夜音は力が抜けたように意識を失った。当たり前だ。つい前まで一般人だった人にあの痛みは耐え難いだろう。
「すぅ…………はぁ……」
私は大きく息を吸い、札を構える。相手は近接型……
なら、遠距離で迎え撃つ!!……すると…
「……熱っ………っ!」
後ろで熱さを感じ振り向くと、なんと夜音が燃えていた。
「夜音君!夜音君!」
妖夢は必死に火を消そうとするが、消える様子はない。しかし、だんだん夜音の傷が塞がっていくように見えた。
そして、火が消えた頃には両肩は塞がっていた
「どゆうことだ?なんで……」
萃香さんが疑問の言葉を口にすると………
「それは……これが俺の能力だからだ」
そう言って彼は目を開ける。しかしその目は紺碧の瞳ではなく赤と黒のオッドアイだった。
「!!!」
最悪だ…あの時の幽々子の予感が的中してしまった。
「えっと……あなたは……?」
「妖夢!今すぐ離れて!」
「えっ……」
妖夢は呆気に取られ動けない。まずい!このままじゃ
「安心しろ博麗の巫女。お前らに危害を加えるつもりは無い」
「そんなの……信用出来ないわよ!」
「あれぇ?
後ろから妙無の声が響く
「よくもやってくれたな妙無。俺のいない災厄は楽しいか?ちょうどいい、この前の仕返しだ。受け取れ…
そういうと無銘はどこからともなく弓を取り出した。
「スペルカード。
そう言って三本の矢を引くと、矢先が黒い炎に包まれた。
そしてその矢は妙無目掛けて放たれる。
「そんな程度で僕を殺せるとで………っ!」
足を踏み締めジャンプしようとした妙無。しかし
足は地についたままだった
「な……なんで!…………ぁ!しまっ……」
そして妙無の肩に矢が刺さった瞬間
ドオオオォォォオオオォォオン!!
轟音と共に妙無の右腕は根元からは弾け飛んだ。
鮮血が飛び散り、辺りの地面を赤く染める
「ぐあぁっつ………くそっ……」
「馬鹿か、この体は俺のじゃない。なら、この体の能力だって使える」
飛ばされた片腕の傷を塞ぎながら荒い息で妙無私たちを睨む。
「今日のところは………はぁ……挨拶だ……。次はないぞ。必ずお前たちを殺してこの世界を支配してやる!」
そう言って妙無はどこかへ消えていった。
「さて……妙無は去っていったけど……」
私はため息をついて無銘に札を向ける
「次はあなたよ……無銘」
無銘はニヤリと笑って
「喜べ巫女。いまから俺はお前らの味方だ」
「どうゆう風の吹き回しかしら?」
今この状況で無銘の力は大きい。しかし、まだ信用出来ない。最悪夜音が乗っ取られてしまうかもしれない。
「まぁまて、まずは自己紹介だ。初めまして……かな。
俺の名前は無銘。元は侵略者の一人だったが。まぁ聞いての通り妙無に殺されてしまってな。魂だけのところ、俺とよく似た形をしている者を見つけてな。しかもそれが我々に対抗する存在ときた。都合が良かった。俺もあいつらに復讐しようとしていたからな」
すると無銘は目を閉じた
「そうだな……まぁ詳しいことは本体に聞いてくれ……」
すると無銘は力なく倒れた。
「夜音君!」
妖夢は彼を抱き抱えた。
「ん……んん」
そして再び目を開けると彼の目ではオッドアイではなく紺碧の瞳に戻っていた
「夜音君?……」
「あぁ、俺だ。とりあえず説明するよ。さっき言ってたことの詳しい説明」
そう言って夜音は立ち上がり話し始めた。
………………………………………………………………………
「んっ……んん」
暗闇の中……俺は目を覚ました。とりあえず、
記憶を整理する。宴会の時、俺は妙無肩を貫かれて痛みに意識を失った。その時確かに聞こえた
『身体を貸せ!』とゆう言葉……あれはなんだったんだ
すると……
「こっちだ」
誰かが、俺を呼んでいた。俺は、声のする方向へ歩き続ける
(ここは……どこなんだ……)
真っ暗な闇の中、俺は声のする方向へ歩み続ける。するも、突然辺りが炎に包まれた
「熱っ……なんで急に……」
正面から赤髪で目が左右色違いのオッドアイを持つ少年が現れた。身長は俺と同じくらい、でも霊力の量は桁違いだった。少年は笑みを浮かべながら俺を見つめる。どこか悲しさと怒りが混じった………そんなふうな笑顔だった。
「お前は誰なんだ……」
「俺の名は無銘。災厄………結界を破って侵入してきた奴らの一人だ」
俺は咄嗟に後退した。そして刀を構えようとしたが、今俺の腰には刀がなかった
「くそっ……」
俺は手に力も込め、弾幕を手のひらに生成する。
「まぁ待て、先に名前を聞いておこう。お前の名前は?」
「……封雲……夜音」
「夜音…か。夜音、とりあえず警戒しないでくれ。
俺も手を出すつもりは無い」
「そんなのが、信用できるとでも思っているのか」
「まったく…博麗の巫女を同じことを言うやつだ」
無銘はため息をつく
「信じてくれ」
その言葉は妙な説得力があった。
「……わかった。んで?なんでここにいるんだ。とゆうか、ここどこだ?」
俺が尋ねると無銘は答えた
「ここは器の中……夜音、お前の心の中だ」
「心の……中、そこになんでお前がいるんだ」
「俺は……もう死んでいるんだ」
「?……意味がわからない。じゃあなんでこうして話せているんだ」
「俺の体は消滅し魂のみが残った。最初は誰かを拠り所にしようと考えていたが………上手くいかなくてな。そこでお前を見つけたのだ夜音。
お前の霊力の器の作りと俺の霊力の器の作りはとてもよく似ている」
「だから、俺の体を乗っ取るのか……?」
「おぉいちょっと待てよ夜音。俺がなんのために話をしていると思ってる?…………それは封雲 夜音。お前に協力することに決めたのだ」
「分かってるのか?………俺たちの目的はお前の仲間を殺すことだぞ?」
「あぁ、十分承知している……」
「じゃあなんで!妙無は仲間なんだろ?」
「夜音、何度も言わせるな。俺は奴らを潰すことに賛同するつもりだ」
「どうして……」
「裏切られたんだ」
「はぁ?……裏切られた?」
無銘は頷き。事のあらましを説明した。
無銘が言うには、無銘が居た災厄と呼ばれる組織は無銘が
リーダーとして他の三人に指示を出していたらしい。そしてある村を襲う計画を実行しようといていたとき、村人が
ー 私たちはあなた達に従います!だからこの村の人達は殺さないでくれ! ー
と命乞いをしてきたらしい。それに無銘は食料を支給することで合意したが、妙無は気に入らなかったらしい。
そしてその日の夜。妙無は他の二人を連れて村の住人を全員虐殺したらしい。それにより無銘と妙無たちは対立し、次の村に移動中に殺されたらしい
「なるほどな……無銘はもうこの世界を征服しようとは思ってないのか?」
「殺されて、魂となってさまよっている間。人間の里を見て回っていた。誰もが仕事に励み、家族がいて。幸せそうだった」
無銘は強く拳を握りしめた。
「その光景を見て、俺たちはこんな幸せそうな空間を破壊しようとしていたのかと今までの行動を後悔したよ。だから、俺は誓ったんだ」
そしてその拳を俺に突きつけ
「いずれ来る救世主にどんな形であれ。力になろうと………」
不知火の言葉を聞いて、俺は完全に信用したわけじゃない……でも、こいつが嘘をついているようには見えなかった。そう思えるほど、真っ直ぐな瞳でこちらを見つめていた。
………………………………………………………………………
「ってゆうことだ。無銘はとりあえず信用していいと思う」
夜音の言葉に霊夢さんも紫さんも表情が曇っていた。まだ信用しきれてないのだろう。
「……まぁ、ここに来てまもない俺が言っても信用ないと思うけどな」
「いえ、信用していないわけじゃないの。ただ少し疑問があってね」
「疑問?」
「えぇ、無銘。あなたは……一体どこから来たの?
夜音の世界じゃない……一体……何者?」
紫が問うと夜音が答えた。
「無銘たちは、この世界の住人だ。正確には一度この世界から逃げた、反逆者ってところだな」
「反逆者?」
「そう。俺はあまり知らないが、この世界には少なからず
霊夢に恨みを持っている人がいるらしい」
「それは知ってるわ。反骨精神ってゆうのかしら?
自分を行いを正当化している奴らがいるのは知っていたわ」
「そういう奴らが結界を抜け出し、俺がいた世界で力を付けていたらしい。俺の世界でも超常現象がたまに起きていた。
多分そいつらが原因だろう」
「そして、満を持して復讐しに来たってわけね」
「そういうことだ。」
「話はわかったわ。無銘によろしくって伝えといてね」
「わかったよ。霊夢」
すると霊夢はパァンと手を叩いた
「さぁ!早く帰りなさい!あんたなどうせ片付け手伝わないでしょ?」
「そうだな。帰るか勇儀」
「そうだな。それじゃあな」
お開きとなり私と夜音君は白玉楼に戻ってきた。
「おかえり妖夢、夜音。……それに無銘君」
「なんで知ってんだよ……」
「私は初めから気づいてたわよ。ただ、まだ確証が持てなかっただけ」
「なるほど……」
さすが幽々子様。初めから気づいていたなんて
「まっ、とりあえず無銘がよろしくってよ」
「えぇ、よろしくね」
夜音君を通してだが挨拶を交わしそれぞれが自室に戻った。
………………………………………………………………………
自室に戻り、ベットに沈む
「はぁ………」
なんだか本当にファンタジーになってきた。まぁ根本は変わらない。災厄を倒すためにもっと力をつけなければならない。
ー そうだ。言い忘れていた ー
ふと無銘の声が脳内に響いてきた
(なんだ?言い忘れたって)
ー 俺の能力についてだ。
俺の能力は「真実を上書きする程度の能力」だ。
物体に能力を使うことで、
到底できないことをやってのけることができる
お前の肩の傷も俺の能力で傷が無いとゆう真実に上書きしたのさー
(なるほどな)
ー ただ、あくまで可能性だ。運命を変えることは出来ないんだ。例えば時間を戻すとか、死ぬ運命を上書きすることは出来ない ー
(でも、傷程度なら治せるんだろ?便利じゃないか)
ー まぁ、覚えておいてくれ ー
真実を上書きか…なかなか便利だ。応用するればもっと化けるかもしれない……
はい、とゆうことで新キャラ登場。復讐者無銘(むめい)です。
彼は今後も夜音たちと共に厄災を倒す手助けをしてくれるでしょう。
さて、次回はあの有名な吸血鬼姉妹の館に行くことになります。
次回も楽しんでくれると幸いです。では!