侵略異変   作:しゅーえん

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どうもしゅーえんです。
さて、ようやく白玉楼に戻ってきた夜音ですが。前回の不穏な雰囲気のまま……。はたしてどうなるのか………
ではお楽しみください


12話 意味

一年ぶりに戻る白玉楼はいつにも増して綺麗だった

 

「ただいまー」

 

居間へ行くと幽々子と無銘はお茶をすすっていた。

 

「あら、おかえり夜音」

 

「主様よ………。一年ぶりの再開なんだからもうちょこう………ないのかよ……」

 

「あら?抱き着いたりした方が良かったかしら?」

 

幽々子は扇子を置き立ち上がる。

 

「いや、遠慮しとく」

 

「もぅ、釣れないわね」

 

「無銘も久しぶりだな」

 

「あぁ……ちょっと霊力増えたな」

 

「おっ?そうか?そりゃあ毎日鍛えてたからな」

 

「あぁ、それに技術も上がっていると見た………

どうだ?この後手合わせでも……」

 

「やめとく…と言いたいところだが。相手になるぜ」

 

その言葉に無銘は少したじろいた

 

「お、おい夜音。お前神霊廟でも修行していたのだろう?少し休んだほうが……」

 

「それじゃだめなんだ……俺は……」

 

そうだ。もっと力をつけないと……災厄の奴らとと互角に渡り合えるように………

 

「そうか……ならいいんだ……」

 

何故か無銘は不安そうな表情をしながらお茶を啜った。

 

「ほら、妖夢のところに行ってあげなさい」

 

「そうする……妖夢は?」

 

「自室にいるわ」

 

「おっけぇ」

 

俺は指で丸を作り妖夢の部屋に向かう。部屋の前に行きゆっくりと襖を開ける。

 

「えっ?や、夜音くん?」

 

目が点になり刀をその場に落とす

 

「やぁ妖夢……久しぶり。元気だった……がっっ」

 

俺がそこまで言いかけた時妖夢は俺の胸に突撃してきた

 

「いってて」

 

「夜音君!夜音君!」

 

俺を抱きしめ胸に顔をうずめる妖夢。

 

「久しぶり……しっかり修業してきたぜ妖夢」

 

「それは神子さんから聞いていますよ。楽しみです」

 

「いつ聞いたんだ?」

 

「週に一度程、ここにこられてましたよ」

 

「あぁ……なるほど……」

 

たまに居ない日があると思ったがそれでか……

妖夢は話し終えるとまた顔を胸に押し付ける。

これも……俺の能力が目当てなのだろうか…………

妖夢と別れ一年ぶりに自室に戻る。部屋はホコリひとつなく妖夢が毎日掃除してくれてることが目に見えてわかる。ベットに寝転がり目を閉じる

 

(どこにも……俺の居場所はない)

 

俺がここに呼ばれた理由、それは厄災を倒すこと、そのためには力をつけなければいけない。あの時は魑魅や妙無に手も足も出なかった……幸い努力は慣れているからあまり苦ではない。たが努力が報われないのは自分がよく知っている。

 

(もっと力をつけないと………)

 

俺のここにいる意味はなくなってしまう。

 

「もっと頑張らないと……」

 

天井に手を伸ばしそんなことを呟いた。これは幻想郷のためじゃない……俺がここにいる意味を示すため。そのために俺は修行をしなければいけない。感情なんて……いまはどうでもいい。

 

………………………………………………………………………

 

夜音君はなんだか変だった。少しだが黒い霊力が漂っていた。昨日神子さんから聞いた使命感に縛られているのだろうか。そんなことも思いながら

一週間がたったある夜、縁側の方で物音がし、気になり外を見ると………そこには夜音の姿があった。

 

(なんでこんな時間に……鍛錬は朝も昼もしていたのに)

 

なにか夜音君が呟いている。私は聞き耳を立てた。すると

 

「もっと、もっとだ。………もっと……」

 

いつからだろう、彼が私の指南を受けなくなったのは……いつからだろう、こうやって私たちに隠れて修行するようになったのは……

 

「はぁ……はぁ……」

 

だいぶ息が上がっている様子だった。

彼が戻ってきてから私は彼が休んでいるところを見たことがなかった。それこそ別人のように………まるで

『何かに取り憑かれたように』………。

結局あれから眠れずいつもよりも早く起きてしまった。とりあえず朝食の準備をそう思い居間向かう途中夜音君の部屋を通り掛かった時

 

「…………うぅ……」

 

なにかうなされているようだった。襖越しで聞いていると

 

「なんで兄さんだけなんだ……俺だって…ちゃんと……」

 

小さい頃のトラウマが蘇っているのだろう……夜音君から少し黒い霊力が漏れていた。こうゆうとき……何すればいいのだろうか……迷った末、私は中へ入り夜音君の頭を撫でた。次第に黒い霊力は引いていき夜音君の表情も安らかになった。

 

(かわいいなぁ)

 

いつもは男らしいのにこう見ると幼子のように可愛らしい……すると

 

「んん……んぅぁ?」

 

気がつくと夜音君の瞼が上がっていた。

 

………………………………………………………………………

 

頭に違和感を感じ目を覚ますと目の前に妖夢がいた。少し驚いた様子で俺を見る妖夢

 

「おはよう妖夢。なんでここに?」

 

「あっ……いやその……」

 

しどろもどろになり周りをキョロキョロする妖夢

 

「夜音君、何がうなされていたので」

 

「そうだったのか……心配かけて悪かったな」

 

「い、いえ……それより夜音君」

 

動揺している顔から一転真剣な表情になり

 

「夜音君、最近無茶しすぎです。」

 

妖夢にそんなことを言われ俺は小首を傾げた。無茶?そんなことをした覚えはない………

 

「な、何言って……」

 

「朝も昼も鍛錬して昨日の深夜だって……少し休んだ方が……」

 

昨日……見られてたのか……

 

「なんで妖夢がそんなことを心配するんだ?俺は大丈夫だ。わざわざそんな……」

 

「で、ですが夜は疲れを取らないと……次の日の修行が疎かになってしまいます……それは……」

 

「別に今の時間で充分疲れは取れてるよ」

 

「ですが万が一………」

 

「ちっ……るっさいなぁ」

 

思わず感情を露わにしてしまった。何故かカチンときてしまった。ここから負の連鎖が始まる……

 

「俺が大丈夫って言ってるんだから大丈夫なんだよ!」

 

「ひぃっ」

 

俺が怒鳴りながらベットを叩くと妖夢は怯えた様子で俺を見ていた。そういやこうやって怒鳴るのはここに来て初めてか……俺は溜息をつき

 

「妖夢は知ってるだろ?俺がここに呼ばれた理由」

 

「え、えぇ幽々子様が言うには侵略者からこの世界を守る為にと……」

 

「そうだ。厄災の連中を倒すために俺が呼ばれた………いや、俺の能力か」

 

「えっ?……」

 

そうだ、この世界は俺じゃなくて俺の能力

重力を操る程度の能力が………

やっぱり初めに思ってた通りだった

この世界が欲しいのは俺じゃなくて……俺の力……この世界を救う俺だってことぐらい

 

「あの……夜音くん?………」

 

「だってそうだろ?あいつらに対抗するには霊夢や妖夢のような強い者が呼ばれなければいけない。なら紫はあっちの世界から世界チャンピオンなり何なりつれてくればいい……でも呼ばれたのは俺だ。理由は簡単『俺の能力の方が優秀だから、救世主と崇めて心の拠り所をつくるためだ』」

 

そうだ。俺がここに呼ばれたのはこの幻想郷が危険だから……この世界の住人が優しいのは自分たちの世界を守るため……簡単な話、需要と供給、

ギブアンドテイク。

 

「あの……ほんとに…」

 

「だから俺は強くないといけない、そうじゃないと弱いやつをここに置く理由がないからな。」

 

吐き捨てるように言い放った。妖夢は少し黙り込んで……そして

 

「夜音君……あなたの言葉は……全て間違っています」

 

「はぁ?」

 

どこが間違っている?正論だろ?この世界が危険だから能力の優れた俺が呼ばれた。じゃあその俺が能力を使いこなせず弱いままだったら結局戦力外になる。そうなれば俺はまた捨てられる。だから努力している……それのどこが間違ってるんだ………。

 

「何が違うんだよ。妖夢」

 

完全に頭にきてしまった。今までの俺を否定されたように感じた。

 

「紫様はそんな理由であなたを呼んだんじゃないと思います」

 

「どうしてそんなこと言える?」

 

だってそうだ。弱いやつを連れてきても意味が無い……強いやつを連れてこないとあいつらには対抗できない

 

「この世界の人々は夜音君の能力なんかじゃなくて夜音君その人がいいんです。それにあなたはもう私よりも強いじゃないですか」

 

「だからなんなんだ」

 

「えっ?……」

 

「だったら妖夢はあの連中よりも強いのか?」

 

「それは………」

 

「妖夢に勝って終わりならそれでいい……でも俺の目的は厄災だ。そいつ達と互角かそれ以上に渡り合えるように俺は修行しなきゃいけないんだ」

 

「でも……その前に感情を」

 

「今は俺の事なんでどうでもいいんだよ!」

 

ドンッとベットを再度たたく、妖夢は驚きはしたが凛とした表情を保っていた。

 

「どうでもよくありません。神子さんも言ってました。感情が戻っていない今のあなたは不安定だと」

 

「ならどうするんだ!あぁ!!戻るとも限らない俺の感情なんかに時間を使って!…それでもあいつらが動き出して……何かあったからでは遅いんだよ!」

 

「べつにんん夜音君1人に一任しようとは誰思っていませんよ。霊夢さんや魔理沙さん……私だっています。

別にいいじゃないですか………『あなたがいなくても私たちがいるんですから……』」

 

「!!!」

 

あぁ……その言葉は……今の俺にとっては……

 

「最悪だ……」

 

その言葉は………今の俺にとって『戦力外通告』に他ならなかった。

 

「……………はっ」

 

思わず笑ってしまった。俺は妖夢からもそう見えていたのか………結局俺は心のどこかで期待していたんだ。妖夢なら慰めてくれる、妖夢ならちゃんと俺を見てくれる、妖夢なら……信じてくれると………でも、そんな甘い考えは今の

言葉で全て音もなく崩れ去ってしまった。

 

「そうか………まぁ………そうだよな……うん」

 

絞り出すように声を出す。今にも泣き出してしまいたい。ここから出ていきたい。妖夢にも捨てられた……結局……俺の居場所はここでもなかったんだ。この世界の……どこにも……

 

「あの……夜音……くん?」

 

「もういいよ………分かった。妖夢だって足でまといを置いておきたくないだろ?」

 

「いや……そんなつもりじゃ…………」

 

「じゃあな、今までありがとうこれ返すよ俺より強い人のためにとっといてくれ」

 

俺は立ち上がり帯刀を外し襖に手をかけ冥界を出ようとした。その時

 

「まっ………て…」

 

妖夢に腕を掴まれてしまった。今更なんだ?情欲でも沸いたのか『俺を捨てたくせに』………

俺は腕を振り払い一言だけ妖夢に言った

 

「産まれてくるべきじゃなかったんだよ。あの世界にも……この世界にも」

 

今度こそ俺は冥界を出た。妖夢は唖然としたまま俺の部屋にいる。

 

ーーーーーーーーーーーあぁ神様、ーーーーーーーーーーーやっぱり俺がこの世界にいる意味はなかったみたいだ……。

 

……………………………………………………………………

 

私は何も分かっていなかった……私は……ただ夜音君に休んで欲しかっただけなんだ。なのに……

 

ー 産まれてくるべきじゃなかったんだよ。 ー

 

最後に聞いた言葉が頭で何度も再生される。

私は夜音の心の拠り所になることは出来なかったのだ。

 

「夜音君………」

 

彼が置いていった刀をひろいあげる。持ち手は一部禿げていた。……余程使ったのだろう。……

彼と離れたくない。せっかく再開したのにこんな形でまた離れていくなんて……

 

「うぅ……」

 

自分に対しての怒り、呆れが私を殺していく。涙を拭いてくれる彼はもういない………

 

「何してるの?妖夢」

 

主の言葉で私は顔を上げた

 

………………………………………………………………………

 

「ゆゆ……こさま?」

 

泣きじゃくる妖夢の顔を見て私は自分の行いを反省していた。迂闊だった。彼の過去を聞いて神子さん忠告を聞いてもなお何も対処しなかった私のミス。

 

「なにがあったの?話してみなさい」

 

大体の想像はつくが一応確認する。

 

「わたし………わたし………夜音君のことを何も分かっていませんでした………」

 

涙はとめどなく流れ、次第に雫の落ちる速さは早くなっていく。この子の主になって長いがこんなに涙を流している姿は見たことがなかった。この子の中でよっぽど封雲夜音は愛おし存在だったのだろうと思う

 

「わたしは……わたしは……何も出来なかった。

彼の心の拠り所になれなかった………それなのに……

私は彼の心を壊してしまった……私は……私は……」

 

「だから………諦めるの?」

 

「えっ?」

 

このまま泣いていてもどうしようもない………

彼はこの世界を救うのに必要不可欠。彼の能力ではなく封雲夜音自身が……

 

「諦めたくないです!まだ!彼と一緒にいたい!

一緒に剣術を磨いて一緒に災厄を倒したい!」

 

「それは…彼の能力が強いから?………」

 

妖夢は一瞬口を噤んだ……しかしすぐ

 

「いいえ!私は……彼が好きだから!ずっと!……

彼と一緒にいたいから!」

 

妖夢の顔大粒の涙に濡れていたが表情は真剣そのものだった。正直彼女の気持ちには気づいていた。もちろん彼の気持ちも、でも彼は自分を押し殺していた。どうせ自分のことなんて見てくれいない。妖夢が見ているのは世界を救う自分。

そんな感情のすれ違いが今の現状をまねしてしまっている。

 

「そう……なら早く行ってらっしゃい……ここにいても時間の無駄よ」

 

「…………ありがとうございます……幽々子様」

 

いつもの凛とした表情にもどり夜音追おうとした時

 

ドォォォォォォォォォオン!!

 

「「!!!」」

 

当然の轟音が響きわたり急いでその元凶の元へ行くと、

 

「ったく……こうしたほうがはえぇって言ってのに」

 

深緑色の髪の少年がもうそこまで………

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