アークナイツRTA 『境界無き方舟』獲得ルート   作:ゲルゲルググ

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サブタイトル「(文字数)なんぼなん?」

ホモ「こちら、約15000文字となっております」

サブタイトル「14万?!」

ホモ「1万5千だっつってんだろ」

 長くなって本当に申し訳ない


AIのココロ

 外界認識機能修復完了>各箇所の損傷再確認・・・異常無し>残り液体源石42%>身体機能が50%制限されます>残量が10%を下回った場合、システムを強制終了します>

 

 目覚めて早々余命宣告とは恐れ入るな。オレは上手く動かなない体を持ち上げ、辺りを確認する。この体が無事であるならば、どうやらあの一撃を防ぐ事が出来たのだろう。そして今いる場所は、居住区の下にあった下層フロアといった所か。

 

 ………見つけた。ブレイズとロスモンティス。二人とも無事…ではないが、生命の危険は無し。尖った瓦礫に運悪く串刺しなんでなってたらオレは…………………どんな思考をしただろうか。

 兎に角、そんなことは無くて良かった。まだ()のやり方は否定されていない。これ以上ロドスオペレーターとレユニオン幹部が殺されない限り、まだ。

 

 だがどうするべきか。あの怪物を、どうやって止めるべきか。そう考えながらブレイズを治療しようとして、アーツの行使を止める。理由は簡単、狂撃制圧型に察知されて………

 

【さぁぁて何処行ったんだァ>ここかァ?!>】

 

 上から破壊音が鳴り響く。不味い、これオレの修復でバレたな最低だチクショー!

 いきなりタイムアタックとか勘弁してくれ。早くこの状況をどうにかしねぇと。どうすればいい……?

 

 ……どうするか?何故それを一々考える必要があるのか。()に知らせればいい。本体への接続偽造を切り離して、オレを再接続するだけ。そうするだけで()は状況を理解して、対応してくれる………だがそれでは駄目だ。今の()はあの愛国者と戦闘している。そこに余計な演算をさせてしまえば、そのせいで愛国者との戦いに負けたら、これ以上チャートが崩れてどうなるかわからない。最悪の場合、世界レベルの逆行銀河(リセット)を行わなければならなくなる。そうすれば運命が変わってしまう。

 

 今この状況で出来る最善の方法は、バレない内に彼女らを担いで封鎖層にいるロドスへ――

 

【いや待て、オレ達が死んだと勘違いして探すのを止めたら、アイツはそのまま……あぁぁクソォ!!!】

 

 そうだよだから態々ブレイズ達と戦ってたんだろうが!

 ロドスは今ウルサス兵とヤりあってる筈だ。そんな所に狂撃制圧型が合流すれば、少なからず人が死ぬ。()の道具が人を殺してしまう。特にスパラディは失ってはならない乱数だ。戦場機動「卓越」程度じゃあ演算範囲内。こっちも未来演算するか、グレイディーアか彗速走行型がいないと…あぁぁぁ!!!!

 

【さっきから気持ち悪ィ!ちゃんと演算出来ねえのかクソがァ!】

 

 …………落ち着けよ。今何をした?地面を殴った。よし、現状反覆出来るならオレは正常だ。

 

 二人と一緒にロドスへ向かうか。駄目だ、いくら狂撃制圧型が一番遅いからと言って、今のオレでは追いつけない。

 ならば接続によるデータの共有で()に全てを伝える。コレは純粋にやりたくない。個人的な要因を外しても、デメリットが多過ぎる。残るは………

 

【…結局、オレはここで機能停止しそうだな】

 

 オレはポケットから赤い装置を2個取り出す。方舟の先民達が持っている、鎮圧したレユニオンやらを一人ずつドローンに運ばせる為の、酷く非効率な目印。それを1つずつ、眼の前の先民達の体へ―――

 

「………あ、あのっ」

【―――ゑ】

「あっ――」

【キェェェッ…アァァァ――?!】

「ッ――?!」

 

 突然過ぎて、咄嗟に尻もちをついた状態でカサカサと後退する。

 

 危ねえ音量が高すぎる所だっじゃなくて!

 

【突然ビックリするわ!起きてるなら最初から起きてて?!自己申告して?!】

「ご、ごめんなさい……」

【おぉん……で、体の方は大丈夫?息できる?目は見えてる?頭が痛かったり、感度3000倍になったり、体が乗っ取られたりしてない?】

「ん、大丈夫だよ。ブレイズが守ってくれたから」

 

 癖で冗談を交えながら安否確認をする。まぁ状況が状況だから突っ込みが無くて滑っているが、少なくとも返事は返してくれたのでロスモンティスは一応無事なようだ。

 

 また、破壊音が響く。さっきより近くなってんな。

 

【ロスモンティス、これを】

「あ――っ、コレはなに?」

【それを君とブレイズさんの体へつけて。そしたらドローンが担架持って来るはずだから、それに乗って運ばれてけ】

「貴方はどうするの?」

【勿論足止めだとも】

 

 頼むから早くしてくれ。ここで二人が死なれたら困る。

 

 そんなオレの演算を知ってか知らずか、ロスモンティスは目印を握ると、フルフルと首を横に…いや振るなよ?!縦に振れ縦に!

 

【なんで?!】

「だって……貴方の手が、震えているから」

【あぁ?】

「それに怖い顔もしてる」

【?????】

 

 ………いや震えてねぇよ。そもそも振動機能なんぞ腕につける暇ねぇから震えねぇよ。顔も偽装投影機能は未実装だよ!

 

【おちょくってんの?】

「そんなことしないよ」

【ええい兎も角!大人しくブレイズさんと運送ドローンが来るのを待っててくれ!ドローンは封鎖層まで乗せていってくれるから、そこで方舟の誰かにこの事を――】

「なんで!じゃあなんで私も一緒に戦わせてくれないの!」

【あぁ?!】

 

 もうちょっと声を抑えてくれ!しかもなんだコイツ、さっきからキャラ崩壊気味に戦わせろ戦わせろって……こっちの演算結果も知らねぇク―――・・・・>……落ち着いて話を聞いてみよう。

 

【……その理由は、守りたいからだよな】

 

 こくりと、ロスモンティスは首を縦に振る。あぁそうだ、この少女の行動原理は程よく知っている(・・・・・・・・)()程では無いにしろ、記録を見たオレは子供の純粋さが振り切れた守護の奴隷だと決めつけていた。

 

 だから割と予想外だった。

 

「そうだけど……違う、ブレイズも…家族も守りたいけど、コレは…違うの……」

【どういう事だ?】

「だって私…ずっと、ずっと守りたかったから。家族を守りたくて、家族を傷つける人をやっつけて……きたの。でも、ロドスが貴方達と出会ってから、私は余り戦わなくなった。今回も、誰も私を戦わせようとしなかった。なんでかわからなかったけど―――

 

 

 

 

 

 

もしかして私は、家族を守ってた私は……あんなふう(狂撃制圧型)に見えてたのかな。ホントはアーミヤもケルシーもドクターも、私の事が怖かったのかな」

 

 記録に無いものだった。()の中にあるどの記録にも無く、俺の記憶(・・・・)にすら存在しないロスモンティスの言葉だった。

 

 オレは今問われているが、どう返せばいい?わからない。その泣きたいのか笑ってるのか曖昧な表情と合わさって、予想外の問いにオレは何も返せないでいる。

 

「でも…でもね、私決めたの。みんなを守るのは変わらないけれど、それだけじゃ駄目だから、私も変わらなきゃって。だからそのために、私も戦わせて。最後に、あの人を倒させて。これだけは私がやらなきゃいけない事だから」

 

 言葉を聞きながら、それを演算装置で解釈する。つまりこの少女は、誰かの為に暴力を振るう自分と、世界平和の為に皆殺しをしようとしているアレを重ねて、その否定と守り方を変える等の事を始める為に狂撃制圧型を倒したいと。ケジメと言うヤツだな。

 

 さてどうしようか。と演算しても、答えはもう決まっているようなものだった。自分を機械だの言っておきながら、オレの思考回路は想定以上に()より()に寄っていただけの事でありまして。

 

 オレはこの少女の決意を汲み取る事が、最善の道だと決定づける。

 

【うん、とりま1つ指摘してもいいかな?】

「?」

【ロドスの上層部3人は君を恐怖なぞはしてねぇさ。君を戦わせたく無い理由は、君の身を案じているからに他ならないだろうし。てか絶対そう、君に恐怖なんて無い無いマジで】

「そう……ん、そっか」

【そうとも。だから自身持ってイけ。ドクター達や君の部下や知り合い…それこそブレイズさんは、君の事を守りたい位愛してるさ!って訳でオレも手伝うよ。君の人生再出発。二人で未来を変えてみせようぜ?】

「うん………うんっ。ありがとう、黒い人」

 

 オレの言葉を聞いて、ロスモンティスは驚いた様な表情をして、顔を伏せながら確認するように納得し、顔を上げる。その顔に不安と言った感情の要素は、もう無い様に見えた。

 

【まぁ、ホントは陽だまりとかそんな所で笑ってる君が見たいのだが】(小声)

「え?」

【何でもない。よし、今度こそ武器を呼ばねぇとな。あそうだ、ついでに友達の儀式しとく?】

「と、友達…?!だ、段階がはやい。うぅっ…どうやるの?」

「…アッハハハッ!先に武器出した方がいいんじゃない?」

【あ〜……確かに。それもそワァァァァ?!!?!】

「あ、ブレイズ」

 

 ッあのさぁ!あのさぁ〜〜ッッ!死に真似好きなんかテメェら?!

 

「おはよ、ロスモンティス。所で君、大丈夫?フリーズしてるよ?」

【……ロドスのオペレーター頑丈過ぎない?左腕、武器庫接続】

「フフ〜ン♪あっ所でさ、後で良いんだけど、体治してくれないかなーって」

【先民の耐久力ヤバすぎだなマジで。まぁいいか。武器を呼んだら直ぐに治すとも。あそうだ、コレやるよ】

「よっ……通信機?コレくれるの?いや壊されたから嬉しいけど」

【チャーんト持ってろよ。んじゃ…試作型メタルフォモセス、超武装撃滅……いや、多目的武装大型ファンネル:エンシェンツカーネイジ、1番から4番……要請】

 

 

 

 

 

 

 

【見ィつけたぜェェェェェ!!!!!>】

 

 破壊音と共に下層フロアへとライダー着地を決める狂撃制圧型。遅れて4本の大剣が地面へ突き刺さり、片腕で埃を払う仕草をしながら立ち上がる。

 

 そしてオレ達を視認し、露骨に不機嫌な音声を出力する。

 

【……チッ、本当にしぶてェ>しぶと過ぎる!>早くチェルノボーグの奴ら皆殺しにしたいってのによォ、アニメかなんかだったらダレてイライラする位にしぶてぇなァ!?>】

「あっそ、それは悪かったわね」

【残念ながらお前に対して罪悪感は湧かないけども】

 

 治療して元気いっぱいオペレーターとなったブレイズが二枚刃チェンソーを構え、オレは手元に転送された長方形の大剣で狂撃制圧型を指差す。

 

「倒すよ。貴方は家族を…ううん、人を傷つけるから」

【お前の倒すは殺すだろうが>何時までも性根を変えねぇ癖に可愛子ぶってんじゃねぇぞコラ>】

「………(#^ω^)」

【どうどう】

「ん、その通りだよ。でも、違う守り方をしてきた人達を見たの。今思い出したけど、みんなもそのやり方に挑戦してた。だから私も頑張って挑戦する。そのために、私は貴方を倒す」

 

 そう言い終えると同時に、オレ達の周りに4つの光が現れ、その光で形成された棺桶状の武器が音を立てて地面に突き刺さる。

 

【殺す相手を選ぶとか、遂に人間差別の入口に立ったなァエェ!?>】

【いやポンコツ機械をぶっ壊す事を勝手に差別呼ばわりしないでくんね?】

【・・・>】

 

 無言で4本の大剣を念力のアーツで引き抜く。それを見たロスモンティスも精神実体を武器の持ち手である穴に通し、その武器『多目的武装ファンネル:エンシェンツカーネイジ』を持ち上げる。

 

【話は終わりだァ>今すぐ―――】

 

 大剣を構え、体を低くして助走の態勢を取る。ソレを見たオレ達も攻撃態勢を取り、オレは二人の頭にALケーブルを接続する。

 

【死ねェェアァァァ!!!!>】

 

【よしロスモンティス!使い方はわかったな?!】

「うん!目標に向かって……引き金を、引く!」

 

 突撃してきた狂撃制圧型へ向かって、2本のカーネイジがガシャガシャと下側からせり出した銃口を向ける。更にガシャッと全体が素早く展開し、銃口が砲口へ換装され……

 

 その砲口から高エネルギーの奔流を発射する。

 

【ガハハッ!>】

 

 コレには狂撃制圧型も驚く様な素振りをするが、冷静に手に持っている大剣を前へ突き出す。

 

【アァん?!>何じゃこりゃあァァァ?!>】

 

 本来なら大剣の力で分解されると思っていたエネルギーの奔流は、枝分かれしたものの遠慮なく狂撃制圧の黒コートを焼き始める。慌てて大剣の持ち方を変え腹の部分でガードするが、その大剣も徐々に赤熱し始めた。

 

【ぐっヌォォォオガァァァ!!!>このクソガキァ!>】

 

 なんとか射線から横へ転がり出ることで事なきを得る狂撃制圧型。そして語気を荒げた発声をすると、改めて突撃。その突撃を止める為に、オレとブレイズが照射を終えたロスモンティスの前へ躍り出る。

 狂撃制圧型と共に突撃してくる二本のファンネルをオレとブレイズで対処し、頭上を飛んでロスモンティスへ突撃しようとするもう一本のファンネルを銃へ変形させたメタルフォモセスで撃ち抜いて、そのまま二人がかりで狂撃制圧型へ攻撃を開始する。

 

【源石による異常現象じゃあねぇ・・・ッてことはよォ、その棺桶はワタシが装備する筈のォ――!>】

【過去に装備した記録があるってだけだろうがフザケンナッ!】

「そんな悠長に喋ってて大丈夫な…のッ!!」

 

 オレとアイツの鍔迫り合いしている所に後ろからブレイズが攻撃するが、ソレを未来演算した狂撃制圧型が残りのファンネルでチェンソーを防ぎ、そのまま腕に纏って反撃する。

 そしてさっき斬り捨てたファンネルを再生させてオレ達の迎撃に加え……る前に、ファンネル達はけたたましい音と共に発射された12.7×99mm弾によって丁寧にバラバラにされた。オレ達?勿論わかってたから直ぐに狂撃制圧型から離れたよ。見ろ、対物ライフル弾を贅沢に使った弾幕を諸に食らってる狂撃制圧型を。

 

「全然ダメージ入って無さそうね」

【悲しいなぁ】(ポロロン)

 

 そんな事を発声しつつ、ロスモンティスを視界へ追加する。彼女は掃射を終了させて残った空薬莢を一気に排出する。それと同時に、さっきビームを撃ったカーネイジの冷却も完了した。

 

【取り敢えず後ろからファンネル来るわよ】

「ん……」

 

 頭部の情報処理機関に直接ロスモンティスの声がしたかと思うと、カーネイジの一本の側面が展開して金属の刃を露出させ、後ろから来るファンネルをズンバラリと斬り捨てた。確かに二人の脳をオレの演算機関に接続させて色々サポートしてるとはいえ、順応の速さには恐れ入る(建前)ノーモーション迎撃こわ(本音)

 

【作戦通りで行くぞォ!】

「えぇ!でもあんな作戦で本当にいいの?!」

【大丈夫だ、問題ない!】

「私は、信じるよ」

 

 そう言いながら、オレとブレイズは狂撃制圧型へ再度突撃。ロスモンティスは一本のカーネイジへ体を乗せ、ファンネルの相手をしながらオレ達への援護を開始する。

 

【クソァ!!>たかがメスガキが一人加わった位で、こんなァ!>】

 

 横薙ぎをしゃがんで躱しながら足払いで態勢を崩し、すかさずブレイズのチェンソーが背中を焼き斬り、メタルフォモセスを銃へ変形させて顔面に榴弾を叩き込んで、空中からロスモンティスが乗っているカーネイジから対物ライフル弾をフルオートで発射する。

 

 対物ライフル弾を体のあちこちに受けながら後ろへ仰け反り続ける狂撃制圧だが、直ぐに横へ飛び跳ねる事で射線を切り、ファンネルを念力で操作し始める。狙いは勿論ロスモンティスだが、オレが演算したファンネルの軌道が彼女には見えている。射撃を中止し冷静に回避すると、刃を展開させたカーネイジで三本のファンネルを斬り捨て、4本目を乗っているカーネイジの銃口を砲口へ変形させて、ビームを一瞬だけ発射し粉々にした。

 

 いや違うな。ナノマシンの融解を恐れてビームが着弾する前に自ら粉々にしたのか。名前の割に小賢しい奴だよ本当に!

 取り敢えず、ファンネルをバラバラにさせる為に一瞬だけ意識を向けた狂撃制圧型の大剣を握っている腕に、蛇腹剣に変形させたメタルフォモセスを絡ませる。

 

【アァ?!>】

【行くぞォ!】

「オーケー!」

 

 筋力強化のアーツを発動させてからメタルフォモセスを横へ勢いよくスイングさせる。狂撃制圧型は念力で抵抗しようとするが、オレも筋力強化に重ねて念力のアーツで干渉し、捻じ伏せる。

 そしてそんな狂撃制圧型を待ち構えるバッターはエリートオペレーターのブレイズ選手だァ!興奮の余りチェンソーを激しく燃やしている!(直喩)

 

「この熱く滾るチェンソーで……」

 

 ブレイズ選手、チェンソーを野球バットの様に構え……!

 

【ほざけェェェェェ!!!!>】

「派手にかっ飛べ!!!」

 

 打ったァァァァ!!!飛んだァァァ!!!!

 

「チッ、ギリギリで防がれた!」

【いや防ぐなァ!!!ほんっとアイツ空気読めねぇなァオイ!!】

 

 どうやら食らう直前に、さっき分解したナノマシンを手繰り寄せて大剣を生成しガードしたようだ。まぁ一部のナノマシンを熱流で溶かせたから良いが、いややっぱウゼェな。

 

【だが○ン…○、ティン……ッテンポは良いぞ。それとロスモンティス、出来る限りビームはファンネルじゃ無くてアイツに撃て、ここぞと言う時にな。それエネルギー量は割と少ないから】

「ん、そうする」

 

 そう言って、ロスモンティスは2本のカーネイジをミサイルランチャーへ変形させ、大量のミサイルを狂撃制圧型へ撃ち込み始める。良いぞもっとやれ。

 

【ホザケァァァァァァァ!!!!!>】

「くぅ…!まだこんだけの風圧を起せるパワーがあるっての?!」

【ナァにパワーだけだぜ今のアイツは】

 

 そう、何せコッチには地上での戦闘でボコボコにされた時に集めたアイツのファンネルの数十もの行動パターンを解析したデータがある。

 そして何より、数の有利と言う状態そのものが、アイツの敗因だ。

 

 こうして戦闘してみて理解した。幾ら戦闘データがあったとは言え、オレ一人ではもう破壊されていた所だろう。ALケーブルによるオレの未来演算結果の共有、ファンネルの処理を分担してやる事による負担と隙の削減こそが、今回の戦闘のカギと言っても過言では無い。

 特にロスモンティス、彼女がエリートオペレーターで決戦兵器であることを改めて実感出来た。本当に心強いよ、彼女を戦わせなきゃいけないのが悔し過ぎる位に!

 

 つまり何が言いたいかと言うと――

 

【3人に勝てる訳無ぇだろ!】

【バカガテメェ!!!勝つゾワタシハァァ!!!>】

 

 アイツがファンネルを作り直す。一つを腕に纏わせ、残り3つをこちらへ飛ばしながら自身も突撃すると同時に、オレ達も突撃する。オレ達が避ける事を前提とした複雑な軌道のファンネルだが、オレ達には見えている。その軌道が、お前が演算した未来が見えているぞ!

 視界に映る軌道予測線を、オレが演算して回避する事を演算して対策したであろう軌道の通りにやってくるファンネルを、大剣で下から上への縦振りで砕き、熱流を纏ったチェンソーで溶解切断し、死角から迫る最後の一本をカーネイジのシールドで防ぎ、そのまま正面を展開させ露出させた複数の銃口から炸裂散弾をゼロ距離発射。文字通り塵と化す。

 

 圧倒的後出しジャンケン。だがそれは向こうも同じだ。この演算勝負の優劣は的中精度の唯一つのみ!

 

【占い師向いてねぇなァこのポンコツァ!!】

【イキがりやがってェェェェェ!!!>】

 

 数秒先を細かく演算し直すこいつと違って、今のオレはァ!お前の行動を数分先まで、ほぼ正確に的中させれるぜェ!

 

【ドラァ!】

【チィ!!>】

 

 オレの上段斬りを腕に嵌めたファンネルの大剣で防がれる。チッ、ナノマシン同士の結合を念力で強化しやがって小癪なァ!

 

「はぁッ!」

【させねェ!>】

 

 鍔迫り合いを始めたオレの背後からブレイズが飛び出し、高速で背後に回ってチェンソーを振るうが、コレも矢印の大剣で防がれる。

 

【調子に乗って結局――】

【いんや演算通りだ!】

「その通…り!」

 

 ブレイズがチェンソーを傾け、大剣をチェンソーの刃と刃の間に入れ込み、グリッと傾けて簡単に外せない様にしてから、地面に抑えつける。

 

【アァ?!>こんなモノッ>】

【左腕、筋力強化!】

 

 更にALケーブルを伝ってオレ達の筋力を強化させ、コイツのフィジカルに負けない様にしてから、オレも大剣を地面に抑えつける。

 

「今よ!ロスモンティス!」

「うん、コレで……!」

 

 ロスモンティスが狂撃制圧型の正面でカーネイジを2本、砲口を展開させながら構え……

 

「終わって!」

 

 照射する。

 

【ヤァァァァァラァァァァセェェェェネェェェェェェ!!!!!>】

 

「ちょっ?!あっつ!!」

【無理すんなブレイズさん!コレ使って!】

 

 念力でビームを引き裂く事によって拡散した人体には危険過ぎる熱流が、ブレイズへ襲いかかろうとする。ソレに気づいたオレはメタルフォモセスの変形コードを押しながらブレイズへ投げ渡した。

 

「ありが……とぉッ!」

 

 熱流から逃げる様に後方へジャンプしながらメタルフォモセスを受け取ったブレイズは、そのまま蛇腹剣形態になったメタルフォモセスを矢印の大剣へ巻き付け、力強く引っ張る。

 

 これでもまだ大剣を手放さないってんなら……

 

【追加の一手だ】

【ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!>】

 

 左腕

 

【強制移動】

 

 一瞬にして体がぶっ飛ぶ。

 強制移動は性質状、本人の抵抗などは無関係にその対象を指定場所へ移動させるだけのアーツ。着地地点を…例えば高高度から地面へ強制移動をさせると、その対象は多少の風圧などは感じるものの、絶対に落下で死ぬ事は無い。だって移動だからな。叩きつける訳では無いのだ。だが、指定場所の進路にある障害物は話が別だ。為す術も無く物理法則の力で叩きつけられる。今柱にめり込んだアイツみたいにな。

 

「よし、奪えた!」

【ナイスゥ!】

 

 ブレイズが矢印の大剣を見せてくる。持ち手に手首があって草。

 

 オレは大剣を遠くへ蹴り飛ばし、足でチェンソーを器用にブレイズへ蹴り渡して、メタルフォモセスを受け取る。

 

【間髪入れずに行くぞ!】

「オーケー!」

「ッもうすぐで熱くなるよ……!」

 

 カーネイジのオーバーヒートによりレーザーの照射が終了。と同時に叩く!

 

「今までの分を、いっぱい返してあげる!」

 

 チェンソーで狂撃制圧型の顔をカチ上げる。オレはカチ上がったコイツの首へメタルフォモセスを横薙ぎに薙ぎ払い、横へ倒れる体を刃を展開させたカーネイジが掬い上げる様に斬り上げる。

 

【ッ―ッッ―…ア゛ッア゛ア゛ア゛!!!ガッ―――>】

【コイツに演算させるな!】

「考える隙なんて、与えない」

 

 歪んだ雑音をまき散らしながら態勢を立て直そうとするコイツは、その瞬間に横からチェンソーで削り殴られる。そして頭と鳩尾にそれぞれカーネイジとメタルフォモセスがめり込み、そこからオレが後ろに回って背中を斬り裂き、前のめりになった所へブレイズの滾るチェンソーがこれでもかと押し付けられながらギャリギャリと斬り上げ、冷却し終わった2本のカーネイジが前後から両断する勢いで腹部と背中を同時に攻撃し、オレが頭頂部を全力でたたっ斬る!

 

【「硬い!」ェ!】

 

 クッソ小癪な防御力の高さだよホントに!

 だがそんな防御力だろうと、カーネイジの最大出力による一点照射は耐えられまいよ!

 

 メタルフォモセスを再度蛇腹剣へ変形させ、狂撃制圧型に巻き付け横にぶん回す。そこにロスモンティスがカーネイジから視線誘導のマルチミサイルを発射し執拗に追撃する。

 そして次のバトンは勿論ブレイズ。追撃が中断されると同時にさっきの様にチェンソーを振りかぶり………打つのではなく、引っ掛ける。

 

「くぅッ……!なんとかっ…掴めた!」

 

 遠心力の影響を贅沢に受けながら、ブレイズは狂撃制圧型の肩を掴み、その胸にチェンソーを押し付け抉り散らす。回転率を、熱流の温度を、上げて上げて上げて上げて上げて上げて上げて上げて!血液を燃やし、肌が焼け焦げるその寸前まで、炎を燃やし続ける!

 

「コレで……終わりだァァァァ!!!!」

 

 横回転からスピードを落とさず、流れる様に背負投げの要領で叩きつけ、着弾と同時にブレイズの中規模ボイリングバーストで、始末する。

 

 最後の〆はロスモンティス!エンシェンツ・カーネイジの最大出力レーザー4門で、源石エンジンを撃ち抜いて―――

 

 

 

 まて、なんでうつ伏せに倒れている?演算では仰向けの筈だ。

 

 何処かで誤差?いや、ブレイズもロスモンティスも、演算通りの動きだ。オレの未来演算は情報を集める手間がある代わりに、集め終われば的中精度は()の次に高い。だから演算結果が合わないって事は、高確率でオレの知らない事をしてくると言う訳で。

 

【ッ左腕!空間――】

 

 それと同時に、ヤツの後頭部にALケーブルが繋がれる。いや、全部だ。手、足、背中…体の後ろ側を覆い尽くすまで繋がれたALケーブル。いったいどれだけの汎用義体と繋がっているのかなど演算する余地もなく、咄嗟にコイツを遠くへ飛ばす為に発動させようとした空間跳躍よりも速く、この不良品は数百倍まで強化された念力を―

 

 

 

爆発させた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クソァァァァァ!!!!また、また失敗だ!どうして何回もこうなんだよクソ!視界回復まで幾つかかった?!体は…あぁクソ!遂に左腕もオシャカかよ!万が一の保険も準備しておきながら何も……そうだ、二人は?!あの二人は無事なのか?!………良かった、ALケーブルでまだ思考の共有が出来る。まだ生きてる!

 

【アァ?同時に起動かよクソが>】

 

 …………言いたいのはコッチだが?

 

【……ハッ!なんだこの輪っか。テメェ、特設ステージでも作ったつもりってか?>】

 

 輪っか?………ハッ、巫山戯んなクソ。空間跳躍のアナウンスじゃねぇか。さっきの衝撃で範囲と発動タイミングがバグった状態で空間跳躍が発動されたのかよ。草も生えねぇ。発動まで8分10秒じゃねぇんだよ。

 

 だが

 

【チッ……無理な接続したせいか。ま、流石にあの女共も伸びて――>】

【やらせると思うか?】

【アァ?>】

 

 ブレイズさんは…ロスモンティスを見つけたか。じゃあ一安心だな。じゃあ今が、ここでコイツをチェルノボーグから退場させる、最後のチャンスじゃあねぇか。

 

【テメェをここで潰して、二人と一緒にロドスへ帰って……ハッピーエンドだ。テメェの夢が始まると思うなよ】

【…………ヒャハハ!>】

 

 

【やってみやがれやァ!!!>】

【やってやるよォ!!!】

 

 

 地面を蹴る。ヤツも走り出す。互いにボロボロ、ヤツはコートの上半身がすっかり消え去り、胸部の装甲が爛れ落ち源石エンジンが見え隠れしている。対してオレは、左腕がオシャカになった事で完全にアーツが使えなくなった。体も所々ガタが来始めてるし、残りの液体源石だって少ねぇ。

 

 だがそんな事はどうでもいい!今やる事は……右ストレートでぶん殴る!!!

 

【ガッ――】

 

 あぁ、最も基礎的な事を度外視していたと、顔面フレームとヤツの手首から生える源石が飛び散る光景を見ながら思う。先ず、近接攻撃する前提の義体と、アーツで蹂躙する前提のオレでは、基礎スペックが―――

 

【バァーカ>】

 

 残り源石液体11%>約60秒後に、システムを強制終了します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 友達がいる………友達だったっけ?でも友達の……何かをすると言っていた様な気がするから、きっと友達だと思う。でも誰か知らない。名前も知らない、名前を持っていたかどうかもわからない。そもそも会った事も無かったと思う。それでも、おかしな話だけれど、友達なの。ロドスにいる友達以外の、ちょっと特別な友達。今も戦っているのかな。なら、私も行かなきゃ。ずっと暗くて、狭い場所に沈んでるけど、動かなきゃ。怖がってる場合じゃ無いから。今度こそ、誰も死なせない!絶対に、助けに行くから!

 

 

 

 ・・・悲シイナァ>

 

【左腕・■■(■■■)

【ッ?!>】

 

 殆ど壊れた左腕に偶然(・・)残っていた複数の汎用源石回路が、偶然(・・)アーツを発動できる配置になっていたから発動させる。

 立ち上がる。立ち上がりながら、後頭部に繋がっている赤色のでは無く、青色のALケーブルを背中にある全ての接続機構へ繋げて、そのアーツをブーストする。

 

【なんで平然と立ち上がってんだテメェ…!>】

 

 平然であるものかよ。こちとら無理矢理動かしてんだぞ。体中が軋んでてウザってぇんだよ。だから今すぐ――

 

【―――>】

 

 右ストレートでブン殴る。

 

 顔面フレームの欠片が飛び散り、上半身裸の変態人形が錐揉み回転しながら飛んでいく。顔を見れば、その黒いのっぺらぼうに拳大のヒビが入っていた。コレがいい気分ってヤツかよ。

 

【ガ―アァァァ!>クソが!なんだテメェ!突然都合のいい力に目覚める主人公かアァ?!>】

 

 知るかボケ。言う気ねぇよ。つうか言ったら駄目なんだ。このアーツの名前は、都合のいい事が起きないとわかっているからこそ、皆その名を口にするのだから。

 

 つかもう終わらせよう。コイツの面白くない目的の始まりにされるのはもう飽きた。

 

【いいか良く聞いてろ不良品。機械ってのはな、人間を幸せにする為だけの道具だ。そんな事も出来ねぇならブッ壊れちまえ】

 

 頭を蹴り上げる。足を掴んで背負投げの要領で反対側に叩きつけ、更にもう一回叩きつけて、踏み潰す。

 その踏みつけを両腕でガードされ、足を掴んでいる手を振り解かれる。そして振り解かれた足による牽制攻撃をしながら後ろへジャンプし立ち上がる不良品に一瞬で近づき、オレはその顔面をもう一度殴った。後ろへ倒れる不良品の首を掴んで引き寄せて、もう一度殴る。執拗に顔面を殴打して、やっと飛んできた拳を回避して、足払いで態勢を崩し、すかさずアッパーカットでカチ上げて、〆は大胆にジャンプして顔面に回し蹴りを打ち込み、地面へダイナミックなキスをさせる。

 

【ッ……ックソ!クソッ!クソッ!クソッ!クソァァァァ!!!!>】

【罵倒覚えたてのクソガキかよ。ま、ここで終わりだ】

【お前なんぞにィ…終わらせられてたまるかァァァ!!!!>】

 

 オレじゃねぇよ。

 

【やっちまえ、ロスモンティス】

 

 ガァン!と、不良品の行く手を阻む様にカーネイジが地面へ刺さる。間髪入れずに残り2つのカーネイジがコイツを囲うように突き刺さり、三角の檻を作り上げた。

 

 そして最後の1つは、唯一の出口を塞ぐように砲口を突きつけ

 

【地獄へ墜ちろ】

 

 粛清の光を降り注がせる。人を救う為に人を殺すだなんてクソをほざく奴にお似合いの最後だな。

 

 ふと、息遣いが聞こえた方向へカメラを向ける。空間跳躍が行われる範囲の外にある柱の近くに、額から血を流しながらブレイズが立っていた。その背中には、瞼を閉じたロスモンティスが背負われている。えっ眠ってんの?眠りながらカーネイジ動かしてるこの小娘?えっ凄、流石ロドスのエリオペ。

 

「……この赤いのを急いで辿って来たけど、大丈夫…みたいね?」

【まぁ…な。そこのエリートオペレーターのおかげだ】

「っ…そう……この子、ずっと助けたいって呟いてたから。目覚めたら褒めなくちゃね」

【凄く……その、複雑だな】

「どうやら気に入られたみたい?」

【………そうなんかね。けどまぁ、先に帰ろう。オレもう治療出来ねぇから、その傷も早く治して貰わないと。あとその輪っかの中に入るなよ】

 

 そう言いながらブレイズの元へ歩きだし……ガァンとビームを照射していたカーネイジが落ちた音でビックリして笑われ、後は何事も無く彼女の元へ辿り着く。

 

 さて、帰ろう。この光景も…まぁ確かに誤差の1つや2つはあったが、多かね演算通りだ。オレも私の事言えないねぇ。

 

【あぁ、本当に理想の結果だよ】

 

 この場を歩く存在が一人多い事を除いて。

 

「あれ?どうしたの?」

 

 立ち止まったオレにブレイズが問う。

 

【……ブレイズさん、手を繋ごう】

「えっ…と、ロスモンティスと話してた時もだけど、やっぱり君距離近いね?」

【…………】

「それと残念だけど今は無理。両手塞がって……え?」

 

 浮く。重量の強い星の中だと思えないほどに、ブレイズの、否、二人の体が浮き始める。そしてヒュッと、体を引き寄せてられて……

 

【掴めたァ!】

 

 近くの柱に左腕で掴まり、引っ張られるブレイズの腕を右腕でギリギリ掴む。ブレイズは驚いた顔をしていたが、背中の違和感をすぐに感じ取り、ロスモンティスの腕を掴んで引き留めた。

 

【よぉし離すなよ!】

「ねぇこれって……!」

 

 突然現れた引力の中心、空間跳躍範囲の中心にある4つの棺桶。その間から身を這い出す、溶解した鉄の骸。

 

【aaaaaaAAAAAAAAAA!!!>】

「嘘でしょ?!」

 

 全くしぶとい不良品だよ。あの熱線に曝されておきながらまだアーツが使える位に体が残っているとか、お前こそ都合のいい主人公じゃねぇかムカつくなぁ。

 

 バキッと、左腕から嫌な音がする。ロスモンティスを見る。膝から下が空間跳躍範囲に入っていた。おまけに発動時間が残り1分を切っている。冗談じゃない。

 

 あぁ、本当に冗談じゃない。

 

 右腕を持ち上げる。バキバキと左腕が悲鳴を上げる。それを無視して、右腕を、ブレイズ達を持ち上げて、その手に柱を掴ませる。

 

【絶対に離すなよ】

「何を――」

 

 バキリと左腕が千切れる。腕から出る黒い血液はもうない。ケーブルも、運命も、記憶からも千切れて、残った鉄塊を二人の人間の為に使う。

 力まかせに引き寄せる念力に身を任せ、骸の心臓を蹴り穿つ。思うよりあっさりと終わらせてから時間を見て……諦める。

 

 まぁ元々、オレはここで機能停止すると決まって――

 

「飛んで!早く!」

 

 ……あぁ、悲しいなぁ。もっと記憶に残って上げたかった。

 

 後5秒、骸を足場に跳躍する。後4秒、飛距離が足りずに着地する。後3秒、また跳躍する。後2秒、彼女が伸ばす手を掴む。後1秒、彼女がオレを引っ張って

 

 時間切れ、オレの体は短くなった。

 

「…そんな、そんなっ……あぁ!」

 …………

「ごめん…ごめんね……!私、君を…助けて――」

『あ、すまん、まだ生きてた』

「……え?」

『いやぁ、なんだ不思議な事もあるもんだねってモンだ。きっと奇跡とかそこら……ちょっ、顔怖っあっちょっ待って!頭叩かないで!黙って連打しないで!あー困りますお客様!オレの頭は太鼓の達人では御座いません!やめっ止めろォ!』

「じゃあ私のちょっと流れた涙返しなさいよ!」

『だってお前も最初に死んだふりしてたじゃん!』

「死んだふりじゃないわよ!」

『ギャーギャー!』

「ワーワー!」

『…………』

「…………」

『さて本題だが』

「急に切り出すわね」

『急に切り出すが…アンタは早く封鎖層へ戻るんだ』

「……えぇ、最初からそのつもりよ」

『勿論ロスモンティスと二人だけでな』

「ッハァ?!なんで――」

『言っただろう。まだ生きていたと』

「……それじゃあ、今から君は…」

『だから行ってくれ。この鉄の塊は足枷にしては重すぎるし、命としては軽すぎる』

「……笑えないわよ、それ」

『道具としてはいい例え方だとついさっき自負したんだが』

「………君の何処が―」

『ほら、はよ行け。あ、オレ達の事はこのコトが終わった後で報告してくれ。咎は受ける』

「……最後に1つ!」

『いやはよ―』

「いや言うわ!この子と……ロスモンティスと友達になろうとしてくれて、ありがとう……えぇっと」

『あぁ、そういえば言ってなかったな。つっても……どうしようか』

 

 

 

 

 遠くへ行く2つ重なった背中を見送る。体の端から崩れる始める様に感じる。あぁ、遂に来たのかと、文字通り奇跡的に延長させていたこの稼働時間が、遂に尽きるのだと。

 結局、オレはここで機能停止しそうだなと演算した時から、こうなるとわかっていたし、覚悟というモノもしていた。何も後悔も未練も無い。使命を果たして壊れる、道具にとってこれ程までに誉れ高い終わり方は無い。あでも、やっぱりロスモンティスの事は心配だな。あの子は変われるだろうか。この世界に、あのやり方で抗えるだろうか。心のそこから、笑える日が来てくれるだろうか。

 あぁ、一度でいいから、君の本気の笑顔というモノが見てみたかった…させてみたかったよ、ロスモンティス。

 

 頑張れロスモンティス、君はオレの――

 

 オレの

 オレと

 …………

 悲しいなぁ。

 

『どうして忘れてしまうんだよ。都合よくポッカリと、オレだけ忘れやがってよぉ。もっと、もっと早く教えてくれてもいいじゃあないか。君の中に、オレが残っていないじゃないか!君のタブレットにもオレの名前が残らないじゃないか!なんで!ずっと憶えていてくれてもいいじゃあないか!………何回も教えてあげても、いいじゃあないか……』

 

 なんでオレが終わらなきゃならない。何故壊れなければならない!

 

『オレだって彼女達ともっと話したかった!彼女達ともっと一緒に戦いたかった!一緒にいたかった!なぁ教えてくれイモータル(・・・・・)!お前が彼女達と喋ってる所を予測したら滅茶苦茶不愉快になる!コレが嫉妬ってヤツか?!感情ってヤツか?!心ってヤツか?!』

 

 答えなぞ来ない。接続していないのだから当たり前だ。もう接続すら出来無い体になってしまった。

 

 でもやっぱり……あぁムカつく、悔しい、悲しい、羨ましい。オレはここで消えるのに、オレとよく似た誰かが彼女達と関わると思うと、羨ましくてたまらない。もしこの不快なモノ達が、醜いコレが心だとするのなら、オレは………

 

 

 

 

 もっと美しい、笑顔の様な心を、彼女達と見つけて生きたかったなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が醒めたこの子と話しながら、痛む体を堪えて走る。その時ふと、借りた物から音が発せられる。

 

《「こちらロスモンティス隊、隊員のグレイプニルです。聞こえたら返事をお願いします」》

《「良かった繋がった。アーミヤさん、ロスモンティスさんはそこに……いない?トラブル?そんな……」》

《「………わかりました。俺達は信じますよ。それと、ロスモンティスさんに伝えたい事があるんです。………ありがとう御座います!それでは…前回の通信時、ロスモンティス隊はレユニオン、それからウルサス兵による奇襲を受けました。そのせいでロスモンティスさんに要らぬ心配をかけてしまいました。正直言って、無傷ではありません。ブリッシュシルバーさん等の複数名が負傷しています。ですが!まだ誰も死んでいません!今、俺達を助けてくれた方舟のオペレーターと共に迎撃しています。そして必ずみんな生きて帰ってきます。ですから、心配せず、ドーンと構えて待っていてください!以上です!」》

 

 嗚咽が聞こえる。私は彼女を慰めて、沢山溢れる涙を拭き取ろうと思ったら、彼女は自分の腕で涙を拭って……良かったと、まだ泣きながら笑顔を浮かべた。

 

 あぁ、まだ不器用で、不安で不安で仕方なくて、それでも笑顔を浮かべたロスモンティスを、君にも見せてあげたかったな。




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