ゆらぎ荘の帝王様   作:サンサソー

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基本、主人公視点です。帝王様のような口調ではありません。普通の人間のように喋り、普通の人間のような心情です。魔人化した際は帝王様になります。


第1章 狂乱の破壊神
第2話 激安下宿 ゆらぎ荘


神に殺されはや数万年。再び神(ブッコロ済み)によって異世界へととばされた私。前世は普通の会社員、今世はエスターク帝王。ひとつ言わせてくれ----どうしてこうなった。

 

『力が全て』という脳筋バカどもが襲ってくる毎日。進化の秘宝を使わずとも勝利を約束してくれる帝王ボディに感謝すれど、負けたヤツらが勝手に配下に加わっていくのはいい気持ちがしない。

 

我、元人間ぞ?上に立ったことなんて、学生の頃に学級委員になった以来だぞ?なのに大量の魔物たちをまとめあげられるとでも?出来るわきゃねぇだろいい加減にしろ!

 

部下からは、「他勢力を倒し勢力を広げるべき」と散々に言われた。いやでもさ、私は いのちだいじに を尊ぶんですよ。死にたくないのよ。

 

進んで殴り込みに行くことはしたくないと遠回しに行ってみたこともある。腑抜けと判断し出て行ってもらおうとしたわけだ。

 

「敵が来るのをどっしりと待つ。下郎の元へわざわざ出向く必要はないということですね!さすが、我らの長だ!」

 

あぁもう、どうせいっちゅうんじゃ!!?

いいように解釈すんなや!もっと疑えよ!?何もかも勝手に勘違いせんで欲しいのよ!?

 

結局、私は魔界を統一し、部下の言うように地上へと侵略を開始した。知らなかったのか?世界の運命からは逃げられない…!

挙句の果てには、どこから見つけてきたのか旅の扉を引っ張り出し、それを解析&量産して異世界へ旅立っていきやがった。強敵が出たからと私まで出陣を要請される始末。

もう私にはどうすることも出来ん……

どうせいっちゅうんじゃ…(泣)

 

そして予想通り、マスドラが降臨したわけですよ。

やべ、私このままだとブッコロコロスケされると焦りながら、なんとか進化の秘宝を編み出した。さすが帝王の頭脳よ。

しかし、やはり時間が少なかった。黄金の腕輪の作成が間に合わず、結局はエスターク帝王と同じ末路を辿ることとなった。

 

封印された後は、異世界に出張したりしていたらしい。らしいと言うのは、その時は不完全な禁術の副作用で記憶をなくしていたからだ。

オレハ…ナニモシラナイ…シラネ……。

 

そこに現れたのが、全ての元凶であった神とかいうお節介。

なんと、また私を別の世界に転生させようとしていた。咄嗟に剣で叩き潰しちゃったよね…。その際に魂に干渉されたことによって、全ての記憶を思い出し、進化の秘宝も制御することが可能になっていたというわけなのだよ。

 

叩き潰しちゃった後は、神が用意していた転移だけが発動し、異世界へと飛ばされてしまった。幸い旅の扉を複数所持していたため、魔界に帰り私がいない間の仕事や部下への顔出しを済ませることができた。

 

基本、大魔王の仕事は部下の案を吟味し許可を出すか、戦の指揮・戦法を決めて戦うぐらいだ。しかし、何百年もの月日が経っているのだ。その仕事を部下がある程度対応していたとはいえ、王が不在の間にあれこれ決めてしまうのはマズイ。そのため、かなりの仕事があった。

 

それらを捌き、何とか終わらせた時には心身ともに疲労が溜まっていた。

 

どうこの疲れをとろうかと考えた時に思いついたのが、異世界への旅行だ。

 

その旅行先には色々と悩んだが、私が神に飛ばされた世界が1番都合がよかった。魔物もおらず、呪文などの術もあまり発達していない。そこであれば、元人間だった頃の生活ができるのでは?

 

決めてからの行動は早かった。魔界へ戻るために設置した旅の扉を潜り、いざバカンスだ!と意気込んでいた。

 

しかし、私は失念していたのだ。異世界人が来ても、家も何も無い。貨幣も違うからゴールドは使えない。ゴールドを金として換金しようにも、金貨なんて持ってきては絶対に怪しまれる。ここは私の前世のような世界に近い。金貨なんて発掘品か記念硬貨ぐらいしか普通はお目にかかれない。

 

バカンスなんてできねぇじゃねぇか!

 

それからは必死に職を探した。バイトし、前世から知っている歌や曲を路上ライブで披露し、なんとか金を集める生活にあけくれた。もちろん、その間は公園で寝泊まりしたさ。

名前はエスト・アーク(Est Urk)。ただ私の名前を英語表記にし、中ほどで分けた安易なものだ。

 

そんな地獄の生活を送り続け、やっとこさ住める場所を確保することが出来た。

それがこの、元温泉旅館であった激安下宿『ゆらぎ荘』。

上下水道にエアコン完備。初期費用ゼロ、保証人不要、即日入居可能、食費一万五千円で朝夕の2食付き、温泉入り放題。その家賃は驚きの月千円!

ここまでの優良物件はないと断言出来る!が、やはり安いなりの理由が存在する。

 

ここはでる(・・)らしい。そのせいで、入居しているのは相当な物好きだけだとオーナーから言われた。

まあ、私は幽霊の一人や二人にどうこうされるほどの貧弱さは持ち合わせていない。もし襲ってきたとしても、かる〜く対処できるだろう。

 

さて、んじゃま入らせてもらおうかね。玄関が前世の実家みたいだ……懐かしい。

 

「お邪魔蟲…………」

「……………………」

 

前世で好きだったペンギンっぽい大王のマネをしながら入ってみると、人がいた。

ヤベェ、気まずいってもんじゃねぇ…。

とりあえず観察してみる。私の目の前にいるのは二人の少女だ。一人は、猫耳フードの着いた服と短パンという格好をした緑髪少女。もう一人は、宙に浮き、土下座の姿勢で壁にめり込んでいる浴衣を着た白髪少女…だと思う。

 

この際、なんでめり込んでるとかはどうでもいい。どうせオーナーの言っていた幽霊だ。一番キツいのはフード少女の視線だ。無表情で、まっすぐ私のことを見ている。その視線には寸分の動きもみられない。

 

(死んだ……これから先、同居するであろう少女からの第一印象が変な気持ち悪い人になってしまった……)

「…………いらっしゃいなの」

「ア、ハイ。ヨロシクオネガイシマス」

 

きっと、この少女はなかったことにしようとしてくれているのだろう。普通に挨拶してくれた、その気遣いが今は私の心を削りまくっている。

 

ちなみに、この少女『伏黒(ふしぐろ) 夜々(やや)』は気遣いのつもりで言った訳では無い。事前に伝えられていた入居者が来たから、普通に挨拶しただけである。このゆらぎ荘には個性的な人物が多いため、お邪魔蟲という謎の言葉にはなにも思っていることは無いのだ。

 

「お部屋に荷物置いて、温泉にでも入るといいの。ちょっと臭いから」

「ッッ!!!?」

 

少女の純粋な一撃(ストレート発言)

かいしんのいちげき!

エストの心は9999ダメージを受けた!

 

「…………アハハ、アリガトウ。ソウサセテモラウヨ」

「ん」

 

少女はその場を去っていった。幽霊少女はいつの間にやらいなくなっている。とりあえず、部屋に行こう。そして、温泉に入って、体を念入りに洗おう。

 

ホームレスしていたため、しばらく風呂は入っていない。わかっていたこととはいえ、かなりのショックを受けたのだった。

 




どうしても、展開をポンポン進めようとしてしまう…。
一場面をすぐ想像できるように掘り下げて書きたいのに…もっと意識しないといけないみたいです。
主人公のお邪魔蟲は、まぁホンの出来心です。誰もいないところで、好きなキャラの真似をしてみたり、大声で歌ってみたら人がいた、という感じ。
私がゆらぎ荘の玄関を初めて漫画で見た時、カワ〇キの店みたいだと思ったのが運の尽きでした。
マイナーなネタなので、たぶんほとんどの人が頭に?をつけたかと。申し訳ないです…。

次の番外編どれがいい?(締め切りは11/5まで)

  • 戦闘回
  • 日常回(魔界)
  • ギャグ回
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