正体バレたのと、記憶は取り戻しているので地の文にはアーク状態の精神を、口から出るのは帝王様にします。
破壊神の力を賜った悪霊の神々たち。その力は想像を絶するものであった。
━━だいはかいのいちげきッ!
━━しゃくねつのおたけびッ!
━━魔界のイオナズンッ!
巨人の豪打が、灼熱を伴う咆哮が、瘴気を含む大爆発がカンダタ親衛隊を襲う。
消えたハーゴンからゆらぎ荘を守らねばならないというのに、悪霊の神々は倒れてくれる様子はない。それどころか、ますます攻めを強め押し立てる始末。
「小僧!!まだまだ力が足んねぇぞ!」
「そんなこと言われたってよ!?チクショー、なんだってこんなことになっちまうんだ!」
カンダタおやぶんが斧を振り回し地面へ叩きつける。衝撃は大地を盛り上げ、神々の技を僅かながら押しとどめていた。その後ろには傷付き倒れたカンダタレディースとカンダタセブン。未だに立てるのはカンダタとカンダタおやぶんのみだった。
カンダタ親衛隊は攻めあぐねていた。各個撃破を図ったはずが、合流されてしまえば個の力が充実した側に戦況は傾く。カンダタ親衛隊も粒揃いではあるが、やはり邪神の力を賜った神々には一歩遅れていた。
「クハハハハハッ!我らに楯突いた愚かさを悔やみながら、その魂を捧げ━━━━」
ベリアルオリジンが勝利を確信し、カンダタたちへと狂笑を向けた時。
空間が大きく揺れた。
『!?』
揺れは一度しか起きなかったが、代わりに凄まじい圧と魔力が辺りを覆った。カンダタたちは息をすることすらもできなくなり、対して悪霊の神々は歓喜に震えだした。
「おお、この魔力!」
「ついに、ついに目を覚まされたか!」
「残念だったな、俺たちの勝利だ!!」
ハーゴンの生み出した小さな世界は悲鳴をあげ、ヒビを入れていく。それに気付いたカンダタおやぶんはカンダタを蹴り飛ばした。
「グエッ!?な、何すんだよ親分!」
「……キメラのつばさ持ってたろ。さっさと行け」
「な…何言ってやがる!?親分でも言っていいことと悪いことがあるぜ!!」
「馬鹿野郎!状況をよく見やがれ。この威圧、恐らく破壊神は復活しちまった。ならお前は戻って、月にいる軍団に情報を伝えて来い!」
「フハハハハハッ!我らを前にして、良くもぬかせるな!まあいい、アトラス!バズズ!お前たちは破壊神様の元へ!我はこやつを屠った後に合流する!」
「させるかァッ!!」
━━カンダタむそうッ!
カンダタおやぶんは斧を大きくぶん回し巨大な竜巻を形成。そのまま神々へと突進した。しかし、前へ出たベリアルオリジンがバトルフォークを振るうと、カンダタおやぶんの斧が止まり鍔迫り合いへと持ち込まれてしまった。
「フンッ、貴様如きが我々を阻めるとでも?」
「グギギ…早く行け小僧ォ!!」
ベリアルオリジンとカンダタおやぶんが打ち合う。破壊神復活によるものか、ベリアルオリジンの身体能力はさらに上昇した。内にある邪神の力が共鳴しているのだ。
「ウオオォォオオオッ!!」
しかし、カンダタおやぶんは一歩も退かない。自慢の大斧を振り回し、筋肉質な肉体から放たれる豪打は確かにベリアルオリジンに引けをとってはいなかった。
「ぐ…くそ、クソおお!!」
カンダタがキメラのつばさを掲げ、握りつぶす。カンダタは光に包まれ、崩壊し始めた世界から脱出したのだった。
大渦が閉じ、巨大な闇の塊が残る。強烈な魔力の波動はコガラシたちの身体を震わせた。
それは、原初の権能。『創造』に相対する『破壊』。
彼らはその『破壊』の前に立っている。生物としての本能が、その強大さから彼らの身体を震わせているのだ。
……ォ……オ……
闇はまるで胎動するかのように段々と魔力と威圧を強める。コガラシくんは異世界の邪神とは戦ったことがあるらしい。しかし、目の前にある存在は全くと言っていいほど格別したものだ。
…ォォ…オオオ…
「ヌゥンッ!!」
━━じごくのごうかッ!
先手必勝。戦いの鉄則だ。私の口から吐き出された地獄の業火は魔力を掻き分け闇へと猛進する。そのまま闇を焼き尽くす……かに見えたが。
「なに……?」
業火は何かに弾かれるようにかき消されてしまった。
ォォ…ォオオオ…
「グゴゴゴゴ……」
それになんだ、先程から聞こえる音は。まるで
その時、私たちの目の前の空間にヒビが入り砕き散った。穴から現れたのは二体の異形。ベリアルたちのいる空間から脱出したベリアルとバズズだった。
「おお!!この波動、まさしく破壊神様のものだ!」
「世界の終わりが近づいてる。あれほど巨大な暗黒…球……あ?あれ、暗黒球…だよな?」
「ぬ…?」
バズズは様子の可笑しさを感じ取った。アトラスも目を凝らし闇の球体を見る。やがてその巨眼を大きく見開き驚きをあらわにした。
「暗黒球は赤みを帯びた闇の球体のはず……だが、あれに黒以外の色が見えぬな」
「それにサイズがおかしい。あれ程までに巨大化した例なんざ……」
「グゴゴゴゴ……コガラシ。呑子」
「うっす」
「なぁに?」
「……すまぬ」
━━バシルーラ
「え、アークさ━━━」
強制瞬間移動。コガラシくんと呑子さん、そしてゆらぎ荘の姿が消え去る。やはり、この場に居させる訳にはいかない。悪霊の神々の反応を見る限り、どうやらあれは邪教団側にとっても予想外のものなのだろう。
つまりはイレギュラー。本当にあれは周知されている破壊神のものなのか?
「ぬ…バズズ。あれは…」
「ああ。地獄の帝王だ」
バシルーラを使ったことで魔力を感知されたな。隠れるつもりもなかったが、破壊神と悪霊の神々を同時に相手するとなると骨が折れそうだ。
剣を構え悪霊の神々へ向き直ったその時。
ォォォォオオオオッッ!!
闇の大玉にヒビが入った。その割れ目から紫色の魔力が溢れ出し、やがて大玉の所々から光線が放たれた。
「ぬっ!?」
「な、なんだ!?」
光線は床を削り、見境なく破壊の限りを尽くす。それは私と悪霊の神々にまで襲いかかった。
「ゴオッ!?」
「し、シドー様ああああ!!?」
圧倒的な威力を誇る光線が、瞬く間にアトラスとバズズを消滅させた。まさか、忠臣であったはずだろう!?
「ぬうん!!」
━━帝王の一撃ッ!
魔力を纏わせた剣で光線を受け止め、弾き返す。散らばったエネルギーは着弾した場所を紫色の粒子に変えてしまった。
大玉のヒビは広がり続け、やがて眩く怪しい光を解き放った。剣を床に突き刺すことで衝撃波を耐えていると、光は段々と収まっていった。
「……破壊神…か…?」
「ォォオオオ……」
そこには、巨大な異形が浮揚していた。
紫色の筋肉質な巨体。二対のこれまた巨大な剛翼と剛腕。脚は無く、黒い棘の生えた身体の下からは龍の首が伸びていた。
伝え聞く破壊神シドーとは明らかに違う。所々に似る部分はあるが……。
「ォォォオオオオッ!!」
「グゴゴゴゴ……相手にとって不足なし。我はエスターク、地獄の帝王!」
咆哮する怪物へ剣を構える。久方ぶりの強敵に、私の身体は震えていたのだった。
いや、勝てぬかもしれない相手だと…わかっていたのかもしれない。
小説家になろうやカクヨムでの活動を抑えてこちら側に集中するつもりです。
残念ながら、アンケートを取った番外編ですが、ワチャワチャしてる間にネタが集まったので一回ずつで抑えます。またネタも何もかも無くなったらそちらを回そうかと思います。