ある日の昼下がりいつも通り妖夢と特訓をしていた。
「夜音くん、だいぶ剣の使い方が型にはまってきましたね」
打ち合いを終えた妖夢がふとそんなことを口にした。
「そうだな。自分でも、少し扱いやすくなってるよ」
「でも、少し決定打に欠けますね」
「あはは、やっぱりそうだよな」
そう、俺は受け流すだけで決定打が足りない。
妖夢の様に一瞬で勝負を付けてくる相手には手の打ちようがないのだ。
「夜音君は相手の隙を一瞬で付くことが出来ていません。それはまだ経験がないと言えばそれまでです。しかし、出来ないのなら出来ないなりに策を考えてみては?」
すると妖夢は立ち上がり突きの構えをする
「私の場合は、このように!」
ヒュゥン…と風を斬る音と共に妖夢は白楼剣を突いた
「一瞬のスキを突きます。」
「なるほど……おれはそこまで早くできないなぁ」
初めての手合せの時も時がズレたように感じるほどの速さは長年の賜物。俺には再現できない
「さ、先程のはあくまで私の場合です。あなたはあなたなりに試行錯誤してください。あっそうだ」
妖夢はなにか思いついたように手を叩く
「夜音くんのその……引力?で重力を刀に発生させてはどうですか?」
「なるほどな……」
俺は立ち上がり刀を構える。そして能力を発動して短い引力を、しかし強力な刀の柄に発生させる。そして突きの動作と同時に一気に重力を発生させる。……すると
ビュンッ!!
風を切る音が聞こえた。っがしかし
「あがっ…」
あまりの勢いで肩が外れてしまった
「だ!大丈夫ですか!」
「いっ、いってぇ……」
肩が外れるなんて初めての出来事だ。だからこそ
めちゃくちゃ痛い。妖夢に手伝ってもらいなんとか肩を戻す
「あ、あぶねぇ。危うく永遠亭にお世話になるとこだった」
「すこし……弱めてのいいんじゃないですか?」
「そうだな…試してみるか」
「あああ!まだダメですよ!」
引力を発動させようとした所を妖夢に必死に止められる。
少し肩を休ませて、今度はさっきよりも弱くして能力を発動する
ビュンッ!
さっきよりかは弱いものそれでも十分だった
「それくらいでも充分強力ですね」
「そうだな。ありがとう妖夢」
「いえいえ、これも師としての務めです」
そう言う妖夢の顔は緩みきっていた。自分が師匠だということに浮いているのだろうか……
「夜音、特訓は終わったか?」
そこへ村へ降りていた無銘が戻ってきた
「おう無銘。今の村はどうだっか?」
「最初は驚かれたが、博麗の巫女が話してくれていたらしくてな。みんな親切だったよ」
「そうか……それはよかったな」
「ほら、お二人さん。お土産だ」
そう言って無銘は和菓子の入った袋を俺たちに渡した。
「では休憩しましょう。お皿に並べてきますね」
「ああ、頼むよ」
妖夢は袋を持って台所に向かった。
「夜音、特訓の方はどうだ?」
「刀はだいぶはまってきたから、あとは細かい足の動きとかかな」」
「そうか……どうだ夜音。手合わせするか?」
「おっ?いいねぇ」
俺はそう言って刀を取りだした。無銘もどこからともなく刀を取りだした。
「じゃあ……いくぞ!」
「救世主の実力……見せてもらうぞ!」
俺と無銘は同時に地を蹴り刀を打ち合った
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和菓子を切り分け縁側に戻ると無銘君と夜音君が手合わせをしていた。状況は無銘君が優勢で
夜音君は受け流すので精一杯のようだった。弾幕を展開する間も、能力を発動する間もない
「夜音、まだ腰が高いぞ。相手の体の軸を見るんだ」
無銘君は所々夜音に指摘しながらも彼を圧倒している。
「っ……くそっ……」
夜音君も必死に食らいついているがついて行くのが精一杯のようだった。受け流すのが得意な彼でもギリギリだ。
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くそ、スキを見ている余裕が無いどうすれば
「夜音、ひとつのことだけを考えるな。広く視野を確保するだ」
視野を……確保……。俺は後退し刀を構え直した。
無銘は地を踏み締め突撃してきた。そこで俺は彼の言葉の意味がわかった。
(右側……)
無銘は右利きなため、俺から見て右側が空いていた
俺は右によけ無銘の刀を弾こうと下から刀を突き上げた。しかしとっさで無銘は刀から手を離し宙に舞った。そして俺が打ちあげた刀を空中でもう一度掴んだ
「はぁ!?……」
あまりに奇っ怪な行動だ。間違えれば手が切られていた。
無銘は空中で一回転し、能力を発動し宙を踏みしめて一直線に向かってきた。俺はすぐさま構えたが無銘の方が早く俺は仰向けになり首元に無銘の刀がぎらりと光った。
「あぁ……くっそ、まけた」
「まだまだだな夜音。しかし右によけて刀を弾くとゆう発想は良かったぞ」
無銘は俺を起こしてそう言った。
「だが、ひとつして終わり……ではなく二手三手先まで考えることだな」
「わかったよ先生」
「あとは受け流すことばかり考えないことだな」
「うっ……」
全て的確に指摘されぐぅの音も出なかった。
「……ごっほん。お二人、準備出来ましたよ」
先程から退屈そうに見ていた妖夢は咳払いをした。
「ありがとう妖夢。不知火、今度こそ休憩だ」
「あぁわかってるさ、さすがに俺も疲れたさ」
和菓子を食べている途中、ふと疑問に思った。
「なぁ妖夢。そういえば、妖夢の能力はなんなんだ?」
聞いていなかった妖夢の能力。普段の修行で能力を使っている様子はない。能力無しであれなら凄まじいものだ
「そういえば言ってませんでしたね。私の能力は
「剣術を扱う程度の能力です」」
「「そのまんまだな」」
俺と無銘の声がハモった
「あぅ……そんなこと言わなんでください……」
「ご、ごめんごめん」
すると妖夢は立ち上がって刀をこちらに向けた
「よ、妖夢?」
「もう、怒りました!さぁ!修行始めますよ!」
妖夢は俺の手を掴み外に出す
「ドンマイ……夜音」
無銘はニヤニヤしながらこちらを見ている。
あぁ!もう!やるしかないのか
「では始めますよ!!」
それから修行は夕方まで続いた。
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「そうだ夜音、明日から一年ここから出て行きなさい」
その日の夜、突然幽々子からそんなことを言われた
「……………はっ?」
その言葉に俺は箸で掴んでいた魚の切り身を落とした。
「いま……なんて?」
「あら?聞こえなかった?明日から一年間はこの白玉楼から戻ってこないでって言ったの」
「ゆ、幽々子様!?どうしてそんなことを……」
妖夢は俺より動揺していた。
「………幽々子、話の内容を色々すっ飛ばしているぞ。ちゃんと最初から説明しないと……あと言い方……」
どうやら無銘は知っていたみたいだった
「う〜ん。それもそうね」
無銘の言葉に幽々子は頷いた
「理由としては二つよ。ひとつはこの冥界以外のところで、妖夢だけじゃなくて色んな人と経験を積むこと」
そして……と続けて幽々子は言おうとすると
「妖夢。少し話があるんだ。いいか?」
「えっ?いま……ですか?」
「あぁ」
無銘は妖夢を呼んで今を出ていった。あいつが出る時幽々子を目配せをしていた。そしてしばらく沈黙が続き
「二つ目は妖夢に聞かせられないのか?」
「まぁ……そうね。あなたも聞かれたくないことだろうし」
「それで?二つ目はなんなんだ?」
「二つ目は……あなたはもう少し色んな人と出会って色んな考え方を得るべきよ。貴方……人を信用してないでしょ?多分……私や妖夢のことも」
「………なんだ……やっぱりバレてんじゃん」
俺は思わずため息混じりに笑う。上手く隠したつもりだったのだが。まぁ恐らく気づいているのは幽々子と無銘だけか…………あの様子じゃ妖夢は気づいてないだろう
「……いつから気づいてた?」
「初めてであった時ちゃんと笑えてるかって聞いたでしょ?……その時、どうしてもあなたの表情がどこか引きつっているように感じたの。あの時は本当にまだ混乱していると思っていたわ。でも、確信がもてたのは宴会があった日よ。あなた、ほんの少しの間だけど影化したそうね」
俺は無言で頷く
「本来影化ってのはその人の内なる負のエネルギーが霊力を侵食するものなの。それで初めの笑顔を繋がったわ。あの演じてる笑顔も人に弱みを見せないためなのかって」
「…………さすがだな……大正解だ」
なんでそこまで分かるのか。今まで周りに気が付かれなかったことをこうも容易く……やはり、幽々子様には何でも見抜かれる気がする……
「ねぇ夜音。どうしてあなたはそうなってしまったの?」
「まぁ……俺がいた世界が不平等な世界だっただけだ」
「………そう、出ていけ、とは言ったけどちゃんと衣食住の揃っている場所で修行してもらうわ」
「ほぅ、そりゃありがたい。それってどこなんだ?」
「
「へぇ、それは楽しみだ」
「一年しっかり修行して妖夢をびっくりさせてあげなさい。話は通してあるから幽々子に呼ばれてきたと言えばいいわ」
「おっけぇ、わかった」
「それで、あなたのこと自信もね」
幽々子は立ち上がり俺の頬に手を添えた
「あなたはもう……ひとりじゃないってことを知ってきなさい」
「………わかったよ」
それだけ言い俺は部屋を出た。自室に向かう途中そわそわしている妖夢を見つけた。そしてこちらに気づくや否やまっすぐこっちに向かってきた。
「や、夜音君……」
「妖夢。無銘となんか話したのか」
「い、いえ彼からは主人の大事な話だからとゆう理由でした」
なるほど……上手く建前を作ったな……
「夜音君、ここを出てもしっかり修行してくださいね……
サボったら…ダメ……ですよ」
「あぁ、わかってるさ……一年後。びっくりさせてやるよ」
「ならいいんです」
そういって妖夢は笑うがまだどこか隠しているように見えた。
「……まぁ、明日から会えなくなるんだ。今のうちに言いたいこと言ったらどうだ?」
俺は妖夢に顔を背け後頭部をポリポリとかく
「いいですか?じゃあ、最後に一つだけ」
そう言って妖夢は手を広げた
「ハグ…………してください」
そういう妖夢の頬は赤く火照っていた。
はい?………といつもなら思うだろうが今日は素直を従った。
「わかった」
俺は妖夢を背中に手を周り優しく抱き寄せた。時間はほんの数秒だろうが俺にとってはとても長く感じた。
「ではお体には気をつけて下さいね」
「あぁ、じゃあな。妖夢」
「はい……一年後に……待ってます」
寂しい顔をする妖夢の横を通り俺は自室に入り眠りについた。
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彼と一年会えない……そう思うだけで胸が苦しくなる。こんな気持ちは初めてだ。
「あの子と会えないと寂しいかしら?」
自室に戻る途中幽々子様に声をかけられた
「………はい。なんだか……離れたくありません」
「でもね妖夢。これあの子のためなの。分かってちょうだい。ちゃんと衣食住のある神霊廟に居させるつもりだから。もし、妖夢がいいなら夜音と一緒にいってもいいんじゃないかしら?」
正直彼と一緒にいれるのならそれでも十分だ……でも
「……いえ、それは私の役目ではありません。私は、彼の事を想っています。でも彼に一年後、楽しみにしていろと言われたので」
「そう……そう言うなら、そうしなさい」
「はい……失礼します」
そう言って自室に戻る。
心臓の鼓動は止まらず、体は彼を欲していた……
(今日ぐらい……いいかな?)
私は自室を出て、彼の部屋にむかった。
夜音君は既に寝ており、寝息が聞こえてきた。私は彼を起こさないようにベットに潜り込んだ。彼の匂いが私を包み込む。
「夜音君……」
私は彼の首に手をまわし、彼を抱きしめた。
そして、そのまま私は眠りに落ちた。
とゆうことで8話いかがだったでしょうか。
妖夢がだんだん好きとゆうことに気づき始めていますね。しかし彼は気づいていない様子……この先どうなるのでしょうか……
次回もお楽しみください。