アークナイツRTA 『境界無き方舟』獲得ルート   作:ゲルゲルググ

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あの頃に戻りたいと思っていた。後戻りは出来なかった。


とあるコラボの脇役事変 DC−13 帰路

 ガチャリと、男が扉を開く。無駄に豪勢な部屋の、無駄に大きなベッドの上に力なく横たわる女性は、その態勢のまま視線だけをそちらに向けた。

 

「……何をしに来た、ベール」

 

 その女性…リスタの目に、光は無かった。だが、ベールはその光の無い目と目を合わせながら、口を開く。

 

「なぁリスタ――

 

 

 

 

「……なぁオイ、随分とイメチェンしたんじゃねぇか?」

「べ…ェルゥ!」

 

 ウルサス製の黒い軍服を着た男と、殆ど全身を黒い鉱石が覆った少年が対峙する。

 

「ッ……へっ、来いよ!どうせオレを殺したくて仕方ねぇんだろうが!」

「コロスッ!!!」

 

 瞬間、子供の体では到底出せない筈のスピードで接近するアイン。そして肉迫したベールの頭へ、源石の侵食によって腕と一体化し、刃となったボウガンを殺意のままに突き立てようとし………

 

 ウルサス製の軍刀が、受け止める。

 

「見え見えなんだよォ!」

 

 ボウガンを弾き返し、アインとの距離を縮めながら軍刀を振るう。袈裟に斬ろうとする軍刀をボウガンでわざと防がせ、返す刀で逆袈裟に斬り上げて隙を作り、その隙を逃さず腰のホルスターからホモに渡された拳銃型のアーツユニットを抜き発砲。

 放たれた複数の緑の軌跡はアインの動きを鈍らせ、そこに軍刀による突きを叩き込む。

 

「アガッ―?!」

 

 ――よし!このまま弱らせて、あの黒コートの野郎が押し付けやがったコイツをブチ込んでやらァ!

 

 懐に忍ばせた近未来的な注射器に意識を一瞬割きながら、直ぐ様目の前のアインに戻し斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 好きな男がいた。声が大きくて、暑苦しい……だが私と妙に馬が合ったその男と一緒にいた私は、いつの間にか、その男の事を好いていた。

 だが私の家は権力を持った家系で、それ相応に厳しい育て方をしてくる親達だったから、私のこの初恋は叶うことなく…私、リスタは、とある高官に嫁ぐ事となった。

 

 愛されていない事は、直ぐに理解した。結婚してから直ぐ、それから毎晩、私とその男は夜を営んだ。

 

 そして、お腹に子供を宿した事を言ってから、男は浮気をした。

 でも、それまでの生活に思い入れは無かったし、お腹の子にも罪はないから、私は生まれてきてくれた息子に愛情を注いだ。

 

 何事もなく育っていって

 

 ずっとこの生活が続くと

 

《お母さん、この黒いのなに?》

 

 そう思っていたのに

 

《処分したのは君の部下のベールだろう?何故私を問い詰める?》

 

 どうして………!

 

 

 

 

 

 

《貴方の息子さんは生きています。会わせる事も出来ますが……今のクレアスノダールのままでは難しいですね。貴方の立場の問題もありますし…ですからリスタさん、私と、この都市を変えませんか?》

 

 

 

 

 

 

 そして私は……また、間違えた。怒りで我を忘れ、間違えてしまった。あの時のフェイスレスは、私を殺そうとした。きっと、あの黒コートがいなければ、私はあそこで死んでいた。最初から、アインと会わせる気などなかったのだろう。私はまた、良いように使われていただけだったのだ。

 どうして、こうなってしまうのだろう。私はただ、愛する息子にまた会いたいだけなのに……

 

 私は、アインに会うどころか――ベールまで殺そうとした

 

 

 

 

 

 

 ガチャリと、扉が開く。無駄に豪勢な部屋の、無駄に大きなベッドの上に力なく横たわっていた私は、その態勢のまま視線だけをそちらに向けた。

 男が立っていた。私の息子を、アインを殺したと…そう思っていた男が、その強面を向けてきていた。

 

「……何をしに来た、ベール」

 

 ………わかりきった事だろうに。私はベールを殺そうとしたのだ。ならやり返されるのも当然だろう。だから私は、抵抗する気も無いまま、ベールが次にするであろう事に備えて目を瞑ろうとして――

 

「なぁリスタ…俺は、アインの事でお前に謝らなきゃならねぇ」

「――え?」

 

 私の予想と反した言葉を、彼は口にした。

 

「俺は、お前からアインを奪ったも同然の事をした。アインが今あそこにいるのも、俺のせいだ。本当に……すまなかった」

 

 何故……どうして………

 

「だから今から俺は、アインを連れ戻しに行く。絶対に、アインとお前を会わせてやる」

「ッ………どうして、そこまでするんだ。私は、貴様を…貴方を殺そうとしたのに…」

「………そうだな。たしかに、あの時殺そうとした事はまだ許しちゃいねぇよ。そこは後でキッチリ落とし前つけて貰う。でもなぁリスタ、俺は…なんつうか………

 

 

 

 

 

ずっと前から、お前の事が好きなんだ」

 

 あ―――

 

「まぁ、俺が奥手過ぎるせいで、お前は貰われちまったがな。後はまぁ、さっき言った事の落とし前もある。それでリス――なぁリスタ」

 

 あぁ、やめてくれ。こんな酷い顔を見ないでくれ。こんな、貴方を殺そうとした酷い女に……

 

「お前はまだ、アインにもう一度会いたいか?」

「〜〜ッッ!!会いたい!会いたいよ!」

 

 これ以上、優しくしないでくれ。

 

「ヨッシ!じゃあそこで大人しく待ってろよ!ゼッテェ連れ戻して来っからな!」

 

 いつも見た雰囲気になり、慌しい様子で部屋から出ていくベール。彼が出ていった後、啜り泣く音だけが、無駄に豪華な部屋に響いている。

 

 

 

 あぁ、今も昔も、私は本当にダメな人間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァァァァァ!!!」

「シネェェェェェ!!!!」

 

 軍刀とボウガンがぶつかり、火花が散る。力任せに振り回すアインに対し、ベールはパワー勝負では分が悪いと判断するや否や、防御方法を受け止めるから受け流すに変え、攻撃後の隙を逃さずアーツユニットを発砲し、緑の光を叩き込む。

 

「グギッ――グカキゴガガゴガガァ!!!」

「っ?!しまっ――」

 

 その一見対等に見える一方的な剣戟に痺れを切らしたのか、受け流されて下を向いたボウガンに直接源石の矢を作り出すと、それを爆発のアーツで無理やり発射。その上、源石の矢は着弾と同時に爆発し、自傷も厭わない二重の爆発がベールを吹き飛ばす。

 

「ガハッ!…クソッ―っ?!マズイ!」

 

 壁に激突したベールは痛みを耐える暇も無く、体を無理やり動かして走り出す。そして一瞬置いてから、さっきまでベールがいた場所に無数の源石矢が突き刺さり、爆発する。

 

 アインが先程の様に源石矢を生成し、それをベールへ向けて爆発。爆風によって射出された矢は更に小規模な爆発を連続で起こして自ら粉々になり、その破片1つ1つが一斉に襲いくる。

 だがこっちだってなにも無い訳じゃない。何処からともなく飛来するホモのお手製ドローンが、青い半透明の壁を生成し源石矢の群れからベールを護った。

 

 コレで態勢を整える事が出来る……と思った束の間、巨大な源石の槍が、ドローンをシールドのアーツごと貫き破壊する。

 

「オイオイマジかよォ?!」

 

 そして大爆破。またもや爆風に吹き飛ばされたベールは、必死に態勢を立て直しながら横へ飛ぶ。そのすぐ後に、アインが発射した源石の槍が、さっきまでベールがいた場所に着弾し、爆発した。

 

(クソッ、一度距離離されたら一気にクソゲー化しやがった!どうする…どうやって近づく?!)

 

 ボロボロの体を振るい立たせ、必死に動きながらアインを見て――

 

「シネッ…シネッシネェェ!!!」

 

 片方の目から涙を、もう片方の内側から源石に貫かれた目から血涙を流しながら、アインはボウガンに源石の槍を装填する。

 

「ネェサンヲ…レティシアヲカエセェ!!!

 

 

 

カゾクニ、アワセテクレェ!!!」

 

 

 

 飛び出す。走る。作戦などない…いや、考える暇などなかった。きっと、今のアインの家族は、あのレティシアと言う女の子なのだろうと、薄々察するベール。

 

 だが――

 

(どっちがじゃねぇ!両方ともアインの家族だ!もう絶対に――)

 

 吶喊するベールに、アインは源石の槍を発射。ベールはそれを間一髪で躱し、なんなら後方で起きた爆発に乗って、一気にアインへ近づき……大量の源石矢が、視界を埋め尽くす。

 

「ッ!」

 

 が、今度は何処からともなくビームが照射され、ベールに届く前に矢の群れは連鎖爆発を起こす。ビームの正体はおそらく千里観測型だろう。計算された偶然の誤射に違いない。

 

 こんな訳のわからん援護の仕方をしていた黒コートのホモを恨みがましく思いながらも、ここまでお膳立てしてくれやがった事に感謝する。

 何故なら、彼のおかげで……

 

「もう二度と、間違えねェェェ!!!!!」

 

 その時、アインを攻撃した時に軍刀に付着した源石が光りだす。

 そして、脊髄反射で振り下ろした軍刀から光の刃が解き放たれ、爆炎の奥から飛び出した源石の槍を、さらにその奥にあるボウガンと腕の境目を、真っ二つに斬り裂いた。

 

「アイン!!!」

「ッ――アァァァァァァ!!!」

 

 軍刀を構え、迫る。そのベールを前にしたアインも、斬れた腕から源石の槍を生やし、雄叫びを上げながらその腕を勢いよく突き出す。

 

 長く、されど一瞬だった。軍刀と源石の槍が交差し、肉が裂け、血飛沫が舞い散る。

 

 そして…

 

 

 そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………いってぇなぁ」

 

 源石の槍は、ベールの脇腹を貫いていた。そしてベールの軍刀は……アインの後ろへ投げ捨てられていた。

 

 ベールは、込み上げてくる血を気合で飲み込みながら、両腕をアインの首に回し、体を密着させる。

 

「悪かったなぁ…辛かったよなぁ……あの時は、突き放しちまって…悪かったなぁ……そんで、あの時も…一緒に、リスタの所に連れて行かなくて、すまねぇなぁ」

 

 そして、いつの間にか懐から取り出していた、ホモから渡された近未来的な形の注射器…のアーツユニットをアインの首へ優しく突き立て、スイッチを押した。

 

 アインの体にホモ特製の源石操作のアーツが流れ込み、フェイスレスのアーツを上書きして、ゆっくりと源石を非活性化させてゆく。

 

「だからよぉ…今度は、一緒に帰ろうや。リスタも、レティシアっつう姉貴も、お前に目茶苦茶会いたがってる」

「……………う、ん」

 

 殺意しかなかった瞳は鳴りを潜め、穏やかに閉じられる。そうしてゆっくりした吐息が聞こえ始めると同時に、ベールはアインを抱き締めたまま立ち上がり、歩き始める。

 どこからか急速に飛んできた2機の医療ドローンがベールとアインの体を検査し、二人の体にこれ以上怪我が悪化しなくなるアーツをかける事にすら眼中に無く、

 

 

 さながら、遊び疲れて寝た息子を抱えて帰る父親の如く、彼は確かな足取りで、リスタ(母親)のもとへと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして

 

『予定通りアインは無力化され、あの三バカも近くにはいない。終幕にはお誂え向きな舞台になってテンション上がるなー!……だろ?フェイスレス…いや、アルハイム』

「…………」

 

 貴族街入口の戦場から離れたとある区画で、黒幕との戦いか始まろうとしていた。











前回から3ヶ月も更新できなくて本当に申し訳ございませんでしたァァァァァァァァ!!!!!!!!!

畜生!リスタとベールの所で3ヶ月使っちまった!もう本当に心情描写すんの止めろよマジでよぉぉぉぉ!!!!!

ですが、えぇ、何回も書いておりますが、ちゃんと最後まで書く事は確定しておりますので、本当に気長に待っててください。ちゃんと終わらせますんで!

では、今まで見続けてくれてる読者の皆様も、コレから見てくださる読者の皆様も、この小説を見てくださりありがとう御座います。それではまた次回、サラダバー!
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