アークナイツRTA 『境界無き方舟』獲得ルート 作:ゲルゲルググ
そんな訳でちょっと遅れて初投稿です
治療?開始から少しして、後は片足の傷を完全に戻すだけになり、いよいよラストスパートと行ったところだ。
「んんんっ!ンンゥゥゥゥ!!!ングゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」
「もう少しだから、頑張って……!」
【残り15秒】
ロスモンティスに噛ませている腕で頭を抱き寄せ、もう片方の腕を念力で空中に固定されたロスモンティスの腕へ持っていき、指と指を絡ませながらギュッと手を握るブレイズ。
【5・4・3・2・1・GO!>】
ようやく、彼女達にとって苦痛でしかなかった時間が終わった。さっきまで叫び声を上げていたロスモンティスは鳴りを潜め、ブレイズは安堵の表情を浮かべながら、頑張ったねと、ロスモンティスへ語りかける。
「……んっ……んむ……」
「あっ」
自分が口を塞いでいるのを思い出したブレイズは、ロスモンティスの口からそっと腕を離す。ブレイズの血が滲んだ唾液が糸を引く。
「ぷはっ……ここ、は…?……ブレイズ?」
「ッッ……ロスモンティス!」
「わっ!いきなり抱き着いて――ッ!ブレイズ、血が?!」
「大丈夫!この傷は、君が生きている証だよ!」
「い、意味わからないよ……!」
さっきまで緊迫した状況が、実に微笑ましいものへと変わった。実際ロスモンティスも、何故ブレイズが此処に居て、自分はブレイズに抱き締められていて、さっきまで公園だったのにいつの間にか屋内にいるのかわからない……簡単に言えば、狂撃制圧型に公園まで吹き飛ばされた所から記憶が無いが、心がポカポカしていた。
そして、ブレイズ達を守るためとはいえ、アーツで吹き飛ばした事に罪悪感を思い出し、ソレを謝ろうとして、視界の端に写った黒コートに意味もなく恐怖を覚える。
「ひっ――」
いや、ロスモンティスにとってはさっきまで殺し合っていたのは憶えているのだが、何故ここまで恐怖するのかは理解出来なかった。と言うか何故すぐ近くにいるのかも理解出来なかった。
「あっ、ロスモンティス、この人は――」
【いいよ。アイツと殺り合っていたのだから仕方が無い。左腕、治癒促進】
透過強襲型が発動させた治癒アーツで、ロスモンティスの全身の切り傷や軽い打撲、そしてブレイズの血が滲み出る程の歯型を治癒した。何故かブレイズが睨んで来た。解せぬ。
兎も角、未だ怯え続けるロスモンティスを無視して話を続ける。
【空間転送が正常に戻った。今から貴方達をロドスへ送る。事実上戦線離脱だが、アイツに追われている以上、こうするしか無い】
「……わかったわ」
【右腕、座標指定。左腕――】
「ま、待って。一体何を言っているの?撤退?そんな事をしたら、あなたみたい、な、あ、の……――ッッ」
「…?ロスモンティス?」
突如目を見開きながら黙ったロスモンティスを見たブレイズは、彼女が見ている方向へ顔を向けて……向かい側の窓に、大剣を振り上げながら突っ込んで来る黒コートを見た。
「後ろォ!」
【ッ!左腕、念力!】
窓どころか壁すらブチ壊して入ってきた狂撃制圧型に対し、透過強襲型は念力のアーツで部屋内の小物や瓦礫を集めて盾にしようとする。が、狂撃制圧型が手をかざした瞬間、集まる筈だった小物や瓦礫は空中でピタッと停止する。
そのまま狂撃制圧型は透過強襲型に全力疾走で突っ込んで行きながら大剣を振り下ろし、透過強襲はその攻撃を咄嗟に右腕で受け止めようとした。
【右腕、硬質ガッッ―アァァ!テメェ!何してんだァ!】
右手を砕かれ、黒い液体を撒き散らしながら叫ぶ。
「あぁっ…!」
「ッ!こんの――」
【来んな!左腕、強制移動!】
「なぁっ?!」
左腕でアーツを使い、二人を窓からビルの外へ移動させる。彼らがいた階は結構高い場所だったのだが、このアーツはただの押し出しではなく強制移動なので問題は無い。
【殺ス>】
【左腕、反応ッぶねぇ?!】
頭を狙った横薙ぎを間一髪で回避し、返す刀で来る袈裟斬りを態勢を立て直しながら大剣の間合いから出る事で回避する。
【改めて反応強化!】
狂撃制圧型が一瞬で迫り、天井を抉りながら大剣を掲げ振り下ろす。ソレを最低限横にズレて回避する。振り下ろした大剣を逆袈裟斬りの容量で振り上げる。ソレを体を傾けて回避する。一歩踏み込みながら袈裟斬りを仕掛け、振り下ろした勢いを加えたまま体を回転させ、更に一歩踏み込んで逆袈裟斬りを仕掛ける。袈裟斬りを間合いから出る事で避け、逆袈裟斬りをしゃがむ事で回避する。攻撃を仕掛けてくる。回避する。攻撃を仕掛けてくる。回避する。攻撃を仕掛けてくる。回避する。仕掛けてくる。回避する。仕掛けてくる。回避する。回避する。回避する。回避する回避する回避する回避する回避回避回避回避回避回避回避回避か―――
【無理ガガッ――!!】
徐々に速くなってくる連撃を捌ききれず、遂に常人なら穴が空くほどの威力の突きを喰らって、窓をぶち破りながらすぐ近くの中型マンションに突き刺さった。
「……嘘でしょ。っ逃げるわよロスモンティス!」
「わっ?!」
透過強襲型のアーツのお陰で、ビルの上階から新鮮な紐なしバンジー体験をして、なんの痛みも無く地面に着地したブレイズは、ビルから飛んでいった物体が何なのか察しながら、ロスモンティスをお姫様抱っこして走り出す。
「ブ、ブレイズ、降ろして!自分で歩けるから!だから――ッ?!」
「……本当に勘弁してよ。方舟のオペレーターは化け物なの?」
二人の逃げ道を妨げるかの様に、ビルの上階からスーパーヒーロー着地を決める狂撃制圧型。
厳密にはオペレーターではないが、人間でないのは確かだ。現に黒い箱背負って大剣と共にヒーロー着地を決めて無事でいる。コレは人間じゃない(確信)
「ロスモンティス、逃げて」
「で、でもっ!」
「いいから!行って!」
「待って――」
ロスモンティスを降ろし、刃がボロボロのチェンソーを持って狂撃制圧型に突撃する。熱流を纏わせ、己に迫ってくる大剣と打ち合うが……やはり、大剣に触れた瞬間、チェンソーに纏わせた熱流が霧散した。
「くっ!これなら、どうよ!」
一旦離れると、地面にチェンソーを叩きつけ、狂撃制圧型へ向かって次々と火柱を発生させる。が、その火柱も、横薙ぎに振るわれた大剣によっていとも容易く霧散した。
(やっぱりその剣、何か仕掛けがあるわね!)
黒コートが迫る。大剣を適当に振り回し、乱雑に、されど一振りで殺せる威力で、ブレイズへ打ち込む。チェンソーが歪む。
その一方的とも言える攻防を後ろで見ているロスモンティスは、逃げるでも無く、かと言ってブレイズへ加勢や掩護をするわけでもなく……ただ、震えていた。
(どうして?どうして動かないの?!お願い、動いて…!動いてよ!)
足は子鹿の様に震え、ただ恐怖する。あの黒コートを見ていると、足がなくなった気分になる。そして何故か、昔は忌々しいとさえ思っていたアーツが発動してくれない。上手く精神実態を構築出来ないでいた。
「なに、してるの!早くッ、逃げて!」
「っ――!」
そんなロスモンティスが後目に入ったのか、大剣と打ち合い、鍔迫り合いをしながら、ブレイズが叫ぶ。だが悲しいかな、彼女に今のロスモンティスの気持ちがわかるわけないのだ。
このままではいつか殺られる。その時、この場にいない者の声が響いた。
《「こちらアーミヤ。ブレイズさん、聞こえますか?無事なら返事をしてください!」》
「アーミヤちゃん?!」
【――】
聞こえてきたのはブレイズの無線通信機から。ブレイズは一旦離れようとした瞬間、狂撃制圧型の腕が、その通信機を掴み、ブレイズを蹴り飛ばす。
「ガハッ?!」
「ブレイズ!」
《「ブレイズさん!聞こえますか?!無事であれば至急応答願います!」》
「カハッ!カハッ!……ちょっと!それ、返しなさいよ!」
大剣を地面に突き刺してまじまじと通信機を眺めだした狂撃制圧型に、ブレイズは口の中の血を吐き出しながら叫ぶ。
【・・・解析>tyotto!sore・kaesinasaiyo!>】
「聞こえないの?!返しなさいって言ってるの!」
ブレイズが迫る。が、狂撃制圧型が腕をブレイズへ向けると、まるで時が止まったかの様に全身が動かなくなり、これ以上前へ進めなくなった。
「な、何これ?!クソッ!」
【・・・聞コエナイノ?!返シナサイッテ言ッテルノ!>】
「「?!」」
ブレイズとロスモンティスが驚いているのを無視して、狂撃制圧型は通信機のスイッチを入れる。
【こちらブレイズ>安心してアーミヤちゃん・たった今厄介な相手を倒した所よ>】
《「ブレイズさん!よかったぁ……ロスモンティスさんは無事ですか?」》
【ちゃんと見つけたわ>でも無事・・・とは言い辛いわね>今も気絶して喋れる状態じゃないわ。私がもう少し早く見つけていれば・・・>】
「ちょっと、何勝手にガッ――?!」
あろうことか通信機越しのアーミヤと会話を、しかも自分の声も口調もそっくり真似て話す狂撃制圧型。ソレを見たブレイズは口を挟もうとして、口の中に何か詰められた…いや、口を何かで固定されたかの様に動かなくなった。
《「ブレイズさん………どうか気を落とさないで、貴方らしくありませんよ。ロスモンティスさんは無事に生きていた、今はその事を喜ぶべきです」》
【・・・そうよね・うん>いつまでもウジウジしてちゃ、らしくないもの>】
《「はい!……ところで、ロスモンティスさんを攻撃した敵は…」》
【それなんだけど・相手は複数人のレユニオンだったわ>】
《「そうなんですか?!」》
【えぇ>でもなんか変なアーツユニットを持っていたわ・ロスモンティスを吹き飛ばす事が出来たのは・多分アーツユニットじゃないかしら>】
《「変なアーツユニット?」》
【えぇっと・・・ごめんねアーミヤちゃん>持って帰って説明したいのは山々だったんだけど・・・その・壊しちゃって>】
《「いえ、そんな事は!兎に角、そこから封鎖層へ帰って来れますか?場所を教えてくれたら、オペレーターを向かわせて――」》
【大丈夫>割とすぐ近くだから・私一人で問題無いわ>ロスモンティスを応急処置して直ぐにかっ飛ばして来るから・アーミヤちゃんは先に行っててちょうだい>】
《「……はい。ここ一帯は方舟の皆さんが敵を掃討しましたが、居なくなったとは限りません。くれぐれも気をつけて帰ってきて下さいね」》
【了解>アーミヤちゃんも・気をつけてね>】
ブツっと、通信機を切り……一拍置いて握り潰す。それと同時に、ブレイズが謎のアーツによる拘束を筋肉に任せて無理やり脱出した。そして、最早折り紙の様に歪んで回転しなくなったチェンソーを振り上げ、攻撃する。
まぁ、大剣で簡単に防がれたが。
【まだ来るの?>まったく懲りないわね>】
「その声で喋らないで!」
【そう?>じゃあ戻そうかしら>貴方ノ喋り方ハワタシモ少し違和感ガ有りマシタノデ>】
口調が丁寧、悪い言い方をするなら無機質なものになり、声色もブレイズのものから男とも女とも取れるものに変化する。
【デハ殺しマス>】
「うぐぁっ!」
「ブレッ……ッッ!」
チェンソーを叩き折られ、首を鷲掴まれ持ち上げられる。その光景を見たロスモンティスは言いようの無い恐怖と、家族を失う焦燥感に駆られるが、その足が動くことはない。
「あぐっ――カハッ!」
【……】
「なっ……なんでっ!こんな、事を――ッ!」
【質問デスネ?>ナラバ回答シマス>】
徐々に力を入れていた指を少し離し、ブレイズの命をわざわざ延命させると言う、意味のわからない事をする狂撃制圧型。
【先ズ・貴方達ヲ攻撃シタノハワタシノ独断デス>モトモト・
「そんなッ……理由で…!」
【安心シテクダサイ・チャント全員殺しマス>】
「ッ………?!」
狂撃制圧型は、ブレイズの首を掴んだまま、大剣を引き摺りながらまだ逃げれていないロスモンティスへ近づく。両手で腕を掴み、全身を使ってなんとか脱出を試みるブレイズだが、腕はビクともしない。
そして、直ぐ側までロスモンティスに近づかれた事で、初めて彼女の顔と、震える足を見て、単身で黒コートを相手しようとした己を殴りたかった。ロスモンティスを連れて、少しでも遠くに逃げればよかったと、今更ながらに思う。
【・・・】
「――ッ――ッッ」
さっきまであった意味不明な恐怖を認めてしまう。声すら出なくなり、足の震えが更に酷くなり、上手く立てずに尻餅をつくロスモンティス。
「止め、て!その子だけは……その子を殺したら、私はッ……!」
【何故・コンナ存在ヲ気ニカケルノデショウカ>家族愛ヲ履き違え・間接的ニ家族ヲ殺すノニ>】
「ッ――」
「……君みたいな奴に、ロスモンティスの何ガッ―カハァッ?!」
【彼女ハ人ヲ殺しマス>エェ勿論・ソノ殺人ハ家族ヲ守りタイト言う願いカラ来てイルノモ知ってイマス>家族ヲ守る為ニ相手ヲ殺し・・・ソシテ・恨みヲ買って家族ヲ殺さレル>馬鹿カナニカデスカネ>殺さレタカラ殺しテ・殺したカラ殺さレテ・・・コノ大地ノ縮図デス>愚かデスネ】
「そ、それは――」
【違うノデスカ>】
「ひッ――!」
煩いブレイズを首を締めて黙らせ、やっと口を開いて狂撃制圧型の
【違うナラ何故・ナニユエ・ドウイウ理由ガアッテ・・・
どうして全員ブッ殺さねぇんだよテメェらはよォォォォォ!!!!】
「あぐッ?!――ガハァッッ!!!」
咄嗟に頭を抱えて蹲ったロスモンティスの真横に、ブレイズが叩きつけられる。口から血を吐き出し、ロスモンティスの頬にこびりつく。彼女が頬の血に気がつき、抱えた頭をゆっくりと上げ……ブレイズの惨状が目に入る。瞳が絶望に染まっていく。
【殺しきるなら最後まで殺せってのによォ!!!!なぁオイ!!!大人だろうがガキだろうが!!!!誰か!一人でも!ブッ殺したら!!!そいつの!関係者!一族!!郎党!!!全員漏れなくブッ殺すのが・常識だろうがァ!!!!】
「あがっ!!!……ガッ!!あがっ!!くっ……うぅ……ガハッ?!あがっ!!ぐぁッ!!ガアァッッ!!……こ、この――ヴッ?!ぐっ!ガッ!グア゛ッッ――カハッ、カハッ、……ま、だ――ッッッッァッッ」
「…やめっやめて……!」
ブレイズを地面に叩きつける、叩きつける、叩きつける叩きつける叩きつける。コンクリートに打ち付ける音が強くなり、水っぽい音が加わり、飛び散る血が多くなり、顔が殆ど真っ赤になり……うめき声がどんどん小さくなっていく。
【なのにテメェらは・
「やめて、やめてよ…!どうして、私の家族を――」
【貴方ガヤッテキタ事ト同じデスヨ>】
ロスモンティスが目を見開く。ゆっくりと顔を上げれば、ブレイズを叩きつけていた狂撃制圧型が動きを止め、ロスモンティスへ顔を向けていた。未だ首を掴まれているブレイズも、血塗れの目を薄く開けて、彼女に訴える。耳をかしては駄目だと。
「え、ちが――」
【違わナクナイデショウ>貴方ガ殺してキタ人間ノ中ニモ居た筈デスヨ>貴方ト同じ・家族ヲ守る為ニ戦う・家族愛ノ素晴らシイ人間ガ>】
「だって、それは……私の家族を傷つけようとして、私は、家族を守りたくて」
【エェ・ソウデス>ソシテ貴方ハ敵ヲ退ケ・見事ニ家族ヲ守ったノデス>素晴らシイデスネ>】
「ッ!………え?」
何かされると思い、目を閉じて体を強張らせるロスモンティス。だが、聞こえてきた音声と、頭に乗せられた感触は、彼女が想像していたものとだいぶかけ離れたものだった。自分の頭を撫でる不審者に、ロスモンティスは困惑の色の入った顔を向ける。
【ホラ・目ヲ閉じテ>ソシテ心デ感じテ・見テクダサイ>貴方ガ守った家族ガ・元気ニ生きテイルデショウ>】
間髪入れずに、ロスモンティスの目の前にブレイズを叩きつける。
「―――ぇ」
【貴方ガ全員殺さナカッタカラ・報復ニ来た人間ニ家族ヲ殺さレマシタ>家族ノ敵ヲ殺ス事ガ正義ダト思い込んデ中途半端ニ殺しタオ前ノセイデス>アーア>】
「あ、あ…あぁぁぁぁぁ?!」
濁流の様に、罪悪感と表現するには生温い感情が流れ込む。脳裏に浮かぶは、チェルノボーグ事変で死亡したScoutだったり、封鎖層で散っていったロスモンティスの部下だったりと、彼女の家族が次々に現れては消えていく。
そして、今まさに自分のせいで傷ついた家族を目の前にして、彼女の心は……
「ごめ…ちが……い、あ、あぁぁぁぁぁ!!」
押し潰されそうになっていた。
【ギャハハハハハハハ!!!!ア^〜楽Cィ!やべぇよ!!!人間の言語発声するの気持ち良すぎだろ!!!ゲェハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!
何処ガ・意味不明デス>何ガ面白いノデショウカ>】
急に落ち着いた狂撃制圧型がブレイズの首を掴んで持ち上げる。そして首を掴む掌の力を強くして――
「あの、さぁ…!」
【・・・質問デスカ>受け付けマセン・今スgニ質問ヲ続けテクダサイ>ワタシ達ハソレヲ聞き答えル義務ガアaaリマス】
また、ブレイズを絞め殺さずに言葉を待つ狂撃制圧型。さっきから度々言動がおかしくなっている。
だが、ブレイズにとっては好都合だ。
「君は、なんにもわかって…ないよ」
【ア゛>】
「私、は……君の、言った事を……絶対に、認めない…!そうでしょ…ロスモンティス?」
「―――っ」
罪悪感に潰されそうになりながらも、顔を上げる。
目の前には傷だらけのブレイズが首を掴まれて宙吊りにされながらも、血塗れの顔をロスモンティスへ向けていた。顔を更に青くするロスモンティスへ、ブレイズは安心させようと何時もの様に笑みを贈る。そしてキッと狂撃制圧型を睨みつける。
「確かに、まだ14歳だもの…間違いだってするわよ。でもね……!偉そうに…ペラペラ喋ってた、所…悪いけど……ぜんっぜん間違ってる!ロスモンティスはね!いつも私達を助けてくれてるの!戦いだけじゃない!いつも誰かの役に立とうとしてくれてる!仕事を手伝ってくれるし、辛そうな患者に付き添って看病してくれる!小さい子どもに自分のお菓子を譲って上げる事も出来る!」
ロスモンティスの記憶に有る事、無い事を、ブレイズはこれでもかと話し出す。だが、その言葉はロスモンティスの罪悪感を、心に出来た傷口を確かに塞いでいった。
「戦闘だって、もっと平和に済む方法を探してる!そのために苦手な勉強だってちゃんとやって、忘れないように頑張ってる!いつもいつも、彼女はみんなに感謝されて………私達は助けられている!ロスモンティスは!私達家族を…感染者を沢山助けているの!ソレをポッと出の君が……人を殺すことしか考えてない様な君が!知ったように語らないでッ!!!」
「……ぶれ…ッ…ブレイズ!…ッッ」
自然と涙が流れ、嗚咽が漏れる。あぁ、生きてていいのだなと理解する。さっきまで罪悪感で自死寸前まで追い詰められていたロスモンティスの心を、ブレイズは一瞬で温め、救い出したのだ。
(不味っ……頭くらくらしてきた…)
だがそろそろブレイズの命もデッドゾーンへ差し掛かろうとしていた。そしてそこに加え、狂撃制圧型も動き出す。
【質問ノno終了ヲ確認・・・じゃあブッ殺すぞテメェ!】
「ッ!!――ガッ?!」
「ッ!!――ブレイズ?!」
【さっきから馬鹿みたいに正論ぶちまけやがってよォ!!!!ムカつくからグチャグチャにブチ殺してやらアァァァァァァァァァア!!!!!】
「やめてぇぇ!!」
ブレイズを上へ放り投げ、雑に大剣を振り下ろそうと構える狂撃制圧型。ソレを見たロスモンティスは、咄嗟にアーツを発動させ……精神実態の腕を一本、腕と言うには無理がある細長い塊を、狂撃制圧型ヘ向かって勢いよく飛ばす。
だが、大剣の位置が丁度ブレイズを攻撃出来てついでに精神実態も切れる所にあるのが容易に想像出来てしまった。
(やだ、やだよ!折角助けて貰ったのに、これじゃ……!)
【死ねェェェェェェェェェェェェ!!!!】
振りかぶられた大剣が、断頭台の如くブレイズの体を――
【左腕、
ブォン!と音を立てながら白く発光した何かがブーメランの様な軌道を描きながら接近し、狂撃制圧型の片方の腕、大剣を持つ腕の手首を豆腐の様に切断する。
【ア゛>】
突然軽くなった腕に違和感を持った為に行動を停止して、一拍置いて狂撃制圧型の斜め後ろに大剣が突き刺さる。手首から上が無くなった片腕から黒い液体が噴水の様に湧き出てくる。
そして、その馬鹿みたいに無防備になった顔面を精神実態が捉え―――
ドゴシャア!!!!
顔面ストレートがクリーンヒットした狂撃制圧型は、まるでギャグ漫画の様に錐揉み回転しながら吹き飛んでいった。口を開けてポカーンとするロスモンティス。遅れて地面にドサッと落ちるブレイズ。
【いやぁ、綺麗に吹き飛んでいったなオイ】
そして横からヌッと現れた透過強襲型。
「あなたは……」
【遅くなってすまないね。左腕、増血……左腕、治癒促進】
軽くロスモンティスへ挨拶し、ブレイズへ向かって2つのアーツを交互に使用する。暫くすると、ブレイズは目を覚ました。
「ッブレイズ!」
「おっ…と……コレは…どういう状態…?」
ゆっくり上半身を起き上がらせたブレイズに、勢いよく抱き着くロスモンティス。ブレイズは彼女を受け止めながら、眠気が凄い頭で目の前の存在に疑問を問う。
【説明の前に先ずはコレを食え。体ダルいだろ?】
「えっ……と……?」
【仙豆だ、食え】
「わかっ……た」
豆ではなく、透き通った白色の飴を口に入れる。最初はナメナメしてたが、途中から面倒くさくなったのか、噛み砕いて、一気に飲み込む。
次の瞬間、眠そうだった目がカッと見開かれた。
「ナニコレ?!―って、いつの…あ、うん?あ、君かぁ!」
【……見間違えるのも無理はない】
「ブレイズ、大丈夫?」
「えぇ、まぁね。それより何が……」
ロスモンティスがブレイズの体から離れ、ブレイズはゆっくりと立ち上がる。そして横を見て……向こうで壁にメリィっとめり込んでいる狂撃制圧型を見て割と察した。ロスモンティスの頭を撫でて、掌を差し出して、意図を汲み取ったロスモンティスがハイタッチする。
【にしてもブレイズさん、生命力と頑丈さ凄いな。あれだけの傷で生きてるのもそうだし、この治療法でほぼ完治出来るとか相当だぞ】
「まぁ、私鍛えてるから。所で、あの瞬間移動のアーツ、使えないの?」
【座標指定が出来なくなったからなぁ。半径5000m以上先の何処かに行くけどいい?】
「ううん、大丈夫。ありがと」
そんな小話をしていると、向こうから何かを砕く様な音が響く。そして地面に突き刺さった大剣が独りでに動き出し、音がした方向へ吸い込まれる。
煙が晴れると片腕の手首に源石結晶が出来た狂撃制圧型が、大剣を杖代わりに立ち上がっていた。
【a―aaa貴方マデ・・・何故・ソノガキヲ庇うノデスカ>ソノガキハ・人ヲ殺す・KILL・・・殺ス>】
「まだそんな事を……!」
【……ま、そう言うよな。元は
透過強襲型は片手間に念力のアーツを発動させ、さっき投げた剣を手元へ戻す。だが握った瞬間にバラバラに崩れた。
【マジか、『ホーリーソード:月銀塗装』が……まぁいい。なぁお前、この子をどうしても殺人鬼に仕立て上げたいみたいだけどさ……彼女には、家族を守りたいと言う意志があるんだ。だからって別に守る為に殺してしまった事を肯定するわけじゃねぇが……こんな家族愛の心に溢れた大変素晴らしい女の子を、殺人者の一言で片付けるなんて、流石に酷いじゃあないか】
人を絶望の淵から助け出す描写が苦手な作者です。
んじゃ、リー先生頑張って当ててくるわね(60000の石を持ちながら)