仕事の合間にですが、出来る限り続けたいとおもいます。
黒ウサギが捕まり1時間ほどが経った頃、、
「……うぅ」
木々に囲まれた森の中、湖の近くの開けた場所に横たわる一人の少女、もとい、黒ウサギ。
力なく脱力する彼女の様子を少し離れた位置から観察する、十六夜、飛鳥、耀。ニャル子の4人。
「おい、どうする?説明どころじゃねぇぞ?」
「ちょっとヤリすぎたかしら?」
「…好奇心に走りすぎた」
「いやー、みごと弱点だったみたいですねぇ」
小言で話す4人。内容から折る程度の予測が立つとはおもうが、彼ら4人は黒ウサギを囲んで確保した後、彼女の耳を本物か?という自身達の愚問を晴らすためにいじくりまわしたのである。その結果が横たわり、悲しみに暮れる黒うさぎであった。
さすがにこのままでは話が進まない為に、哀愁を漂わせ始めた黒ウサギに声をかけるニャル子。
「あの~、そろそろ説明のほうを「そうでございました!!」……」
声をかけられ、内容を思いだす黒ウサギ。彼女の様子を見るに元気なようだが、回復が早かったのか、ただ単にタフなのか。
「ありえない。ありえないのですよ!!まさか黒ウサギの素敵耳をいじくりまわすだけで小一時間も消費してしまうとは、学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのです!!!」
テンション高く憤慨する黒ウサギ、まさか彼女も耳だけで時間をこんなに使うとは予想だにしていなかったらしい。
「では、あらためまして説明を……コホン」
冷静になって一息つくと黒ウサギは両手を広げ、四人に向き直る。
「ようこそ、”箱庭の世界”へ!!我々はあなた様方にギフトを与えられた者達だけが参加できる特別なゲーム、”ギフトゲーム”への参加資格をプレゼントさせていただくため、召喚いたしました!!!」
「”ギフトゲーム”?」
十六夜の呟きに同調するように疑問顔の面々に対して、テンポ良く、テンション高く言葉を続ける黒ウサギ。
「そうです!!既に気づいてらっしゃるでしょうが、貴方様方は皆、普通の人間ではございません!!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。”ギフトゲーム”はその恩恵を用いて競い合うためのゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力をもつギフト保持者が面白可笑しく生活できるために造られたステージなのでございますよ!!」
説明を聞き、疑問を感じた飛鳥が挙手して質問を述べる。
「まず初歩的な質問からしていい?貴女が言う〝我々〟とは貴女を含めた誰かなの?」
「YES!!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって数多とある〝コミュニティ〟に必ず属していただきます♪」
「イヤだね」
「属していただきます!!」
飛鳥の質問に対する答えに、十六夜が嫌だと答え、黒ウサギが語尾を強めにして返す。
「そして、”ギフトゲーム”の勝者はゲームの主催者、即ち”
「…”
今度は耀が上げた質問に対して答える黒ウサギ。
「それは様々ですね。暇と持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。特徴としては、前者は自由参加が多いですが、”
「後者は結構俗物ね。で、チップには何を?」
「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間、、そして、
「そう。最後にもう一つ。ゲームそのものはどうやって始めるの?」
「コミュニティ同士のゲームを除けば、期日内に登録すればOKです!!商店街でも商店が小規模のゲームを行っているので、よかったら参加してみてください!!」
「……つまりギフトゲームとはこの世界の法そのもの、と考えてもいいのかしら?」
世界の法か、そう尋ねる飛鳥に対して意外そうにする黒ウサギ。
「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは8割正解の2割間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!!そんな不逞な輩は処罰いたします、、が、しかし!!ギフトゲームの本質は全く逆!!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。店頭に置かれている商品も、店が提示したゲームをクリアすればゲームに参加した労力のみで手にする事が可能ということですね」
「そう、野蛮ね」
「ごもっともです。しかし主催者は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは始めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」
そこで今まで話を聞いていたニャル子が疑問を飛ばす。
「質問です、ギフトを用いた犯罪は不可、と言いましたが、それはギフトゲームを通した結果ならばどんな事でも合法、という事でしょうか?」
そのニャル子の質問に黒ウサギは目を軽く見開いて驚きを表し、間を置いて質問に答える。
「…YES、どのような事でもギフトゲームの結果ならば合法とみなされます」
「では、たとえばですが、プレイヤーに対して”
「……そちらもYES、ギフトゲームの中での事はすべて合法とされます。そして、極少数ですが、相手の弱みや、あるギフトを使って半ば強制的にギフトゲームに参加させる”
そこで少し暗い様子を見せる黒ウサギだが、それを振り払うように明るい口調で言葉を述べる。
「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます!!しかし、それらを全て語るには少々時間がかかるでしょう、新たな同士候補である皆さまを何時までも野外に出しておくのは忍びありません!!ですので、ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが、、、よろしいですか?」
「待てよ、まだ俺が質問していないだろ?」
そこで、今まで静かに話を聞いていた十六夜が声をかける。
「…どういった質問ですか?ルールですか?ゲームそのものですか?」
先ほどのニャル子の件もあるため、少々警戒気味の黒ウサギ。
「そんなのはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。お前に向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだろ?世界のルールを変えようとするのは革命家や政治家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねえ。俺が聞きたいのは、ただひとつ。あの手紙に書いてあったことだけだ___
___この世界は………面白いか?」
その言葉を聞いて、黒ウサギは一瞬、きょとんとした表情を浮かべるが、すぐさま十六夜達に会ってから1番の笑みを浮かべ___
「YES!!ギフトゲームは人を越えた者達だけが参加できる神魔の遊戯、箱庭の世界は外界より面白いと黒ウサギは保証いたいます♪」
___そう答え…否、断言した。