T-800(守護者)になった俺の前線生活 作:automata
バリバリと大きな爆音を立てて、空を飛ぶブラックホークに乗り、ちょっとした空の旅を満喫していた。
このヘリを操縦しているのは人間…ではなく空挺妖精。コックピットには本来人間が乗るはずの席に全周囲カメラが設置されている。
俺の隣ではC-MORE製のダットサイトとシュアファイア製のタクティカルライトを装着したHK416の動作確認に勤しむレナがいた。
制服の白いワイシャツの上にグリフィン正式採用の黒いパワーアシストスーツを重ね着している。下半身はスーツに覆われているが、上半身はほとんど装甲に覆われておらず、フレームが剥き出しになっている。申し訳程度に胸と肩、両腕に薄いアーマーがある。
右足のハードポイントにはレッグホルスターが装着されていて、MK23が収められている。
防御力はワイシャツの下に着ている防弾チョッキ頼りだが、ただでさえ、身体能力が化け物の彼女が更に強化されている。
「レナ、作戦は?」
俺もAR-18とSPAS12、コルトM79の動作確認をしながら言う。
実は事前に作戦も立てずに基地から飛び出した。レナはAR小隊を招集させて、有無を言わさずヘリに詰め込んだのだ。だから、AR小隊の面々は不安そうな顔をしていたり、レナに「頭でもイカれてるのか」と言わんばかりの目線を向けていた。
レナは手を止める。
「そうね……情報だけ見ても相手は統率のとれてないスカベンジャー。近代の軍隊の戦い方は通用しないし、戦力もあってもテクニカル。だから、サーチアンドデストロイ。ヘリの重火器で敵を抑えている隙にヘリボーンで降下、建物に入ったら、ツーマンセルで行動、目に見える人影は全部ヘッドショット。人形が囚われている部屋があったら、ドアを蹴破って、救出。それだけよ」
何と…単純な……指令なんだ。その言葉にAR-15はため息をする。
「あなたねぇ…そんな簡単に出来ると思うの?」
「ハッハッハ、いいじゃないか。分かりやすくて」
「そうそう、最近は複雑な作戦ばっかりだし、たまにいいじゃない? AR-15は考え過ぎだよー」
M16とSOPがそう言う。真面目で心配性なAR-15はそれでも納得せず、はぁ、とため息をついて椅子に深く座り込んだ。
そんな彼女達を見ていた俺だが、一番目を引いたのは装備だった。
M4は銃の色がタンカラーから黒一色に変わり、ハンドガード下部にはフォアグリップがリアサイトに変わっている。
SOPは銃自体に変化はないが彼女の左腕は血のような赤い色の義手になっている。まるでMGSVのバイオニックアームみたいだ。
AR-15も銃の色が黒一色、ストックが固定式に、ハンドガードもA2のような丸型に変更されている。
M16だが、彼女に至っては完全に別物だ。黒と赤、黒と白のM16ライフルを2丁持ち、いずれもストックが取り外されている。そして、彼女の担いでいるコンテナはよりゴツく大型化している。M16が銃の動作確認中にチラッとだけマガジンの中が見えたが明らかに5.56mmとは違う大きな弾が入っていた。解析の結果は.50ベオウルフ弾だとか。
〈皆さーん、そろそろ作戦区域に入りますよー〉
基地でバックアップを担当するカリーナからの無線が来た。
その瞬間、ヘリの側面ドアに搭載されたミニガンからヴオオオと唸りが聞こえた。グリフィンに就職して最初の任務が始まったのだ。同時に俺とレナがグリフィンに就職したことを祝う祝砲にも聞こえた。
ヘリのカメラとリンクさせて、外の様子を見る。
空挺妖精に遠隔操作されたミニガンからマズルフラッシュでストロボのように瞬き、スカベンジャー達を薙ぎ払う。スタブウィングに搭載されたロケットポッドとヘルファイアミサイルが粗末なテクニカルと寄り集まるスカベンジャー達を木端微塵にする。
ある程度、敵を掃討するとヘリを静止し、高度を下げ始めた。
レナとM4が側面ドアを開けて、ヘリにロープを固定して、一気に滑り降りる。
俺もそれに続き、降下するとレナとホテルのロビーから侵入した。
頑丈な俺がタンク役としてレナの前に立ち、攻撃が集中している隙にレナが仕留める。
MMORPGとかでよく見る光景だ。
そうやって、ホテルの奥へ突き進んでいく。
ホテルの廊下を歩いていると後ろから物音が聞こえた。
「っ!レナ!」
敵が後ろからAKを腰だめで撃ってきた。
俺は素早くレナをかばう。そして、弾を受け止めている間にレナが片手でHKを撃つ。
「おじさん!」
庇うのやめて、背中合わせになり、前後から襲ってくる敵を迎え撃つ。SPASで足止めして、AR-18で心臓かヘッドショット。
「レナ!」
その一言でレナは左の部屋から離れる。
すると、部屋のドアから無数の弾丸が飛び出す。俺は口で手榴弾のピンを外して、爆発のタイミングを調節し、部屋に投げ入れた。
部屋から爆発音と煙が溢れ出した。
「おじさん!」
レナは俺に銃口を向けた。即座に伏せると、バンと発砲。後ろにはナイフを持った敵が頭から血を流して、倒れていた。
「早く行きましょう」
「了解」
ただ名前を呼び合うだけで映画のような鮮やかな連携ができた。呼ばれただけで分かってしまう自分に少しドン引きしながら、レナの後を追った。
と、上の階から複数の発砲音とウオオオと獣の雄たけびにも聞こえる野太い叫び声が聞こえた。
その先には物陰に隠れて缶詰状態のAR小隊がいた。
「よう、指揮官。ちょっと手こずってるんだ。手を貸してくれ」
ハハっと笑うM16。左腕は血で汚れていて、被弾したのだろう。
物陰からチラッと除くと突き当たりに陣取って、LMGを2丁持って、制圧射撃をしている敵がいた。
「姉さん、血が出てますよ。早く応急処置を!」
「拭いてる暇もねぇよ」
「SOP、グレネードは?」
「もうないよ!」
俺はM79に弾を込めて、銃だけを物陰から突き出す。そして、LMG2丁持ちマンに向けて撃った。
轟音と塵が吹き荒れた。銃声は止み、覗くとLMGマンは息絶えていた。
「これでゆっくり拭けるぞ」
M16にそう返し、先へ進んだ。
一部屋一部屋、スキャンして、囚われた人形を探す。
すると、ようやく反応が出た。
「レナ、ここだ」
敵に聞こえないように静かに言う。
「敵は?」
「2人。武器は拳銃」
「ドアのブリーチをお願い」
「了解」
ポケットの中に手を突っ込んで、ブリーチング弾は取り出す。
SPASを手動に切り替え、装填しているとAR小隊も合流した。
準備が完了するとドア錠と蝶番に弾を叩き込んで、蹴破る。室内に突入すると頭に麻袋をかぶせられ、拘束された4人の人形と両手の2丁の拳銃を人形の頭に突きつける2人の男がいた。
「まぁ、落ち着け。銃を突き付けられたら、ビビッて話もできやしねぇ。こいつらは無事だグリフィン。少なくとも今の所はな」
男の1人が余裕そうにコマンドーの名言で話す。おっ、フラグが立ったな。
「この先どうなるかはあんたら次第だ。俺達の脱走に協力しろ…OK?」
その言葉に俺とレナはちょっと顔を見合わせるとレナは頷いた。
男の表情は「計画通り」と言わんばかりに笑みがこぼれた。
「「OK!」」ズドン!
断り、男2人の頭に銃弾を叩き込んだ。
2人はOKという言葉が断りの言葉とは分からず、死んだ。
「この手に限る」
「この手しか知らないでしょ?」
「まぁな」
周辺のクリアリングをAR小隊に任せ、人形達を縛り付けるロープを切る。
麻袋も取ろうかと思ったが、手が自由になった瞬間、自分たちで取った。
「ふぅー、それであなたたちは?」
「グリフィンの救出部隊よ」
「そっ、ありがとね」
「いやー、助かったよー」
「まぁ、礼は言っておくわ」
「zzz」
「起きなさい! あんた、ここに縛られてからずっと寝てたの!?」
救出対象、404小隊だったのかよ…。
あの後、何事もなくヘリに乗り、基地に帰還したがその道中はピリピリした。
HK416がM16の被弾した左腕を見て、「腕が落ちたわね」とか言い、「なら、さっきの作戦、VRで体験してみる?」と返して、ヘリの中は常時ピリピリムードだった。
翌日…。
書類仕事にすっかり慣れ、面白半分で書類仕事RTAをしていると執務室のドアのノックの音がした。
レナはキーボードを叩きながら、「開いてるよー」と言った。
そして、入ってきたのは……
「UMP45が来ました。指揮官、仲良くやりましょう〜」
「UMP9ただいま就任!これからみんな家族だ!」
「HK416、ちゃんと覚えてくださいね、指揮官」
「G11…です……zzz」
404小隊だった。え?レナも心当たりない?
45さん、なんだって?クルーガー社長からの指令でここに配属になった?社長直筆の命令書も持ってきた?
45から命令書を貰って、読む。
まどろっこしく長々と書いていたがまとめるとこうだ。
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部隊についての詮索は無用。
404小隊は上層部から直接ダーティーな任務が来るのでその時はそっちを優先させてあげてね。
今後、404小隊の任務に参加することになる時もあるから覚悟の準備をしておいてください!
部隊の存在がグリフィン社内であっても漏れるのはNG。
もし漏れたら………あとはわかるな?
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といった感じ。………うそん。
気苦労は増えると思うけど、休んでいる暇はないぞ!仕事だ!