

『…っ!………クソッ!』

 

殺す価値すらないのか。彼は膝から倒れ、涙を流した。と、そこへ一つの人影が近づいた。地獄の帝王の腹心、魔の貴公子ピサロだ。

 

『貴様、すぐに立ち上がれ』

『……ほっといてくれ』

『帝王様がお呼びだ。先程の技を見て、改めて会いたいとのことだ』

『なっ!?』

 

彼はすぐさま起き上がり、ピサロを……その奥に立つ地獄の帝王を見た。双剣を地面に突き刺し、戦地を見渡していた帝王は彼へと目を向けると、背を向け歩きだす。ピサロも続くために足を進め、キングリザードは置いていかれまいと後に続いた。

 

その後、その潜在能力と技を認められた彼は剛竜制圧隊の軍団長を命じられた。新たな鍛錬の場、強者と戦える立場を得た彼は改めて決意する。力をつけ続け、いつしか自身が高みに来たと感じることが出来た時、再び地獄の帝王に挑むことを。次こそは、戦うに足りる存在になることを。

 

 

 

 

 

 

 

クロウの乗っていたゆうれい船が、オムド・ロレスのメドローアによって撃ち落とされた頃、剛竜制圧隊は神殿の内部を掃討し、地下へと攻め込んでいた。

 

軍団にはヘルジュラシックやドラゴンデストロイなどなど、力が自慢のドラゴンたちが所属しており、地下に溢れていた悪魔たちはことごとく叩き潰されていった。

 

その先頭で突き進むのは特殊進化配合装置により生まれ変わった初代キングリザード、通称『最強キングリザード』。

 

それまでの限界値を大きく伸ばした彼は凄まじい力を手に入れ、今では魔王と同等かそれ以上の戦闘力を有していた。

 

「目指すは儀式の間!そこに邪教団の親玉がいるはずだ!敵をぶっ飛ばしながら突き進めぇ!!」

『グオォォオオオッッ!!』

 

ドラゴンたちはギガンテスの振り下ろした棍棒を真っ向から押し返し、アークデーモンの放つイオナズンに飛び込み壁へと叩きつける。頑丈な扉が行く手を阻もうと、吐き出すブレスで溶かし突破していった。

 

「足止めすらできんぞ!」

「とにかく壁になれ!儀式の間に行かせるな!」

 

邪教団の魔物たちが進行を止めようとするが、先頭にいたキングリザードが途端に加速し、目にも止まらぬ速さで突っ込んで行った。

 

━━竜王拳ッ!

 

拳が、ツメが、三又の尾が巨人を悪魔をことごとく吹き飛ばしていく。瞬く間に突破された魔物たちは、キングリザードに続いていたドラゴンたちに踏み潰された。

 

黒曜石で作られた扉を破壊しながらキングリザードが広場に突撃……ついに止まった。後に続いてきたドラゴンたちに腕で静止させ、広場の中心を睨む。

 

そこには二体の魔物がいた。報告にあったいにしえの魔神、それに酷似した姿の怪物と、ヤギのような顔をした巨大な悪魔。剛竜制圧隊を一瞥した悪魔は愉快そうに笑うと、言葉をなげかけた。

 

「外が騒がしいと思えば、ドラゴンの群れか!なるほど、これは戦いがいがあるものだ!」

「愚かなり、帝王軍よ……破壊の運命に抗うなど、無駄な事だ」

「……誰だ?お前ら」

「おお、戦うならば名を名乗らねばな!我が名はタイタニス、全ての悪魔を統べる者!」

「……フォロボス。貴様らとはまた別の世界の破壊神だ」

「っ!!」

 

名乗りを上げた破壊神と悪魔の王。強者を前にキングリザードは胸を高鳴らせた。

 

「俺は帝王軍は剛竜制圧隊、その軍団長を担った最強キングリザード!お前たちの相手、俺がつとめよう。お前たちは残りの邪教団を潰しにいけ!」

 

キングリザードを残し、ドラゴンたちは来た道を戻って行った。タイタニスは口を歪ませ喜びを、フォロボスは不機嫌そうな顔をしていた。

 

「ほう、噂に名高いキングリザード種か!」

「フン、トカゲごときが我に届くと思うたか。すぐに蹴散らしてくれる」

 

トカゲの王が、系統の王と破壊神に挑む。未だかつて無い組み合わせの戦いが、ここに始まったのだった。

 




金ピカ魔神の超強化版と、悪魔の系統の王が登場。
通常のキングリザードでは勝ち目はないが、果たして?

次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)

  • 戦闘回
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