アークナイツRTA 『境界無き方舟』獲得ルート 作:ゲルゲルググ
最初に目にしたのは、雑に拘束された小さな腕だった。腕に巻き付く錆びた鉄の骨組みと、手首を貫通している大きな螺子。
産まれて初めて出た声は、痛さに耐える為に喉が枯れるまで絞り出された叫び声だった。
産まれて初めてと言っても、私には両親の記憶なんてない。気がついたら手首に螺子を貫通させただけの手錠をされ、ボロ布の様な服を着た私がいた。
ただ、何も無い私が持っていたモノが…記憶が一つ。名前も、顔も、性別も、周囲の環境も、何もかもが私と正反対で、眩しい笑顔を浮かべながら車に跳ね飛ばされ最期を迎えたその男は………
新型お披露目会をするRTAはーじまーるよー!
前回が何なのか説明する暇は無ぇ!さっさと行くぞオルルァン!!!
源石ゴーレムを発見したら直ぐ様殲滅!粉砕!玉砕!大喝采!あー楽しィ!やべェよ!!(アクセロリ)ついでに影衛君も対処しときましょう。あ、丁度いましたね。
撃つな………私はホモ、龍門は狙われている。
「………」
「………」
「攻撃開始」
撃つなって。
あ、そうだ(唐突)掃討ついでにこの試作機のスペックについて軽く説明をば。
運動能力は量産型義体よりも高く設定されていますが、少々出力が不安定なのが否めません。おそらく源石エンジンの出力向上と内部武装の多さによるものでしょうが、まぁコレは後でハイゼンさん達がなんとかしてくれる事でしょう。
そして武装に関してですが、内部武装が特殊兵装義体の4体よりも多いのが特徴です。
先ず手のひらにプロトタイプが使っていた痛覚残留ブレードの刀身を出す装置があります。因みに刀身を短くして空中に設置し、時間差で発射させる中距離攻撃も出来ますが、せいぜいオマケ程度や。また、痛覚残留ブレードだけでなく着弾時に拡大してしばらく滞留するスパークボムや、相手からの攻撃を一度だけ無効化するスパークウォールを張ることも出来ます。ついでにスタンガンみたいな事も出来ますねぇ!
そして胴体にはリフレガ発生装置と視点転移装置があります。視点転移装置は三次元狙撃型の次元空間歪曲装置の下位互換ですね。視線の先数十mにワープします。リフレガ発生装置は……最強の守り!以上!
勿論ALケーブルも接続出来るゾ。
後は外付けの武器ですが、この背中に背負っている長い金属製トランクです。横の長さが義体の身長並みにあり、幅も国語辞典2冊並みにあり、更には持ち手部分が異様に長くて真ん中では無く片方に寄ってる………もうわかりますね?つまりそう言う事です。
因みにですが、義体の装甲であるコートの色は白色です。試作機だからね、しょうが無いね。
お、説明している内に三体程ゴーレムを叩き壊しましたね。オッス龍門のみなさま〜!(銀河大彗星)こんな場所で死に急いでないで、シェルターに帰ろう!(提案)
やっぱり人助けは最高やな!ズルズルして気持ちが良い!この瞬間が一番生を実感する!エル君がスパロボに呼ばれた時並みに最高です。さぁみんなもエル君並の声量で人助け最高と叫ぶのです。
おや?あ、アレは……!親方ァ!人助けを享受する声に釣られて出て来たゴーレムにメスガキが!
チェルノボーグに生まれて来た私は、ずっと良いように使われて来た。痛い思いをした。辛い事をさせられた。腹を蹴られ、吐瀉物を吐く所を嘲笑われた。身も心も犯された。
そんな時に私はずっと僕の記憶を見ていた。両親と楽しそうに会話して、友達と遊んで、毎日が楽しそうで………私が惨めに感じた。どうして?と、上下に揺さぶられながら考える。きっと僕の様な暮らしをすれば人生が楽しくなるのに、どうして私の周りは僕とは違うの?僕の真似をすれば、私は幸せになる筈なのに。これじゃあ実践出来ないよ………。
そんな時だった。ある時に見た僕は何時もの様に笑っていた。笑いながら両親だったものを見ていた。嗤いながら友人だったものを見ていた。
そんな僕が初めて、私に手を差し伸べてくれた。何時もの様な笑顔で差し伸べられた赤色の手を、私は躊躇無く掴んで―――
あったよ、私が出来る楽しい事
あぁ!楽しい!今が楽しい!凄い楽しい!やっぱり、やっぱり人を嬲り殺すのは凄く楽しい!怯えられると心が踊る!怨嗟の眼差しを向けられると笑みが浮かぶ!
もう感染者とか非感染者とかどうでもいい!私と同じだよと言った人も沢山いたけど関係ない!私が見つけた唯一の楽しみ、私が出来る唯一の愉しみ!チェルノボーグの憲兵達がどうして私を使って楽しんでいたかわかったよ!だって楽しいもん!
壊すのが楽しい!殺すのが愉しい!これを知らない人は、楽しくないと思う人は絶対損してる。特に私と同じ死んで生まれ変わった人達は本当に損してる!だって日本では出来なかった事が簡単に出来るんだよ?この見窄らしい世界は人殺しで溢れてるんだから、何回やっても大丈夫だよ!きっと楽しい!あぁ楽しい!愉しい楽しい愉しい楽しい愉しい樂しい愉しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい樂しい!!!
『楽しいなぁ!』
そうだよね!楽しいよね!人殺しは楽しい事なんだよ!ねぇ、君も一緒に分かち合おう?この気持ちを声に出して享受しよう!
いくよ?せぇの―――
『人助けサイコー!!!』
…………は?
『やっぱり人助けは最高やな!ズルズルして気持ちが良い!この瞬間が一番生を実感する!』
どうして?
『なんたって人助けをしたら感謝されるんだ。人からありがたがられる。これって凄く気持ちがいい事だぜ?なんたって褒められて嬉しいと感じるのは人類共通の思考回路だからね。子供とかまさにそうだ』
どうして………
『とまぁ、こう言ってみたものの、実は自分に感謝してもらいたいが為に人を助けると言う事は偽善と取られやすいのよね。でも別に気にしなぁい!何故なら、被災地に折り鶴送るとか、応援メッセージを書こうとかじゃ無く、私達の救助活動によって助かっている命が確かに存在するから!』
どうして………!
『でも、さっきお前の様なイレギュラーのせいでみんな死んだってツッコまれたのよね〜。まぁ恨みをぶつけるだけのお前より正しい事してるからって一蹴したけども』
どうして!
『まさにやらない善よりやる偽善ならぬ、やらない善よりやる救助活動………救助活動って偽善の定義に収まらなくね?まぁいいか、なんせそこら辺の傍観しかしねぇ奴とか、人殺しバカよりかよっぽどいい事してるからな!ガハハッ!』
どうしてお前はッ!
「人形の分際で、私より楽しそうにしてんじゃねぇよこのゴミ野郎がッ!」
『楽しいモンは楽しいんだからしゃーないやろJK』
伏線は8話から貼っておりました。
それではまた次回、サラダバー!