ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

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お久しぶりです。更新また間が空いてしまいすみません。

第1章も終盤になってきました。
ここからはゆらぎ荘の面々と悪霊の神々の戦いを書いていきます。


第37話 末裔のチカラ

アトラスが本気になると、その攻撃はより一層激しさを増した。走るだけで衝撃波が放たれ、巨大な棍棒が振り回される。

 

地を這う衝撃波を避けようと飛び上がれば、アトラスの棍棒が襲いかかるというコンボ。衝撃波自体の威力は少ないが、強引に仲居を庇いながら突き破っていた呑子は何度も衝撃波を食らいボロボロになっていった。

 

「ウオォォオオオッ!」

 

━━運勢操作・招福っ!

 

雄叫びをあげながらアトラスが棍棒を振り下ろす。仲居の運勢操作によって何度も回避がやっとの状態だが、その反動でまたもや衝撃波に飲まれる2人。

 

目玉以外の急所を持たないアトラスに、半端な攻撃は通用しない。その肉体は『ミナデイン砲』と呼ばれる超火力のビーム砲撃をも弾き返すほどの頑強さを誇る。

そして目は棍棒を持たない方の腕でガードしているため、呑子の鬼火砲は少しもダメージを与えられていなかった。

 

このままではアトラスに勝てないどころか、一矢報いることすらもできないのは明白。呑子は衝撃波に吹き飛ばされながらも、その覚悟を決めた。

 

「平気ぃ?仲居さぁん……」

「は、はい!呑子さんが守ってくださったので……呑子さんの方が酷い傷です!」

「いいのよぉ……仲居さん、ちょぉっと離れててねぇ?アタシ、久しぶりにぃ……ちょっとだけ本気出しちゃうからぁ」

「っ!は、はい!わかりました!」

 

仲居が走って呑子から離れていく。それを見たアトラスは大いに笑った。

 

「ゴハハハハッ!仲間に見捨てられでもしたか?なんの意図があるにせよ、このアトラスから逃げられると思うなぁ!」

 

━━はかいのいちげきッ!

 

呑子もろともに押しつぶさんと、アトラスの棍棒が振り下ろされる。絶体絶命の状況、それに対して呑子は不敵な笑みを浮かべた。

 

「そんなわけないじゃなぁい!仲居さんは何度もアタシを痛みに耐えながら助けてくれた……ならぁ、アタシもそれに応えないとねぇ!」

 

呑子の肌が段々と黒く変色していく。髪は桃色から真っ白に変わり、角は硬質化し黒く物々しく変化した。

 

「さっきのと昨日のを合わせてぇ……三升ってとこかしらぁ?」

 

棍棒へと、呑子が拳を叩き込む。その力は凄まじく、棍棒を弾き返しアトラスを大きくのけ反らせた。

 

「な、なんだとっ!?」

「さあ、行くわよぉ!」

 

呑子がツノから次々と鬼火砲を放つ。アトラスの肉体にダメージは無いが、衝撃で少しずつ後ろへ押され始めた。

 

「ぐ…ぐぐ……なめ、るなぁ!」

 

━━ふんさいのいちげきッ!

 

棍棒に魔力を込め、鬼火砲を薙ぎ払う。全ての鬼火砲を弾き、障害物がなくなったアトラスは呑子へと迫る。大きく棍棒を振り上げたところで……後ろから大量の鬼火砲が襲いかかった。

 

「ウ…オォォオオオッ!?」

 

呑子が弾かれた鬼火砲を操り、アトラスの背中に誘導したのだ。意識外の攻撃にアトラスは前へ倒れ、四つん這いになる。そこへ、がら空きになった目玉に呑子の特大の鬼火砲が直撃した。

 

「ギャアァァアアアッ!!?」

 

目玉をおさえ、仰向けに倒れるアトラス。呑子はアトラスの顔に飛び乗ると、霊力を纏わせた拳を顔へと叩き込んだ。

 

「ブッ!?」

 

一度に終わらず、何度も何度も拳が叩き込まれる。自分よりも小さい相手に、一方的に顔を殴られている。そんな異常は、アトラスに一つの忌々しい記憶を蘇らせた。

 

 

『はあぁぁあああっ!!』

『グガッ!グゲッ!』

『やっぱりおかしいわよあの力』

『これで魔力まで持ってたら最強だったな。もうアイツ一人でいいんじゃね?』

 

 

「この…アトラスが、神でも…勇者でもない……こんな辺境の世界にいる小鬼に……力負けだと……」

 

アトラスの手が棍棒を握る。もう片方の手で拳をつくると、勢いよく地面へと叩きつけた。

 

「そんなことが、あってたまるかぁああっ!!」

「っ!」

 

━━大地の怒りッ!

 

アトラス周辺の大地が蠢き、赤熱していく。やがてマグマが吹き荒れ、巨大な岩盤が突き出し呑子を襲い始めた。

 

「あらぁ、ちょっとマズイわねぇ」

 

完全に囲まれ、退路も無くなった大地。アトラスは棍棒を肩に担ぐと、呑子へと襲いかかった。

 

「このアトラスが!貴様のような小娘に敗北するなど、あるはずがない!吹き飛ばしてくれるわ!」

「やってみなさぁ〜い?」

 

━━超かっとばすッ!

 

両手で棍棒を持ち、フルスイング。呑子は鬼火砲で棍棒の速度を弱めると、全身を霊力で包み突進した。棍棒と呑子の突進は拮抗し、凄まじい衝撃波が起こる。手強しとみたアトラスは、後ろ足を上げると勢いよく地面へと叩きつけた。

 

━━ランドインパクトッ!

 

大地が割れ、突き出てきた鋭い岩盤が呑子を吹き飛ばした。空中で体勢を立て直した呑子へ、アトラスは複数の岩盤を掴み投げつけていく。呑子は鬼火砲で相殺するが、そこへ岩盤を砕きながらアトラスの棍棒が迫った。

 

━━はかいのいちげきッ!

 

咄嗟に腕で防御するも、全身を棍棒に強打され、マグマを越えて山に突っ込んだ。埋まった呑子は外へ出ようともがいていると、突如浮遊感に包まれる。

 

「ウオォォオオオッ!」

 

アトラスが山を持ち上げたのだ。呑子は山ごと投げられ、さらにアトラスは追撃を加える。

 

━━だいはかいのいちげきッ!

━━大地の怒りッ!

 

山のごとき巨大な岩を投げ、地面を叩き岩盤の突き上げを行う。呑子の埋まった山は岩に貫かれ、岩盤によって砕かれた。

 

アトラスの誇る最高の技たち。息切れしながらも、アトラスは笑みを浮かべた。

 

「あらぁ、何を笑ってるのかしらぁ?」

「……?な、なっ!?」

 

呑子が、アトラスの背後に浮かんでいた。一瞬、硬直した隙をつき、呑子がアトラスの目玉へ鬼火砲を放つ。悲鳴をあげながらアトラスは地面へと倒れた。

 

「なぜ、なぜ生きているのだ貴様!?」

「簡単なことよぉ、あなたの技が放たれる前にぃ、アタシは山から脱出していたの」

 

アトラスが山を投げた時、その力で運良く(・・・)外への穴が開き、呑子はそこから脱出していた。アトラスの技は呑子の埋まっていた場所を正確に貫き破壊していた。その穴が無ければ確実に死んでいただろう。

 

「仲居さんがいてくれて助かったわぁ」

「あの……小娘か、あの小娘が!」

 

呑子はこの場にいない、遠く離れた仲居へ感謝した。アトラスは恨みを込めて叫ぶも、技の連発でかなり消耗した今はそれしかできなかった。

 

「これで締めよぉ」

「バカな…こんな小娘に、小鬼ごときに敗れるというのか!?悪霊の神々が一柱である、このオレが!?」

 

呑子のツノに霊力が集まり、巨大な鬼火砲が形成されていく。それがアトラスへと向けられようとしていたその時。

 

「「っ!?」」

 

ガラスが割れたような音とともに、何かが空間を突き破り飛び出してきた。

 




まだアークさんは出ない予定。主人公の影も形もないぜ……。


第1章が終わったら、ネタ集めのためにメインは少しお休みします。

それまでの間を繋げるために、今のうちからアンケートで番外編のテーマをいくつか決めていきます。

リクエストも受け付けますので、その場合は感想欄にお願いします。

戦闘回ではどれがいい?(締め切り11/6)

  • エスターク(記憶なし)vsミルドラース
  • ピサロvsエビルプリースト
  • オムド・ロレスvs闘神レオソード
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