ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

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長くお待たせしました。
大学受験、無事合格し戻ってきました。

ブランクどころか初見です。この作品を長らく更新していなかったので、書き方を!忘れた!


第41話 邪神官ハーゴン

悪霊の神々はカンダタ盗賊団改めカンダタ親衛隊を蹴散らさんと息巻いていたが、やはりゆらぎ荘の面々と戦ったことによる消耗で苦戦を強いられていた。

 

ベリアルはまだ体力も魔力も充分残っているが、バズズは邪神の力を使った反動と先程の気絶により息切れしており、アトラスは呑子に叩きのめされすでに満身創痍の状態だった。

 

そんな彼らに帝王軍親衛隊を相手するには厳しい。

 

そう感じたのだろうか。空間が歪み、新たに一人この戦場に乱入者が現れた。

 

「………………」

「なっ、ハーゴンさま!」

 

その男、ハーゴンが現れたことにいち早く気づいたのはベリアル。カンダタたちは武器を構え警戒するも、ハーゴンは一瞥もくれずに悪霊の神々へと手を向けた。

 

瞬間、どす黒い呪いがその手から溢れ出し、ベリアル・バズズ・アトラスを包み込む。

 

突然のことに驚きながらも、彼らはハーゴンの呪いを受け入れた。自身の体から禍々しいオーラが出始め、力がみなぎるのを感じたベリアルは、その呪いが何なのかを理解した。

 

「これは……邪神の!シドーさまの力!」

 

傷が一瞬で修復され、アトラスは赤黒い、バズズは青黒い、ベリアルは緑黒いオーラを纏いさらに上位の存在へと進化する。

 

アトラスの山のごとき巨体はベリアルの2倍程度にまで縮み、しかしその力は縮んだことでより凝縮される。

 

バズズは魔力が高まり高速で循環していく。それに共鳴し体毛を染めている血がより暗く変色し魔力を発し始めた。

 

ベリアルはその黄金色の肉体が一回り大きくなりさらに筋肉質になる。強大な魔力はバトルフォークにまで侵食し、その威力を底上げした。

 

新生した悪霊の神々、新たな名を『アトラスネオ』『バズズエリート』『ベリアルオリジン』。

 

それらは凶暴な赤い瞳を親衛隊へと向け、闘争心の赴くままに襲いかかったのだった。

 

 

 

 

 

 

ゆらぎ荘にて、コガラシたちはカンダタこぶんたちから事情説明を受けていた。

 

「……つまり、いまゆらぎ荘を襲っているのは別世界から来た破壊の神を信仰する邪教団。そして、あなた方たちは邪教団を倒そうとしている…と」

「にわかには信じ難いが……あそこまでの強さを持ちながら、誅魔忍軍の目を掻い潜りこの国に存在できている。どれほどの強者でも、全国に散開している誅魔忍の目は欺けないからな」

「わかってもらえたようだな!あの悪魔どもは頭たちがやってくれる。お前らはアッシら、カンダタ親衛隊が守ってやるからよ!大船に乗ったつもりでどーんと任せておきな!」

 

豪快に笑うカンダタこぶん。一息つけるかと皆が力を抜いた時、幽奈がふと気づいた。

 

「あの、ゆらぎ荘は湯煙温泉郷に戻されているんですよね?」

「ん?おうよ、次元の狭間に捨てられてたのを拾い上げて、元の場所に戻してあるぜ」

「では…あの……なぜ襖の奥に木々や建物ではなく、空が広がっているんでしょうか……?」

「は?」

 

カンダタこぶんが急いで半開きの襖を全開にする。そこには、雲すらない青空と石のような材質の床が広がっていた。

 

「おいおい、なんだこれ……」

「お空の上、ねぇ…」

「……アッシらじゃねえ。逃げろ!邪教団の━━━」

「そう急ぐな。楽しみはこれからだぞ」

「━━━仕業かもしれ……あ?」

 

注意を促していたカンダタこぶんの胸部分から呪いの棘が生えた。黄金の鎧を容易く貫いた棘が抜かれ、カンダタこぶんはマ素となって消える。

 

「なっ!?」

「誰だ!」

 

その場の全員が、いつの間にか侵入していた敵へと注意を向けた。そこに居たのは、悪魔のような紋様が入った布を纏い、ドラゴンのヒレのようなものが付いた帽子をかぶった青い肌の男だった。

 

「お、おめぇは…ハーゴン!」

 

男……ハーゴンはニタリと笑うと、杖に魔力を纏わせ解放する。魔力は骸骨の形をした呪いとなり、カンダタこぶんたちを次々と吹き飛ばしていった。

 

「やめろぉ!!」

 

コガラシたちがハーゴンへ攻撃を加えた。対しハーゴンはニヤリと笑うと、それらに迎撃の体勢をとる。

 

狭霧のクナイ、呑子の鬼火砲が放たれる。が、脚の一薙ぎで打ち払われた。

夜々の爪撃と朧の剣撃が襲う。が、魔力の暴風で壁に叩きつけられた。

コガラシの拳が打ち込まれる。が、受け止められ反撃の拳に打ち据えられた。

 

「悪魔たちに気を取られていたからか、この空間に引きずり込むのは容易だったぞ。ふふふ……これで、私をここまで手こずらせた地獄の帝王に、目にものを見せられるな」

「ぐ……勝手言ってんじゃ…ねぇ…!」

「フンッ、私の一撃を受けてまだ立てるか。意識を飛ばすために顎を狙ったのだが……人間のくせに丈夫だな。まあいい、その強さであれば我らが神もお喜びになるというものよ」

「生贄になんざさせるかよ!」

「ムッ…」

 

コガラシが拳撃を放つ。ハーゴンは複数枚の結界を貼り防ぐも、コガラシの拳撃はその全てを割りハーゴンを外へと吹き飛ばした。

 

雨野流誅魔忍術奥義(あめのりゅうちゅうまにんじゅつおうぎ)叢時雨(むらしぐれ)!!」

 

起き上がろうとしているハーゴンへクナイの雨が降り注ぎ、さらに呑子の鬼火砲が数発打ち込まれた。仕上げにコガラシの全力の拳撃が床をぶち抜き、浮遊島のような足場に穴を開けた。

 

「やったか…!」

「さぎっちゃ〜ん?それフラグよぉ?」

「口は災いの元、とはよく言ったものだな。言わずともこの程度ではやられんが」

 

ハーゴンの声が3人の背後から聞こえた。咄嗟にコガラシと呑子はその場を飛び退いたが、反応が遅れた狭霧は腕を掴まれ、床に叩きつけられた。

 

「がっ!?」

「狭霧!」

「クフハハハハハ!!」

 

━━狂乱脚ッ!

 

ハーゴンの連続蹴りが狭霧を襲った。一瞬で霊装結界が剥がされていき、腹に重い一撃を打ち込まれることで完全に剥がされてしまった。

 

「あ…ぐ……」

「さぎっちゃんからぁ…離れなさぁい!!」

 

呑子がハーゴンへ格闘を仕掛ける。巨人アトラスを上回る鬼の力、それはハーゴンをも凌駕していた。

 

「ほう…ならば、これならどうかな?」

 

ハーゴンの身体から禍々しいオーラを立ち上らせた。それは右手に集中し……凄まじい衝撃波と共に巨大な爪を形成した。

 

「な、あれは!」

「う……破壊神の力…」

 

━━邪神のツメ

 

バズズの使用した邪神の力。それは何もバズズのみに使えるわけではない。最も破壊神と近い存在であるハーゴンに、使えない道理はなかった。

 

爪が振り下ろされる。呑子はすぐさま攻撃範囲内から離脱し、爪は触れた床を紫色の光に変えて消滅させていった。

 

「あらぁ……生贄にするって話はどうしたのかしらぁ…?」

「肉体にこだわってなどおらぬ。お前たちほどの実力者ならば魂だけでもよい……生贄はすでに足りているからな」

「足りている…?どういうことだ」

「ククク……我らが偉大なる破壊神シドー様は、信心深き信徒を生贄として食らうほど力を増し、完全な復活へと近づいていく」

 

ハーゴンは爪を形成する邪神の力を消散させ、次は持っていた杖に魔力を込め始めた。

 

「であれば、お前たちのような何も知らぬ者を生贄にせず、我ら自身を生贄とすれば良い。我が神殿にて、私と共に破壊神降臨の下準備を進めていた神官は全て生贄となった。今こうしてお前たちを襲っているのは、上質な魂を捧げさらなる力を得るためだ」

「……結局、オレたちは捧げ物ってわけか」

「そう、お前たちは我らが神に喰われる…それだけよ」

 

杖に込められた魔力が暴走し、凍てつく呪いの暴風となって吹き荒れる。ハーゴンはその杖をコガラシたちへと向けた。

 

「さあ、そろそろ終わりにするとしよう。地獄の帝王が来ぬうちに、お前たちの魂を頂かねば」

「……いにしえの魔神ってやつも言ってたけどよ、誰なんだよ……地獄の帝王ってのは」

「ククク……地獄の帝王とは、魔物を率いて数々の世界を手中に収めた魔王のことだ。その正体も教えてやりたい……が、時間が無い。続きはゆっくりと聞かせてやろう……魂にした後でな」

 

━━ロンダルキアの風ッ!!

 

暴風が床を凍り付かせながら、コガラシたちとゆらぎ荘へ迫る。まだ戦えるコガラシと呑子は、拳撃、鬼火砲を放つも圧倒的な魔力量の前には効果が無かった。

 

「く、くそっ!」

「マズイわねぇ…!」

 

コガラシと呑子の抵抗をものともしない暴風はゆらぎ荘を飲み込む━━━━

 

 

 

━━蒼天魔斬・改

 

 

 

 

 

━━━━ことは無かった。空から放たれた青い骸骨の形をした斬撃が、暴風と衝突し相殺させたのだ。

 

「む?」

「あ…あの人は…!」

 

ゆっくりと降りてくる者が一人。その身体は黄土色の鎧に包まれていた。

 

「アークさん!!」

「……やあ、遅くなってしまったよ。すまないね」

 

アークはコガラシたちへと振り返り、手をかざす。するとコガラシたちの身体はベホマの光に包まれ、その傷を全て癒した。

 

「ククク……異世界の旅は楽しかったかな?」

「まったく……月にいないことは読んでいた。月を覆っていた力が消えていたからな。軍が月に侵攻すると同時に地球に来ているならば、空間を捻じ曲げて潜伏しているとは思っていたが……」

「様々な世界に繋げておいたのだ……が、まさかこの1日で全てを踏破するとはな。私の息のかかった悪魔や魔物たちの溢れる世界を……」

「ああ。数百もの世界を渡るのは流石に骨が折れたぞ」

「ククク、流石は…地獄の帝王と言ったところか」

 

ハーゴンがこぼした言葉がコガラシたちを打った。それに気づいたか、アークは少々俯いた。

 

「アーク…さん。今のは……」

「……ああ、そうだ」

 

アークの身体が光り始める。強烈な光が収まれば、そこにはアークの代わりにこの世のものとは思えない恐ろしい怪物が佇んでいた。

 

「エスト・アークでは無い。人間でもない……我が名はエスターク。この世界とは別の世界に在る者……地獄の帝王だ」

 

 




やっとアークさんの正体が割れました……って、まだ原作2巻の状態!?あと20巻以上あるのか…たまげたなぁ……。

番外編もちょくちょくやっていきます。最初は……ギャグ回か。1番目と3番目に多かったので、間をとって他作品のネタはほどほどに……できるといいなぁ。
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