T-800(守護者)になった俺の前線生活 作:automata
急に忙しくなり、執筆する時間が無くて、最近ようやく書ける時間が出来ました。
当初は「T-800(エンドスケルトン)になった俺氏死なないように生きていきます」を続けようと予定していましたが、オリ主と指揮官との距離感が曖昧だったり、自分のスタイルが変わったりしたので思い切って一から仕切り直そうと思い至りました。
では、最初の一話です。時間がバンバン飛びますのでご容赦ください。
「はぁ…はぁ…クソったれが!」
悪態をつきながら、わたしは少女を担いで、誰もいない研究室の廊下を必死で走る。
心臓は今にも胸を突き破らんとばかりにバクバクと蠢き、足も棒になりそうだ。日頃、研究ばかりに現を抜かし、碌に運動をしなかったツケがこんな時に回ってくるとは…。
「せんせー、どうしてそんなにはしるの?」
「はぁ…はぁ……先生、ちょっと急いでるんだ。あとちょっとで…よし!着いた!」
2029と書かれた扉の前でわたしは首にかけているセキリュティカードをかざして、ロックを解除する。
自動で電気がつき、真っ暗だった部屋の全貌が明らかになる。
部屋の中央には人ひとり入れそうな冷凍睡眠カプセルが置かれていた。
わたしは少女を下ろして、カプセルの隣にあるタッチパネルを操作する。
「よし、あとはこれを…」
接続端子にUSBメモリーを挿して、再びタッチパネルの上で指を滑らす。
ーーOS “
ーーYES
ーー・・・インストールが完了しました。
ーー試作型戦術人形“
ーーYES
ーー命令を確認。解凍プロトコルを発動します。
そうして、ボタンをタップした時、カプセルの温度が上昇して、中の様子が明らかになる。
筋骨隆々の大男がパンツ一枚だけ履いただけの状態で眠っていた。彼は人間ではない。彼は遺伝子改造された人間の細胞を被った戦術人形・・所謂ロボットだ。
わたしはカプセルの重いハッチを開ける。ひんやりと冷たい冷気が溢れ出てきた。
「頼むから動いてくれよ…」
そう呟いた時、ターミネーターは目を開けた。
ーーーーーーーーーーーー
目が覚めたら、パンツ一丁で目の前に眼鏡をかけた白衣の男と幼女がいたんですけど。
えっ、マジでここは何処だ?
「よっしゃ! 動いた!」
眼鏡さん(仮称)がガッツポーズする。
隣の女の子が凄い興味津々に俺を見てる。
て言うか、さっきからUI?みたいなものが視界に浮かんでいる。本当に何だ?夢?それにしてはリアル過ぎる。
「せんせー、このひとはせんせーのともだち?」
女の子は眼鏡さんを先生と呼んでいる。手術着を着ているし、病気なのか?
「そうだよ…先生の友達だよ」
ちょ、お前勝手に俺を友達認定するなや。まだ出会って5分も経ってないぞ。
「一口では言えん。だが、とにかくわたしを信じてくれ」
すると、眼鏡さんが突然耳元で言う。さては君、組合員だな?
「おじさん、パンツだけでさむそう」
何故か寒くは感じないけど、何か着る物が欲しい。
「ああ、これを使ってくれ」
眼鏡さんが服を差し出してきた。
「ありがとう」(ん?)
確かに俺は喋った筈だが、声は俺の物じゃなかった。低くて尊厳のある玄田さんそっくりな声だ。
カプセルから出て、貰った服を着ているとカプセルのガラス部分が俺の姿を映してくれた。俺はその姿に言葉を失う。
(シュワちゃんじゃねぇか)
まさかのシュワちゃんになっていた。顔から見て、ターミネーター2くらいの頃の年齢かな?
貰った服も革パンにTシャツ、レザージャケット、ブーツとサングラスと明らかにターミネーターを意識した服装だ。
「着替えたな。こっちだ。説明は道中する」
「…という訳なんだ」
眼鏡さん(本名を聞いても、はぐらかされた)から聞いた話をまとめるとここはドルフロの世界だ。しかも、今は2050年と本編開始より12年も前だ。
俺は鉄血で一番最初に開発された戦術人形ターミネーター…を眼鏡さんがOSを書き換えたらしい。
そして、俺が今抱えている女の子、レナちゃんは世界中の優秀な人物の遺伝子を集め、ゲノム編集して究極の人間を作るというトチ狂った研究の為に生み出された試験管ベビーという真っ黒過ぎる闇を抱えている。
「君を起動させたのは他でもない。どうかわたしに代わってレナに人並みの人生を歩ませてほしい」
「お前には出来ないのか?」
「ああ、わたしはここから出られない。首にナノ爆弾が仕込まれててな。外に出たら、自動で頭が吹き飛ぶ」
そう言って、眼鏡さんは首筋に指を指す。
首筋には小指の爪より小さな盛り上がりがあり、よく見ないと気づかないくらいだ。
すると、眼鏡さんは自分の過去を俺に教えた。
「最初は純粋な学術的研究だったよ。わたしは大学で遺伝子分野を専攻していて、ある実験で遺伝子のある可能性を見つけたんだ」
「ある可能性?」
「遺伝子の改造さ。遺伝子組み換え技術やゲノム編集には出来なかった他の生物の遺伝子を組み込めたり、ある特定の遺伝子を生物の限界以上まで強化するという画期的な技術さ。そしたら、教授がこの研究所でプレゼンをして来いと言われたんだ。結果は上々、すぐにわたしは採用されて、潤沢な資金で寝食を忘れて、研究に没頭した」
眼鏡さんの顔はとても楽しそうに見えた。だが、すぐに表情が抜け落ちて、悲しそうな顔になった。
「最初は核兵器で汚染された環境でも育つ作物を作る研究だった。だが、研究は徐々に歪み、最終的には放射線もコーラップスの汚染にも耐えられる究極の人間を作るという狂気の研究になった。わたしは首筋に爆弾を仕込まれ、無理矢理研究をさせられたよ。そして、生まれたのがレナだ。彼女は唯一作られたプロトタイプだが、生まれた時からあらゆる面で人間を超えていたよ。学力は今では大学生レベル、身体能力はオリンピック選手超え、IQも300超え、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、中国語、日本語も喋れる…まるで漫画みたいな子だ」
何だろう、初代仮面ライダーの本郷猛みたいなチートだな。あっちは天然物だけど。
「だが、所長は彼女をある研究機関の被験体として、送ると言ってきやがった」
「ある機関?」
「わたしもよく分からないがこんな研究に興味を持ってんだ、どうせ非合法な人体実験を平気でやるクソッタレの集まりだ。所長は大方金で丸め込まれたんだろう。わたしはこんな形で彼女に生を受けさせてしまった。だから、これ以上彼女の命を弄ぶのは絶対に許さない。だから、上の連中にはレナちゃんの存在に気づいた何処かの誰かさんが研究所に保管されていた君をウイルスに感染させて暴走、レナちゃんを連れ去る…というカバーストーリーを流す。時間稼ぎにはなるだろう」
一通り喋ると眼鏡さんは赤いカードを俺に渡す。
「外にでると研究所の警備員が使う
でも、警備員が使うやつだから、追跡されないかな?
「大丈夫だ。追跡はされない。そもそもうちはそんな所まで予算は注ぎ込まないからな」
心を読んだのかのように先回りされた。
そして、青いカードとを手渡される。
「クレジットカードだ。私の金だが、どうせ貯まるだけだ。好きに使え」
やだ、この眼鏡さんイケメン。
顔も地味にカッコいいし、内面もイケメンとかこいつチートじゃね?
「せんせーはいっしょにいかないの?」
「うん。一緒には来れないさ。それに先生とは今日でお別れだ」
「そう…なんだ」
「本当にごめんね」
まだ9歳で子供のレナちゃんは大して駄々もこねず、受け入れている。
「あとは頼んだ。わたしはこれから研究所を荒らさなきゃいけないからな」
「ああ、分かった」
「せんせー、またね」
ここまで言われたら断れる訳ないよなぁ。眼鏡さんは俺達が外に出るまで手を振ってくれた。
外に出ると眼鏡さんが言う通り、ハマーが駐車されていた。
レナちゃんを助手席に乗せると俺も運転席に座る。
「おじさん、これからどこにいくの?」
シートベルトをつけているとレナちゃんが聞いてきた。
俺はカードを翳して、エンジンをかけるとこう言った。
「何処へでも」
こうして、俺のパーフェクトヒューマンなレナちゃんの子育て生活が始まった。
それから9年もの時が過ぎた。
自然の多い場所に家を構え、眼鏡さんから貰った資金を元手に俺はカーテン屋と木こりを始め、悠々自適な生活を始めた。
戸籍も作り、俺はカール・
この世界は忘れがちだが、世紀末だ。ちょっと外に出れば銃弾と砲弾が飛び交い、モヒカンヒャッハーやゾンビがウジャウジャいる。
だから、データベースに記録されている格闘術や銃やナイフの扱い方、爆弾の作り方、ヘリの操縦を教えた。えっ、やり過ぎだって?備えあれば憂いなしですよ。こんな世界だったら、尚の事。
でも、流石はレナちゃん。教えたことは必ず1発で成功させ、今じゃ俺をスティーブン・セガールみたいな最小限の動きで俺を完封している。
と言うわけで現在依頼されたカーテンを仕事場で修復中です。
飼い犬に食い千切られたらしく結構ボロボロだ。こりゃ、直すのは骨だな。これ無料サービスだからお金出ないんだよなぁ。
まぁ、眼鏡さんのクレジットカードのお陰で一生遊んで暮らせるくらいの額はあるからモーマンタイだけど。
そうやってボロボロのカーテンに四苦八苦しているとドアの開く音がして、ドタドタと廊下を走る音が近づいてきた。
「おじさん、ただいま!」
「おう、おかえり」
バーン!と大きな音を立てて、学校から帰ってきたレナが飛び込んできた。
あれから9年。9歳だったレナは今や高校3年生。スタイル抜群の189センチの長身、キリッとした切り目に大人びた顔立ちと可愛らしい少女から黒髪イケメンのパーフェクト美女にパワーアップした。でも、口を開けば、年相応の可愛らしい声とちょっとギャップがある。
レナは今だに俺を“おじさん”と呼ぶ。この前の進路相談の時も先生の前で平然と俺をおじさんと呼んで、話がややこしくなったものだ。
「見てみてー、テストでまた1位取ったよ」
「相変わらずだな」
テスト用紙とランキング表を俺に見せる。
レナは小中高一貫の難関学校に通ってるが、9歳の時点で大学レベルの学力を身につけていた彼女にとってはそんな学校の出す問題も簡単過ぎるのだろう。編入学試験の時だって、満点でパスしてたし。
「それでね、今日学校にスカウトが来たの」
「スカウト?」
「うん、グリフィン&クルーガーって言うPMCから」
えっ、これって原作介入しないと行けないパターン?因果律を操作してまでうちの娘を巻き込むつもりか。(親バカ)
だからと言って反対なんて出来ないんすけどね。もし、レナを泣かせてしまったら、絶対溶鉱炉にダイブするから。(親バカ)
「レナ、お前の好きにやればいいさ」
「うん、ありがとうおじさん」
うーん、良い笑顔。もう死んで良いかも。
その後、レナは学校を卒業後、グリフィンの50倍もの選抜テストに合格して無事入社することになりましたとさ。
「…グリフィンに入って貰えないか?」
レナが選抜テストに合格した翌日、何故か俺も連れて行かれて、スカウトされた。なんで?
リブートしたからにはT-800も守護者にしないとな!
そう言えば、Netflixでターミネーターがアニメ化するらしいですね。早く観たいなぁ。