アークナイツRTA 『境界無き方舟』獲得ルート 作:ゲルゲルググ
同時刻 バス型ドローン内にて
まるでバスジャックでもされたかの様な陰鬱な雰囲気と、さっきからビクビクとしている一般市民に囲まれて、見張りという名目で残された二人の駐屯兵が静かに顔を合わせ小さく言葉を交わす。
「妙に遅いな」
「あぁ」
市民たちからすれば、保管庫へ向かって行った者たちを心配する言葉だが、この二人にとっては全く別の言葉である。
そう、この二人はリスタの部下。見張りの名目でバスの中に残ったのは、もしあのホモがノコノコと帰ってきた時に、人質として使ってホモを殺す為である。いわば最終手段の様なものだ。
それに、このバスの周りには既に沢山の感染者達が潜んでいる。人質で『くっ離せ!』している瞬間を狙って集団リンチでバラバラにするという寸法よ。
まぁ、ホモもリスタも全然帰って来る気配が無いのだが。
「……ヒッ?!」
「どうした」
「い、今外から…何かぶつかった音が……!」
「…おい」
「わかってる。お前たちは大人しくしていろ」
窓から見える景色には誰もいないが、確認しない訳にもいかない。市民の言葉を聞いて部下の一人が刀剣を抜刀し、警戒しながら運転席の横にあるドアを開け…
その部下が緑の何かによって反応する暇もなく外へブン投げられたのを、彼は目撃した。
「…………ッおい!」
唐突過ぎて暫く理解出来なかったもう一人が漸く情報の処理を終え、慌ててドアへ駆け寄ろうとする。が、その前に外から入ってきた人物を前に立ち止まらざるを得なくなった。
『よぉ』
「はぁ?!どっから湧いて出やがった?!外には誰も――」
『残念だったな、トリックだよ』
「ッ……!」
このバス型ドローンについてる窓は窓じゃなく、外の景色を投影した映像だよ。外から見たらまるでスモークガラスの窓があるかのような形をしてるからたちが悪いね。
さて、男の行動は速かった。長銃型のアーツユニットに取り付けられた銃剣を、直ぐ側の席に座っている子供へ向け――
席と通り道の間に透明な壁が生まれ、その間にちょうどあった銃剣がゴキンと折れる。
「なっ?!なんだコレおい?!クソが!!」
『あーあー、アテンションプリーズ。車内で武器を振り回すのはお控えください』
行きとは違って隻腕となっているイモータルが、もう片方の腕らしきモノをマイクの様に持ち、抑揚の無い注意喚起を行う。随分余裕そうだなお前。
そしてそのマイクにしていた腕を、肘から下が無くなった方の腕に接続し、ニギニギと動作確認をしてから改めてリスタの部下へ視線を向けた。
『裏切りプレイは終わりだゾ☆』
「ッッこのォ!!!」
喧しい爆発音と共に、長銃型のアーツユニットから殺傷性のあるアーツ弾が発射される。漸く状況をあら方飲み込めた市民たちの悲鳴が車内を包み込むが、それら全てが関係ないと言わんばかりに、イモータルはアーツ弾をモノともせずにゆっくり近づいて行く。
「クソが!こっちに―ガッ?!」
ノーモーションで勢いよく跳躍し急接近、からの回し蹴りを反応出来ないまま諸に喰らい、無駄に広い通路を吹き飛ぶリスタの部下。
ホモはそんな部下を前にゆっくり近づき……床に落ちた長銃型のアーツユニットを足で器用に拾い上げる。
「いっつッ……この、野郎ッ!」
アーツユニットの銃口辺りを持って胸の前で横向きに構え、源石回路が搭載された腕で撫でるように、強化のアーツをかける。
アーツユニットの全体が、淡い青色に包まれる。
『ルールは、破る為にある』
くるくると回しながら肩にアーツユニットを乗せて立ち上がる部下を見据え、ステップ一回で空いた距離を一気に詰め、防具で守られた鳩尾辺りへ向けて、アーツユニットをバットの様に振り抜いた。
席の間の通路はこういう事をする為に広く作ってあったんですね(RTA並感)
「ア゛……カッ――」
『ふぅ……(賢者タイツ)ま、破るべきルールの区別もつかんのなら破るなって話だが』
フルスイングの反動でバラバラなったアーツユニットを投げ捨てながら、ホモはまた腕をマイク代わりにして喋りだす。
『お騒がせして申し訳ない。コレの説明をしたいのはあるが、まぁその前に、君達一般市民をこの都市の最も安全な所へ送ることに決めた。次の目的地はエルド区の貴族街です』
エルド区と聞いて、一部の市民たちの顔に僅かな光が灯る。矢張り彼の影響力は高いのが伺えるな。流石ジャスパー・ランフォード。
『んじゃそういう訳で。あ、荷物積み込むからちょっと待ってな』
荷物と聞いて、市民たちは此処に来るまでに話していた資源の事かと思った。
『ピシュイン!ピコピコピコン!テッテレレッテッテーッテッテー!ウルトラハンドォ!これをこうして…こう――アレ、入らん』
「たりメェだバカ!どう見ても入る大きさじゃねぇだろマジで!」
市民たちは恐怖した。何故ならお出しされた物が人間複数人を固めた人間団子だったからである。好感度が大幅に下がった。
『やっぱりネコバスみたいに入口を大きくさせる機能をつけるか……』
「着眼点が絶対に違うわ!つかなんで俺らもリスタの部下と一緒にくっつけられてんの?!つかなんだこの緑色の接着剤みたいなの?!めっちゃ接着力つえぇんだけど?!」
「ぐ――ぐぇ゛ぇ゛……」
「ヤバいエンペラーが潰れる?!」
『おっと』
結局、バラバラに戻して一人ずつ運び込む事となった。この人間団子の発端は、フェイスレス君ちゃんと戦った後に、この人数をどうやって運ぶの?というベール副隊長の部下の女性が放った疑問だった。その結果が、ウルトラハンドとかいう最近の流行りを取り入れたアーツでみんなをくっつけて運ぶとかいう頭の悪い発想である。演算出力0.5は伊達ではなかった。
因みにバスの周りでずっとスタンバってた感染者達も団子にしていた。食料問題とかの事忘れてるよねこのホモ
クレアスノダール中央区画 艦橋
「………」
「どうしたんですか、そんなに私をジロジロと見つめて」
「ッ………はぐらかそうとするな。その怪我、どうして私を…いや、同胞達を呼ばなかった?」
「それをすればきっと、その同士達は呆気なくやられていましたよ」
「チッ………」
浮かれっぱなしの、まさに戦勝ムードな外の歓声を余所に、そこら辺の適当な民家の中でクラウンスレイヤーと会話しながら、私は肘から下の、砕けた骨が皮膚を突き破っている腕をまじまじと見つめる。
改めて見ても酷い有様です。この具合はもう、私のアーツで補強しても使い物にはならないでしょう。此処に来るまでに、同士の方々から見られない様に布とクラウンスレイヤーで隠して正解でした。
でもまぁ……
「このままでも邪魔ですし、切断するしかありませんね」
「ッ待て早まるな!まだその腕を治す方法はある筈だ。治療アーツを使える奴らを集めれば――」
「クラウンスレイヤー、まともなアーツ訓練を受けていない彼らの治療アーツは、せいぜい出血を止めるくらいですよ。それに今は、あの黒コートにやられた皆を治療させていますから手の開いている者はいないでしょう」
「……クソッ!」
こういう時のクラウンスレイヤーは仲間思いな性格がよく出ますね。いつもの私を雑に扱う様な態度とは大違いです。
あぁ、本当に…………
「だが、そうすればお前はこの先片腕でこの作戦を実行する事になるんだぞ?」
「いえいえ、実はそうでもないんですね」
というわけでジャジャ~ン!こちらに取り出しますは、源石が生えた義手です(現地調達)
えぇはい、あの黒コートの腕です。
「……正気か?」
「あ、壊れてる腕と逆なのが気になります?そこはご安心を!実は断面の此処にあるスイッチを押すとですね……ほら!掌の形が逆の方の手に変形するんです。コレで何も問題ありません」
「いや大有りだバカ!」
バカは酷くない?貴方女の子ですよね?口の悪さ凄過ぎません?あぁ、あの時の胸を揉んだら綺麗な声を上げていた彼女は何処へ……。
あ、コレ面白いですね。変形がスムーズな上にスイッチを押した感触が心地良いので無限に遊べます。
「あぁもうッ!いいか早まるなよ!今私が術師を集めて――」
「いいえ、貴女はレティシア達と合流して下さい」
「はぁ?!」
「落ち着いて下さい。いいですか?きっとアレは、未だに陥落していない区画…唯一の生存圏であるエルド区の貴族街へ辿り着く筈です。そしてあそこには、貴方が捕える予定だった厄介な"お客様"がいる」
「なっ……クソッ!地下で私が動けなくなったから…」
「貴女が気に病む必要はありませんよ」
コレは私の予想でしかありませんが、もしクラウンスレイヤーが彼らを捕らえに行けても、上手く行かなかった事でしょうし。
はぁ……その程度のイレギュラーなら、少し前の私は更に面白くなると心を踊らせたのでしょうね。あ〜、なんかなんだかイライラしてきましたよ。
「だが、今のお前を放っておく事なんかできるか!それにお前は大将首なんだからじっとして中央で踏ん反り返っていろ!お前は元から柔な奴なのに、今の状態じゃ無事ではすまないぞ!」
「凄いボロクソに言ってくれますね?!そんなに私が信じきれないんですか?」
「そういう訳じゃない!」
「なら、私を信じて下さい。私は大丈夫です」
「ッ………」
「…ね?」
「……わかった」
「よかったです。では、エルド区にいるレティシアとアイン達と合流して下さい。私も直ぐに向かいますので」
「……フェイスレス」
「はい?」
「私達には、お前が必要なんだ。そこを忘れないでくれよ」
「えぇ」
知っていますよ。貴女達も、私を必要としている事なんて。
流れる様に遠くへ小さくなっていくクラウンスレイヤーを見つめてから、私は玄関を閉める。
「イージス」
リビングの方から、ガタイの良いウルサス人がヌッと……いや、タイラントか何かですか貴方?
「ホークアイからは?」
「エルド区へ向かっているバスを確認した。後少しもしない間に到着するだろうと」
「ですよね」
流石に予想した通りでしたか。わかってはいましたが、矢張り合流前にエルド区を潰すのは無理ですね。
だからこそ、正面から潰す準備をしなければいけません。テキサスとフィナーレを迎える前に、あの男だけは必ず殺す。
「いいのかフェイスレス?あの女も、その腕も」
「……いいんですよ。だから早くして下さい、貴方の怪力が頼りなんですから」
幾ら痛覚に鈍いとは言え、流石に自分の腕をギコギコとするのは色々痛いんですよ。
「その腕、本当に動くのか?」
「勿論。まぁ、ただの人じゃちゃんとした接続手術をしなければならないでしょうがね」
ですがコレは、余りに源石に塗れ過ぎています。それはつまり、私のアーツと実に相性が良いという事です。凄く忌々しいですが。
それにもう一つ、おそらくこれはあの男のアーツユニットなのでしょう。まぁアーツユニットを使えばアーツが強力になる、だなんて話は余り聞いた事無いですが……あの出鱈目な男の事ですから、必ず何かある筈です。
「まぁ、存分に有効活用させていただきますよ」
「準備はいいか?」
「えぇ、思い切りどうぞ」
リビングにある椅子に腰掛け、長机の上に折れた腕を置いて、巻いて分厚くしたタオルに噛み付く。
斧を持ったイージスが私の腕を抑え、斧を振り被り―――
叩き割った。
エルド区 貴族街正門前
燃えさかる平穏と、漂い溢れる硝煙の匂い。美しき街並みは血に染まり、ウルサスの
積み上がる死体に湧き上がる殺意。
怒りが恨みを。
恨みが悲しみを。
悲しみが怒りを。
あらゆる負の連鎖の終着点が、そこにはあった。
その混沌の中で、灼炎と迅雷がぶつかり合う。
「くたばれェェェェ!!!!」
「フンッ!」
身の丈以上の大剣を振り回すリーベリの少女。そしてその炎を纏った大剣の一撃を、隻腕の男、ジャスパー・ランフォードはハルバードの形をしたアーツユニットで軽々と受け止める。
「こッのォ……!」
「まだまだ…甘ェな!!!」
「ぐっ!」
押し返され、勢いよく吹き飛ぶ少女。
「お嬢!お前らァ!お嬢を守れェェェ!!!」
お嬢と呼ばれた少女の部下達が、ジャスパーへと斬り掛かって行く。
だが次の瞬間には、その半分程が雷によって吹き飛ばされた。
「そら、纏めて掛かって来るがいい!」
その後も、荒ぶる雷鳴が感染者達を蹂躙する。雷を纏ったハルバードを振るって周囲の感染者を薙ぎ倒し、叩きつけたハルバードから雷が放たれ、地面を伝って遠くにいた術師達の足元へ迸り、炸裂。最後はハルバードを回しながら宙へ飛び上がり、雷を纏ったハルバードを地面へとブン投げる。
コレがパトリオットに並ぶ、かつて雷獣と呼ばれたウルサスの英雄。その代名詞の1つである『雷槌』と呼ばれる技によって、前線にいた感染者は一網打尽にされた。
「ッッ……ジャスパー…ランフォードォォォォオ!!!!」
漸く立ち上がった少女は、眼の前の英雄に怨嗟の叫びを上げながら、その身を焼かんばかりの炎を噴き出す。
「これは、中々に……」
まるで不死鳥だ。だが、綺麗などという感想は出て来ない。残念ながら彼には、激しく命を燃やす少女を綺麗だなと思う様な感性はお持ちでなかった。
ただ純粋に、痛々しい光景だ。
「死ねェェェェェェ!!!!」
業火が荒れ狂い、雷獣を灼き尽くさんと猛り迫る。ジャスパーは後ろの貴族街を、この場にいる部下達を守る為、その業火を打ち崩さんと―――
「…なんだ?」
それは、エンジンの音だ。何か乗り物が、この戦場へと向かって……いや、既にこの戦場にいる。
「上か!」
そう上だ!彼に迫る炎の上に、その空中に、大型のバスが飛んでいるぞ!どうやって飛びやがった。
そして、ジャスパーはそのデタラメな光景を起こしかねない存在に、残念ながら、誠に残念ながら心当たりがあった。
バスから、何かが飛び降りる。それは人間ならば普通に死ねる速度で急降下し、荒れ狂う火の海へと突っ込んだ。
それと同時に、ジャスパーを灼き殺さんと迫っていた灼炎の手はその急降下地点で切断される。
「はぇ?!」
少女が驚きの余り変な声を上げる。そしてジャスパーは、目の前で荒ぶる炎を一見ただの黒い傘で受け止める黒コートへ、またお前かと言った表情を向けた。
『よぉ、また会ったな。ジャスティス・ランフォード』
「ジャスパーだ。何回間違えんだよお前」
炎が全部搔き消えたのを確認して、火の用心と白い筆文字で大きく書かれた黒い傘を肩にかけるイモータル。そんなホモを見るジャスパーは、どうせわざと間違えてんだろと少しイラッとしながらも……
「ったく、一応聞いておくがよ、応援に来たってコトでいいんだな?」
『オゥイエス』
「なら手伝えや」
『勿論だとも』
この状況を変えうるであろうホモ野郎を、歓迎していた。
フハハハハ!だいたい1ヶ月かかったぞ!遅くてごめんなさい!デッドマウントデスプレイ面白ぇ!崩壊スターレイル面白ぇ!(遅れた原因)
というわけで、また次回、サラダバー!
今回のアレ
ホモ
世間の流行に影響され易い一般ホモAI。予備の腕を数本持ち歩いてるなど用意もよく、色々有能ですよブームをしているが、言動でプラマイゼロである。ついでに敵強化イベントの条件を達成したので戦犯まである。まぁそれでもヤるんですけどね。
フェイスレス
コラボ先のオリ主君ちゃん。どうやら原作と違って戦力をエルド区の攻略に回すことを決めたようだ。だってまぁ、うん、ホモがいるし、ジャスパーもいるから、多少はね?
そしてなんか強化イベントをしてるよ。これも全部、フェイスレスの片腕を壊して自分の片腕を上げたホモのせいだと思うんですけど(名推理)
ジャスパー
なんか何もイベントが無いのに原作よりも強そうで技のレパートリーが増えてる男。なんで?(フェイスレス並感)
イージス
フェイスレス君ちゃんより胸板がデカいコトで有名なウルサス族の逃亡兵。フェイスレスと愉快な友達三人衆のウチの一人。
お嬢
お嬢!いらしてたんですかい!コレから大人とホモにモミモミされる予定の娘。リーベリ族で、炎を操るアーツともう一つのとあるアーツを持つ。まるで不死鳥みたいだね。でも人間は不死になれないんだよ。