T-800(守護者)になった俺の前線生活   作:automata

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次はドンパチやりてぇなぁ。


運命(就職)からは逃れられない

「なぁ?」

 

「何かな?」

 

「なんで俺までスカウトしたんだ?」

 

 

ホントになんで?

荷造りも終わって、迎えの車が来て、いよいよ娘と離れる時が来たかと思いきや、俺まで乗せられてグリフィン本部まで連れて行かれて、尋問室みたいな所に放り込まれて、挙句の果てにはクルーガー社長自らがやって来て、「グリフィン入らない?」と言われた。

俺まで原作介入させられるの?

 

 

「オーウェンズ君からの要望でな」

 

「レナの?」

 

 

俺をグリフィンに入れようとしたのはレナだった。

 

 

「ああ、彼女の要望でな。君を副官にしたい、と言ったんだ。どうだ? 我が社に入ってくれないか? 」

 

 

あの時の眼鏡さんといい、何で俺は引き受けるしかないようなシチュエーションばっかり遭遇するんだろう。

いくらレナが優秀とはいえ、クルーガーは何故そこまでするだろうか?

 

「一つ質問がある。何故レナにそこまでする?別に断る事も出来た筈だが」

 

 

そう言うとクルーガーはテーブルに置かれたコーヒーを飲んで一息つくと話を続けた。

 

 

「実は言うとだな。我が社は規模の拡大で戦術人形が足りてなくてな。1人でも多くの人形が欲しいんだ」

 

「それが出所不明の人形でもか?」

 

「君は戸籍があるだろう?子供もいるし、IDもある。正規に登録された市民だ。出所不明の人形ではないさ」

 

 

 

クルーガーの言う通り、人形にも人間と同じ人権があり、一市民として扱われている。IDも登録され、この人が何処の誰なのかが行政のサーバーに入っている。

だから、俺みたいに人形が人間の子供の親になるなんてままあることだ。

 

 

 

「分かった。俺もグリフィンに入るよ」

 

「すまんな」

 

 

 

クルーガーと肉密度1000%の握手する。

お互い手を離すことはなく、逆にどんどん力を入れて、腕相撲が始まる。

 

 

「ぐぐ…分かった降参だよ」

 

最後はクルーガーが降参して何故か始まった腕相撲は終わる。

ある程度力を抑えているとはいえ、人形の腕力と張り合えるって凄いな社長。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルーガーからのスカウトを受けて、数日後。

カーテン屋を辞めて、グリフィンに就職しました。

 

 

「そろそろ着くのかな?」

 

「あと少しだ・・・おっ、見えてきたな」

 

 

助手席にレナを乗せ、荷物を満載したハマーを走らせる。目的地はこれからの勤務先であるS09地区の基地。

 

基地の門を通過し、駐車場に行くと女性が1人立っていた。

荷物を持って、ハマーから降りると女性は俺達の方に駆け寄ってくる。

 

 

「はじめまして!これから指揮官さまの業務をサポートさせていただく、後方幕僚のカリーナと申します!気軽にカリンと呼んでくださいね!」

 

「レナ・オーウェンズです。よろしくお願いします」

 

「カール・B・オーウェンズだ。戦術人形でターミネーターという名前もあるが、好きに呼んでくれ」

 

 

軽く挨拶を交わすと、カリーナが「ごほん!」と咳払いをして、何処からともなくクーラーボックスを持ってきた。ホントに何処から持ってきたの?さっきまで影も形も無かったのに。

 

 

「指揮官さま、お飲み物はいかがですか?今ならお安くしますよ♪」

 

 

目のハイライトが$のマークに変わって、早速シュセンドー式の商売を始める。嫌な予感がする。

 

 

「人工甘味料を使ってない100%天然フルーツで作ったミックスジュースです!普通なら300ドルしますが、今なら230ドルで売ります!」

 

 

商品の嘘は言ってない。北蘭島事件とWW3(第三次世界大戦)のコーラップスと核兵器による汚染で居住可能な土地が一気に無くなり、農場を作る場所すらなくなった。そして、その穴を埋めるように小さな工場でも安価に大量に生産できる合成食品が普及するようになった。

最近は土地の整理とかで生鮮食材が買えるようになったが、やっぱり高い。

カリーナの持っているジュースはその中でも超高級品。1ドルを100円と換算すれば、230ドルは23000円くらい。普通の販売価格は120ドルだ。要はぼったくりだ。まぁ、普通の人ならぼったくり云々よりも高すぎて買わないだろう。普通の人なら…。

 

 

「安っ!買う!」

 

(気づいてくれると信じた俺がバカだった…)

 

 

レナは弱点のないパーフェクトレディと思われがちだが、実は弱点がいくつかあり、その1つが金銭感覚が完全に死んでいることだ。

眼鏡さんのお陰で一生遊んでいける額の金で不自由なく生活してきた他、学校も金持ちエリート達に囲まれて過ごしてきた為か、どれくらいの額が高いか安いかの区別がかなり曖昧…と言うかわからない。戦後のインフレなどで生活必需品の値段が高いことは当たり前。桁が大きいのは当たり前。3桁以内だったら、安いかもしれない。そう思っている。

 

 

「うーん!美味しい!」

 

(こりゃ、本気で何とかしないとカリーナのカモになるな)

 

 

美味しそうにジュースを飲むレナの横で現金を数えながら、「ケケケ、この指揮官はいいカモになるぜ」とキャラ崩壊を起こして、小声で呟くカリーナ。現金をポケットにしまいこむと一転、笑顔になる。

 

 

「では、この基地について、案内します。まずは宿舎です!」

 

「はーい」

 

俺はまたカリーナが何かしないか警戒しながら、ついていった。

 

 

案内された宿舎はホテルのような内装でとても軍隊の宿舎とは思えない。

 

 

「これが部屋の鍵です」

 

 

カリーナがカードキーを渡してきた。08と書かれており、これが俺の部屋の番号だろう。

 

 

「私は01だ。おじさんとは別室だね」

 

 

レナは俺に鍵を見せる。

早速鍵を開けて部屋に入ると簡素なベッドとテーブル、椅子が置かれていた。あと、地味にシャワールームとキッチンも完備してある。

本当は3人部屋だが、俺は男だし、今後人形が配属されても俺の部屋には入らないらしい。ちょっと得した気分だ。荷物を部屋に置いて、他の施設の案内が続いた。

 

 

 

この基地は渓谷にへばりつくように建てられている。元々は正規軍の基地で、グリフィンがこの地区の管轄を任されると施設を残して、人員と装備は撤収した。その時にクルーガーが基地を安く買い叩いたらしい。

地上には前線基地や救護施設、情報センターが建てられ、渓谷の中には格納庫、居住区、データルームが建てられている。ゲームの頃と同じだ。正直、こんな所に基地を建てた正規軍は何を考えていたのだろうか。

 

 

「最後に格納庫です。ここには輸送ヘリやトラックが格納されています」

 

 

カリーナがドアを開けるとヘリやトラックにまとわりつく小さな小人がいた。

俺達に気づくと、レナとカリーナに集まってきた。

 

 

「カリン、この子達は?」

 

「妖精です。先日グリフィンが正式採用した戦術人形をサポートするドローンです……一応。って! いててて」

 

 

説明していると妖精がカリーナの肩に登って彼女の髪を引っ張った。

レナはその妖精を摘み上げると反省したのかしゅんとした表情になる。そして、自分の手のひらに乗せて、頭を撫でた。

 

 

「ドローンなのに妖精?」

 

「はい、開発元のIOPに問い合わせたら、そういう仕様らしくて」

 

「つまりこの子達は」

 

「端的に言うと自分を妖精だと信じてやまない一般AI達です」

 

 

この子達はなんかの料理と飲み物で優勝でもするのだろうか。

 

 

「これで基地の案内は終わりです。明日から仕事なので今日は休みましょう」

 

 

お開きになったが、レナを気に入ったのか妖精達は肩や頭の上に乗っかったり、服の中に入ったり、更には胸の谷間に入った。なっ、なんだァ?てめェ…。(憤怒)

しかし、レナはそんなことを気にすることもなく部屋へ戻っていった。

 

 

 

 

俺は自室に戻るとシャワーを浴びる。

 

 

(俺も老けたな)

 

 

湯気で少し曇った鏡が俺を写す。

起動して9年、若かった顔は中年くらいまで老けていた。

T-888のように食事ができる機能と休眠機能を持っているがどれだけバランスの良い食事を摂って、適度な運動(筋トレ)をして、休眠して、細胞の劣化を食い止めようとしたが、老いには勝てなかった。

更には外見だけでなく、内部構造も劣化が進んでいる。まだ動作に支障はきたしてないが、近いうちにやってくるだろう。

タオルで体の水滴を拭き取ると、部屋着に着替えて、ベッドにダイブした。

 

 

正直、不安もあるが心の何処かでワクワクした気持ちがあった。

 

 

 

 




完璧過ぎると面白みが無いのでレナに弱点と天敵を少々加えてます。
真の敵は身内にいると言うわけか…。


しかし、妖精よ。そこちょっと変わって〈コンコン〉おや?誰か来たようだ。
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