アークナイツRTA 『境界無き方舟』獲得ルート   作:ゲルゲルググ

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そろそろいつものRTAに戻りたいので初投稿です。


エレキ・ストラトキャスター 下

『さて、じゃあ作戦のおさらいと行こうか。まず俺が夜なべして作りまくったドローンで、警備員共を玄関付近におびき寄せる。その間に、お前はシュバッと行ってパパパッと助けてスタコラサッサーと逃げる。コツは猫が焼けた魚を盗む感じだ。OK?』

「すまん、最後ら辺が全くわかんねぇ」

 

 手に巻いている脈拍計測通信機とやらから声が響く。

 つか、急に語彙力を下げるな。折角人が頑張って集中しようとしてるってのに、コイツはアレか?茶化さないと機能停止でもするのだろうか?なら是非機能停止して人格データを変えて戻って来てくれ。

 

 と言う訳で、俺達は今ライン生命の施設、その裏口の近くに隠れている。ここから少し遠くに停泊している移動都市からめっちゃ静かに走る車で来たわけだ。にしても、車があったから楽だったが流石に離れ過ぎやしねぇか?

 

『まぁこう、未知のドローン共が襲撃して来たってシチュエーションだからな』

「そんな中ドローンを携えた侵入者が入る訳だが?」

『顔は隠れてるから大丈夫だ、問題ない』

 

 いや、大丈夫じゃ無いだろ、間違いなく問題になるだろ。確かに強化外骨格で顔は隠れてるけども。

 

『うるさいですね……』

「え、何そのロリ声?」

『そろそろ始めるぞ。準備しな』

 

 と言った瞬間、ライン生命の玄関辺りの方で爆発音が響いた。

 

「オイ、ホントに人は殺さねぇんだよな?」

『安心しろ。実験体達がいない事は確認済みだ。威力も気絶するレベルに抑えてあるとも』

「そうかよ、そりゃ安心だ」

『ドヤァ!…っと、そろそろ全員行ったかな』

 

 そう言って裏口へ向かうドローンを追っかける。ドローンは裏口の鍵をレーザーを使ってこじ開けると、我先にと先行して行く。

 てかおかしいな?俺、あのドローンは支援型って聞いたんだが、何故にレーザーとか言う殺傷力ダンチなヤツが搭載されてんの?

 

『多目的支援型だからな。ほら、どんな作業にもハサミやら包丁やら危ないモン使うだろ?そんな感じよ』

「あ〜なる程……」

 

 いやなる程じゃ無いが

 

「にしても…コレホントに聞こえて無いんだよな?」

『んだよお前自身のアーツでしょうが!ったく……安心しやがれ、空気の振動はお前を中心に半径1メートル先で殆ど停止してる。この話し声も、足音も、どんだけ大音量だろうと外部にはまったく聞こえないだろうよ』

「……よし」

 

 そんな会話をしながら周囲を警戒し、素早く目的の場所へと足を進める。

 

 この間、俺とコイツはアーツについての事で色々やっていた。どうやら俺のアーツは音楽を流すだけのものでは無く、空気の振動を操るアーツだと言う。何故アーツを発動させていた時に音楽が流れていたかとポンコツに聞けば、おそらくアーツを発動させた時、無意識に空気の振動を調節していたんじゃないか、だそうだ。

 聞いててなんだが、自分でも驚きを隠せなかったぞ。なんだよ無意識に振動を調節するって。その時の俺一体何を考えてたんだ?

 

 まぁいいや。で、この間にこのポンコツと練習して、アーツの汎用性を広げる事が出来た訳だ。その一つがこの音を遮断するヤツだな。

 

『ま、弱点があるとすれば外部からの音も遮断するから、索敵が視覚頼りになるって所位だろうな』

「ソコはホントにちゃんとしろよ?」

『わぁってるって!俺が見逃す筈が無いだろ〜』

 

 ったくよぉ、ホントに大丈夫なんだろうなコイツ?あ〜不安になって来た。このまま面倒事無く助ければいいんだが……

 

 その時の俺達は知る由も無かった。無音で走って行く俺とコイツを物陰から見ていたリーベリ族の研究員がいた事に。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『ここだな』

「このガキが……」

 

 助けたループスのガキが言っていた場所に着いた。強引に開ければ警報がなる可能性があるとの事で、支援型ドローンのハッキングで収容室の鍵を開ける。一体そのちっさいドローンにどんだけ積んでんだか……と言うのは置いといて、扉の先には、白髪のフェリーン族のガキが死んだ様に眠っていた。

 

『ホッソイ体やな〜。ロリでコレは流石にワロエナイ。おまけに髪の色もストレスだな。抜けなかっただけマシと見るべきか………』

「オウ、なんで体と性別がわかったのかは聞かないでおいてやるよ。取り敢えず、さっさと運んで……ん?」

『お、』

 

 ガキを抱えようとすると、物音で目が覚めたのか、薄っすらとこちらに顔を向けた瞬間、俺は息を呑んだ。

 髪と顔の向きで見えなかったが、本来片眼にあるはずの眼球は無く、黒色の鉱物が埋め込まれていた。

 

「聞いてはいたが……クッソ!」

『お前さんが、アイちゃん…であってるか?』

「……うん…………あの、おじさん達は……?」

『このおっさんはエレキ君、俺は空飛ぶ不思議な鳥さんだ。お前を助けに来た。以上終わり!さっさと行くぞ!』

「わかってるっつーの!」

「うわっ………!」

 

 ガキを肩に担ぎ、ドローンと共に出口へと向かう。モタモタしてたら玄関の囮ドローンが全滅しかねないからな。一応あのポンコツが同時操作しているとはいえ、そう長くは持たないだろうし。

 

「………あれ?妖精さん?」

「妖精?」

 

 突然変な事を言い出したんだけどこのガキ。誰もいない場所に話しかけてるし。

 

『おそらく、脳の近くにオリジニウムが侵蝕した影響だろうな。早く治療しねぇとマズくなるぞ』

「わぁってるっての!」

 

 話しながら走るスピードを上げる。ここの角を曲がれば、後は真っ直ぐ進んでもう一度曲がるだけだ。そうすれば出口は眼の前にある。囮がちゃんと機能しているのか、ここまで1度も会敵していないからな、簡単に脱出―――!

 

「やっと見つけたか……悪いが、ここから先は通さん。大人しく武器と子供を離して投降しろ」

「………?おじさん、鳥さん、どうしたの?」

「チッ、クッソが」

『…おぉん……』

 

 どうやらそう言う訳にはいかない様だ。もう少しの所で、俺達はヴィーヴル族の女とばったりはち合わせしてしまった……いや、コレは待ち構えられてた可能性が高いな。まぁ流石にドローンの大群が玄関に押し寄せるってだけじゃあ、近い内に囮だと感づかれるだろうしな。

 あとなんか喋ってるが、生憎とアーツのお陰でこれっぽっちも聞こえなかった。ちょっと不便だなコレ。

 

『ヌッ!ヘッ!ヘッ!ア゛ア゛ア゛ア゛もう滅茶苦茶だよぉ!ショタにコイツらがいないかどうか聞くべきだったァァァ!!!はーどないしよ…』

 

 えぇ……(困惑)めっちゃ動揺してんじゃねぇかコイツ。もしかして、目の前のコイツは予期せぬイレギュラーだってのか?

 

「叫ぶなうっさいわ!つかどうするんだよ?!」

『ですがまぁ、突っ込むしかありませんねェ!準備しろエレキ君!』

「さっきから情緒不安定気味だなお前!で、策は?」

『かくかくしかじか』

「いや全然わからねぇ」

『煙幕張るから突っ込んで逃げるんだよ!あくしろよ!』

「わぁったよ!」

「……チッ」

 

 ポンコツを信じて、目の前のヴィーヴル女に向かって突っ込んで行く。向こうもこっちが突っ込んで来るのを見ると、耳に手を当てて何かを喋り、直ぐに戦闘態勢に入った。おそらく仲間を呼んだのだろう。尚更早く脱出しなければならなくなった。

 相手のエモノはデカい盾に単発式のハンドガン。遠距離武器ってのは厄介だが、単発式だからバカスカ撃ってくる事は無いと思いたい。

 

『煙幕張るゾ!あと絶対に吸うなよ!』

「よっしゃ来い!」

 

 ドローンがヴィーヴル女に向かって、青い煙を放出する。その量は、一瞬にして視界を奪ってしまう程だ。まぁ、俺は空気の振動を使って相手の位置を探れる様になったから、視界が潰れても大して問題ない。

 にしても、ホントに役立たずなアーツから役に立つアーツになってやがるな。帰ったらアーツ学を読み漁って見よう。

 

 そう思っている間に、俺達は煙幕地帯を出た。

 

「っハァ!つか、なんで吸っちゃ駄目なんだよ?」

『念の為に睡眠薬もブチ込んどいたからな……アレで撒けるといいんだが』

「そう言うのは最初に言ってくれ!」

「むにゃむにゃ〜……」

「ほら見ろ!って、コイツは別にいいか……」

『いやすまね〜って、おにゃの子はいいんかい』

 

 肩に担いでいたガキが眠ってしまったが、まぁ良いだろう。それより、もう少しで出口が見える筈だ。そこの角を曲がれば―――

 

 そう思った瞬間、発砲音と共に横に浮いていたドローンが砕け散った。咄嗟に後ろを振り返る。そこには、さっきまで睡眠薬入りの煙幕の中にいたヴィーヴル女が俺らに向かってヤバい速度で突っ込んで来るのが見えた。

 

『ファァァァァッ?!』

「ハァッ?!クッソ!」

 

 空いている手でいざと言う時の為に装備していた放電警棒を振るうが、盾で簡単に防がれた挙げ句、警棒は弾かれ腹のど真ん中にカウンターを喰らってしまった。

 

「グブッッ!?!?」

「む?下に何か仕込んでいたか…」

 

 強烈な腹パンによって、俺は壁にめり込んでしまった。

 つかクッソ痛ぇ!なんなんだコイツ?!睡眠薬入りの煙幕の中からドローンを狙撃するわ素手のパンチで服の下にあった外骨格を砕くわバケモンじゃねぇかよ!

 

「ドゴハァ!………クッソ!あのヴィーヴル女、体ん中筋肉で敷き詰められてんじゃねぇだろな?!」

『ソウダナー、ドウミテモノウキンダナー。んな事より早く起き上がって逃げろJK。無理に戦う必要は存在せんぞ』

「わぁってるっての……おい待て、ガキは何処行った?」

『あっ』

「あ、じゃねーよこのポンコツ!」

 

 って、こんなバカみてぇな会話してる暇ねぇわ。クッソ、何処行ったんだあのガキ……。

 

「何を話しているか知らんが、諦めろ。もうお前に勝ち目は無い。外のドローンも、直に全滅するだろう」

 

 俺の眼の前までやって来たヴィーヴル女が、俺の頭にリロード済みの銃口を向ける。あぁクッソ!ガキはコイツが脇に抱えてやがるじゃねぇかよ!

 完全に終わりじゃねぇか。ドローンも潰れ、ガキは奪われ、残るものは役立たずの声とアーツのみ。誰が見てもわかるだろう、ゲームオーバーだ。

 

 頭の中で、妙に懐かしい光景から、最近あった光景までが頭ん中でグルグルしてやがる。なる程、コレが走馬灯ってヤツなのか。

 

 はっ、死ぬ直前に人生の反省が出来るってか?……ったく、この機能を人間に追加した奴はさぞいい趣味をしてんだろなぁ………。

 

 

 

 まぁ、悪かねぇがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『人生の反省をしてる暇があったらァ!女の子の救出をしてください!』

「……わぁってるっつってんだろがァ!」

 

 振動を遮断する膜を解除し、俺とポンコツの声による空気の振動を出来るだけ最大にしてヴィーヴル女の耳の中にブチ込む。

 

「ぐっ?!」

 

 ヴィーヴル女は、驚いた顔をしながら片耳を抑えた。そりゃそうなるだろうな。なんせ突然耳の鼓膜が破れる程の大音量が流れるんだ。流石にもう片方の耳はインカムのお陰で破れなかったが、それでもチャンスは作れた。どっかの誰かが諦めなきゃなんとかなるっつってたが、ホントの事だったとはな!さっきはマジで諦めかけてたけど!

 

「オラァ!」

「ぐぅッ!させるか!」

「ぐぬッ?!オォォォォ!!」

 

 怯んだヴィーヴル女にタックルを仕掛け、抱えていたガキを引き剥がそうとするが、それを阻止せんとヴィーヴル女が肩甲骨辺りに銃を撃ち込む。そこまでは別になんともなかった。撃ち込まれた所は丁度外骨格がある場所だったからな。だけど銃弾を肘で打ち込むってのはどう言う頭してやがるんだこのヴィーヴル女!

 

「ヘッ、絶対に離さねぇからなァ?」

「チッ……害虫が」

 

 そう呟いたヴィーヴル女が、すかさずもう一度銃弾を肘で打ち込みやがった。ホントに止めて欲しいんだがな……さて、コレからどうするか。このままじゃホントにゲームオーバーになっちまうぞ。

 

「ん……い、痛いよ……妖精さん…」

「……オイオイ女ァ、ちっとは力緩めたらゴフッ?!」

「すると思っているのかバカが………何?!」

「ぬぉっ?!」

 

 なんだ?!いきなりスッポ抜けやがった?!一瞬なにが起こったかわからなかったが、俺の腕の中にガキがいるのを確認出来た瞬間、俺は体をバネみてぇに跳ね起こして出口に向かって走った。

 

「待てッ!……グッ?!」

『よっしゃ間に合ったァ!』

「ったく、さっきから何やってたんだよ?!」

『いやぁ、ギリギリまで玄関の方のドローンを生き残らせながら煙幕をぶつける機会を伺ってたのよ。まぁ、まさか予備を出動させる事になってちょっと遅れ気味になるとは思って無かったがな!』

 

 俺を追いかけようとしていたヴィーヴル女を、あの青い煙が包み込んだ。どうやら煙幕を放射する機能は壊れてなかった様だ。

 

 ようやく裏口から脱出した俺達の目の前に、無人の車が綺麗なドリフトを決めながら停車する。俺が移動都市からここまで乗ってきた車だ。運転しているのはあのポンコツだが。 

 車にガキを押し込み、俺も飛び乗る。車はドアがしまった瞬間に勢いよく発車した。

 

「あ、そうだ」

 

 俺は窓から体を外に出し、後ろでどんどん小さくなって行くライン生命に向かって中指を立てる。

 

「次は全員貰ってやるから憶えときやがれクソ組織が!!!!」

 

 ………多少はスッキリした。

 

「……う〜ん…ふぇ?ここは……あ、おじさん、おはよう御座います〜……ふぁぁ……」

「おう、起きたか」

『大丈夫?どっか痛い所無い?主に横腹とか横腹とか横腹とか』

「オイコラ」

 

 正直、ガキを強い力でずっと掴んでたのはちょっと反省してる。でも、あの時は色々必死だったし……あーなんか肩辺りがどんどん痛くなってきた。

 

「大丈夫ですよ〜、えっと…車さん。痛い時は、いつも妖精さんが助けてくれるので」

「……妖精さんねぇ……」

 

 あのお陰で今回のミッションは成功したとはいえ、アレはホントに何だったんだろうか?あのヴィーヴル女がそう簡単に離すか?睡眠薬入りの煙を吸ってもピンピンして外骨格を素手で砕くバケモノだぞ?

 

『あ〜、こう言うのはなんだが、それはお前さんの鉱石病による幻覚だと思うぞ』

「ううん、ホントにいるよ。今はお兄さんの方の窓に」

「は?俺?」

 

 ………いや、何もいないぞ?

 

「よ〜く見て」

「お、おう……」

「妖精さんも、自己紹介…ね?」

 

 なんか怖いぞこのガキ。さっきまでのホワホワ感は何処に行ったし?

 

「つってもホントに何も………エッ」

『あぁ!窓に!窓に!』

 

 簡単に言おう。窓にいつの間にか目玉が張り付いており、こちらをジッと覗いていた。そして、その目玉を起点に空間が歪み、人間の顔が生成された。

 

「………ハハッ☆」

「…マジでおるんかい」

『キェェェェェァァァ!!!シャベッタァァァァァァ!!!』

 

 色々と疲れていたせいで、そんな薄い反応しか出来なかった。




やっと終わった……次からはもっと短いヤツにするわ。ツー訳で次回からRTAに戻ります。こんな小説を読んでくれてありがとナス!


それとちょっとしたアレ


リーベリ族の研究員

性別女性の研究員さん。ドローンが攻めて来たから自室待機してろよと言う放送を聞いたが、大切な娘も同然の存在の安否を確認しに行き、その途中で怪しいおじさんとドローンを発見した。


ヴィーヴル女

ライン生命警備課主任で、パパみたいな威厳のある女性。一時的に一緒に研究プロジェクトを支援しに来ていた今は親しい関係であるリーベリ研究員の通報を受け、ライン生命と繋がっているこの実験施設内を捜索した所、彼らと遭遇した。謎金属製の外骨格を素手で砕く。
余談だが、今回の後始末を終えた次の朝、彼女にしては珍しく起きるのが遅かったとか。
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