アークナイツRTA 『境界無き方舟』獲得ルート   作:ゲルゲルググ

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そして我らは正解を問い、答えを手にする


とあるコラボの脇役事変 DC−11 決意表明

 前回の最後と同時刻

 

 無駄に広い屋敷の一室にて、ベールは頭を巡らせていた。脳裏に浮かぶは、ホモの言葉。

 

《この事件の最初のきっかけは、大勢の感染者を迫害して来たお前達非感染者だよ》

 

「……ならどうすりゃ良いんだよクソッタレ」

 

 相手は致死率100%の感染症。ソレを患い、なおかつ何時感染源と成り果てるかもわからない感染者達。そんな彼らの正しい対処法も、治療法も、何もかもわからない。わからないモノを正しく対処しろなんて出来る筈がないだろう。

 

「何が正解か教えろってんだ……」

【そうねぇ…少なくとも、虐げる事は間違ってると言えるわ】

「そうじゃねぇ。いやそうだが、俺が言いたいのは………」

 

 声につられて顔を上げるベール君。

 

 

 

 その視線の先で、部屋の入口に背を預け、ソレ(ホモ)は立っていた。

 

「ッッッッッッッ?!!!?!!?!!?!」

 

 恐怖と尽きぬ疑問による処理限界ギリギリの脳で取れた行動は、窓側へと後退する事だけであった。最早ホラーである。プライバシーの欠片もない部屋の侵入、ホモ以外は見逃しちゃうね。しょっぴかれろ。

 

「なっななななっ、なんで居んだよお前ェ?!?!」

 

 その存在を認識すると共に、徐々に恐怖が抜けた頭で、改めてこの怪現象の答えを求めるベール。

 

「つかお前!俺が部屋出る時もジャスパー隊長達と一緒にいたろうが?!」

【あら知らないの?ワテクシ達は遍在するのよチェリー☆パァイ!】

「意味わからねぇ事を……オイ待て俺は経験済みだコラ」

【エェッ?!そうなのォ?!】

「つかこういう話ししてる場合じゃッ――ダァァクッソがァ!!!」

 

 シリアスはいらねんだワ。

 

「つかその気色悪い口調なんなんだよ?」

【イメチェンよ】

「キッショッッッ!!!」

【傷ついちゃったァン!(歓喜)】

「キッモッッッ!!!」

【ま、ワテクシはアナタがあの会議室で見た2人の()とはまた別個体よ。機械の体って最ッ高だわァァァァァ!!!!】

「お前ホント何体いんだよ?!つかキモ、動きキッショッッッ!!!」

 

 

 閑話休題

 

 

【所でチェリー☆パイ、何か困りごとだったようだけれど?よかったらワテクシが聞きましょうか?】

「いらねぇよ気持ちだけで充分だ」

【そうねぇ……あのアーマーに包まれたワテクシの言葉が、ハートの何処かに引っかかってるってトコかしらン?】

「キッショ、なんで分かんだよ」

 

 ベール君は窓際からベッドへ移動して腰を降ろし、両手で顔を覆った。その横でホモは相変わらず関節どころか全身をスライムの如くグネグネさせtキッショ。

 

「俺達はよ、人が幸せに暮らせる様に尽くしてきた筈なんだ。その仕打ちがコレだってのか?」

 

 脳裏に思い出すのは、感染者収容所襲撃事件。あの事件からベールの感染者への認識が変わり、今まで以上に治安維持に尽力しだした。

 盗みをはたらく、錯乱し凶行に走る、その他諸々の感染者を捉えて、送って、住民達には感謝されて……それが正しい事だと――

 

《何度も言わせるな。感染者を何故我が子として扱わなければならない?》

 

 突如、ベールの脳内に溢れ出した記憶。ドルトン源石加工工場が襲撃されるより以前に捉えた、一人の感染者。

 ウルサスは感染者への当たりが強い。感染者だとバレれば、今までのように普通の暮らしをする事は出来なくなる。

 

 だが眼の前でうずくまる子供が、明日を生きれるかわからない生活を送る羽目になるのは、少し可哀想ではないだろうか。そんな気まぐれに抱いた同情に従って、彼は話の合う同僚が管理していた労働施設へ収容した。

 あそこなら、少しはまともに暮らせるだろう………それが良い行いだと、正しい事だと信じていた。

 

《処分したのは君の部下のベールだろう?何故私を問い詰める?夫だからと言って、私は妻である君の都合の良い道具ではないのだよ》

 

 廊下の角から聞こえた、リスタと上級士官の男の話を盗み聞いていた時の記憶。その時のリスタの顔を、憎悪と悲しみに満ちた苦痛の顔を、彼は今でも憶えていた。

 

「……ハハ、そうかよ」

 

 なんて事をしやがったんだ、なんて事を言ってやがんだ。

 

《所詮テメェもあのクソ野郎(クラウンスレイヤー)みてェな奴だったってんなら、最初から……ッ》

 

「そうなる最初のきっかけは俺じゃねぇかよ、チクショウ」

 

 そう呟き、そのまま項垂れる。どんな選択が正解かもわからないまま、間違っていた事が今になって顕わになっていく。

 

「勘弁してくれよ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【顔を上げなさい、チェリー☆パイ】

 

 ヒェッ

 

「……ほっとけや」

【いいえ放おっておけないわ。顔を上げて、ワテクシの美貌を見つめるの】

「帰れ」

【あら、頼み事と言うのは顔を見て言うものよ】

「ッッ………」

【さぁ!ハリィアップ!】

「ッ!…ウゼェんだよさっさとうsピギュッ?!!?!」

【ハァイ、ベールチャアン。やっと顔を見せてくれたわねン】

 

 いつの間にかベール君の横に腰掛けていたホモが彼を煽り、苛立ちで思わず顔を上げてしまった所を素早く掴んで強制的に眼と眼を合わせる。こんな眼と眼が合う瞬間は好きになれない。

 

「離せこのッ……何なんだテメェは!?」

【よくお聞きなさい!】

「ッ!」

【確かに貴方は間違えちゃったわ。でもね、貴方のとった選択が間違いだけと言う訳では無くってよ!】

「ど、どういう事だよ?」

 

 ホモはベール君を離すと、そのまま己のコートに手をかけ、バリィ!とファスナーを無理やり引き離し黒い鋼鉄の胸板を曝す。なんで?

 

「オイ待て何故脱いだ」

【ホモはね、全てを受け入れるの】

「は?」

【だから貴方に、ヒントを教えてあげるわッ!】

 

 ホモは開けた胸元に手を添え、話を続ける。

 

【貴方、リスタちゃんの子供に会ったんでしょう?その時の事をよく思い出してみなさい】

「思い出すっつったって……」

 

 思い出し、ハッとする。あの時アインは、自分だけを助けようとしていた。だが何故?アインにとっては、ベールがあの時した選択は結果的に見れば酷いモノの筈だ。

 

【ンフフ、確かに貴方の選択は正解では無かった。でもね、間違っていた訳でもないの。そして貴方の選択は、少なくともあの子を救っっていたのよ】

「………ハハ、そうか…そうか」

 

 両腕を広げ、バタンと上半身をベッドに倒す。

 

「そうか、間違いばっかじゃなかったんだな」

 

 胸に引っかかっていたモノが少し軽くなった。あぁそうか、こんなにもわかり易いヒントが近くにあった。

 未だに感染者を完全に許す事はまだ無理だ、少なくともクラウンスレイヤーの顔面を一発殴るのは誰に説得されても譲るつもりはない。それでも、もう二度と間違えるつもりはない。確かに感染者達は今や加害者だ……だが、同時に被害者でもあり、助けを求めている。昔から今も、ずっと。

 

【さぁハリィアップ。まだまだ途中式の段階よ、正解への道は険しいわ】

「あぁ、先ずはヤンチャな奴らを助けねぇとだぜ。罪を償わせるのはそれからだ……なァイモータル、感染者の助け方も教えてくれや」

【先ずは言葉よ。コレが1番大事。そして言葉は言葉を運ぶモノ…あの感染者クンを説得するには、リスタちゃんの言葉も必要だと、ワテクシの演算が言っているわ】

「そうだな、アイツはリスタの事を誤解してるみてぇだった。よし、他になんかないか?」

【後はハグする力!コレがあればだいたい堕t】

「よしわかった。じゃあな」

【アァン♡まぁ待ちなさいチェリー☆パァイ。言葉は大事だけれど、言葉では相容れない人も残念な事に存在するわ。でもね、言葉は声だけじゃないの。声による言葉が通じなければ、漢同士の肉体言語でェッッッ!!!!

 

 

………あら?】

 

 長々と喋るホモを無視して、リスタが投獄されている部屋へベール君は足を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少し戻り、先程までの兵達が居なくなった会議室にて。

 

「ったく、面倒な状況を置いて勝手に行動しやがって、お主の…本体?とやらは何をどうすればあんなのに育つんだ?」

【いやぁ申し訳ないが、コレばかりはどうにもなァ。こういうやり方が手っ取り早くてね】

 

 金属を加工する様々な音をBGMに、ギターを持ったホモと精神的に疲れたのか眉間をモミモミしているジャスパーが会話をしていた。

 

「早いからって良い事はねェだろうに……つか、それ俺の予備のアーツユニットなんだが?何勝手に弄ってんだお主?」

 

 そう、さっきから室内に響く金属加工の音はこのホモの仕業だ。それぞれの指がアーツユニットのメンテナンスに使われる器具へ変形し、忙しなく動いている。

 

【出力に耐えられンからいっその事数で使い続けようってコンセプトは頑張ってるが、アーツの出力に耐えられないモノしか作れン時点で及第点以下だ。戦争ばっかしてた割には、ウルサスの技術力のタカが知れるな】*1

「お主ら、俺の国に随分と当たりが強いよな」

【そりゃそうだろ。戦争しまくった挙げ句に敗走して、その上内部の亀裂によって戦争の維持が不可能になった。コレだけでも、ワタシからしたらバカ丸出しだ】

「ひでぇ言いようだ。まぁ、否定はしねぇけどよ」

 

 よくもまぁ、息をするようにウルサスの負の部分をツラツラ言えるもんだな、と背もたれに深く寄りかかるジャスパー。

 彼にも、ウルサスへの愛国心は在る。だが、どうにも反論する気にはなれなかった。

 

 

 暫くの間、金属加工の音が響き続ける。

 

 

「……なぁイモータル」

 

 ふと、この部屋でのホモの言葉を思い出したジャスパーが口を開く。

 

【なンだね?】

「お主、人殺しが嫌いな質の人間だろ?」

【そうだな。確かにワタシ達はそういう風にプログラムされている】

「じゃあ何故俺達を助ける?」

【………】

「そんだけ俺の国の悪口を言えるんだ。もう察してんだろ?」

 

 ピタリと作業していた指が止まり、言葉の続きを促す。

 

「少なくとも俺は、国を守る為に大勢の人間を殺してきたんだぞ。お主にとっちゃ、そんな俺達は嫌いなんじゃねぇのか」

【そんな事に興味無いね】

「ッ………!」

 

 くるりと顔を向けたホモは、呼吸をするかの様な軽さで答えを返した。

 

【あのなジャスパー、ワタシにとっちゃ人の善悪なんて関係ねンだわ。ソレに今ジャスパーは人殺しちゃいねぇだろ。レティシアとの戦いの時だって、手ェ抜いてたの俺様知ってるンだからな?このアーツユニットが壊れてないのがいい証拠だぜ】

「………」

【ソレに数年だか数ヶ月だか前の事柄を今持ち出してきてなンになる。過去は今を補足する記録だが、今を決めつけるモノじゃあ無いだろ。過去に幾ら人殺してようが、今からずっと人助けてりゃどうでもいいのよそンな事】

 

 そうぶっきらぼうに言い捨てると、ホモはさっきまで弄っていたアーツユニットを掴んでジャスパーの前へ突き出す。

 

【つかよ、こンな辛気臭い話じゃなくて、今まで読ンだエロ漫画のジャンルの話でもしてようぜ】

「……ックハ!フハハハッ!」

 

 勿論、コイツがどんな事を返して来るかなんて、簡単に想像はついていた。

 そしてソレ以上に、このホモ野郎はジャスパーが思っていたよりも色々なモノを、真っ直ぐ見ていたのだと理解した。

 

「ったく…お主、よく都合の良い奴だとか言われてねぇかよ?」

【褒め言葉として受け取ってるよ。機械は人にとって都合のよいモノなンでな】

「そうかい…今この瞬間にお主と相見えた事を、どっかの女神かなんかに感謝しねぇとな」

【招き猫にでも感謝しとけ………でジャスパー・ランフォード、どンなエロ漫画がタイプだ?】

「やんのかソレ」

【折角だししこたまやろうや。因みに()は、男勝り系幼馴染み純愛モノがタイプですッッ!!!】*2

「フッ……そうだな、俺は――」

 

「いやあの、もうちょっと声を抑えたほうが良いんじゃないでしょうか」

 

 ドンガラガラガラガッシャンシャーン!!!!

 

【ワーッ?!無表情敬語調ロリフェリーン?!】

「自分は成人済みです」

【ワーッ?!無表情敬語調ロリ体型――】

「普通にセクハラです」

「2回も言わんでええわ。はぁ……ノエル衛生兵、先ずはノックしてだな…」

「すみません。扉が空いていたもので……先程までの会話駄々漏れしていましたよ」

「【オイオイマジかよ】」

「ン゙ン゙ッ…それでノエル衛生兵、要件はなんだ?」

「はい。先ず、戦闘員各位の治療を終え、何時でも出撃可能な状態です」

「おう」

「ですがその前に、ジャスパー隊長が演説による指揮の向上を図るとの事を聞き……」

「待て待て待て何だそれ知らんが?!誰だそんなデタラメ言った奴は?!」

「その事を自分に伝えたのは、オカリナを吹いていた黒コートの方です。ですので確認をと思いまして」

 

 バッと凄い形相のジャスパーが、ギターのホモへ顔を向けた。

 

【え、なにそれ知らん】

「なんでだよ!」

「既に各部隊の整列が完了してるみたいですよ」

「なんでだよ?!!?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、感染者が詰め込まれている屋敷のレティシアがいる個室にて

 

「私達は、アルハイム兄さんを助けに行く」

「……それを俺に聞いて、どうするってんだよ」

「別に私からどうする事も無い。ただ、今ここで、私達について行くか、行かないかを、お前が決めるだけだ」

「なら…決まってる!俺も行く!あの方に…アルハイム様に聞きたいんだ。なんで、こんなことをしたのかって。なんで、みんなをあんな姿にしたんだってな……あれは、アルハイム様のアーツだ。見たことだってある。だから、どうしてって聞きたい……きっと…きっと、理由があるはずなんだ。だから俺は…私は、それを聞き出さなきゃならない」

「フッ……」

「……それともう一つ」

「ん?」

「アイン達を…まだ生き残ってるかも知れないみんなも…助けたいんだ」

「その事なら大丈夫だろう。きっとアレがなんとかする」

 

 窓の外にいるホモを顎で指しながら、テキサスは答えた。

 

「……でよ、その黒コートはどうしてあぁなってんだ?」

「聞くな」

「でもよ――」

「いいから支度しろ。傷は治されたんだろ」

「………ちぇっ、わかったよ」

 

 屋敷の入口で地面に上半身を埋めた状態でピクリともしないホモを一瞥した後、レティシアはベッドから降り、己を助けた触手のホモが用意した服や装備を着込むのだった。

 

(どうせまた巫山戯た事でもしたんだろ。ザマァみやがれ)

 

 その巫山戯た事が親愛なるフェイスレスに好意を持っているという事であるのを彼女が知るのは、少し後である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌(┌^o^)┐

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あークソ、あの黒コート不審者イモータルが、なんて事してくれやがんだよ。

 

「ン゙ン゙ッ…皆、コレが最後の戦いになるだろう」

 

 あの野郎に渡された出来の悪いカンペを頭の中で自分なりに修正しながら読み上げるが、どうやら俺も人の事は言えないらしい。

 こういう口弁を垂れるのは後ろで踏ん反り返る上級士官どもの得意分野だが、同じ階級のくせして、先頭で進めと声を張り上げる様な自分には向いてないみてぇだ。

 

 イモータル、お主が俺に言わせてぇ事はわかる。コレを言っておかなきゃ、コイツらも、この後の事もどうにもならねぇのも察せれる。ソレを言う切り口を作る為のこの演説だろう?ったく回りくどい事しやがって、慎重過ぎなんだよお主は。

 だから自分でやれ……と言いてぇ所だが、俺達の部下を…この移動都市の住人をコレだけ生き残らせてくれた礼だ。今回はお主の考えている通りにしてやるよ。

 

「諸君には、この戦いに…………わりぃ、やっぱこういう堅苦しいのは無理だわ」

『ファッ?!ウーン……』

 

 だが、伝え方は俺流でやらせてもらう。

 

「なァお主ら!こんなクソみたいな状況を、一刻も早く終わらせてェよなァ!」

「「「「ッ!…オォォォォォォォ!!!!!」」」」

「早く終わらせて、家族と、ダチと!メシ食いたいよなァ!」

「「「「オォォォォォォォォォォォ!!!!!」」」」

「それじゃあ!家族とダチの所に無事に帰るために、勝って生き残らねェとなァ!」

「「「「オォォォォォォォォォォォ!!!!!」」」」

「いい返事だ!じゃあ最後に一つ!

 

 

 

 

 

 

 

お主ら、まだウルサスの為に戦うか?」

「「「「オォォォォォぉぉぉぉ………?」」」」

 

 熱狂していた兵士達は、俺の問に疑問符を浮かべた。まぁそんな顔をするのも仕方ねぇな。いきなりなに言ってんだって話だしよ。

 

「一部の奴らはもう知ってるだろうが…本国は、此処に援軍を寄越す気は無いらしい」

「な、何だよソレ?!俺達見捨てられたってのか?!」

「どういう事だよ?!」

「勘弁してくれ……」

 

 先程までの熱狂がウソかの様に、集まった兵士達から弱音が吐き出される。ソレはそうだろうさ、幾らイモータルがいるからと言って、フェイスレスの傀儡にヤられた人間は確かに出た。死んでるかどうかはわからないが、俺だってアレの様にはなりたくない。

 

「嫌だァァァァァ!」

「もう終わりだ、俺達……」

「わ、わたし…死にたくない……」

 

 戦争も経験していない、実戦経験も豊富とは言えない。今のコイツらに、今の状況は恐怖を抱くには充分だ。だから―――

 

 

 

「注もォォォォォォォォォォォォォォく!!!!!」

 

 

 

 

 先ずは大声で、そいつを吹き飛ばす。

 

「よく聞け!………俺は、このクレアスノダールを気に入っていた。俺ももう歳だ、隠居するならこの都市にしようと決めていた」

 

 力強く、しっかりと、言葉を並べる。俺の意思を、コイツらに伝える。

 

「俺は今でもウルサスを愛している……だがな!上の偉そうな奴らが何を考えてるか知らねぇが!感染者を必要以上に迫害し!挙げ句に俺達すらも見捨てる今のウルサスが!俺は死ぬほど嫌いだ!」

 

 俺の言葉に、この場の誰もが目を見開いた。

 

「俺は今から、ウルサスの雷獣じゃねぇ……いつかのボジョカスティと同じ、ウルサスを裏切るただの反逆者だ。だがそれでも、この都市が好きだ。この都市にいる皆が好きだ。故に全力で俺が守り抜いてやる!だからよ…この事件を生き残って、無事にウルサスへ帰りたいと思う奴は、今すぐ貴族街の奥の市民が避難している屋敷へ行け!今すぐにな!」

 

 そう言い終わってから、俺は目を瞑った。一人も残らない事を想像しながら。

 

 元々、感染者を必要以上に痛めつける今のウルサスに思う所があった。娘が感染した時を考えたら、どうしてもそういう気になれなかった。まぁ、もういねぇけどよ。

 そして、この事件とイモータルの言葉で確信出来ちまった。どっちが悪いじゃねぇ、どっちも悪かったんだ。俺達も、感染者も、どっちも加害者で被害者だった。ソレをイモータル、お前が気づかせてくれた。こういう所だけは感謝してもしたりねぇよ。

 

 あぁ、ボジョカスティ…テメーみたいなのがウルサスを去った理由が漸くわかった気がするぜ。

 だからよ、俺もそうする。お主と違って何処までやれるか全然わかんねぇけどよ……多分、そういう事に乗り気な不審者もいる。なんとかなるかもな。

 

 さて、そろそろか。誰も居なくなって――

 

「……オイオイ、マジで言ってんのか?」

 

 俺の目の前には、さっきと変わらない数の奴らが立っていた。

 

「ジャスパー隊長」

 

 俺の名を言ったのは、本国と通信を取っていた男。

 

「確かに、死ぬのは怖いです。でも、ソレは貴方も同じ筈だ。それでも俺達を守ろうとしくれてる。ソレを後ろからただ見守るだなんて、俺はちょっと無理です」

 

 ソイツは、そのまま周りにいる他の奴らを見渡す。目があった奴らが、それぞれ恐怖の抜け切らない顔を、それでも言った風にと縦に振った。

 

「ソレに俺達、市民を守りたいからこの職につきましたしね。後、援軍に来てくれないウルサスにもイラッと来ました」

 

 その言葉に呼応する様に、周りの奴らが声を張り上げる。怖いだろうに、それでも俺について来てくれると決めやがった。

 

「あ〜クソッ、ありがとよテメーらァ!テメーらの命は俺が必ず、死んでも守ってやる!」

「「「「オォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」」」」

 

 さて……後は市民達にどう説明したものか……

 

『そこは問題ないんだナ』

「……お主、次は何しやがった?」

『ジャスパーの演説を市民達にも聞こえるように垂れ流してブベラァ?!!?!』

「勝手に人のセリフ垂れ流してんじゃねぇよ不審者野郎!」

 

 思わずぶん殴っちまった。なんでコイツこんなプライバシーねぇんだよ。親の腹に置いてきただろ絶対。

 

『ゲハハ…っと。でもお陰で、市民も君について来るみたいだぜ』

 

 そう言って見せてきたタブレット端末には、画面越しでもやかましさが伝わる程に盛り上がっていた。俺の名前が書かれた横断幕もあるんだが。

 

 ソレにコイツは……あの時イモータルが連れてきやがった感染者?

 

『どうやら、向こうでもなんやかんやあったみたいだな。矢張り、救った命は巡り巡ると言った所か……さてジャスティス・ランフォード、フェイスレスをしばく用意と行こうじゃないか』

「ジャスパーだこの野郎。そこら辺に関してはお主が伝えろよ」

『おうともさ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『では先ずコレを着よう』

「なんだコレ?」

「スーツ?」

『着ると身体能力が五倍くらい上がる強化外骨格だよ』

「この薄い防弾チョッキみてぇなのの何処にそんな機構があんだよ」

 

『次はコレを持とう』

「ナニコレ?」

「コレは!ライトセイバー!」

『フェイスレスのアーツ術式をちょいと弄ってね、刃状にしたの。これならあの傀儡に効くよ。効果は実証済みだ』

「最早なんでもありじゃね?」

「このバックラーは?」

『都市防衛副砲に耐えれるただのバックラー』

「この大盾は?」

『大規模移動都市に押し潰されても形を保てるただの大盾』

「最早なんでもありじゃね?」

 

「お前!俺達を死なせない何かがあるんだろうな?!」

『勿論さぁ!先ず、私を五体増やしました』

「……なんて?」

『後戦闘支援自律飛行ドローンも数百機程作りました』

「なんて?」

 

『んで戦い方だが、出来れば重装一人と前衛2人で一体相手させたいのよね。これ以上の犠牲は出さないつもりだし』

「なら、必修科目の中に丁度良い連携戦闘があった筈だ」

『……あぁ!カジミエーシュの銀槍相手にに使われた連携ね』

「なんで知ってんだよ」

『まぁまぁ、後はこういう作戦で……――』

 

 そうして、全ての準備を終えたウルサス兵士……いや、クレアスノダールの兵士達は、貴族街の門の前に列を作る。

 門の奥からは、ホモが張ったシールドのアーツを砕かんとする傀儡達の打撃音が響き渡っていた。

 

『んじゃ、最後に一言』

「ン゙ン゙っ………テメーら!よく聞け!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クレアスノダール(ここ)に、生きて戻ってくるぞ」

 

 最後の戦いが、始まる。

*1
ホモ目線の技術力評価なので参考にしてはいけない、いいね?

*2
幼馴染みにTS要素があれば尚良し




というわけで、1話に収めたかったが故に後半駆け足気味かつ少しご都合主義が顕著に出てしまって申し訳ねぇぜ!元々そういう二次創作なんだけどね!いやすまんね!
では次回から戦闘シーンの連続かもしれん。後作者は熱を出したので寝ます。

では皆様、サラダバー!





おま◯け


ホモ

貴族街に戻ってから義体の残りを完成させ、会議室で一悶着を起こし、その裏で完成させた義体に命令してドローンを量産させてたりレティシアを戦闘可能状態まで回復させてたり武装を作ってたり一部の奴をチャートに組み込んだりしてたホモ。やることが、やることが多い!


テキサス

アルハイムの事を好きと言ったホモを思わず殴って地面に陥没させてしまった。


ベール

答えを得たので後は実行するだけ。リスタとの会話はもう少し先で書くぜ。
……書けるかなぁ?


ジャスパー

愛国心はあるけどホモのお陰で今のウルサスが嫌いになってしまった男。俺はウルサスを出るぞ!ボジョカスティー!
元々ウルサスの英雄の一人で人気も高かった上に、市民を必ず守るという姿勢とクレアスノダールが好きだという台詞により、クレアスノダール市民が全員ファンと化した。
最後のセリフは前回のフェイスレスのセリフと対になってたりなってなかったりする。


最初ホモに助けられた青年

実はホモによって貴族街にいち早く連れてこられた後、色々あって市民達に結構踏んだり蹴ったりされたりもしたが、それでも市民達へ自分達感染者がどう思っているか、これから非感染者達とどうしたいか等を主張しまくって相互理解へ持っていった男。ほ、いつの間に?!まぁ短縮になったのでヨシ!(確認猫)
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