混沌少女が異世界から来るそうですよ?   作:香坂 夜狐

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本作の主人公はクトゥルフのニャルラトホテプ+ニャル子+一般人+色んな作品のニャルラトホテプ=な存在と思って頂ければと思います。


第1話~問題児達と邪神が箱庭にやって来たようですよ?~

 体に感じる混沌の世界とは別種の浮遊感、そして強い風。

 下を見れば広大な世界が眼下に移り、その最果てまで見る事が出来る。

 左右を見渡せば、自身と同じ様に驚愕の表情を浮かべながら落下する男女、自身含め計4名+猫1匹。

 

 そんな状況においてクトゥルフ神話において、邪神と崇められ、最強の神と同等の力を有するといわれる土の精であり、神としては土の神性を持つ存在である彼女は……

 

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!?」

 

 ……無様な悲鳴を上げていた。

 無理もない事である。前述したように彼女は”最強の神と同等の力を有するといわれる土の精である邪神”、、”土の精”

 そう、Nyarlathotep、、ニャルラトホテプである彼女は土の神性をもつ存在である。

 空を飛べる飛べないにかかわらず、本質としては地面に足を付けているのだ。ましてや、力は強大で、その気になれば空を飛べる彼女でも、その精神は世界の狭間たる空間で長い年月を過ごしたとはいえ、人間の中で十数年生きていた存在だ。

 本能で飛べると理解はしている、が、急に出た空は異常なほどの高さ。ニャルラトホテプとわいえ変な悲鳴が出てしまってもおかしくない。

 

 そのような悲鳴を上げつつも、どんどんと眼下の湖には近づいていき、

 

(ぶつかる!!)

 

 彼女が力を使おうとするよりも早く

 

 (!?)

 

 突如として風が巻き起こり、体が一瞬減速し、、

 

 「のぶっし!?」

 

 水面に着水した。

 

 まぁ、あのままの速さで当たったとしても彼女には傷1つ付かなかっただろうが。

 

 そして、そのまま次々と着水していき、びしょ濡れになる4名と1匹。

 

 4人と1匹は、猫がおぼれかけるというハプニングがありながらも、意外と深い位置に落ちたため、泳いで陸にあがり、服から水分を絞る。

 

「し、信じられないわ、いきなり空に放り出すなんて!下手すれば地面に当たって即死よ!!」

 

「同意です!!あんな高さから落ちたら擦り傷ぐらいなら出来てしまいます!!」

 

「あぁ、まったくだ。場合によっちゃゲームオーバーコースだぜ、コレ。石の中に呼び出されたほうがまだ親切ってもんだ」

 

 服を絞りながらも文句を言う長い黒髪の気の強そうな少女に同意を返すニャルラトホテプと金髪の少年。後者二人は何か間違えている。

 

「いや、、擦り傷じゃすまないし、石の中に呼び出されては動けないでしょ?」

 

「俺は問題ない」

「私も問題ありません!!ノープロブレムです!!」

 

「そう、身勝手なのね」

 

 ツッコミを入れる少女に対してそう返す二人にに対して、少女も軽く返す。

 その横で最後の一人であるショートカットの少女は濡れた猫の体を拭いている。

 

「んで、お前ら誰だよ」

 

「それはこっちの台詞よ。目つきの悪い学生くん?」

 

「一応確認するけど、お前らの所にも変な手紙が?」

 

「その通りだけど、そのお前って呼び方を訂正して。私の名前は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱えてるあなたは?」

 

 売り言葉に買い言葉、軽口を叩いている二人。

 そして、飛鳥は猫を抱えて拭いている少女に話題をふる。

 

 

「春日部耀。以下同文」

 

 そう短く返すショートカットの少女、改め耀。

 

「そう、よろしく春日部さん。で、そこの野蛮で凶暴そうな貴方と若白髪の貴女は?」

 

 挑発的に話を振られ、にやりと笑う金髪の少年と、若白髪扱いされショックを受ける邪神。

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれよ、お嬢様?」

 

「そう、取り扱い説明書を作ってくれたら考えてあげるわ」

 

「マジかよ。今度作っとくわ。んで、若白髪のお前は」

 

 再度、白髪扱いされショックを受ける邪神。

 

「ひどいです!!私は白髪じゃなくてぎんぱつですよぅ」

 

「ワリーワリー」

「あぁ、そう。ごめんなさいね」

 

「反省の意思がかんじられませんよ!?」

 

 十六夜と飛鳥の対応に少し涙目になる邪神、コホン、と息を整えると、、

 

「では、改めまして。私、八坂ニャル子と申します、コンゴトモヨロシク」

 

 本名を名乗り、問題が起きる危険を避けたいために偽名を名乗るニャルラトホテプことニャル子。

 

「わりーが、サマナーじゃねぇんだわ」

「自己紹介が普通ね」

「変な名前」

 

「駄目出し三昧!?」

 

 自己紹介で駄目だしされるニャル子。

 邪神相手に、知らぬとはいえ、ここまでダメージを与える存在も珍しいだろう。

 

 ちなみに、この邪神。発言などから分かるように、容姿の元となった某ニャルラトホテプ星人の影響がだいぶ出ている。

 その4人+1匹の様子を草陰から覗く人?の影。

 

(うわぁぁ、どのお方も一癖も二癖もありそうな問題児ばかりですねぇ)

 

 自己紹介が終わると、4人は現状の把握のために辺りを見渡す。

 

「で、呼び出されたいいけどなんで誰もいねぇんだよ」

 

「ええ、そうよね。何の説明もないままでは何もわからないもの」

 

 その様子を見て、隠れている存在はにやりと笑い、、

 

「…仕方ねぇな。こうなったら、そこに隠れているやつにでも話を聞くか?」

 

「あら、貴方も気づいてたの?」

 

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ? そっちの二人も気づいてたんだろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「もちろん!!年間発情期のにおいがプンプンします!!」

 

 

「ウサギは発情期ではございません!!」

 

 

「「「「………」」」」

 

 

「……あ」

 

 つい、といった様子でウサ耳少女が出ていき、引き攣った笑顔になる。

 

「なにあれ?」

「コスプレ?」

 

 出てきた少女に対して、その珍妙な服装とウサ耳に対しての素直な感想を述べる飛鳥と耀。

 それに対して、出たきた少女はあわてた様子で答える。

 

「ち、違います。黒ウサギはコスプレなどではございません!!黒うさぎは―「まぁ、それは良いんだけどさ」―はい?」

 

 その台詞の途中で遮る十六夜に対し、少女、、本人の弁を取るならば名前は黒ウサギ、、呆けたような表情になり。

 

「そろそろ話を聞かせてもらおうじゃねーか」

 

 そう言いながら距離を詰めてくる十六夜に対して、再度表情を引き攣らせ後ろにじりじりと下がり、

 

「逃がしませんよ~♪」

 

 いつの間にか後ろに控えていたニャル子に肩を捕まえられた。

 

「み、皆様方?お、落ち着いて話を…」

 

 そのまま、前方から十六夜、左右から飛鳥と耀、背後にニャル子と囲まれる黒ウサギ、そして……

 

「ギニャアアァァァァァァァァァ!!!?」

 

 ……森に黒ウサギの叫び声が響いた。

 

 

 

 

ネタ解説

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!?」

 ガンダムに登場する有名機体。

「のぶっし!?」

 機動武闘伝Gガンダムに登場。ネオジャパン軍JMS-71ノブッシ。

コンゴトモヨロシク

 女神転生シリーズより。悪魔が仲間になった時の台詞。ちなみに、同作品にニャルラトホテプがアクマとして登場するのは有名。

サマナー

 女神転生シリーズより。悪魔召喚師(デビルサマナー)の事。

年間発情期

 ウサギは年間発情期らしい。真偽は不明。

 

 


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