アークナイツRTA 『境界無き方舟』獲得ルート 作:ゲルゲルググ
真龍の鬼門に群がりて 大欲非道の慮外者共
立ち去れ 今や此処は鎮護の御廟 現世常世の領域なれば
隠れ住まうは不可視の神仙 無礼が過ぎれば霞隠しぞ
虚構から現れたソレは、気絶しているクラウンスレイヤー以外の者を驚愕させるには充分だった。
最初に脳内処理を終えたのはケルシー先生だ。彼女は改めてその異形を認識し、一歩下がって戦闘態勢をとる。
「……mon3tr、今すぐそこから脱出しろ!」
自分がアクションを起こしても何もせず、mon3trを踏みつけながらこちらを見つめ続ける異形。何もしないならこっちから仕掛けさせてもらう…と、ケルシー先生は銃型の注射器を取り出し素早く白のカートリッジを入れ、自身の首筋へ撃ち込んだ。
その瞬間、異形の前足に潰されていたmon3trが咆哮し、音を立てて肥大化した2本の腕をその足へ突き刺す。
突然の攻撃にたじろいだのか、その異形は少しその足を浮かせた。その一瞬の隙間をmon3trは滑る様に抜け出す。
「よし、いい子だ」
『(苛立つ様な鳴き声)』
「落ち着けmon3tr」
『(低く唸る)』
「レッド、私から絶対に離れるなよ」
「っ……うん。レッド、離れない」
仲間の安否を確認しながら、ケルシー先生は目の前の異形を少しばかり観察する。異形の姿は、カメレオンに翼をくっつけた様な外見をしており、表面が紫色、裏側と角の尖端が白色に染まっている。そして見たこと無い程の巨大さ。全長20mはあるだろうその巨体は、ケルシーが知っている原生生物の中に存在しなかった。
その時、異形が遂に動き出した。レッドがナイフを構え、mon3trが威嚇する中、その異形は体を前後に揺らしながらゆっくりと、まるでロボットの様に彼女らへ向かって歩き出す。
そして3歩程進んだ時だった。さっきまでの静けさを思わせない程の速さで体をくねらせたのだ。これにはケルシー先生達も驚愕の表情を隠せない。
体をくねらせた異形はいつの間にか横を向いており、口を開く。その視線の先には、気絶したクラウンスレイヤーが。
「――まさか?!mon3tr!奴を止めろ!」
『(咆哮)』
mon3trが異形の顔めがけて突進する。だが、それよりも圧倒的に速い速度で、異形の口から伸びた舌がクラウンスレイヤーを絡め取り……
クランスレイヤーの体は、異形の口の中へと消えていった。
「クソっ!」
ケルシー先生が悪態をつく。その直後、mon3trが異形の横顔に攻撃を加え、レッドが素早くその喉元をナイフで斬り裂いた。
「ダメ。コイツ、刃が通らない」
素早い身のこなしでケルシー先生の元へ迷いなく戻ってくる一人と一体。レッドは異形を斬り裂いたナイフをケルシー先生へ見せながら、そんな事を言った。
確かにナイフには血が一滴もついておらず、逆に刃が欠けている。ケルシー先生の表情が更に巌しくなった。
「一体どうすれば………待て、奴は何処に――くぅっ?!」
少し目を離した瞬間、その異形が跡形も無く消えていた。そして困惑するケルシー先生達に風圧が襲いかかる。風圧が止む頃には、周囲の霧が少し晴れ、異形の存在を完全に見失ってしまった。
流石に3回目となると慣れたのか、ケルシー先生は直ぐに異形がどうなったのかを考え、自分が想像した結論に顔を青くする。
「私の目の前から一瞬で姿を消したのが透明化出来るからだとして、あの風圧……翼を動かしたのか?だとしたら不味いな。あんなモノが他の者に見られたら、ロドスやレユニオン、龍門すらも大混乱になりかない」
mon3trを収め、ケルシー先生とレッドは元の道へ引き返す。どうにかしてあの異形を見つけなければ、今の龍門がどうなるかわかったもんじゃない。それに、敵とはいえクラウンスレイヤーを助けなければとも思っていた。彼女は見た目と言動に印象されがちだが、結構優しい。
だが、彼女らの行動は杞憂だった。何故なら数分後、彼女達の目の前に体を立たせた異形が突然現れ、押しつぶそうとして来たのだから。
さて、ここは霧の領域の外側近く。そこに可愛らしいクランタ族の少女が物陰でガクブル震えていました。そうですターボ師匠です。
方舟の車庫からトラック型ドローンを盗んで龍門にやって来たターボ師匠達。
何故か義体を運んだドローンよりも圧倒的に短い時間で着いたのは一先ず置いとくとして………荷台から降りたターボ師匠は、助手席に粘液塗れで突き刺さっていた人物を尻目にミヅハの後をついていく。
そう言えば、とターボ師匠は目の前の少年?少女?は何なのだろう?と今更純粋に疑問を持った。
確かイモータルがラインせーめん(生命)から女の子を連れ出す時について来たとかなんとか。それから今まで隠れたり出て来たり、保育施設に良く居座ってたり、自分と一緒にチェルノボーグへコッソリ着いて行ったり……
アレ?とターボ師匠は思った。チェルノボーグの時以外ミヅハとそんなに関わって無くね?と。
じゃあどうして……と思った時、ふと周りの景色を見て気がついた。
「……ねぇミヅハ、もしかしてターボ達迷っちゃった?」
「………ハハッ☆」
「知らないの?!」(なんとなく言葉がわかる)
いつの間にか霧に包まれたスラム街の一角にいたターボ師匠達。
すると、ミヅハは突然隅にある物陰を指さした。
「ハハッ☆」
「……え?あそこに隠れる?ミヅハはどうするの?」
「ハハッ☆」
「エェェ?!ミヅハだけで探しに行くの?!ターボ一人で待つの?!ヤダヤダ!ターボ一人じゃ怖い!ターボもミヅハに着いて行く!」
「ハハッ☆」
「わわぁぁー!!!ミヅハが消えちゃったー!!!」
我儘を言うターボ師匠に向かって親指を立てながら姿を消すミヅハ。そして残されたのは、悲鳴を上げるターボ師匠だけだった。
と言うのが、数分前の事。
そんなこんなで、キチッと言う事を聞いて物陰に隠れていたターボ師匠。そして彼女に近づく謎の存在が……
『ハハッ☆』
「ミ゛ツ゛ハ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」
どうやらミヅハだった様だ。その姿を見て安心したターボ師匠は物陰から飛び出して抱きつこうとし……スッと避けられた。。
「ヒデブッ?!……なんで離れるの?!あとなんか平べったくない?」
『ハハッ☆』
「イヤでも、平べった」
『ハハッ☆』
「平べっ」
『ハハッ☆』
どうやらターボ師匠の気の所為らしい。気の所為ならしょうが無い。ほら周り霧があるし。霧は五感を鈍らせるらしいし(鈍らせません)
「うぅ……わかった、ターボ大人しくする……で、あの人は見つかったの?」
ターボ師匠がそう聞いた瞬間、すぐ後ろでベチャベチャッと汚い音が響いた。
突然の事でビクゥッと震えたターボは、恐る恐る振り返る。
そこには、ベトベトな状態で泡吹いて目を回しているクラウンスレイヤーが倒れていた。
「ギャァァァァァァァ?!?!!?死んでるぅぅぅ?!?!」
『生キテルヨ』
そりゃ後ろに突然ベトベトな人間が落ちてきたら叫ぶ。誰だって叫ぶ。イモータルだって叫びながらパーツ毎に綺麗に自壊する。
後コイツ今喋らなかった?
「えぇ?!これっ……エェ?!」
慌てた口調でクラウンスレイヤーとミヅハを交互に見るターボ師匠。それを数十秒行った後、おもむろに近づくと、ベトベトを気持ち悪がりながらクラウンスレイヤーを背負ったのだ。
どう見てもターボ師匠のがちっちゃいのに、それを軽々担ぐ光景は、ちょっと価値観がバグるだろう。まぁターボ師匠も騎士競技の経験があるし、普通やな!(輝騎士を見ながら)
「じゃ、一緒に帰ろう!ミヅハ!」
『ハハッ☆』
「エェ?!嫌なの?!」
なんか否定されまくってる事にガーンとなるターボ師匠。
「でも、一人じゃ危ないよ。一緒に帰ろう?」
『………』
「ねぇ、なんで何も言わないの?」
『…………』
「ねぇっ!―――」
その瞬間、物凄い風圧がターボ師匠を襲った。
突然の事にターボ師匠は困惑しながらも、倒れない様に踏ん張る。踏ん張り続ける。そんな彼女を虐めるように、風は更に強くなる。
いつの間にか風は止んでいた。ターボ師匠は恐る恐る目を開けると、そこにミヅハは居らず、周りは不自然な程に静まり返っていた。
ターボ師匠は、ここで初めてミヅハと言う存在に形容し難い何かを感じた。恐怖では無い。だがこれは恐怖に近しい物……禍々しい、毒々しい、薄気味悪い……不気味。兎に角それだけが頭の中にに湧いて出る。
そんな思考から逃れるべく、彼女は息を大きく吸って……
「―――ミヅハのバァァァカ!!!もう知らないもん!ターボ一人で帰るッ!」
そう言って、もと来た道を…そこだけ不自然に霧が晴れた道を真っ直ぐに駆けた。
その光景を見る者がいた。到底人とは思えぬ巨大な異形。ただじっと、小さくなる逃亡騎士を見えなくなるまで見つめている。
霞龍は、しじまの向こうから見つめている。
…………読者がこの文章を見て楽しんでいてくれているのかわからなくて怖い今日この頃。
更新スペースと文章力は下がりつつあるけど、ちゃんと完結させるから!最後まで見て!(懇願)見ろ!(豹変)
ケルシー先生とのじゃれ合いはもしかしたらテンポの都合上省く可能性が高いです。まぁ頑張って書いてみますが。あとターボ師匠これであってる?大丈夫?正直スッゴイ不安なんだけど(殴
ではまた次回、サラダバー!