「夜音君。いまから人里に行きませんか?」
修行を終えた後、妖夢にそんなことを言われた。
「べつにいいけど、なんかあるのか?」
「ふと思いまして。そういえば私、夜音君にこの幻想郷について何も話していないと」
あっ、そういえばそうか。紫からは聞いていたがだいたい
だったし、どこに何があるとかは知らないなぁ…
「だから、今日は私がこの幻想郷を案内します!」
手を腰につけて胸を張る妖夢。……師匠、そこは威張るところじゃないですよ……。
結局午後の修行は休んで、妖夢に幻想郷を案内してくれることになった。
「それで?最初はどこに行くんだ?」
すると妖夢は振り返りとんでもないことを口にした。
「地獄です」
「????????………………じ、地獄?」
サラッとそんなことを告げる妖夢に俺は軽く恐怖を感じた。
……………………………………………………………………
彼を地霊殿に連れていく理由は幽々子様から聞いた。
ー妖夢、明日夜音と一緒に地霊殿のさとりちゃんに会いに行って。ー
ー かしこまりました。でもどうしてですか? ー
ー さとりちゃんに彼の心を読んで欲しいのよ。ほら、彼はこの前影化したじゃない?その手がかりが掴めるかもしれないから ー
とゆうことだった。
「地獄です」
私がそう言うと夜音君は、今までに見た事ないくらい驚いた表情をしていた。
「よ、妖夢には俺に恨みでもあるのか?……」
小刻みに震えながらすり足で後退していく。私は慌てて彼の手を掴む
「だ、大丈夫ですよ夜音君。地獄といっても今は別の場所なので、地霊殿と言う場所です。」
「そうか……ならいいんだ。……それで?なんで地霊殿なんだ?」
「えっ?……」
そういえば単刀直入に言えば彼を不快にさせてしまうかもしれない
「わ、私がふと思ったからです」
苦し紛れにそう言うと、夜音君は呆れたように私を見ていた。……やめてください…そんな目で見ないでください……
「ほ、ほら!行きますよ」
「わ、わかった!わかったから!」
再度彼の腕を掴みつかつかと歩いていく。
しばらく歩いて、地霊殿に繋がる穴にたどりついた。
「ここが入口です。では入りましょう」
夜音君は気乗りしない様子だったが
「わかったよ……」
そのまま自由落下していった。夜音君について行き、
地霊殿に到着した。
「あっ、思ってたより普通だ…」
そんな気の抜けた声が夜音君の口からこぼれる。
「一体どんなのを想像してたんですか?」
「いやぁ、俺がいた世界の地獄って、真っ赤で血がそこら中にあるから」
一体夜音君の世界の地獄はどれだけ凄惨なのだろうか……
聞く気もおきない。
「おぉ?おぉ!!夜音!夜音じゃないか!」
大きく手を振りこちらに向かってきたのは勇儀さんだった
「勇儀か、久しぶりだな、宴会以来か?」
「おう!まぁそうだな。おっ?なんだ?今日はデートか?」
ニヤニヤしながら尋ねてくる勇儀を見た夜音君は
呆れたように言った。
「そんなんじゃねぇよ。今日は妖夢に幻想郷を案内してもらっているんだ。デートなんかじゃない……」
ーーーーーーーーーズキッーーーーーーーーーーー
まただ……当然のはずなのに、何故か胸が痛くなる。どうしてだろう…
あの時もそうだった。レミリアさんの時だって……
「妖夢?どうした?」
「ふぇ?あっ、な、なんでもないです」
「そ、そうか?」
「そうだ勇儀さん。さとりさんっていまここにいますか?」
「ん?あぁ、いると思うぜ。あの人妹と違って引きこもりだから」
「げ、げんにもここの当主になんてことを……」
「ガハハ、問題ねぇよ。あいつはそうゆうのは聞き慣れてっから。……そうそうさとりだったな。なんか用でもあるのか?」
「えぇ、すこし…」
「そうか。なら案内してやるよ。ついてきな」
そう言われるがまま私たちは勇儀さんについて行き城のような場所に辿り着いた
「凄いな……」
と夜音君が感嘆の声を漏らすのも無理はない。
天井につきそうなほど高くそびえ立っている塔のような城を見て驚かない人はいないだろう……
中へはいると、しっぽが二つある黒猫がやってきた。
「勇儀……と冥界の……何の用だい?…おや?そこの子は
初めて見るねぇ」
「やぁお
勇儀さんがそう言うと、お燐さんは高くジャンプしてやがて人の姿になって着地した。
深紅の髪を両サイドで三つ編みにし、根元と先を黒いリボンで結んでいる。
髪型はいわゆるおさげで、前髪はぱっつんに近く
頭には黒いネコ耳がそのまま生えており、
黒の下地に何やら緑の模様の入ったゴスロリファッションのようなものを着用していた。
「初めまして、あたいは
「俺の名前は封雲 夜音だ。この前紫に呼ばれて
この幻想郷にやってきた。一般人だ」
夜音君が自己紹介を終えるとお燐さんは不満そうな表情を浮かべた
「…な、なんだよ……」
「そんな霊力量しといて、普通はおかしいわよ?」
「えっ?……」
そう、彼はもう私たちを遥かに超える霊力を手に入れていた。覚えがいいのか、はたまた才能なのかかは分からないが
今の彼は霊力量だけでいえば、わたしはかなわないだろう…
「まぁいいわ、案内するからついてきてね。勇儀、あんたは帰っていいわよ」
「おいおい冷たいなぁお燐。まぁしゃあねぇか。それじゃあなお二人さん」
私たちに背を向け、勇儀はどこかへ行ってしまった。
「んじゃ、行こうか。」
お燐さんについて行く途中
「なぁ妖夢。お燐って妖怪なのか?」
「えぇ。私も何の妖怪なのかは知りませんが」
「気になるかい?」
お燐さんは耳をぴょこぴょこさせて振り返った
「まぁ……だいたい想像つくけど…」
「おや?そうかい?なんだと思う?」
「
「ブブー、残念。正解は………」
するとお燐さんはどこからともなく荷台のようなものを出現させた。
「正解は
「火車?……猫又じゃないのか?」
「よく言われるよ。尻尾二つだったからね、仕方ないよ。
私の能力は死体を運ぶ能力なの。だからこの猫車で死体を運んでるの。」
「へぇ…そうなんですか」
「ほら、ついたよ」
その場でお燐さんは立ち止まり目の前の大きな扉をノックした。すると
「はぁい。どうぞ」
中で女性の声の返事が返ってきた。
「それじゃあ、入ってね。」
お燐さんは猫の姿に変わりどこかへ行ってしまった。
夜音君は息を飲み、ゆっくりと扉を開けた。そこには
ステンドグラスが辺りに散りばめられており正面には
大量の書物が積み上がっている机に座っている眼鏡姿のさとりさんが書物を凝視していた。
「あら、妖夢ちゃんじゃない。どうしたの?」
私たちに気づいたさとりさんは、体をのばし私たちの目の前にやってきた。
「こんにちはさとりさん。彼の案内をしていたんです。そのときに主に挨拶をと」
「なるほどね、あなた、名前はなんて言うのかしら?」
「封雲 夜音。よろしく……さとり」
するとさとりさんは急に夜音君を凝視した。そして小首を傾げる。
「な、なんだよ……。人の顔見るなり」
「ご、ごめんなさい。そういうつもりじゃないのよ。あっ
自己紹介がまだだったわね。改めてこんにちは封雲夜音君。私の名前は古明地 さとり。この地霊殿の主をしている者よ。能力は心を読む程度の能力なの」
「それは……まぁ色々大変だろうな」
「えぇ、本当にね。……でもね、夜音君。」
さとりさんは一呼吸して……
「『あなたの心が読めないのよ』」
「!!」
その言葉に彼は小首を傾げていたが私は驚きを隠せなかった。彼をここに連れてきた目的が達成できないからだ。
「……………」
さとりさんはわたしの方をちらっと見て私の考えがわかったようだった
「まぁ、だからってなにか出来ないわけじゃないから、
あんまり気にとめないでね。」
「お、おう。わかった………うぉっ」
突然彼をが前に倒れそうになった。寸前で足を前に出し体を支えた
「ど、どうしました?夜音君」
思わず体を支えようと手を伸ばす。
「い、いや。なんかのしかかった感じがして……」
彼がそういうが後ろには何も無い。しかしよく見るよ……
「あっ……」
そこにはさとりさんの妹、古明地 こいしさんが夜音君に
飛びついていた
……………………………………………………………………
妖夢の顔を見て視線を向けると、薄く緑がかった癖のある灰色のセミロングに緑の瞳のさとりに似た少女が俺の背中にくっついていた。
「あれ?もう気づいたの?」
彼女はキョトンとした後、背中から離れ、さとりの隣に並んだ。パッと見似ているが胸元にある目が閉じていた。
「こいし、初対面の人に飛びついちゃだめよ」
「はーい」
無邪気な笑みを浮かべる少女。
「紹介するわ、妹の古明地こいしよ。仲良くしてあげてね」
「よろしくね。お兄ちゃん」
どこかフランのような雰囲気を感じながら頷く。
「では、そろそろ帰りましょうか夜音君」
「わ、わかった。それじゃあな。さとり、こいし」
「えぇ、またいらっしゃい」
「バイバーイ」
結局、妖夢が何故ここに俺を連れてきたのはハッキリしないまま俺たちは白玉楼に戻った。
自室のベットに沈み、考える。なぜ妖夢があそこに俺を連れていったのか。それは、俺の内面を知るためなのか。
宴会前のあの黒い煙のようなもの……、あれとなにか関係があるのだろうか……
(う〜ん。じゃあなんで、直接言わなかったんだ?)
妖夢なりの優しさだろうか……俺がまたあの状態にならないように……それはつまり……
(あぁもうくっそ!なんでそんなこと考えてんだ!)
妖夢はそんなこと思わない。アイツらとは違うんだ。そう思い込み俺は眠りに入った。
…………………………………………………………………
「幽々子様、ただいま戻りました。」
襖をあけ妖夢がやってきた。
「おかえりなさい妖夢。どう?なにかしれたかしら?」
「いえ……それが、さとりさんが言うには彼の心を読むことが出来なかったようです。」
「そう……それは残念ね」
心が読めないとゆうことはそれほどくらい闇を抱えているとゆうこと………。つまり彼の過去に何かがあり、それが今でも
「とりあえず。あなたはいつも通り夜音君と接してちょうだい。あと、影化についてはまだ話さないでね」
「かしこまりました。では失礼します。」
妖夢はお辞儀をして部屋を出ていった。
彼は本当にこの世界の為にあの刀を振るっているのだろうか。タダほど怖いものは無いと言うが、本当にそうだと思う。私たちは……彼のことを知らなさすぎる。それが今は
とんでもなく恐ろしい……
7話どうしでしたか?
そろそろ夜音君の過去について触れていこうと思っています………が。
もう少しお待ちください。
コロナの中暇な時に見てくれると幸いです。
では、次もお楽しみください