T-800(守護者)になった俺の前線生活 作:automata
西暦2060年、鉄血工造株式会社の社員達はフラストレーションが溜まっていた。ある研究所に食事という娯楽が到来したことにより、彼らはより一層娯楽に飢えていた。アーロン率いる一派は研究所に1週間だけ滞在しているカールに目をつけ、実験と称したハイテク殺人ゲームを企画した。
はい、バトルランナーっぽいナレーションを入れた事で1時間前に絶賛ハイテク殺人ゲームに参加させられた俺氏。
朝起きてたら、突然麻袋を被せられて、ロープで拘束されて演習場に連行された。麻袋を外された時は目の前で職員達がパイプ椅子に座って、ポップコーン片手にくつろいでいた。
そして、普段よりキチッとスーツを着こなしたアーロンがマイク片手に壇に立ち、テレビ番組の司会者のように話し始めた。
「この世で1番面白いイベントは〜?」
\ランニングマ〜ン!/
「そんな面白いイベントを企画したのは〜?」
\アーロ〜ン!/
「そう!ランニングマン!4つに区切られた演習場で1人の逃亡者は我が社のハイエンドモデルの追跡をかわします!ルールは簡単!ハイエンドモデルは逃亡者をタッチすればOK!逃亡者は制限時間160分間、逃げ切ります!後、武器の使用も許可されてます!さぁ、時に逃げ、時に立ち向かい、時に欺く、白熱した死闘が繰り広げられます!あっ、それとこれは我が社のハイエンドモデルの性能実験がこのイベントの趣旨であることをお忘れなく!」
一通り喋り終わるとアーロンは指を鳴らす。するとスタッフがミサイルとパラシュートパックを持ってきた。
パラシュートを俺に装着した後、ミサイルに括り付けられた。
「それと逃亡者が捕まったら、罰ゲームとして職員全員にスイーツを作って下さい!」
「はっ!? おま、ふざけんな、今でもギリギリなのに!」
「では、前置きはこの辺りにして、そろそろ始めましょう! ランニーング!」
「うおおおおおおおああああああーーー!」
アーロンが懐からリモコンを取り出して、ボタンを押すとミサイルは空高く飛んで行き、俺はアジズみたいな叫び声を上げた。
ーーーーーーーーー
という事があり、ミサイルは空中で爆発、大空に投げ出された俺は急いでパラシュートを開いて、下にあった廃車に着地した。結構ギリギリだったから車はペチャンコになったが。
市街地エリアを駆け回っているといくつか使えそうな物があった。スモークグレネードにスタングレネード、それにガードが使っている銃剣付きの拳銃と盾。恐らくこのゲームの為にアーロン達が用意していたのだろう。バトロワを思い出す。
「っ!やべぇ!」
「見つけたぜ」
演習場の市街地エリアの中で物資集めに奔走していると処刑人に鉢合わせしてしまった。
処刑人もあの頃からアップグレードしていた。巨大な右腕の義手は普通サイズまで小さくなり、腕から右胸辺りまでは赤と黒のプロテクターに覆われている。そして、彼女が担いでいるブレードは赤く光る日本刀状の高周波ブレードになっていた。
まんまジェットストリームサムやんけ。
「てめぇにブレードを折られてからずうっと復讐を想い続けてたんだ。ようやくその時が来た。長かったぜ」
そう言ってジリジリと詰め寄って来る。俺は静かにウエストポーチに手を突っ込みとスタングレネードのピンを抜く。
「そうかよ。だがな、処刑人。獲物の前で舌舐めずりしたのはビッグミステイクだぜ!」
ポーチの中から投げて1秒後に起爆するように調整したスタングレネードを処刑人に投げる。
グレネードはキーンと耳をつんざく音と強烈な光が炸裂する。俺は踵を返して逃げた。僅かだが目くらましにはなった筈だ。
走る。とにかく走る。地面に設置されているトラバサミや落とし穴、赤外線センサーがついた地雷、セントリーガンといった罠をパルクールの様に避けて走ってるのだが、どこかに導かれているように思える。
すると上からレーザーと剣の雨が降ってきた。俺はガードの盾で防ぐ。
「ほう、良い反応だ」
「旧式とは言え、侮れんな」
プシューとガスの抜けるような音を立てて、空からは白髪の人形、
(クソ、ハンターは対人立体機動装置でアルケミストは無限の剣製か?)
今の俺はタッチされれば、そこでゲームオーバー。つまりターミネーターお得意の格闘戦が出来ない状況だ。射撃戦で対抗するしかないが、射撃武器は拳銃1挺、後は盾とスモークグレネードとスタングレネードだけだ。そして相手はゴリゴリのインファイター。逃げるしか手は無い。
スモークグレネードに手を伸ばしかけた時、急に俺の後ろが陰で暗くなった。
後ろにはさっきまで無かった巨大な塔が建っていた。
「アッハハハ!チノ=リを得たぞーってね☆!」
「アーキテクト、ちょっとは落ち着け!」
塔の頂上から顔を出してきた
「撤退!」
ポーチからスモークグレネードを投げて、煙幕を張る。
「おらー困った時のロケラン乱射ぁぁぁー!」
「アーキテクト!味方も巻き込むぞ!」
「1発までなら誤射で許されるよ!」
建物と建物の間を縫って逃げるとアーキテクトが武器に装着されていたロケットランチャーをデタラメに放ってきた。吹っ飛んだ建物の破片を盾で防ぎながら、俺は声いっぱいに叫んだ。
「チクショー!やられてたまるかー!」
途中からどうやって逃げたか覚えていないが、アイツらを撒くのには成功した。俺は廃墟の中に身を潜め、一休みすることにした。
もう自分が何処にいるのかも分からない。不安な気持ちを少しでも落ち着かせようとそこら辺に落ちてた新品のミネラルウォーターをがぶ飲みする。
「あ゛あ゛あ゛。ここで迷ったら間違いなく見つかるな」
あっという間に空になり、ペットボトルをポイ捨てする。マナー違反だが、そんな事言ってられないんだ。
投げたペットボトルが宙を舞った時、レーザーと爆発物の嵐が襲いかかった。盾で攻撃を防ぎながら穴の空いた天井に駆け込み、階段を上がって、屋上へ向かう。盾はもうボロボロで使い物にならないから捨てる。装備は必要最低限に抑えて出来る限り身軽にする。そして、建物から建物へと飛び移る。俺、今むっちゃトム・クルーズみたいなアクションしてんな。
「っ!? ヤッバ!」
ちょっとカッコつけてビルに飛び移ろうとしたら、足を滑らせた。落ちそうになったが何とか右手で縁を掴んだ。
参ったなぁ。この高さから落ちたら運が悪ければフレームが歪む。良くても内部構造の劣化が進む。だからといってこのままぶら下がっても右腕に負荷をかけ続けるから何とか上がりたい。
「さぁ、先生、私の手を掴んでください」
どうしたものかと悩んでいると狙い澄ましたかのように代理人が現れた。
(…クソ、観念してスイーツ作るか)
観念した俺は左手を上げて、代理人が差し伸べた手を掴んだ。
ーーーーーーーーー
「やぁ、アーロン。今日はよくもやってくれたな。座れ」
「やっ、やぁカール。ご機嫌はいかがかな?それと銃を下ろしてくれないか? 突きつけられたら、ビビって話もできやしない」
「最高だよ、せっかくだからこのイカれたゲームの完成度を採点してやろうと思ってな」
「えっ? 採点?」
「ああ…0点だよ」ズドン!ズドン!
「何するんだ!何故撃った!」
「どうせなら、殴った方が良かったか?」
「ごめんちゃい☆」
「今度やったら、訴えますよ」
その日の夜。俺は職員全員にスイーツを作った。特にハイエンドモデルには好評だったらしく、しょっちゅう食いに来るようになった。
ある動画のコメント
忠実な信徒が聖書の一文を引用できるように、忠実な組合員はシュワ映画の台詞を引用する。
それを見た感想
組合員ってのはサイボーグみてぇだな、腕が立つよw