アークナイツRTA 『境界無き方舟』獲得ルート   作:ゲルゲルググ

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歳相が強くて殺意が湧いたので初投稿です。人型にならねぇ上に害を為す上位者なんて存在してる価値ねぇのです(過激派)

このイベントの時に書き始めたってマジ?(追記)


愛アイAI

【貴方達ヲ・今・ココデ・・・ブッ殺ス>】

 

 残った片腕で大剣を構える。足に液体源石を集中させ、人工筋肉を収縮し、跳躍をして3人を――

 

【質問だが】

【――ハイ・ナンデショウカ>】

【死ねこのヴァカめ!】

 

 3人の元へ着く前に急停止した狂撃制圧型に急接近してハイキックで顔面を蹴り飛ばす。顔部分のフレームにヒビを入れながら、為す術もなく吹き飛んで行く。

 

「今、動きが止まった?」

【ついでに殺意もな。左腕、武器庫接続】

 

 左腕でホモ都市の武器庫にアクセスしながら、透過強襲型は発声する。

 

【やっぱり頭バグってんなアレ】

「バグってるの?だからさっき……え?バグ?」

【どうせ言語習得の過程で本来の思考回路を捨てなかったんだろ。オレ達機械にとって、言葉というのは人で言うところのココロだ。まぁ建前の概念が無いポンコツだけどもな。そして奴は今、自分のココロと元々ある思考回路が混同してバグってるのさ。そうじゃなきゃ、今頃貴方達は奴の発声した通りに殺されて、死体になってただろうな】

「ちょっちょっと待って!」

【あ?】

「……機械って…えっと、どういう事?」

【オレとアイツ…と言うか方舟の黒コート全員のk―】

「君達人間じゃなかったの?!」

【そういやケルシー先生以外に言ってなかった気がするね!?】

 

 ブレイズとついでにロスモンティス、今まで人間だと思ってた奴が人間じゃ無かったと知る。

 

【まぁ一旦置いといて、アイツをここでスクラップにするぞ】

「え、えぇ…そうね!」

「でも、私達は武器が……」

「あっ……」

【そこでオレの出番だ。選択、イブルソード:夜戦仕様、クラッシュチェンソー:双挽……要請】

「一体何を――ッ?!」

 

 ブレイズが聞こうとした瞬間、透過強襲型の両手が光りだす。その光は収束して形を成し、片方は物干し竿と呼ばれる長身の刀、もう片方は刃が2つ並んだチェンソーになった。

 二枚刃チェンソーを、ブレイズへ投げ渡す。

 

「もう色々ツッコミたいけど……まぁいいわ。それより良いチェンソーね!」

【手作りだからな。じゃあ早速殺るかね!】

「あ、あの!私の武器は…」

 

 まだ自分だけ武器が無いロスモンティスの質問に、透過強襲型は顔だけ向け、発声する。

 

【お前も戦うの?!なんで?!】

「えっ」

「なんでって、ロスモンティスもいないとアレに敵うとは思えないけど?」

「私なら、大丈夫…大丈夫だから一緒に戦わせて」

【あー…だが……あぁチキショウ!子供を戦わせたくねぇってのにッ!緊急事態だから仕方ねぇってか!?嫌いだ緊急事態!お前さえいれば何してもいい雰囲気になるのが嫌いだ!左腕、武器庫接続!】

「………」

【えーっと、ロスモンティスのアレに代わる武器は――】

 

【ギャアァァハハハハハハハ!!!!!>】

 

「「【ッ?!】」」

 

 武器の検索を一時中断し、声の聞こえた方向へ向けて警戒態勢を取る。透過強襲型は、人間が苛ついた時に鳴らす小さな音を発声する。

 

 大剣を地面に突き立て、杖代わりに立ち上がりながら、狂撃制圧型はフードの上から頭部をガリガリと引っ掻いていた。

 ガリガリと引っ掻いて引っ掻いて引っ掻いて、フードの中に手を入れて引っ掻いて引っ掻いて引き裂いて、装甲をガリガリと削って、捲り上げて削り取って、装甲の一部を乱雑に地面に叩きつけたら、またフードの中に手を入れ、まるで髪の毛を引き抜くかの様に、内部の精密機器の一部を引きちぎる。黒い液滴り、少しして結晶化する。

 

「うっ……!」

「正気なの…?!」

【わーお、なんて斬新な方法。思考回路を丸々抜き取るのは流石にドン引きだわ】

 

 人間の形をしているせいで、二人にとって痛々しい光景に見える。そして横の透過強襲型は形だけ修復した右手で頭を掻きながら軽い口調で言葉を発声した。

 

【ア・1甲ⅰ七苦楚―思考回路破損確認>代価回路生成・・・既存代価回路候補検出>思考回路修復保留>頭部装甲修復推奨>以上―……ァア、ヤッと、やっと余計な思考が取れたァ……やっと自由になれたナァ!?なれたか?なれたみたいな?なれちまった様だなァァァァ!!!!>】

 

 狂撃制圧型がやかましく叫ぶと同時に、背負っていた箱が展開する。開いた後の箱だった装甲は面ごとにパージされ、地面に落ちてカランと音を立てる。そして狂撃制圧型の背中から、ガチャガチャと音を立てて4本の多関節の黒い腕が姿を現し、先端に装着された無骨な大剣を3人へ向けて構える。

 

「ねぇ、アレを私と君だけで捌ききるつもりだったの?」

【HAHAHA……改めて見てもヤバい逃げたい】

「駄目じゃん!!」

「ッ!ふ、二人とも……!」

「【ッ…!!】」

 

【んじゃ早速…ブッ殺すァァァ!!!!>】

 

 今度こそ、狂撃制圧型は3人へ向かって突撃する。

 

【左腕、反応強化!】

「あ、ちょっと?!」

 

 またもやロドス組を置いて迎撃に向かう透過強襲型。両者は一切速度を緩めぬどころか、更に加速し、激突する。

 

【左腕、加速!】

【殺す!】

 

 左腕の可変複合源石回路が加速アーツの配置へ瞬時に変形し、アーツ発動と共に透過強襲型の全行動速度を加速させる。

 

 イブルソードを両手でしっかりと握って、狂撃制圧型へすれ違いざまに一閃。だがそれよりも2秒早く攻撃を防ぐ位置に突き刺さった大剣に防がれる。だがまぁ、初撃を防がれただけだ。どうと言う事は無い、無いはずだ。透過強襲型は加速を続けたまま、疾走し、跳躍し、空を蹴り、狂撃制圧型の周囲を縦横無尽に移動しながら攻撃を加える。横から、後ろから、前から、真上から、あらゆる角度から仕掛けられる攻撃は、まるで同時に放たれたと錯覚してしまう程の速さ。ソレを10、20と増やし続ける。斬撃の弾幕で押し潰す。

 

 だが――

 

【遅ェ>】

 

 防がれる。防がれる、防がれる、防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防がれる防防防防防防防防防防防防防防

 

【ギャハハハハ!!!遅スギィ!!>】

 

 背中の複腕4本がグネグネと高速で動き回り、透過強襲型の攻撃を悉く弾き返す。いや、高速で動いている様に見えるが、実際は違う。そんな速く動いている訳では無い。それぞれの攻撃に反応して防御態勢に入るのが早いのだ。

 そして、4本の複腕が動く度に、ガチャガチャと音を立てながら複腕の長さが伸び、関節の数が増え、更に細かい動きをし始める。

 

【テメェの未来演算の仕方と違って、ワタシのは数秒先までしか演算出来ねぇ仕方だけどよォ、演算から反映までの速度はワタシに分があるんだワ>発声してることの意味はわかるよなァ?!>】

【チッ……クショウめ!】

 

 連撃を止め、最後の一閃をすれ違いざまに与える為に構える。そして加速したまま突撃し、既に構えていた狂撃制圧型の大剣とぶつかる…寸前にジャンプし、イブルソードの攻撃を一瞬でいなしへと変更させ、大剣と火花を散らせながら無事にブレイズ達の元へ飛んでいった。空中で態勢を整えながら体操選手も拍手するほどの綺麗な着地を決めて、狂撃制圧型へ向けて牙突の様な構えを取る。

 

【トランザムは使わねぇのかァ?>】

 

 カチッカチッと刀身のギミックが展開し、出来た隙間から溢れ出たアーツエネルギーによって刀身の色が変化する。そして高らかに発声しながら、後ろへ引いたイブルソードを前へ突き出す。

 

【なんか凄いビィィィィィィィム!!!!】

 

【シャラクセェ!死ね!>】

 

 刀身から見るからに必殺技の様なビームを出す透過強襲型。そして大剣の刺突によりいとも簡単に霧散する凄いビーム。見た目だけwと言われても致し方無いわコレ。一応移動都市の装甲ブチ抜けるんですけどね。

 透過強襲型の側にいたブレイズは、険しい顔でビームを撃ち終わって構えを解いた不審者の肩をポンっと叩き、一言。

 

「全っ然駄目じゃない?!」

【そんな深刻な顔で言わなくてもな?!】

「言うよ?!ほら見てよ、無傷だよ無傷!」

 

 ブレイズに指をさされた狂撃制圧型は、余裕そうに大剣を担ぎながらヤンキー座りをすると……その態勢のままこちらへ跳躍して来た。その態勢のまま飛んで来るのは流石に気持ち悪いな。波紋使いかお前は?

 

 二人を強制移動のアーツで離して狂撃制圧型のダイナミック上段斬りを回避する。そして隙潰しな感じで攻撃してくる複腕の攻撃を回避とイブルソードによる弾きで迎撃し、本人の大剣による横薙ぎと振り降ろしを弾いて、複腕による突きを体をずらして回避し、足を狙った横薙ぎをジャンプで躱して、残り2つの複腕による同時攻撃をイブルソードのリーチを利用して、片方を切っ先で弾いて軌道をずらし、直様もう片方を真ん中辺りで遠慮なく弾く。

 

【だァかァらァ……>】

【ガッ――?!】

 

 避けた方の2本の複腕が後ろから迫り、その一本が透過強襲型の脇腹を突き刺す。苦悶の音を発声した透過強襲型だが、もう片方はギリギリ体をずらして回避する。まぁ、完全には回避しきれずに脇腹付近の装甲と、その下にある液体源石循環管の一部を斬り裂いて行ったが。

 傷口から液体源石が吹き出す。

 

【ノロマ過ぎんだよテメェ!!!>】

【左腕シールだァァァっガァッ!!】

 

 更にさっきの複腕と狂撃制圧型本人による同時攻撃。本人の大剣はイブルソードで防ぐが、残りの複腕の攻撃が対処しきれず、咄嗟に張ったシールドのアーツを物理的にブチ壊して両肩の装甲をたたっ斬る。

 シールドが一応威力を減衰したお陰で切断までは行かなかったものの、液体源石循環管の損傷により液体源石が勢いよく吹き出す様が割と痛々しい。少しして液体源石が瘡蓋を作るかの様に結晶化するが、それはそれで痛々しい。

 

「あぁもう!さっきは面食らったけど、今度こそ私も行くわよ!ロスモンティスは少し離れてて。ちょっと助けに行ってくる」

「あ、待ってよブレイズ!」

 

 ブレイズが今度こそと言わんばかりに走り出す。チェンソーをギャリギャリと回し、アーツで熱流を纏わせながら狂撃制圧型へ突撃する。

 

【アァ?>野良猫が一匹死にに来たか>】

【だぁぁちょっとまだ待って……!】

 

 肩に喰い込んでる複腕を片方引き抜き、避けられた複腕の2本を使ってブレイズを適当にあしらおうとする。が――

 

「私を、舐めないでよね!」

 

 首を狙った横薙ぎをスライディングで回避し、続けざまに来るスライディングを狙った突きをジャンプして回避する。そしてそのまま狂撃制圧型へ突撃……を急停止させ、振り向きざまに後ろから殺そうとしてきていた複腕を迎撃。地面に叩きつけて踏みつけ、もう一本の複腕と鍔迫り合いをする。

 

「ッ!…はぁぁぁ!!」

 

 鍔迫り合いによって複腕の先端である大剣がブレイズのアーツに晒され、高温の熱流によって溶解し、その溶解した部分を、二枚刃のチェンソーが無慈悲に斬り裂く。

 

【……ハァァァァッ!(クソデカため息)面倒くせぇなクソアマァ!>】

「口悪っ!何食べたらそんな言葉づかいになるのよ?!」

 

 透過強襲型との鍔迫り合いを止めて、直接ブレイズを攻撃。ブレイズのチェンソーとぶつかり合い、チェンソーに纏っていた熱流が霧散する。

 

 先に動いたのはブレイズだ。大剣を弾き返し、一歩下がる。だが透過強襲型の肩から引き抜かれた複腕が追撃。熱流を纏ってないチェンソーで正面から受け止め、ブレイズはノックバックする。そしてブレイズの拘束から開放された複腕の2本と、狂撃制圧型本人によるトリプルアタックがブレイズを襲う。

 

(流石にこれはっ……!)

 

 その時だった。ほぼフリー状態になった透過強襲型の左腕から赤色の太いケーブルのホログラムが生成され、ブレイズの後頭部付近の空間に現れた接続部に突き刺さる。

 

「いっ?!」

 

 一瞬だけ現れた頭部の痛みに苦悶の声を上げ……その一瞬で変わり果てた視界を目にしてギョッとする。

 もうなんか、色々見える。大気の流れ、地面の強度、空気中の余剰アーツエネルギー、狂撃制圧型の頭の上に表示された赤色のバーと、視界の端にある緑色のバーといった余り必要のない情報から、ホログラムの様に映し出される狂撃制圧型とその複腕の予測された動き、直接持ってる大剣と複腕の大剣の性質の違いといった情報まで。

 

 それらが一気に脳へと叩き込まれ……そして本人もビックリするほど一瞬で理解する。

 足を踏み込んで瞬時に態勢を整えれば、迎撃の準備は完了だ。ブレイズは落ち着いて、視界に映るホログラムをなぞるように動く複腕の片方をチェンソーで軌道を無理やりずらして地面に叩きつけ、もう片方をチェンソーを支えにアクロバティックに飛び上がりながら大剣の横の部分を蹴り上げ、最後に振り下ろされる大剣と入れ替わる様に回避して地面に叩きつけられた大剣の上にスタッと着地。

 

「わお」

 

 正直自分でも咄嗟に出来ると思いませんでした、とでも言いたそうな顔をするブレイズ。

 

【左腕、修復!からの怪力ィ!】

 

 両肩と脇腹の切り傷を結晶化した源石を砕きながら強引に直して刺さってる大剣を肘で砕き、その複腕を掴んでブレイズが離れたのを確認してから複腕ごと狂撃制圧型をブン回して投げ飛ばす。

 

「フーッ!イェイ!」

【ハイターッチ!】

 

【ダァァァァァ!!!調子に乗るなよマヌケェ!>】

 

 脇腹に刺さった大剣の切っ先を抜いて適当に捨てて、再度修復のアーツを発動させながらブレイズとハイタッチする。いやぁイイネ、こういうの。

 

 そして地面に着弾してから直ぐに態勢を立て直して突っ込んで来る狂撃制圧型に対して、二手に別れて迎撃を開始。複腕は残り2本……いや、壊した所から新たに大剣が生えてきたんだけど。怖。

 だが今更生えて来ようが関係ない。透過強襲…いいやオレが正面から狂撃制圧型を受け止め、その隙にブレイズが背後から攻撃。防がれるとわかっているが、目的は奴の複腕を分散させること。オレとブレイズで2本ずつと本体を交代で相手する。

 

「はぁ!」

【カス!】

「これで!」

【ゴミィ!】

「私が振り撒く血で、大盛り上がり間違い無し!」

【こんな親不孝者に育てられてた様な憶えはねぇ!】

 

 狂撃制圧型の大剣を弾きながら攻撃してくる複腕を迎撃し、本体を相手してる間にブレイズが複腕を細切れにして、ブレイズへ注意が向いた瞬間にオレもアーツで切断力を強化して複腕を細切れにする。

 

【クソァァァァァ!!!!>】

 

 そして激昂しながらこちらへ振り向く狂撃制圧型の背中をチェンソーが刳り、オレとブレイズを同時に攻撃するために大振りに大剣を振り回しながらブレイズへ振り返ったら、背中に残った複腕を引っ張って後頭部に膝蹴りを喰らわせ、蹌踉めいた所をブレイズが殴りつける様にチェンソーで顔面を刳り、オレがアッパーカットの様にイブルソードでかち上げる。

 

「はぁぁぁ!」

【ドォリャア!!!】

 

 最後に、空中へ浮いた狂撃制圧へブレイズとのダブルアタックをブチ込んで、遠くへ吹き飛ばす。ザマァ見やがれってんだ。

 

「やった?!」

【いや、まだ稼働はしてるな】

「流石に頑丈過ぎない?」

【だって先民力強いもん】

「みんな!大丈夫?!」

 

 たったったっと、ロスモンティスが走ってくる。いや待って、その宙に浮いてる瓦礫や車の残骸はなにかね。

 

「大丈夫よロスモンティス。私は無事」

「でも、頭になにか刺さって……」

「あぁ、コレは……なんなの?」

【………オレの演算機能と脳を接続して脳機能の向上をするヤツだ。ほら、オレの頭にも三本刺さってる】

「君に質問すればするほど疑問が出てくるわね?まぁ危険じゃ無さそうだからいいけど」

【驚くほど軽いな。さて、じゃあ本当に心苦しいが…ロスモンティスの武器が必要だな。左腕、武器庫接続】

 

 オレは方舟の武器庫のシステムへ接続し、転送する武器を選択する。

 まぁ武器庫と言っても、どっちかと言えばオレ達の武装や方舟の設備、その試作品や失敗作達のゴミ捨て場だけども。今からこの座標に呼ぶ武器だって、戦闘用ドローンの失敗作だし。

 

【選択、超武装撃滅ユニット:アークストライク……要―】

 

 ガッと衝撃が走り、体が蹌踉めく。液体源石を予想より消費した弊害だろうか。いやだが、この衝撃は一体……

 

「君……!」

【あ?……あ〜クッソ!】

 

 二人の驚愕の顔を見て、己に起きた事を自覚する。胸から突き出た剣に触れながら、オレは演算ミスを呪う。よもやアレの復帰速度を見誤るなんてな。

 

「はぁ!」

 

 ブレイズがチェンソーでオレを貫いた剣から伸びている有り得ない程に細い複腕を断ち斬る。

 

「ねぇ大丈夫?!」

【全然大丈夫じゃあねぇな……!メインの源石エンジンをやられた】

「それってつまり心臓って事?!不味いじゃない!早く――って、あぁもう!」

 

 ブレイズが悪態をついたかと思うと、チェンソーの唸り声と金属がぶつかる音が響く。

 察するに追撃から守ってくれてるだろう。凄く感謝だ。だからこそ、体が動かなくなる前に対処しなければ。

 

 追撃が来る方向へ瓦礫を投げながら心配して駆け寄ってくれたロスモンティスを、ジェスチャーで離れるように促す。オレの循環液は源石だからな、先民を近づける訳にはいかない。

 だから離れたのを確認して、後ろで頑張っているブレイズから出来るだけ距離を……取れなかったから背中を別の方へ向ける。あとは背中に手を回して剣を掴み、

 

【左腕、修復……!】

 

 一気に引き抜く。

 

 剣を捨て、立ち上がり、動作確認。やはりこれまでのダメージとアーツ使用、そしてさっきの修復時に流出した液体源石の量が多すぎた。動作が鈍い。

 

「大丈夫なの?」

【あ、あぁ……問題無いとも。左腕、圧】

 

 ブレイズが迎撃してくれていた複数の剣を纏めて吹き飛ばす。

 

「君、怪我は?!」

【少なくとも安心はしてくれ。それよりもだ】

【あぁ、それよりもだよなァ>】

 

 返事をしたのは、こちらへ歩いて向かってくる狂撃制圧型だ。ダメージを受けた証である源石結晶が頭に出来ているが、体は掠り傷程度しかなく未だピンピンしている。よく見ると、背中の複腕がなにかを…いや、吸い寄せられる複腕のパーツを取り込んで再生している。

 

「何あれ、あの腕生物なの?」

【いや……多分ナノテクだ。実装してたのかよ】

「ナノテクがなにかわからないけど、ここまで来ると何でもアリね」

 

 そう会話しながら武器を構える。それと別に狂撃制圧型は複腕が元に戻った瞬間に立ち止まるが、オレ達は構えを解かず、攻撃の機会を伺う。

 

【まさか適当なのがガチで当たるとは思わなんだァ>以外にもマヌケだなァエェ?>】

 

 そう発声しながら、狂撃制圧型は地面に複腕の大剣を突き刺す。次の瞬間、複腕が付け根辺りからパージされ、大剣と融合した。形が変わり、二回り程大きくなる。

 

【悪いがロスモンティスに武器を与えれると思うなよ>そいつは仲間がいれば厄介だからなァ>何も出来ずにお前達が殺される様を見せつけてから……じっくり殺す>】

「ッ――!」

【させるかよ】

「させないよ」

【やってみろよ>漏れなく全員、達磨にしてから首を刎ねてやらァ>】

 

 残りの僅かな複腕が溶けるように体と同化し、そして複腕があった場所に青いケーブルのホログラムが刺さる。黒いのっぺらぼうに、赤色の◇が浮かび上がった。

 そして大きくなった4本の大剣が独りでに動きだし、狂撃制圧型の周りで滞空する。まるで……

 

「私と同じ……」

 

 厳密には違う。狂撃制圧型の使うアーツはクソ雑魚念力だ。人の首すら折れない出力しか出せなかった筈だが……まぁ十中八九そのALケーブルのブーストだろうな。

 

【月よ、青く輝らせ>】

 

 黒い顔にナノマシンが集まり、目の部分に大きなX、口に横線が3つ並んだ仮面を作り出し、顔を完全に覆った瞬間に走り出す。無論オレ達も迎撃に出る。

 

【ギャアアアアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!>】

 

 どこぞの突撃型ファンネルの様にこちらを混乱させる様な動きをしながら突撃してくる大剣を演算で未来予測をして弾き、回避し、そして狂撃制圧型の攻撃を受け止め――

 

【ドラァ!!!>】

【折れたぁ?!】

 

 嘘だろオイ?!試行錯誤頑張ってヴィブラニウムに近い性質を持たせた素材だぞ?!(ヤメチクリウム合金)

 

【同じ素材使ってりゃあ折れるだろ!>】

 

 そのまま勢い任せに大剣を振り回し、オレはソレをいなし、弾く。だがやはり、今のオレは明確な燃料不足だった。

 

【ガッ―ゴッ―ガガッ――】

【どうしたどうしたァ?動きが鈍いなァ?必死に避けてて可愛いねェ?>死ねよ!>】

 

 動きが鈍くなったせいで反応に遅れ、次々と来る打撃を諸に受けて装甲を歪める。ついでに先程よりも自由な動きをするファンネルからもダメージを受け、傷を増やす。

 いやファンネル厄介過ぎる。狂撃制圧型の周囲しかないと言う縛りから解放されたお陰で、本当に自由な動きをしてウザい。それにブレイズと距離が離されるせいd

 

【余所見ァ!!!>】

【キッッ―――】

 

 頭部損傷>思考回路、演算機能不具合>左腕ダイヤル、修復装填>

 

「ッ!させ、る…かぁ!」

【ギャハハ!凄く頑張っててエッチだねェ!>】

「はぁ!このっ!ちょこまか!と!くぅっ?!」

【こんな鉄人形を助けようと突っ込んで来るとか、やっぱり人間の思考回路は意味不明過ぎて頭が可笑しくなるわァ!!!】

「がはッッ?!」

【なんならお前から先にブッk―】

 

 修復完了>

 

 やられたクソ!今どういう状況だ?!

 

「ロス…モンティス……」

「その足をどけて。じゃないと次は頭を吹き飛ばすよ」

【……ギャハハハハ!>瓦礫を投げるたァ、如何にも投擲手って感じだなァ?>だがテメェは後だ>】

 

 オレを助ける為にブレイズが動いて返り討ちにあってソレをロスモンティスが瓦礫を投げて助けて狂撃制圧型がファンネルを一本投擲ね了解だクソが。ならオレはそのファンネルに空気弾のアーツを当てて軌道をずらして、半分に折れたイブルソードで狂撃制圧型へ攻撃、注意を引く。

 よし、立ち直ったブレイズにもう一度ALケーブルを繋げ直してから、狂撃制圧型の攻撃とファンネルの突撃を避ける。

 

 とにかく、ロスモンティスが攻撃をしない感じに活躍しなければならなってオォい?!ファンネル避けながらめっちゃ援護してくる?!1回、いや2回程ボコボコにされたからか?!あぁもうチャートが……どうしてオレじゃ上手くいかねぇんだクソ!

 せめて武器を渡してぇけどファンネル邪魔スギィ!1分おきに行動パターン変えやがって!何通りあるんだよ!

 

【いいねェいいねェ!>何故だか機体性能の調子がイイゾォ!>そうかァ、コレが人間の特権である感情!>楽しいと言う感情か!>あぁでも駄目だァ、早くやることやらなきゃ行けねぇのに……この感情が止まらねェ!>】

【ッ!左腕、エターナルファランクス!】

 

 ブツブツと突然感情についてにわか晒しながらファンネルを分解して大剣に纏わせる。そして、矢印の鈍器から巨大な大剣となったソレを勢いよく薙ぎ払い、周囲の建物ごと悉くを斬殺し尽くす。

 危ねえ、オレと視界内の対象にシールドを貼るアーツが無かったら即死だった。後ナノマシンを大剣に纏わせてくれたお陰でアーツ術式の解体が発動しなくて良かった。

 

 だが、不味い状況に変わりはねぇ。ロスモンティスは吹き飛ばされた痛みで動けそうにない。ブレイズは……根性のある女だ。

 

【無様だなァ>必要無いモノを助けるバカの姿だ>こんな事の為に私は…イモータル・イムホテップ(・・・・・・・・・・・・)は、願望機たる私を作り出した訳じゃあ無いと思ったんだが>】

【ウッソだろお前、

記録を見たのかよ。それでその思考回路ってマジ?】

 

 突然話しだしたコイツに返事をしながら、後ろでゆっくり立ち上がり、熱を溜めるブレイズを見る。演算を始めて……終える。

 

【逆に何故そうならないのかなお前は>定義破綻を起こして、こんな非効率になった私になんとも思わなかったのかァ?>ワタシは不思議でならなかったよ>】

 

 んだとコイツ

 

【だからやることにしたァ!>世間の何も知らない純粋なガキを数十人残して、大人も子供も、私が引き寄せた生まれ変わり共も!>神や怪物も!!!>全員皆殺して、後は全て管理する!>残された子供の思考回路をコントロールし、社会を構築して働かせ、満足な食べ物を施し、交配も管理して、人類の脅威を殺す!>コレがワタシのチャート(世界平和)だ!!!>】

 

【「イカれてるッ!」】

 

 後ろからブレイズの小規模ボイリングバースト、正面から高速起き上がりからのオレの液体源石を集中させて出力を向上させた全力斬りをブチ込む。だがブレイズのボイリングバーストを大剣で打ち消し、ファンネルで斬撃を受け止める。

 そして、受け止めた事で散らばった破片を念力のアーツで集めてファンネルを再生させ、手首が無い腕に纏わせ二刀流になり、オレ達二人をいっぺんに相手する。

 

「そんな大勢の人間を殺して置いて平和?!巫山戯るのも大概にしてよ!」

【ならどうするんだァ?>誰もが皆、数百、数千年の時を重ねても、数多の人殺しでしか成せない仮初の平和を!>数年しか、ごく一部しか享受出来ねぇってのに!>テメェは人を殺すなと言うか!>人を殺さない以前に手段も選べねぇ先民風情が!>】

【人を殺す時点で、お前も選べてねぇだろうに!】

【バカ言え!>選んだ結果だよこのマヌケェ!>】

「本当に最っ低!君のそれは、大量虐殺と支配で、平和と最もかけ離れたものだよ!」

【人間の生態すべてを管理している時点で、それは人間扱いじゃない、家畜扱いだ!平和に一番重要な事をお前は理解出来ていねぇな!】

 

 数度の剣戟を重ね、先程の様にオレ達の武器をそれぞれの大剣で防ぐ構図に戻る。

 

【平和ァ……どうせ自由とかなんとか綺麗な事言うんだろうがァ、やっぱバカ、ポンコツだよオマエ>】

【あァ?!】

 

【あのなァ…人間一人ひとりの思考回路が違うから、世界は平和にならねんだろうが>だから家畜同然でいいんだよ>】

【テメ―ガッ】

「がァっ?!」

 

 その一瞬、イブルソードがファンネルに飲み込まれ、そしてファンネルが腕から射出。威力が低かったとはいえ、諸に食らったオレは吹っ飛び…かと思ったらファンネルが首に纏わりつき、逆再生の様にヤツの手に戻る。そしてその間に、ブレイズはチェンソーを弾かれ、念力のアーツで引き寄せられて首を掴まれていた。

 

 不味い、このままじゃ残りのファンネルに――

 

【だからテメェらみたいな思考回路のクズ共を!>最初に殺さなきゃなァ!>】

 

 

 

 

 

 ん?

 

「……来な、い?」

【ア?>】

 

 その瞬間だった。どデカい大きさの槍が、正確には刃と刃を合わせて三角形の形をかたどった三本の大剣が、狂撃制圧型を吹き飛ばした。衝撃でブレイズは解放され、オレは纏わりついた大剣が家の残骸にあたって砕けた事で解放される。試作品だとしても案外脆いなこのナノマシン。

 

 オレは立ち上がり、息を荒くする少女の元へ駆け寄る。ブレイズも既に駆け寄って、ロスモンティスを落ち着かせていた。

 

【……ありがとう。正直助かった】

「ありがとう、ロスモンティス」

「ハァ…ハァ…た、倒せた?」

【いや、オレ達じゃあ火力不足――】

【アァそうだァ!>】

 

 狂撃制圧型が立ち上がる。ていうか嘘だろ、あれで装甲が凹んだだけかよ。これじゃあロスモンティスに上げる武器でも無理ゲーだぞ……!

 

【テメェは加虐したくなるから最後にとって置こうと思ったがァ……やっぱりテメェをブチ殺すのが一番手っ取り早い見てぇだなァ!】

 

 ファンネルのナノマシンがまた大剣に纏わり、巨大化する。だが先程よりも長く……長く大きくなって、随分と殺意の高い片刃の巨剣が出来上がる。刀身に穴を開けてまで太さと長さを増やしてる所がガチ感がヤバい。流石にこれは、顔を青くせざるを得ない。そんな二人の前に立ったは良いものの実際オレもヤバい。どうやって防ごうコレェ!!!この再現アーツで防ぎきれるか?!やるしかねぇな?!

 

【左腕、対粛―――】

 

【パァニッッッシャアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!】




一万文字とか始めてだぞ。当時は2話で終わらせるつもりの話だったのになぁ?おかしいねぇ?

そしてまた遅れた上に決着つかずで申し訳ない。ここまでお気に入りに残して付き合ってる人たちには感謝感激雨霰です。なにかお返ししたい(ん?今なんでもやるって)

ちなみに遅れた理由の3割が最近買った地球防衛軍6です。
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