ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

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破壊された月で何が起こったのか。その真相やいかに。


第46話 悪魔王の目論見

「お前たち、無事だったか!」

「キングリザードの傷が酷い!衛生兵!」

 

クロウたちは軍団を率いピサロと合流した。重傷者は簡易な回復呪文をかけられ運ばれていく。

 

「これで全員か!」

「全軍団、合流完了だよ!」

「よし、皆の者!引き上げだ!」

 

ピサロが軍団を旅の扉へと向かわせる。しかし、そうは問屋が卸さない。

 

「っ!?伏せろ!」

 

━━イオグランデ

 

巨大な爆発が魔物たちを吹き飛ばしていく。呪文を放った下手人は上空からゆっくりと降り立った。

 

「どこへ行く。まだ我らは健在だぞ」

「逃がさぬ。破壊神復活の儀は邪魔させぬ」

 

タイタニスとフォロボスが追いついたのだ。魔王級二柱の襲来に軍団長たちは得物を構えた。

 

「逃走などするものか。キングリザードをここまで痛めつけてくれたのだ。まともに死ねるとは思うなよ」

「ああ、あのトカゲの王は強かったぞ!だが残念ながら、我の渾身の一撃で沈んでしまったがな!」

「そうか。ではそちらが沈む番だ!」

 

━━ほうげきッ!

 

砲門が空間から顔を出し、砲撃を開始した。対しタイタニスとフォロボスはサーベルと棘を使い砲弾を両断。カウンターとして呪文を放つ。

 

━━ドルモーアッ!

━━メラガイアーッ!

 

暴走した呪文と最上位呪文が放たれる。それをオムド・ロレスが自ら前に出て受ける。特性『つねにマホカンタ』を持つオムド・ロレスは全ての呪文を跳ね返し、面食らった2人は爆発に飲まれた。

 

「にゃははははは!」

 

動くのは悪辣で狡猾な手数は他の追随を許さないガルマッゾ。

 

━━レベル4ハザードッ!

 

「ぐおっ!?」

「っ!?破壊神!」

 

ガルマッゾから放たれたマ素の波動がフォロボスを打ち、その身体を重度のマ素に侵食された。そこでオムド・ロレスが追撃のための舞台を整える。

 

━━リバース

 

敵味方全ての速さが逆転する。動き回るのには適さない身体をしているガルマッゾは途端に凄まじいスピードを獲得し、タイタニスらが動く前に再び技を放った。

 

━━災禍のマ瘴ッ!

 

禍々しいマ素の渦が魔抱珠から放たれた。タイタニスは回避できたものの、マ素に蝕まれたフォロボスは逃げきれず暴力的な激流に身を削られていく。

 

災禍のマ瘴はマ素深度の高い相手に高ダメージを叩き出す。深度1で2倍、レベル4ハザードによって深度4まで進んでしまったフォロボスの肉体は破壊し尽くされ、まともに動けなくなった。

 

「破壊神をこうも……やはり帝王軍の名は伊達ではないな!」

「次は貴様だ!」

 

仲間であるフォロボスが倒されたことに興奮するタイタニス。リバースの効果が切れたタイミングでピサロが疾走。タイタニスの放つ呪文はクロウの砲撃に撃ち落とされ、ピサロとタイタニスの近接戦が始まった。

 

「ぬ、ぐおおっ!?」

 

巨大なサーベルの合間を縫うようにピサロの剣が閃く。得物の相性も、近接戦もピサロに分がある。それを悟ったタイタニスは勢いよくサーベルを振り下ろし土煙を巻き起こした。

 

「喰らえいっ!」

 

━━冷酷な氷撃ッ!

 

タイタニスはいち早く煙から抜け出し、ピサロへと魔氷の雨を降らせた。喰らえばヒャド耐性を下げてしまう氷撃はしかし、ピサロの一薙ぎで消滅する。

 

━━ジゴスラッシュッ!

 

地獄の雷が迸り、斬撃となって氷撃を溶かす。しかし技を放った隙をタイタニスは伺っていた。

 

━━邪悪なこだまッ!

 

「むっ!?」

 

悪夢のこだまを超える威力の魔力弾の群れがピサロを襲う。なんとか回避するピサロだが、さらに追撃で呪文が放たれた。

 

━━ギラグレイドッ!

 

極熱の閃光が放たれる。地を舐め突き進むそれは、ピサロを焼き吹き飛ばした。

 

「ぐああっ!!」

「ピサロッ!」

 

ピサロを瞬間移動で受け止めるクロウ。タイタニスが接近しようとするも、オムド・ロレスがかがやく息を吐き牽制した。

 

「はぁ…はぁ……ははは!流石だ!この悪魔王がまさかここまで攻めたというのに、未だに全員健在とは!」

「ぐ……当たり前だ。我ら帝王軍を侮るな!」

「フハッ!ああ、その強さを認めてやろう。故に……貴様らも、破壊神へと捧げてやろう!」

 

━━呪縛の氷撃ッ!

 

タイタニスは呪いの魔氷を生み出し、命を刈り取らんと放った。

 

「ぐほおっ!?」

 

地に伏すフォロボスへと。

 

「な、何いい!?」

「仲間を、攻撃しただと!?」

 

「あ、悪魔王おお!!何故、何故我を撃った!?」

「なあに、破壊神への贄だ。安心しろ、我も直ぐに行く故な!」

「き、貴様ああああ!!」

 

フォロボスは塵となり消えた。タイタニスは軍団長たちへと振り返ると、その右手に禍々しい闇の魔力を集中させていく。

 

「次は貴様らだ。我が主の命令には無かったが、まあいいだろう」

「我らを相手にそれができるとでも?」

「できるさ!万が一を想定して、我が主より力を借りてきたからな!」

 

その手の中にある魔力はタイタニスをも優に超え、さらに増大していく。凄まじい魔力の波動に、軍団長らの背筋が凍った。

 

「この魔力は破壊神の物では…!貴様の主は破壊神では無いのか!?」

「フハハハハッ!違う!我はあるお方の下僕!破壊神など我らに利用されるだけの存在よ!さあ、さあ!死ぬ用意はできたな!?」

「ぐっ、総員退避しろ!死ぬぞおお!!」

「もう遅いわぁ!皆まとめて破壊神に喰われるがいい!」

 

タイタニスの握っていた魔力が一際大きく輝き、暗い月を眩く照らした。

 

本来ならば、この一撃により月は破壊され軍団全てが贄となる。そして破壊神シドーはジェノシドーへと変異するのだ。

 

 

「全て、滅びされえええッ!」

 

━━魔星王の禁術ッ!

 

魔力は歪み、渦巻き奔流となって星々を破壊せんとする。邪悪な魔力がタイタニスもろとも全てを飲み込まんとし……ポスンっという音とともに消滅した。

 

「……は?」

 

「間に合ったああ!」

 

耳にしなかった声が響き渡る。見ると、旅の扉付近で見知った男が何かを掲げていた。

 

「なんとか発動してて良かった!これで破壊神は変わらねえ!」

 

その男、カンダタが高らかに叫ぶ。その手には『せいじゃくのたま』。呪文である魔星王の禁術は『せいじゃくのたま』によってタイタニスが呪文を封じられたことで不発に終わったのだ。

 

「ば、馬鹿な!?我が主の、闇の王の力が!?」

 

動揺するタイタニス。そこへ雷が迸った。

 

「よう。先程のお返しだ、たっぷりと味わえ!!」

「き、貴様、キングリザード!?」

 

完治したキングリザードが、タイタニスの隙を突き懐深く潜り込んでいたのだ。敗北を何より嫌う彼は、タイタニスへ並々ならぬ激情を抱いていたのだ。

 

━━轟雷・竜王拳ッ!

 

豪打一撃一撃が身を貫き焼き切っていく。タイタニスは悲鳴すら上げられぬまま打たれ続け、最後の尻尾による一撃で地へと叩きつけられた。

 

(ま、マズイ……これでは無駄死にだ。我が生贄となり王の力を破壊神に取り込ませねばならぬというのに、奴らに殺されてしまえば元も子もない!ここは一時撤退……)

 

ルーラを唱えるため魔力を練ろうとするタイタニス。その目論見は……。

 

「カンダタウルトりゃ……ええい、喰らえやああああ!!」

 

━━カンダタウルトラスパークアタックッ!

 

「が、がああああああああ!!!?」

 

勇者の一撃と遜色無い雷の一閃により消え去ることとなったのだった。

 

 

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