T-800(守護者)になった俺の前線生活   作:automata

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酒にはご用心

あの模擬戦から3週間、哨戒任務という味気ない任務をこなしながら、AR小隊と404小隊はハートマン軍曹も大満足な地獄のシゴキを受けている。

内容は単純、レナと延々と模擬戦をする。それだけ。

 

 

今は2部隊がかりでレナはナイフ一本だけというハンデで模擬戦をしているが、未だに一勝もしてない。だが、模擬戦を重ねていくたびにM16とM4に敵意剥き出しだった416が随分と軟化したりと良い効果が出ている。

 

 

そういう訳でレナは訓練に熱が入り、主な事務作業は俺とカリーナがやる……だったんだが、俺が模擬戦でボロボロになった彼女達の為に料理を作るようになると仕込みに時間を食ってしまい、今ではカリーナがワンオペで頑張って貰っている。

 

 

最初は物凄く睨まれたが、手作りスイーツと紅茶を毎日貢ぐということでなんとか許してもらった。

 

 

 

 

 

「もうこんな時間か…」

 

明日の料理の仕込みをしているともう夜の11時だった。そろそろ部屋に戻ろうと後片付けをしていると食堂のドアが開く音がした。

 

 

「よぉ、開いてるかー?」

 

 

M16が入ってきた。席に座った。

 

 

「それでジャック・ダニエルある?」

 

 

やっぱり酒目的か。うちはバーじゃねぇんだぞ。でも、今あるのってビールくらいなんだよなぁ。

 

 

「そいつは今置いてないね」

 

「んだよ〜。そんじゃビールある?」

 

 

俺は冷蔵庫から瓶ビールを一本取り出して、栓抜きを使わずに開けて、M16に出す。

 

 

「おう、ありがと。んくんく…ぷっはぁぁぁ!キンッッキンに冷えてやがるぅぅぅ悪魔的だぁぁぁぁ!」

 

 

カイジのセリフを言って、ビールを飲み干した。ドン!と空の瓶をテーブルに叩きつけて、「もう1本!」と言ってきた。

また冷蔵庫から取り出して出すとまた一気飲みして、「もう1本!」と言ってきた。あれ無限ループ?

 

 

「カール、つまみも出せよぉぉぉ」

 

(もう酔ってるのかよ)

 

 

俺はため息を吐きながら、何かつまみになりそうなものを探す。あっ、チーズあるな。とりあえずこれにするか。

 

「ビールぅぅ…カール、ビールぅぅ」

 

 

テーブルにうずくまってるM16にチーズの盛り合わせと新しいビールを出す。

ビールの瓶をガシッと掴んでラッパ飲みし、チーズを口に放り込んだ。

 

 

「なあ、もう酔ってるのか…そろそろやめておいた方がいいんじゃないか?」

 

「なぁに言ってんだよ。戦術人形は簡単には酔わねぇよ。もう…ああもうめんどくせぇカール!今あるビール全部持ってこい!」

 

「ゑ?」

 

 

思考が停止した。は?え?全部?今あるビールを?

 

 

「いや、流石に戦術人形でもまずいぞ」

 

「大丈夫だって、安心しろよ〜平気平気、兵器だから」

 

「知らんぞ、本当に俺はどうなっても知らんぞ」

 

 

厨房に戻り、俺は紙とペンを取り出して、サラサラと誓約書を作る。

 

 

「何があっても自己責任ですよっと」

 

そして、それをM16のテーブルに出す。

 

 

「何だこれ?」

 

「誓約書だ。例えアンタが急性アル中とか、何があっても俺は責任を取らん」

 

「あっはははは!たかが酒で何ビビってんだよー!」

 

すっかりアルコールが入って、ハイテンションになっている彼女は俺のペンをひったくって、記入欄にM16と書いた。

同意したと確認すると冷蔵庫からビールをありったけ持ってくる。

 

 

「ぷっはぁぁぁ!ビールサイコー!ビール万歳!あっははははは!」

 

 

真夜中の11時に1人でどんちゃん騒ぎ。本格的に彼女を心配していると変な風を感じた。

ほんの僅かだが、食堂のドアが開いた。閉めて無かったのだろうか?

 

 

「姉さん?」

 

 

声をする方向を向く。そこにはにっこりと笑うM4がM16の後ろに立っていた。

 

 

「おいおい、どうしたんだよカール?そんな幽霊を見たような顔をして?」

 

 

酔いに酔ったM16は俺を見て、ワハハと笑う。こいつM4の声を聞いてなかったのか。

俺は目で後ろを見ろと訴えかけるが、こうかはいまひとつのようだ。

 

 

「カールぅ、実はここだけの話なんだがなぁ。この前M4に禁酒しろって言われたんだよぉ。だから、隠されたジャック・ダニエルをスキットルに移してよぉ、任務の時にこっそり飲んでんだぉ。その時の背徳感と言ったら、もうサイコーでよぉ。今日もM4の寝てるタイミングを見計らって来たんだよぉ」

 

 

バカっ!お前何自白してんだよ!ああ、後ろのM4が青筋立てて、怒ってるよ!笑ってるけどめっちゃ目が笑ってないよ!

 

 

「そうですか、それは良いことを聞きました」

 

「だろ?M…4…」

 

M4がM16の隣に座る。相変わらず微笑んでる。

ようやくM4の存在に気づいたM16は顔色がどんどん青白くなっていく。

 

 

「よっ、よぉM4。どうしたんだぉ?よっ、よく眠れなかったのかぁ?」

 

「ええ、微睡んでた時に姉さんが何処かに行っちゃったんで、それはもう心配で心配で」

 

「そっ……その…」

 

「姉さん、前に言いましたよね?禁酒するって、きちんと誓約書も書きましたのに」

 

おま、誓約書まで書かされたのかよ。M4は懐から折り畳まれた紙を広げて、M16に見せる。

 

「でっ、でもよ。約束を破っても別になんかペナルティとか書いてないだろ。…つっつまりノーカンだ!ノーカン!」

 

 

あまりにテンパってるのか、はたまた頭が冴えてるのか苦し紛れの言い訳をする。俺もM4の誓約書を見ても、確かに約束を破ったらペナルティあるよ、みたいなことは書かれていない。

M4はペンライトを取り出して、スイッチを押す。紫色の光が出るとそれを紙に照らした。すると、紙から文字が浮かび上がって発光した。

 

 

「このペンライト、姉さんが書く時に置いてましたよ。頭の良い姉さんなら気づいてくれると思ったのですが」

 

 

いや、それ詐欺師の手口だから。誰だって気づかないよ。

紙に不可視インクがあるかもしれないって考えるの慎重勇者だけだと思うよ。

 

 

「ヒィ!カッ、カール助けてくれぇ!」

 

最後の希望で俺に縋り付くM16。だが、M4は追い討ちで俺が書かせた誓約書を見せた。あれ?それ俺のポケットに入れてた筈だったんだが。

 

「何があってもカール・B・オーウェンズはM16が如何なる損害を被っても一切の責任は負わない…って書かれてますけど?」

 

「あっ……」

 

「では、少しお話ししましょう?」

 

「グッ!えっM4なんかこの前より力が強くなってる!?」

 

「それはそうでしょう、指揮官に何時も鍛えられてますから」

 

M16はM4に首根っこを掴まれて何処かに連れて行かれた。

俺はただM16の無事を祈るしか出来なかった。骨くらいは拾ってやろう。

 

 

 

 

 




コソコソ噂話

M16はM4に超不味いアルコールを飲まされたらしい。
そのアルコールはペルシカ謹製なので実際安全…maybe.
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